爽やかな小春日和。
昨日の夜の酔いも吹っ飛ぶ。
藤倉翼展初日オープニング。
翼さん手造りのダイエットメニューを肴に美味しい夜だった。
多くの人が訪れ夜遅くまで盛り上がる。
愛されているね、翼さん。
久し振りに会うSさんとOさんが、酔いもあってか盛んにモテたいと叫ぶ。
叫ぶはオーバーかもしれないが、とにかくそう言っている。
ふたりともたしか彼氏持ちの筈だが、なぜかそう言っていた。
すると翼さんが、愛聴のAYAさんのCDをかける。
「会いたい」という曲が恋心の絶品の歌だからである。
この曲と「この道」はAYAの名唱である。
「この道」は札幌の北一条通りの風景を唄った、北原白秋作詞の名曲である。
これを歌ったAYAを、翼さんは初日朝一番に流したのだ。
時計台の鐘の音とともに始るこの曲を聴いた時、
ああ見事な札幌だなあと、感心した。
この曲を自分の個展朝最初に選んだのには、藤倉翼のそれなりの想いが
篭っていると感じられた。
現代の都市風景、ネオンサインを真正面から熱写する藤倉さんが、
近代の札幌都市風景を象徴する「この道」を、自らの個展の最初に流した事に
彼の深いさっぽろへの思いもまた含まれていると感じたからである。
AYAの唄い方はこの近代の名曲を、見事に現代に甦えらせている。
もう一つの「会いたい」は切ない恋の歌で、声といい旋律といい、初めて聞いた時
思わず聴き入ってしまった歌だっだ。
この曲が流れ、切々と唄われると、周囲の宴の喧噪は遠く、静かに聴き
入っているふたりがいた。
結局一途に恋したいというのが本音と思われた。
先程までモテたいと言っていたふたりは、神妙な顔をしてじっと「会いたい」に
聴き入っていた。
女性はやはりモテたいより、恋したいの方がよく似合う。
まあ、男の偏見かもしれないけど。
奥の部屋で起きたこんなちょっとしたドラマを別に、展示会場ではまだまだ
声高な交歓が続いていた。
このところ連日夜の集まりが続いていたので、2階に上がり少し眠る。
少し静かになった頃、秋田くんの声がして、翼さんの父上と3人だけになったよう
だった。下に降り、どう、もう帰る?と、翼さんに聞くと今夜はお酒も大分飲んだ
ので、今夜はここに泊まるという。
だんだら模様のパーテイー背広が派手なパジャマのように見えるを翼さんを置い
て、ひとり自転車で帰宅する。
夜風のなか爽快に走り、酔いも疲れも消えた。
*藤倉翼写真展ー9月22日(火)-10月4日(日)am11時ーpm7時
月曜定休・休廊。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503