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テンポラリー通信

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2010年 04月 18日

緑と泉の運河ー早春賦(12)

北5条通り植物園を挟んで西8丁目のあたりは鬱蒼として、ふっと空気が違う。
植物園の巨木群と向かいの一町四方の大邸宅伊藤邸の庭の巨木とが、
梢が触れんばかりに道路を挟んで、呼応しているからだ。
フエンス越しに見る伊藤邸の庭には、かっての川の痕跡、岸辺、木々が見える。
この庭の風景は、かっての泉、川の名残である。
北海道庁の前庭、植物園、伊藤邸、清華亭、北大サクシコトニ川とは、
かって湧泉で繋がった3っの泉池(メム)の自然の運河でもある。
そしてそこには、ハルニレをはじめとする札幌の原生林の面影が、今も
色濃く残っているのだ。
その木々の放つ緑の香気が、北5条通りを他の道路と違う空気に変えている。
この伊藤邸が、新幹線の乗り入れに伴い削られ、解体されるとの情報がある。
噂でしかないのかも知れないが、この一帯がもし更地になり高架線が走り、
高層ビルでも建てられば、この貴重な樹と泉の緑の回廊は断絶する事となる。
200万に近い大都市のど真ん中に存する、札幌の近代遺産文化は
産業経済のインフラ整備の為、また消え去る事にも為りかねないのだ。
植物園はかっての原生林をそのまま囲繞し、道は歩いた跡がそのまま路と
なったという。
移植して出来た植物群ではなく、もともとそこにあった森を囲って植物園と
したのが始まりという。
その森に湧く泉、そして川の流れ、それらをまるごと生かすようにして
札幌の植物園はある。
その流れに沿って伊藤邸の敷地もあり、それはJRの線路を越え、
清華亭へと続き、北大の広大な敷地へと続くのだ。
この緑と泉の回廊を近代建築の洋館が、彩っている。
その多くが赤レンガや軟石の近代を象徴する建物群である。
伊藤邸もまた、遠目ではあるが美しい瀟洒な洋館である。
この貴重な泉と森の回廊を、分断させてはいけないと強く思うのだ。
泉の水源は高層ビルの林立で涸れたが、今は遠くから水源を引っ張っ
て、池や川はそのおかげで今も水をたたえている。
そして木々も枯れずに繁っているのだ。
私はこの泉と森の回廊を広く開放し、貴重な都心の文化ゾーンとして
保護すべきと心から思う。
そこに立つ樹林、そこに建つ洋館群、そして近年復活させられた北大構内
の川と繋ぐ素晴らしい泉と森の回廊は、他にない近代風景遺産と思うのだ。
新幹線がどれだけ必要な物かは賛否があるだろうが、なんとしても
この風景だけは、ゾーンとして保存すべきと思う。
かって小樽運河が正に埋め立てか否かで問われたように、
このゾーンは、いわば札幌の森と泉の運河のように、
その保存の当否を今後問われるのである。

*藤谷康晴展「ANALOG FLIGHT SAPPORO→」
 4月13日(火)-25日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-04-18 13:57 | Comments(0)


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