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テンポラリー通信

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2010年 02月 28日

オホーツクの青と赤ー夢界(ゆめさかい)(1)

網走は白く青かった。
サロマ湖、能代湖、網走湖は水面が見えず結氷したまま。
おっ、流氷の海か!と一瞬思う。
途中通行禁止の案内版があり、止む無く紋別方面から網走へと向かう。
朝6時起きの8時新札幌唐牛幸史さんと待ち合わせで、眠気が襲い
うとうとしていた。
さらに道路事情で遠回りした為少し眠っていた。
目の前に水平線まで広がる白い水面。
海と一瞬間違えたのだ。
網走湖を越え、市内に入る。
肝心の海は暖かさで、流氷は見えない。
煙った海面が鈍い色で広がるばかり。
曇天、暖かし。
思ったよりも小さく見える網走駅前から、佐々木恒雄さんに電話する。
15分程で軽トラックの佐々木さんが見える。
先ずは自宅へという事で、藻琴の佐々木宅へ向かう。
愛妻の愛美さんが迎えてくれる。
しばし歓談の後、高臣展で出会った網走出身のAさん紹介の喫茶店
へ向かう。
実はこの喫茶店は佐々木さん夫妻も馴染みという事で即決。
行こうという事になった。
網走旧市街地の古いビルの2階にあるその名も「番外地カフエ」。
途中新開地の商店街を通り抜ける。
札幌郊外の何処でも見るショップが並んでいる。
ここに網走はない。聞くと以前は丘陵地帯だったそうだ。
今はマックドナルド、ミスタードーナツ、紳士服の青山等が立ち並び
ここらが中心という。
旧市街地は昭和レトロを思わせる、アーケードが舗道を覆い、
歩く事が基本の街並みである。
車主体の社会と歩行の商店街の構造の相違がここにもある。
辿り着いたカフエは、重厚なアールデコ調の懐かしい雰囲気だ。
ゆったりした4人掛けのソフアに座り話が弾んだ。
初めて会う唐牛さんも幼い頃網走・清里町に居たという事で
話はすらすらと佐々木さん達と繋がる。
帰って愛美さんの心尽くしの鍋料理とカニをご馳走になった。
さすがに魚の本場である。
イカも十匹単位で漁師さん仲間から頂くので、愛美さんは当初イカの
目が気になって恐かったという。
冷蔵庫が小さいので、今は冷凍庫の大きいのを買うのが目標という。
そうしないと保たないという。
言葉の通じる異国だと呟くように言った。

翌朝、隣に寝ている唐牛さんのイビキに悩まされた所為か
夜明けとともに目覚める。
陽射しが窓超しに淡く赤い。
外に出ると目の前はオホーツク。
昨夕とは一転して快晴。
知床方面からまだ水平線から出たばかりの朝陽が眩しい。
車道の向こうは海岸で海。家の裏は海岸段丘。北キツネの親子が
朝通っていたという。
丘の上は馬の放牧場になっているという。
日が昇るにつれ、海の色が深くなる。
藍に近い深いブルー。これがオホーックブルーだ。
佐々木さんのダイニングルーム正面に飾られた札幌最後の大作。
あの色である。
最初の漁で捕ったといって送って頂いたオホーツクサーモン。
その時切り捌いた身の色。
それは美しい桃色の赤だった。
佐々木さんが札幌で最後に制作した青と赤の抽象画。
これらはすべて、ここオホーツクの海とそこに生きる魚の命の色だったのだ。
あらためてその色彩の現場に居ることを、この朝感じていた。

*宍戸優香莉展「むすんで ひらいて」-3月2日(火)-14日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-02-28 14:29 | Comments(0)


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