山梨県で今、旦那さんと農場をしているまるちゃんの連絡がある。
ふたりの子持ちで、しっかりお母さんもしながら、農業に従事している。
ホームページもあるという。「かねひこのはたけー三井農場」
旧姓宮嶋、三井宏美さん。通称まるちゃん。
今尾道の船大工をしている野上裕之さんとも大学同期で、前のスペースで
個展をしてもらった事がある。
いつの日かまたここで展示をしたいと、メッセージが添えられていた。
ここには二度ほど里帰りの際訪ねてくれた。
その時はまだ東京で出版の仕事をしていた記憶がある。
今はご主人の実家のある山梨へ帰り、農場を営んでいる。
伸び伸びと大地とともに生きているようで、文面にもその気配が踊っていた。
網走の漁師佐々木恒雄さんといい、尾道の船大工の野上さんといい、
都会生活とは違う生活の逞しさがいい。
さらにその上で表現し続ける個の志が、こちらにひしっと伝わるのだ。
生活現実はそれぞれに大変な事も沢山あるのだろうが、
ふっと頭を持ち上げこちらを見てくれる眼差しに、自分もまた深い
勇気を頂いているのだ。
無器用なこんなボロボロの生き方をしていても、遠くから届く眼差しは
壊れかけたパソコンのような自分にも、キラキラした光として届くものがある。
パソコンであれ手紙であれ、その両方から伝わるものは、人間の共感力か。
今年東京の大学に入学したばかりの文月悠光さんがラジオ生出演という。
友人のO君が、方向音痴の文月さんの為赤坂のラジオ局まで随伴したと
ミクシイに書いている。
若いふたりが、ドンキーホーテとサンチョパンサのようにドキドキ、ウロウロ
の様子が目に浮かび、微笑ましい。
今日の俺は車無しのアッシーくんと、文月さんのお供の様子を今や懐かしい
フレーズで形容していて、笑える。
そんな彼が、東京ミッドタウンど真ん中で東京へ発つ前ここで話した事を思い出し
たと書いていた。これが、なんとも嬉しかった。
初めて会った日、彼の大学近くの奥多摩のシルクロードの話をしたのだ。
なるべく都心の方は見るなと話したのだ。
北の場末の小さな画廊に繋がる細い回路に、手紙もパソコンも関係なく、
今日もキラキラ零(こぼ)れてくるものがある。
*藤谷康晴展「ANALOG FLIGHT SAPPORO→」
4月13日(火)-25日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503