天気よく穏やかな日。家でぼんやりTVを見ていても、
どこも同じようなニュース。TVは時間を食う。
乾していた毛布が風で落下。着替えて下まで回収に降りる。
入口付近にいた犬が怪訝そうに見詰める。
布団を回収して戻る時もまだいてじっと見詰める。
飼い主が、なんとかちゃんどうしたの?と首の綱を引く。
大きめの犬で吠えるでもなく、ただただ見詰めている。
気があるのかな、とウインクしオスっと挨拶する。
途端に吠えられた。オスッ、これがよくなかったのかも知れない。
あたいは、メスよと応えたのかも。
着替えた以上は家には居れない。明日のライブ用に会場を調えに行く。
エレガントピープル。アルトサックス仲西浩之。ギター小板橋智。ベース絹川信二。
ドラムス有山睦。この4人のモダンジャズ演奏である。
それぞれお堅い職業の人たちだが、その演奏は白熱的である。
特にリーダーの仲西浩之さんのアルトサックスが絶品である。
いつだったかタペストリーの作家貝沢珠美さんの作品にソロで絡んだ事が
あった。上から吊られた作品の内側に入り、アルトサックスを吹き続けた。
サックスの巻きつくような音色と織りの作品が見事なハーモニーをなしたのだ。
風貌も含めて絵になる人である。
この仲西さんも含めて他の3人は、普段の日常生活から対極にある浪漫・情熱を
音に込めて演奏する。
この解放感、ひたすらな脱日常姿勢が彼等の演奏の基底にはあると思う。
生活という日常を希薄にする事が音楽的生活と思える人も多い。
それはそれでいいのだが、彼等4人はもっと普段の生活人をベースのもっている。
かといってそれをアマチュアという範疇で括りたくはない。
彼等の日常の対極にある情念が、演奏に磁石のように磁場を生んでいるから
である。
一方の極に行きっぱなしの放縦さ、甘えはない。
多分正反対の日常と非日常の極を往還して、音が空間を解放させるのだ。
藤倉翼さんの真向微塵なネオンサインの映像と、彼等の真正面な日常から
生まれる音は、きっといい応答を会場に醸し出すに違いない。
生活という言葉の本義、<生き生き、活き活き>の意を日常生活から奪還する
為、彼等の演奏はあると思えるからである。
それは宣伝示威としてのネオンサインの日常を解き放った藤倉翼作品と同様、
日常と非日常を通底するトニカを、彼らの写真と演奏という作品行為が保って
いるからだ。
*エレガントピープルJAZZライブー9月19日午後6時~
*藤倉翼写真展ー9月22日(火)-10月4日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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