テンポラリー通信

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2010年 02月 06日

寒気居座るー有機的な世界(17)

前夜水を落として帰っても、水の出ない日が続く。
今朝も水が出るまで30分ほどかかる。

先日Aくんが来た。仕事を辞めたと言う。
昨年に続きヴェトナム方面へ放浪したいという。
入って来るなり、大野一雄と森本めぐみ「なみなみとして、もつ」を
見て、凄過ぎる、と呟く。
相当落ち込んでいるなあと感じた。
彼の一昨年の個展中、何人かの優れた写真家と知り合えた。
今は色々あるのだろうけれど、彼の実力はその事実が証明している。
彼の作品が人を呼び寄せたのだ。
もっと自分を信じて頑張って欲しいと告げる。
勇気づける為でもないが、自分の夢を話す。
札幌夢界(さっぽろ ゆめさかい)
ー the republic of dreams in sapporoー
拡がると同時に、閉じてきた札幌を開く夢の企画である。
区別・差別・分別の界(さかい)ではなく、開かれた豊かな界(さかい)
を再生させるプロジェクトである。
土地に眠る埋没した風景の結晶を再生させる為のものである。
時計台浪漫、琴似川浪漫、パラト街道浪漫、石狩川浪漫、林檎村浪漫
草原浪漫、色んな場所に埋没している札幌が開く。
作家の選定を絞り込み、その場ならではの人がそこを開くのだ。
開拓の<拓(ひら)く>の土地を、<開(ひら)く>にトランスペアレント
(透明に)し、風景の位相を転換する。
そんな夢である。
喪ってきたものを私たちは復原する事は出来ない。
しかしその本質を再生する試みは出来得る。
時はただただ、過ぎ去ってゆく。
その過ぎ去るものを、なにほどかの心的力で留め、結晶化する事は
可能である。そう信ずる。
Aくんは目を輝かせ、それはいいと共感してくれた。
まだまだ未完成な構想だが、静かにしかし確実にこの構想は
私の中で固まりつつある。
父さん、祖父さんへのささやかな個人的想いもあるのだ。
今はロードヒーテングの舗道の下に埋没し消えた私のさっぽろ。
その喪われたものへの、これはささやかなオマージュとレクイエムでもある。

早川禎治氏から「野帳」最終号が届く。
昨年心臓の病で手術。今は自宅療養との事だが、外へは出歩けないという。
昨年「南半球舟行」を刊行。一昨年は、松浦武四郎の足跡を辿った
「アイヌモシリ紀行」を出版。
名著「傷ついた自然の側からー手稲山紀行」は、優れた札幌文化論でもあり
ここでも百冊近く販売したのだ。
登山家にして単独行を好み、群れる事を嫌い、ひたすら世界中を歩き
文を書き本を出す。「カイラス巡礼」もまた名著である。

 お電話ありがたし。少時28丁目のギヤラリーを想いおこしました。
 動けませんので、まだ頭の中のことですが、最後この世とどうかかわる
 べきかを、かんがえているところ。
 いずれにしろあと5年、これが楽しみ。不一

今は亡き山川力さんといい、早川禎治さんといい、この優れたふたりの
先達者は、どれだけ私をいつも励ましてくれた事か。
ともに歩く人である。
そして、その歩行が生む鋭い観察力は、いつも優れて明晰な文明批評と
文化論を提示してくれた。
まだまだ頑張って下さい。お願い致します。早川さん。


*「大野一雄頌ーみちゆき」-2月12日(金)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*高臣大介ガラス展「冬光(ふゆひかり)-2月16日(火)-21日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-02-06 12:09 | Comments(0)


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