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テンポラリー通信

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2009年 09月 25日

大木裕之の眼ーSeptember Voice(23)

岩見沢でのアートイヴェントを終えた映像作家大木裕之さんが来る。
今年5月の「メイ」撮影行以来である。
早速村岸宏昭さんの作品集を見つけ、購入してくれる。
立派な本だなあ、が第一声。
四国・鏡川で村岸さんが遭難死した際、身近にいたひとりでもある。
3年の月日が経ち、今も心に残る人の死がある。
その人生がぎっしりとこの本には詰まっている。
一緒に来た写真家のM夫人も一冊購入してくれ、
ふたりはしばらく無言で本を見ていた。
その後藤倉さんも交え、彼の個展会場で話す。
今回の会場構成に大木さんがしきりに感心する。
写真展でこんな展示は見た事がないと言う。
床に胡座(あぐら)で、寛いでいる。
こういう彼の姿も、ここではあまり見た事がない。
映像の人だから、やはり写真作品にも興味があるのだろうが、
逆に近い分普段批評はあまりしないからだ。
構成されたテーマ毎の展示を、吹き抜けの空間を縦に利用し会場中央に吊ら
れた大きなネオン管の写真とテーマを述べた挨拶文が、分散しがちな会場を
きりっとひとつに集約している。
この構造的な視線は、映像作家大木裕之の映画監督としての視座と重なって
いるとも思える。
個々の写真を別にして、会場構成をここまできちっと見てくれるのは、
映像作家の監督としての視線と思う。
写真の視座構造もそうだが、会場構成自体にもその視座は貫徹されていて、
4つの主題が作家世界に収斂され構成されているのだ。
その構成力を見抜いたのは、なによりも大木裕之の映像作家としての眼である。
写真という平面構成の世界が、会場構成という立体構成にまで及ぶ写真展は
そうあり得るものではない。
多分大木さんはその事実を感じていたのだろう。
東京にもないね、と呟いていた。
東京はどうでもいいが、数多く場を見ている人の言葉として、
素直にその言葉は嬉しかったのだ。

*藤倉翼写真展ー9月22日(火)-10月4日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊。
*「自分を代表させるような仕事はまだありません」-村岸宏昭の世界ー
 A4変形版160頁(内カラー96頁)CD2枚別冊・楽譜集付き。
 定価2000円+税・残部僅少。
*谷口顕一郎DVD「The Trail Hecomi」(AD&A gallery製作)3600円
  同上HECOMI STUDY 2003-2008-カタログテキスト
  (MIKIKO SATO gallery製作)1500円。残部僅少。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-09-25 13:14 | Comments(1)
Commented by taku 25:00 at 2009-09-25 15:04 x
村岸も、Kのも補完しないといけないので、
こんど、購入にうかがいます。


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