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テンポラリー通信

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2009年 08月 26日

オホーツクサーモンー夏日幻想(23)

網走の佐々木恒雄さんからチルドで
オホーツクサーモン(カラフトマス)が届いた。

今朝に漁をした鱒をお送りします。さばくのが面倒でしょうが
ぜひ食してみてください!もうそろそろ鮭の漁が始りそうです。
何本か網にかかっていますが、これがまたデカイ!
冬に創作するモノをじわじわ考えています。ゆっくりとですが、体から
エネルギーが湧いてくるのを感じています。・・・
ブログ読ませてもらってます。
体と感覚を研ぎ澄ませ、僕も生きてます!

中にはこんな手紙が入っていた。
佐々木恒雄さんの初仕事、捕りたてのカラフトマスである。
一本まるまると、目ん玉がこちらを見ている。
しばらくというか、小さい時以来である。お袋が捌いていたのかなあ。
気持ちは嬉しく充分に伝わるのだが、さあどうする・・・。
ここには出刃包丁も無い。ふっ思いつきM夫人に電話する。
あいにく留守だ。
ちょうど来ていたM・Mさんと顔を見あわす。
その後M夫人と連絡が取れ、捌きに来てくれると言う。
程なく、エプロン姿に出刃包丁外道具一式を持参して姿を現す。
箱から鱒を出すと、いい匂いがする。少しも生臭くない。新鮮なのだ。
しばし躊躇ってから、一気に包丁が踊り見事に解体されていく。
いやあ~、尊敬の眼差しである。
若いMさんもしっかり見惚れている。
才能あるこの若い美術家も、鱒の新鮮な赤い身、白子、頭部、尻尾の
切り開かれる身の競演には言葉も無い。
さすが欧米を股にかけ生活してきた主婦業うん十年のM夫人である。
解体後はまことに手際よくラップに小分けし、Mさんにもお裾分けし。
あっという間に切り身の日常へと変身したのだ。
写真家でもあるM夫人は早速に撮影もし、今日のミクシイに載せていた。

<魚>という存在を暫く振りに、全身で見た気がする。
魚という全存在を、個体として命として、感受する機会から遠のいている。
命の過程を切り身という結果にパックして、消去・分別している今を
否応無く感じたのだ。
佐々木恒雄さんが贈ってくれたのは、そういう生活の全過程である。
ヴィヴァ!網走!漁師として生きる佐々木恒雄よ、
其処から得た命の全過程を、冬の休漁期、絵画にぶつけろ!
都会では命の分別(ブンベツ)ばかりが横行して、プロセスが高速化で
消去されているよ。
彼の今年最初の収獲、帰郷した最初の仕事、
オホーツクサーモン一本のメッセージは確かに受け取りました。
心から尊敬と感謝を申し上げます。
また、逞しいM夫人の包丁捌きにも深くお礼申し上げます。
ひ弱なシテイーボーイのなれの果て、我輩の不甲斐無さも深く感受しつつ
友人たちに感謝であります。

その後若い美術家Mさんはいそいそとカラフトマスを抱え、
年末からの個展を約して帰路についたのである。
佐々木さんのメッセージはこうして偶然居合わせた若いMさんへとも繋がり、
オホーツクサーモンの心はリレーされたのだ。

*「’90年代の作家たちーコレクシヨン展」-8月30日(日)まで。
 am11時ーpm7時

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-08-26 12:20 | Comments(0)


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