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テンポラリー通信

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2010年 02月 07日

札幌夢界ー有機的な世界(18)

歌人の山田航さんが来る。
先日角川短歌賞の授賞式に出たばかり。
現代短歌評論賞とダブル受賞で、おめでたい。
最近珍しい硬派の人で、こういう人もまた大切である。
文月悠光さんとは今月中旬にここで会う約束という。
ふたりはまだ一度も会っていないのだが、作品を通して互いの事は知っている。
早速大野一雄石狩河口公演ヴィデオを見せる。
2時間余最後まで見終わって、途中何度か身動ぎをしたのが、気になる。
後でそれとなく聞くと、歌を考えていたと言う。
さすが歌人である。
一首できたの?と聞いたら途中からある有名な歌人の歌が頭にひっかかり、
集中出来なかったと言う。
永田耕衣の狼の歌だそうだ。
永田耕衣といえば、大野一雄が土方巽と永田耕衣に捧げた「天道地道」
という舞台がある。
大野先生が敬愛した舞踏の創始者と俳人である。
その事実を山田さんが知っていたかどうかは分からないが、
石狩河口公演の映像から、この俳人の一句を思い浮かべるとは、
やはり只者ではない。
同じ映像を見ても、視角はそれぞれである。
それだけこの公演はフレキシブルで、今も新鮮なものがあるのだ。
生と死の往還、そして再生。
海から押しよせる波、風、そして鳥。刻々と沈む夕陽。
その自然の只中で、大野一緒と大野慶人が踊る舞台は今もなお
新鮮で美しい。
見返す度に、新たな発見と感動がある。
今回も山田さんと見る事で、彼を通して別の感動の反射があり、
私は新たな発見を感じたのだ。
ちょうど実家の恵庭へ帰る途中立ち寄った森本めぐみさんも同席して、
彼女はもうここで4回目の鑑賞だが、帰る時間も忘れて見入っていた。
大野一雄、慶人親子ふたり合わせて当時150歳弱の年齢の舞台、
しかも20年近く前の映像である。
その映像が、公演当時生まれたばかりの文月さんや宍戸さん、あるいは
20代の山田さんや森本さんの心を今も掴んで離さない。
ここには横軸の時間の推移とは異なる縦軸の時間の軸心がある。
札幌・石狩、夢界(ゆめさかい)。
大野一雄・慶人さんの入魂の公演をこうして再び見てもらう機会を
得た事を本当に感謝している。
近々来る予定のドイツのMさんにも見せてあげようと思う。

*「大野一雄頌ーみちゆき」-2月12日(金)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*高臣大介ガラス展「冬光(ふゆひかり)」-2月16日(月)-21日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向

by kakiten | 2010-02-07 15:26 | Comments(0)


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