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テンポラリー通信

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2009年 07月 31日

種子の音ー夏日幻想(1)

夜帰る時、パラパラと音がして何かが降ってきた。
雨かなと思うが濡れていない。
蔦の種子が落ちてきたのだ。
朝見ると、戸口のアスファルトが一面緑の絨毯のようになっている。
よく見ると、時の経ったものは土に還れず茶色に変色している。
蔦の繁殖なのだなあ、あの音は。
夜暗くなってから、身を震わせ種を撒くのだろうか。
実も段々膨らんできて、これが黒く粒々の果実になる頃、
夏も終わりへ近付く。
植物辞典を見ると、この樹液を煮詰めシロップができるという。
「これは、蜂蜜などと共に古い時代の大切な甘味資源であった」
(原松次「北海道植物図鑑」)
そういえば、蔦の果実は葡萄のようで、いつも美味そうだなと思っていたのだ。
春、ポプラの綿毛が飛び、路辺を埋めていた。春の終わりに近く。
夏、蔦の種子が散り、路上を緑に埋める。夏の盛りを超えてなのか。
季節という時間は、間違いなく動いている。
そして久し振りに、一族という言葉を思い出していた。
お盆も近付き、仏壇に向かった所為もある。
母方の一族、父方の一族。
なになにちゃんと、呼んでいた従兄弟のことを思い出す。
伯父さん、伯母さん、みんな遠くなった。
兄弟すら遠くバラバラ。
祖父の時代は、祖父の子供がたくさんいたから、正月・お盆にはよく
従兄弟が集ってきた。みんなでお寺に行き、帰ってスイカを食べた。
時々、祖父や父が仏壇に向かいお経をあげているのを、
不思議な気持ちで見ていた。
今自分がひとり、その仏壇に手を合わす。
近く死んだ順に写真を見る。カネを鳴らす。
数珠がバラバラと、蔦の種子のように思える。
<一族>。ばらばら、バラバラ。
俺も蔦のように一族背負って、ばらばら、ばらばら。
緑の種子を散らばしているのか。
このアスファルトの不毛な大地にと、ふと思う。

*テンポラリスペースアーカイブス展ー8月7日(金)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-07-31 12:54 | Comments(0)


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