2009年 11月 27日
若い美術家のMさんは20歳を越えているのだが、 会った当初小学生に見えた。その次に会った時は、中学生。 その後段々会う度に実年齢に近付いてきた。 最近は大人の女性に見えている。 何度か初対面のような話し方をして、怪訝な顔をされた。 高校生のFさんもそうである。制服の時と私服では感じが違う。 これは女性だけかと思ったが、そうでもない。 私がふたりを案内して円山・界川界隈を歩いた時、待ち合わせ場所で 目の前にいる私を、ふたりは気づかなかったからだ。 山歩き用に軽装だったこともあるが、きっと決定的に印象が違ったのは 帽子の所為である。 友人のKが沖縄行きの為に選んでくれた帽子である。 ORというメーカーのアウトドアー用のもので、軽くて丈夫で大変良い。 それと、陽射しの強い沖縄の為に用意したレイバンのサングラスがある。 この時はサングラスはかけていないので、ふたりが見間違えたのは もっぱら帽子の所為だ。 その後も雨の日、寒い日とか帽子を被って歩き、M宅を訪れた時も 偶然居合わせた中岡りえさんが、別人を見る顔をした。 変なおじさん、危険、キケンと憎まれ口を後でたたかれたが、その後 Sさんは、素適な帽子ねと、言ってくれた。 男ですら帽子ひとつで印象が変わるのだから、女性においては 言わずもがな、である。 他者の眼というものは、時に当人の気付かない視線がある。 今、盛んに喧伝されている国際美術展とかも、そうした他国の他者の眼を 充分に意識化する事が大切と思われる。 昨日書いた山田秀三さんの眼もまた、他国の眼である。 私が十勝や岩見沢に感じた眼もまた、旅人の他国の眼である。 小樽運河保存の口火もまた、そうした他国の旅人の眼であったと聞く。 地元住民は、ヘドロ臭い運河を埋め立てる事に当初賛成だったという。 人間は俯瞰する眼もまた持っている。 目の前を注視する近視眼的視野と同時に、全体を見通す俯瞰の視野も 必要である。 すると世界は新鮮な新しいものとして、時として別物になるのだ。 札幌・石狩国もそうした視野から、再度再構築するthe republic of 石狩LANDの視野が必要である。 Republicとは、通常共和国と訳すが、辞書を見ると、「界」の意味ももつ。 <界>としての俯瞰した札幌・石狩の視座を保たずして、札幌の再生は ない。 パブリックワーク(公共事業)の土木事業のインフラに、文化ならぬ分化事業 的に参入する事が、あたかもパブリック(公共)アート(芸術)であるかのよう に思える。 開拓基地として建設された札幌という植民地都市を、根本からReーpublic する視座なくして、札幌は再生され得ない。 この時他者の、他国の眼が大事である。 自ら発見、再発見の喜びを持たずして、どうして他国の人を感動させ得るのか。 明治の初めから今に至るまで、此処は計画的な都市改造のそのもので造られ た街だからである。 北海道とは、それ自体が本州の郊外に建設された巨大なニュータウンなの だ。>(山田航) という’83年生の若い感性の認識を、私は心強く信頼するものだ。 そのニュータウンの中心にあるのが、再開発を繰り返しつづける道都札幌である。 道都という名に溺れ、札幌自体がさっぽろを見失っている。 一本の春楡(エルム)さえ守れず、インフラ土木事業に分化参入するブンカ屋 から、如何なる国際的視点も生まれよう筈がないのは、自明の理である。 エルムの都と呼ばれたかっての美しい近代札幌再生こそが、唯一我々にでき 得る文化の行為である。 the republic of 札幌&石狩。そして<the repulic of 北海道>を、 そう思う。 帽子ひとつのような変貌ではなく、春楡の根の触れる土壌のような 根本的なRevolution(命、革める)、Re(再び))の生が、必要である。 *鈴木悠哉展「トレモロ」-11月29日(日)まで。 am11時ーpm7時 *森本めぐみ展「くものお」ー12月15日(日)-1月13日(日) (12月31日ー1月4日休廊):月曜定休。 *12月1日ー14日まで展示と東京出張で休廊。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2009-11-27 13:35
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