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テンポラリー通信

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2009年 10月 30日

訪ねて来る音ー’Round midnight(26)

エレガントピープルのドラマー有山睦さんが、夕方ひょっこりと
自転車に乗って訪ねて来る。
斎藤紗貴子展をゆっくりと見た後、奥で話す。
購入した藤倉翼さんの写真のこと、
ライブの時その写真を背後に飾り、いろんな反応があったこと。
私は山下邸の唐牛幸史さんの作品のこと。
養狐業という、今はもう聞きなれない職業が旭ケ丘の辺りにあった事を話す。
狐の襟巻きというと有山さんも思い出したように、ああ、と言う。
留める金具が狐の口になっていて、噛むように留まるのだ。
足も付いていたなあ、子供の頃怪獣ごっこに使って怒られた。
そんな時代がセピア色した幼少年期の記憶に残るのである。
そこまでの記憶にあるさっぽろが、札幌の近代である。
突き詰めれば山下邸のモダンも、有山さんのJAZZも、
そこを源流としてある。
その近代の源流ををどう正統に現代に受け継いでいるか。
その自覚こそが今問われている。そんな話が続いた。
そして、現代の若者の時代感覚の話になり、
先日のブログに引用した若い歌人の新聞記事を見せる。

ああ闇はここにしかないコンビニのペットボトルの棚の隙間に                              
                                (松木秀)
たぶん親の収入超せない僕たちがペットボトルを補充してゆく
                                 (山田航)

空洞と感受されるペットボトル世代にとって、近代とは何か。
空洞に繋がらない近代も在り得ることを、ふたりで話したのだ。
近代以前の希薄な北海道で、そして札幌で生まれ育った我々の
唯一の根拠ともいえるものである。
話も終わりに近く、ぽつりと有山さんが呟くように言った。

”この間ここで買ったムラギシさんの本、それに付いていたCD、いつも
 聞いているんですよ、仕事中も、歩きながらもイアーホーンで。
 いいんですよ、これが全部。”
ムラギシに一度も生前会った事のない有山さんが、ムラギシの音楽に
いたく反応していた。
モダンジャズプレイヤーでもある有山さんの一言に、私は自分が薦めて
本を買わせた事も忘れて感動していた。
こうもずばり、音の方からムラギシを見る角度に今までの自分が
いなかったからである。
そして、昨日思い出していた石田善彦さんの顔が浮かんだ。
死の何日か前まで、ムラギシの音楽の才能を熱く人に語っていたという
石田善彦をである。
そして石田さんのことも知っている有山さんにその事実を告げた。
有山さんが帰った後もしばらく、よかったなあムラギシ、と語りかけ、
嬉ぶ自分がいた。

*斎藤紗貴子展「明日への自由」-11月1日(日)まで。
 am11時ーpm7時

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 TEL/FAX011-737-5503

by kakiten | 2009-10-30 12:50 | Comments(0)


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