気持ちのいい快演だった。昨夜のエレガントピープルライブ。
藤倉翼さんの写真をバックに、演奏は時間を重なる毎に熱くなる。
そして会場は、2階吹き抜けに座る人たちも含め、一体となる。
初めての会場でもあり、最初は音の様子を試している感じがしたが、
それも始めのうちだけ。
休憩を挟んで、一気にアンコールまで突っ走る。
今朝ドラムの有山睦さんから、お礼のメールが届いていた。
(会場は)とても演奏しやすくて驚きました。・・思い切っていきました。
藤倉さんの写真もきりっとして爽快です。視力が良くなったような思いが
しました。
仕事が休みの人も、仕事があった人も、演奏とともに何かが抜けていくのが
感じられた。
途中ベースとギターが抜けて、ドラムとアルトサックスふたりだけの演奏も
あったが、これは仲西浩之さんの十八番、フリーインプロビゼーシヨンである。
これはまったくアドリブだけで構成する演奏なのだ。
これが出るとリーダーの仲西さんは絶好調という事になる。
今回は狭い会場でもあり、試行錯誤があったと思うが、展示作品との波長さえ
合えば、豊かな空間の交響が大いに期待できることが実証されたと思う。
そしてなによりも演奏者それぞれのこの場への愛情と展示作品への敬意が
演奏への集中と開放を生む隠し味になつていた。
テンポラリーのTシャッを着て演奏してくれた事も、私には嬉しい事だった。
次なるステージへ、リーダーでアルトサックスの仲西浩之さん、心篭ったお礼
のメールを送ってくれたドラムの有山睦さん、美人の奥さんとお子さんの前
で張り切っていたギターの小板橋智さん、仕事で少し疲れ気味だったが演奏
でその疲れをふっとばしたベースの絹川信二さん。
4人には、心からお礼を申し上げる。
テンポラリースペースは、その空間にさらなる豊かさを積み重ねる事が出来た
と思うからである。
今夜村岸宏昭さんの作品集の出版記念会がある。
彼の最後の個展、そしてこの空間の最初に属する個展。
彼の死から3年が経ったが、確実にその萌芽は育ち、蕾の時を重ねつつある。
生死あるいは、現在過去という時を遮断するものを超え、再び我々は出会う
場がある。私はその事実を今深く実感しているのだ。
<場>もまた、<個の全存在を賭した表現運動>(高橋秀明)であると思える。
そこに個々の真摯に揺れる人生も凝縮して、あるからだ。
<because my life is shaky>(ジョナス・メカス)である。
*藤倉翼写真展ー9月22日(火)-10月4日(日)
am11時ーpm7時・月曜定休・休廊。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503