記憶の土壌には、過去という名の種子が眠っている。
こいつが時々、なんかの温度加減で芽を吹きだす。
すっかり東京目黒行き以来、この土の温度が上がったのか
タマビと赤に触発されて、遠い記憶の奥底の悔恨のよな痛みに似た
芽が吹き出していた、
ここ北の場末の画廊には、ジングルベルの騒音も届かないのだが、
時は間違いなくひっそりと、年の末に向かって流れている。
真っ白な雪が積り、世界は冬で静かである。
晩年のジョンルイス演奏のバッハ、平均律を流し一日が暮れた。
クリスマスイブとかで、訪ねくる人もまばら。
ダスキンの平川勝洋さんが今年最後のモップ交換に来る。
エビスビール半ダースとつまみの差し入れ。
モップ代より高価である。
森本めぐみ展を見て、演劇空間のようでいいという。
吹き抜け上部からしか見渡せないのが面白いともいう。
半透明なビニールの壁を透かして赤い色が滲んでいる。
何があるか、その好奇心で想像させるのがいい。
そして梯子を登り、あっと見渡す。
この展開が劇的で、演劇的だ。
縦構造のこの空間を活かす展示と感想を漏らす。
さすが、元天上桟敷の役者だけある。
湊谷夢吉、山田勇男たちの映像に出演していた頃の平川勝洋の顔に
なっていた。
陽射しが雪に揺れて、白いビニールの壁に拡散し、柔らかな光が
会場を包んでいる。
真っ赤なおかっぱの少女と赤い楕円の花が、会場をそこだけ
赤い暴力のように埋めている。
お米さんは、爆弾アラレ。
潜在エネルギーが凄い。
かりんとうさんやらコンペイ糖さんやら、アラレさんやら
女性パワー全開のような歳末だ。
負けずに頑張ろうぜ。
*森本めぐみ展「くものお」-12月15日(火)-1月13日(水)。
am11時ーpm7時:月曜定休・12月31日ー1月4日まで正月休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503