昨夜遅く展示完了。中央に梁からパルコのネオンサインが、垂れ幕のように
吊り下げられ会場は一気にきりっと引き締まる。
2階吹き抜け側廊下には、ポートレートがひとつのコーナーに、
吹き抜け上部には、マクロな視点で撮られた巨大客船等の写真が飾られる。
上下に散りばめられたテーマ毎の写真構成が、会場全体を伽藍のように包み
込んで、総体が藤倉翼の世界である。
あとは、会場に射し込む日々毎日の陽射しが空間を創りだしていく。
日頃無意識に見ているネオンサインや、大きな建物、日常の人たちが
真正面からこうして定着され存在すると、風景は異質な別次元のモノになる。
写真の保つ不思議である。そして撮る人間の生き方にも繋がる視座である。
写真を撮る人の視座、立ち位置とは、生きる事の姿勢にも深く関っている。
その事が実感されるのだ。
自然の風景とは違う、人間社会の環境としての風景。
その視軸に今の藤倉翼の社会との交点、接点、生き様が露わになる。
写真を見る事は、実はその人間の物の見方、生き方を追体験する事でも
あると思える。
毎日作品と向き合いつつ、私は私と藤倉翼さんとのそうした対話を
これから積み重ねていく事となる。
そして、そこにまた他の人との会話、感性が加わり、場は交感され深みを
増していく。
今回の展示は、一点一点との対話より、会場全体の空気の中で醸し出される
対話、会話、発見、出会いが大きな要素となる。
都市風景との不思議な再発見の出会いが、その対話の契機として
会場全体至る所に散りばめられているからだ。
*藤倉翼写真展ー9月22日(火)-10月4日(日)am11時ーpm7時
月曜定休・休廊。
*「自分を代表させるような仕事はまだありません」-村岸宏昭の世界ー
A4変形版160頁(内カラー96頁)音楽CD2枚・別冊楽譜集付き。
定価2000円+税 発行札幌・かりん舎・email:info@kwarin.jp。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503