夕刻小樽のT氏に電話すると、今札幌のTギヤラリーに居るという。
大島龍展の個展会場なので、来ないかと言う。
龍さんの個展も久し振りなので、出かける事にする。
台風の接近で雨が降りそうだから、自転車は置いて出る。
案の定途中から小雨が降り出す。
地下鉄大通り駅で降り、ジョアンでパンを買い、ついでに手土産にする。
駅前通りの道路は地下通路の工事で、路面は鉄板と段差が多い。
雨の夕暮れの所為か、行き交う人も下向きで早足の直線だ。
いつもの街の歩行リズムが、夕闇でさらに加速されて感じられる。
足音が鉄板の道路に固く響く。
時計台に近いビルの2階にある会場に着く。
会場には和紙と思しき紙に、青色の沁み込んだ絵が並んでいる。
線が波のようで、布の染色のようにも見える。
室内空間の照明ではなく、自然光でこの青の作品を見たいと思う。
この空間には何の魅力も感じられない。
陳列はあるが、exhibitionはない。ex-前へ、外にがないのだ。
石狩に住む大島龍は、その野外の精神をこういう所で本当に発揮できる
と思っているのだろうか。
軽く雑談を交わし、程なくそこを出る。
T氏と夕飯をと思い、時計台ビルの地下へと向かう。
時計台の前のホテルのあった場所はいつの間にか、花畑牧場のカフエに
なっている。傘を差し、そちらに目をとられていると路上に段差があり、転ぶ。
足下まで、直角だぜ、この街角は。
かって旅館でありホテルだった事を想い、今やあの生キャラメルの花畑牧場
かと感慨をもったのが、足下お留守の油断となる。
♪ああ、そうだよと、「この道」の心の振幅は許されない街角である。
これはもう道ではない。観光の時計台を観る通路である。
地下通路だけではない。地上の道もまた、通路と化している。
用に向かって一直線の観光排水路である。
あの段差は、ビル側のここからは自分の所有地という証としてある。
直線と直角で構成されたこの街路は、道ではなく指示通路である。
道も自己主張で構成されている。
結局北地蔵という古い喫茶店に入り、やっと一息つく。
市役所の高層庁舎を主とするあの街角は、夜歩くと良く分るのだが、
実に素っ気ない直角の街角である。
空に地に直角・直線の支配する街角である。
さっぽろが、サッポロになるのも良く分るのだ。
そして街からさっぽろが消え、市役所と地下鉄駅位しかさっぽろという名も
なくなっているのではないかと思えた。
道央とか道立とかさらにより大きく統合的な公的名称が増えているからだ。
あとはカタカナの、妙に国際化を意識した形容詞サッポロである。
等身大のさっぽろは肥満化してメタボのサッポロの道央肥大化である。
この肥大化した石狩の孤児さっぽろを、石狩に住む札幌生れの大島龍よ、
君はなんとも思わないのか。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向
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