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テンポラリー通信

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2009年 11月 18日

沖縄からの電話ーkind of blue(13)

昨夕電話が鳴る。沖縄の豊平ヨシオさんからだ。
着信前私もこの日二度ほど電話を入れていたが、通じなかったのだ。
以心伝心ですねと話した。
私の用件はお送りした村岸宏昭さんの本の感想を伺う為だった。
送ってもう何週間かが経っていた。
豊平さん曰く、今日アマゾンから届いたのですよ。
5冊注文したのです。沖縄のこれはと思う誰かに贈呈しよう
と思っているのです。
注文した本が今日届き、ほっとしてお電話したのですと言う。
北の若い人がこんなに頑張って生きていた、その事を
沖縄の若い人にも伝えたいのです。
嬉しかったなあ。
その訥弁のどもりながら語る電話の声に私は胸が熱くなった。
自分は言葉の人間ではないので、上手く語れないのだが
あなたの文章には心打たれました。
いわゆる美術批評ではない言葉です。
これ以上書くと自画自賛ぽくなるので止めるが、私は私の生の現場で
見詰めるように言葉を発してきた積りなので、豊平さんの電話は素直に
嬉しかったのだ。
そしてなによりも、生前一度もあった事のない村岸さんの遺作集を5冊も
注文していてくれた事が嬉しかった。
生きている時間のある種猥雑で雑多な現実現象が透き通り、より本質的で
透明な時間を保つ事がある。人生にはそうした時がある。
親が生きている時がそうだった。
煩いなあ、離れたいなあと思っていた時もある。
しかし現実に不在となった時、そのデイテ-ルは消えて、もっと透明な
真実のようなものが見えるときがある。
メタフイジカルな時間。trans・parent(透き通る、透明な)時だ。
このtransという<函>の時間こそが生きている事の実質のように思える。
この時子供は初めて、両親(parent)という両性から自由になる気がする。
父でもなく、母でもなく、自分という透明な存在として、
<函>というtransになるからである。
村岸宏昭の本はそうした透明な函の証左でもある。
ムラギシという、透明な溢れる函(トランス)でもある。
そこに沖縄から触れた人の声がこれからも届くだろう。
豊平さんが5冊のこの函(トランス)を、中継しつつ
<trans mission>してくれるのだ。
また会いに行きますと応えて、電話を終えた。
思えば豊平さんとお会いしたのは、’92年の11月テンポラリー個展以来、
今年2月の訪沖で2度お会いしただけなのである。
人と人の心の回路は物理的なものだけではない。
もうひとつ回路がある。
それもまたtransという<函>の保つ回路であると思う。
作品とはその回路を凝縮した、美しいtransそのものではないのか。
その函はプリズムのように、他者へと開かれ発信していくのだ、

*鈴木悠哉展「トレモロ」-11月11日(水)-29日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*森本めぐみ展「くものお」-12月中旬~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-11-18 13:25 | Comments(0)


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