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テンポラリー通信

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2009年 08月 05日

遠野・明がらすー夏日幻想(5)

遠野からEXPACKが届く。
差出人は、Gozo・Yとある。吉増剛造さんからだ。
開けると、遠野の銘菓「明がらす」。
旅先からだろうか。
「・・・立抗のお礼を-」とある。
唐十郎と吉増さんの対話の感想メモを送ったお礼の気持ちと思う。
唐十郎は斜坑で吉増さんは立抗と記した事を、喜んで頂いたようである。
包みを開けて間もなく、唐牛幸史さんがひょっと入ってくる。
いいとこに来たね、これ食べようよと「明がらす」を出す。
山下邸の展示も一段落して、ふっとここへ寄ったという。
築70年の古民家、16年前にも会場として使い今回があると言う。
持ち主のお婆さんは、唐牛さんが空家で荒れていたものを修復し、
綺麗に使ってくれるので喜んでいた。
その大家さんが亡くなったんだと言う。
先月27日で、ちょうど私が雨の中傘を差して訪ねた日だった。
それもあって留守してたんですと言う。
あの日縁側の窓ガラス越しに中を少し見て、庭の大きな木に挨拶して帰った
のだ。曇天、雨の暗い日だった。そう思い返していた。
札幌の近代を象徴するような家屋だね。縁側に庭、長い廊下、和室、洋室。
そこと16年も関わり、持ち主の最後にも立ち会って、縁が深いね。
そう話した。
相続の関係もあり、もうあの家はこれで最後と思う。あと、何ヶ月か展示して
終るんだ。それで記録をと思い、此処に寄ったんだと言う。
そう、記録はきちっと残すべきだよ。それは同時に、唐牛さんの掛買いのない
札幌の記録でもあるんだから。
家が無くなったら、来年お婆さんを追悼して、Repubulic of Y邸をうちで
展示してくれないかと話した。
あの家は、唐牛さんにとっての<テトラハウス>だなあ。
さらに持ち主との信頼・友情も含めて、もっと濃い<ハウス>だと思う。
大正・昭和の近代が個人の家の形で根付いていた場所だから、川俣正の
<テトラハウス>よりもっと深い所で、向き合うものがある。
そう思えた。
家が使えなくなるまでのこれから、亡くなったオーナーへの哀悼をひとつ形に
して、充分に向き合って下さいと話した。
遠野から明がらすが届いて、さっぽろの古民家の話がそのお菓子を受け取って
いたのだ。不思議ですね、吉増さん・・。
唐牛さんは、心の迷いが吹っ切れたように勇躍してまた現場の山下邸へと
戻っていった。
遠野から「明がらす」の届いた昨日の話。

*テンポラリースペースアーカイブス展ー8月7日(金)まで。
 am11時ーpm7時
*谷口顕一郎:DVD”The trail to Hekomi”
  (AD&Aギヤラリー制作)・3600円                                        
*谷口顕一郎テキスト:”HEKOMI STUDY 2003-2008”
  (MIKIKO SATOギヤラリー制作)・1500円
             -以上発売中ー 


 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-08-05 14:08 | Comments(0)


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