岡和田直人さんが、黙々とペンキを塗っている。
2階吹き抜け部分が、複雑で苦労している。
その姿はもう立派な職人さんだ。
映像作家大木裕之さんを師匠として、
こつこつ自らの映像を実は追求している人でもある。
テンポラリーでは、前の場所、ここと計3回個展をしている。
いいショットが撮れるまで何度も挑戦して、挫折も多い。
彼には彼のペースがある。今回もここでペンキ塗りをしながら、
明日明後日には石狩河口へ向かう予定だ。
石狩ー十勝を往復して、その界(さかい)に何かを求めている。
大木さんに随いていた東京・四国・尾道時代を経て、今は故郷の十勝と
石狩に模索する映像青年の試行錯誤が続いているのだ。
彼が大きく変わったところは、職を持ってなお志すものがある事である。
単なるアルバイトではなく、手に職を持つていることだ。
親友の野上裕之さんも、尾道で船大工の職に就いた。
ふたりは今、遠く離れているけれども同じように職人さんの仕事を選んでいる。
そしてなおかつ、志(こころざし)という志事を保っている。
外の看板は今年2月ここで最後の個展をした野上さんが創ってくれ、
今内装を岡和田さんがしてくれている。
これもふたりの微妙にして、絶妙ななコンビネーシヨンである。
なにかある共有する行為というものは、偶然のような顔をして、必然でもある。
深い処で、人は同じ眼差しを保つ。そして、また出会うのだ。
さっぽろーおびひろーおのみち。
内ー外ーテンポラリー。展示は今週ないが、いいコラボレーシヨンが続いている。
野上さん、聞いてる?
ペンキ塗るひと刷けにも、個人的な理由があるのだ。
*7月14日(火)-19日(日)休廊
*7月21日(火)-8月2日(日)-テンポラリーアーカイブス展
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503