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2010年 03月 09日
旭山近くのパン屋さんに行きバケットを買い、ふらっと歩き出した。 久し振りの定休日の歩行。 伏見稲荷石段下を真っ直ぐ東へと下る。 そこから行啓通りを経て中島公園護国神社に至る。 そして幌平橋脇のデルタゾーンを久し振りに徘徊。 2,3年前まであった北教組の入った建物は消えて、 すでに大きなマンシヨンが建っていた。 隣接する縦長の倉庫は残っていたが、隣の道議会議長公宅も 取り壊されて、空き地が広がっている。 旧札幌川痕と思える鴨々川の水門を見てから引き返し、幌平橋を渡る。 豊平川沿いの堤防を北東に河岸を歩く。 対岸西側には都心高層ビル群が林立して、壁のように広がる。 都心部を真近に俯瞰できる迫力ある景観の場所だ。 この壁のようなビルゾーンの間を、せかせかと歩き回って生きている時 は、決して俯瞰し見る事の出来ない光景である。 次の南大橋を渡り、再び鴨々川に沿って、薄野界隈に入る。 中島公園と藻岩山に連なる風景の広がりは消え、毒キノコのような建物の間 を、伸びを無くし下水のように萎れた川が、ペットショップのピンクの建物の脇 を曲がる。 そして、運河創成川へと川は直線化する。 この川の曲線から直線への転換地点こそが、 近代と現代の転轍地点とも思える。 今はその下にさらに車の直線路が走っている。 あの中の島側から見た空に林立するビルの直線群と、この明治の運河の 直線化とは、同じ構造に基づくものだ。 水運を主体の物流と車を主体とする物流の為の直線化。 そして天に伸びる現代ビル群の直線。 南大橋に至る河岸堤防下に、対岸のビル壁群とは対照的にひっそりと 小さな杜(もり)が見える。 通称蛇神社と呼ばれる社(やしろ)の杜である。 この左右の風景の間を抜く河岸の道は、いわば近代と現代の境界である。 さらに南大橋を渡り、現代の街に入ると、大きな寺院が目立つてくる。 一般的に言って、神社は静謐でひっそりと在るが、 お寺は仰々しく派手に在る。 薄野歓楽街には寺院が目立つ。薄野は実は寺町でもあるのだ。 水と山の景観に恵まれた中島公園は、神社が3社も在る お寺のほうがより現世的で、神社の方がより精神的である。 神社の佇まいは孤独で自然をその周辺に纏っているが、 お寺はより多く俗性の衣を多く纏っている。 荒ぶる孤独性と和らぐ賑わい性の、原始神道のふたつの精神の容(かお)と思う。 町という社会と交流し、自然という環境と交感する日本人の精神構造が、 寺院と神社の様態にも反映している。 しかし、今見る現代の都市構造は、この意識構造を神社的環境、寺院的環境 の両方を喪失、あるいは破壊して成り立たせているかに見える。 行啓通り、東屯田通り、あるいは茨戸街道沿いの商店街には、 このふたつの要素が消えつつもまだその底辺には色濃く漂っている。 豊平川東岸から見る都市にはもう、その面影はない。 さらに薄野歓楽街を抜け、西へと向かう。 ふたつの市電路線を越えると、旧住宅街が少し寂れながら連なる。 円山地区に入るともうそこはマンシヨンの連なる住いのビル群である。 タワー系のマンシヨンが周囲を圧して地霊を追い出している。 精神の両極、荒と和はこの直線群に削り取られて、もうここに存在 できないのも時間の問題だ。 この地域の<和>を象徴する円山市場も廃止され、 いずれマンシヨンになると聞いた。 近代の色が残る商店街は地域と人の職住が密接だが、住の高層化 は商品の多量化と合間って、住のパック化商品のパック化を促進し 凄(す)さぶる静寂の魂も、和(な)ごむ喧騒の魂もその両方が、 風景に入魂する余地を消去している。 人、物、風景の界(さかい)が、物で埋まり消えてゆく。 4,5時間程の小さな旅に、近代から現代への百余年の道程の縦軸が 埋まっている。 歩行の小さな旅。 首から下の五感が活き活きとする。 *宍戸優香莉展「むすんで ひらいて」-3月14日(日)まで。 am11時-pm7時:月曜定休。 *3人展「触れるー空・地・指」-3月23日(火)~予定。 *藤谷康晴展ー4月13日(火)-25日(日) テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2010-03-09 13:53
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