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2009年 10月 22日
久し振りに音楽を流す。自然とその作品に合う曲がある。 前回の藤倉翼展は、マイルスデビスが合った。 空気冷たく、風ある日。 マイルスの「枯葉」が聞きたくなる。 今朝は陽光も射さず、自転車のスフインクス頭も見えない。 昨日その事を打ち込んだらすぐ電話が鳴った。 帯広のUさんからで、土曜日来廊との事。 山下邸が見たいという。案内する事にした。 話をしていて、含み笑いを感じた。 え?もう読んだのと聞く。うんと応えた。 今朝読み返すと、自分でも馬鹿馬鹿しくて笑えた。 本音はそれどころではない。 何故もっと早くから書き進めなかったのかという後悔である。 日頃の怠慢を思うのである。 明日は東京のFM生放送で、札幌特集とかで生インタビューがある。 遠くから声がかかる。 読んで、見て、聞いて心の交流が届く。 札幌内で都心ー場末とかいう狭い中央感覚が、アホらしい。 自分の生きている場を深めて、定点観測。 インターローカルさっぽろであればそれでいい。 米国人ライマンの炭田発見は夕張川遡行から始り、 そこから炭都夕張の幕が開いた。1874年の事である。 その後陸路鹿ノ谷の二股峠、汽車のスイッチバックする鉄路、 現代のトンネルの自動車の道と近代から現代へと道は続く。 石炭から石油へのエネルギー資源の転換とともに、二股峠の道は 産業廃棄物、ゴミ採集処理場へと変わり、汽車の道も廃れた。 そして石油燃料の自動車の道が現代である。 近代の終焉は、炭都夕張の衰退と重なる。 札幌はその夕張をも吸い込んで、1970年代から膨張を続けてきた。 人口は倍の倍の増加を続けた。 そして、「この道」に唄われた「時計台」も「あかしあの花」も風景から 消去してきたのだ。これもまた、札幌の近代の終焉である。 薄い開拓都市の僅かな、しかしして正統な近代風景を、喪失しつつある。 夕張とは陰と陽の違いはあるけれど、札幌も同じように 近代を喪失しつつあるのだ。 夕張と札幌は状況の裏表、合わせ鏡である。 何故近代にこだわるのか。 近代以前の蓄積が、ここには存在しないからである。 百有余年を遡れば、アイヌの人たちの天地。後期縄文の世界で、 近世も中世もない。 近代が我々の根拠である。正統な近代を基底にしなければならない。 そこが北海道で、札幌で生まれ育った者の他にない独自性である。 本州の多くの国の要素を近代の中で独自に消化してきた歴史もあるだろう。 それはしかし決して本家本元ではない。 近代化のひとつの過程なのだ。 洋というモダニズム、さまざまな本州から来た和という伝統、そしてアイヌの 人たちの残した地名、独特の自然環境。それらがすべて入り混じって 攪拌され固有の近代を芽として胚胎している。それが北の近代である。 その胚胎する芽を根こそぎ除去し、消去しようとしているのが現状である。 それゆえ、移住舎の末裔である我々はさらなる根無し草、 心の難民の途上にある。 そうした現状にさらにモノのグローバル化が追い討ちをかけ、都市風景を 画一なものにしてきている。 近代の札幌が辛うじて保っていた都市風景の陰影すら喪ってきたのだ。 明るい廃墟、保水力のない時間が支配しているのだ。 ここを見据えるのが、文化の問題だろう。 僅々百年にも満たない近代の時間すら忘却の彼方において、 薄い電気機器のような現代風俗に流され漂流して、どうするのか。 *斎藤紗貴子「明日への自由」-10月27日(火)-11月1日(日) am11時ーpm7時 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2009-10-22 13:13
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