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テンポラリー通信

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2009年 12月 14日

帰札ーthe republic of dreams(11)

無事帰る。少し疲れた。
こちらはもう真っ白な銀世界かと、どこかで期待していたが、
雪もなく、それほど寒くもない。
森本めぐみさんが、最後の追い込み展示中だった。

東京初日。モノレールで浜松町。JR線で目黒へ。
ビル群のなか権之助坂を下り、目黒美術館へ。
京都へ帰る途中の唐牛幸史さんが美術館で迎えてくれる。
このところほんとうに彼とは旅の同行が続く。
第一会場は、濃い炭鉱の記憶である。
2階現代美術のコーナーの一角に岡部昌生の作品。そして、
吉増剛造さん、佐藤時啓さん、畠山哲雄さんのコーナーに、
旧テンポラリースペースの写真と説明文が飾られていた。
札幌から夕張を取り上げ展開した’90年代の業績を記録してくれたのである。
ちょっと面映ゆい気もする。
1、2階を埋める筑豊・常磐・空知の濃い記憶と作品の数々。
息が詰まる。
隣接する第二会場区民センター地下ギヤラリーには、川俣正の段ボールと
ベニヤで出来たズリ山と炭住街の風景が一面に広がる。
ここで、ほっと息をつく。
この俯瞰する視軸を獲得するのに、どれほどの時間が費やされたことか。
三笠の炭鉱街で生まれた川俣正の、ある到達点である。
彫刻家の岡部亮さんが、豆本に描いた北広島の俯瞰図を思い出す。
日常の細かな風景の足の積み重ねが、ある日ふっと鳥の目をもつ。
風景が地形として空から俯瞰されるのだ。
その故郷の在りし日の風景を、川俣正は愛しむように手で触れ、眼で触れ
再現している。
遠い故郷の、身体が覚えている風景。
きっと嬉々として撫で、触るようにして、この立体ジオラマを川俣正は、
創ったのだろう。
かっての石炭の町の生活が、有機的に保っていた世界。
その関係性を彼は材木で、民家の内外を梱包するかたちで、’80’90年代
インスタレーシヨンの作品にしたのだ。
その内側の視線が、今こうして俯瞰する風景となって作品化されている。
これは世界をデテイールから、より本質的な実体を広く包含する風景へと
転換させた、大きな視座の転位ともいえる作品である。
ここだけは、別の風が吹いている。
しばし傍のベンチに腰をかけ、ぼんやりと会場全体を眺め、寛いでいた。
椅子に座った係員の人が、川俣さんは製作中お昼寝をしたり、
ひとつひとつ段ボールの炭住長屋を置いたりと楽しそうでしたと話してくれた。
閉館近く、沖縄で今年2月知り合った岡部健司さんが来てくれる。
H製作所の新人社員として今新設された部署で頑張っているという。
唐牛さんと3人で、駅近くのお蕎麦屋さんに入り、お酒を飲む。
夫婦ふたりのお店で、抜群にお通しが美味い。
お酒が進み、話が進み、食が進み、初日の夜は深けた。

*森本めぐみ展「くものお」-12月15日(火)-1月13日(水)。
 am11時ーpm7時:12月31日ー1月4日正月休・月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax-11-737-5503

by kakiten | 2009-12-14 16:10 | Comments(0)


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