強風の一日が明け、夏の陽射しが戻ってきた。
中嶋幸治展始まる。
封筒に造型された色、形が、壁より少し宙に浮いて、
その影と光が美しい。
間(あいだ)の宙(そら)が、空間を創って潔い。
入ってすぐ右手の奥まった空間には、故郷弘前の白岩の土が盛られ、
上からは梅の苗木が9本、逆に吊られている。
土の中にスピーカーが仕込まれ、小さく音が流れている。
中嶋さんの演奏だそうだ。
入って会場正面には、オレンジと黒の封筒が交互に横一列に展示され、
風の澱みのように見える。
青森から最初に札幌に来た2年前の春、風が粒々してオレンジ色に感じたとい
中嶋さんの言葉を思い出した。
津軽海峡を経た土地の違い。その界(さかい)の新鮮な感覚がこの展示に
篭められている。
そこへふらりと最初のお客さんが来る。
なんと、内村俊介さんだった。’89年「アートイヴェント界川游行」の際、
当時ケーブルテレビジョンにいた彼は、4時間のドキュメントを撮影してくれた人
である。現在は別のTV局に移ったが、もう何年も会っていなかった。
ここには勿論初めてである。
中嶋さんを紹介した後、話は’89年まで遡り、現在に至ることで熱を帯びた。
不思議だなあ、中嶋幸治展の最初の訪問者が、内村さんとは・・。
これがほんとの風の便りである。
20年は消え、その長さを一瞬にして現在の時間にした。
間(あいだ)は、豊かな風の吹く時間となった。
時を繋ぐ、風の磁場である。
昨日の休みの間受け取ったメールを開くと、
目黒のM氏から、熱いメッセージが入っていた。
一昨日の唐牛幸史さんの訪問を喜ぶメッセージだった。
ここでも時が、過去から今へと吹いている。
風の磁場である。便りである。
中嶋幸治展初日、いろんな風が吹く。
*中嶋幸治展「エンヴェロープの風の鱗」-6月23日(火)-7月5日(日)
am11時ーpm7時・月曜定休・休廊
*及川恒平フォークライブ「TASOGARE」-6月28日(日)午後6時半~
入場料3000円予約2500円
*中川かりん展ー7月7日(火)-12日(日)
12日(日)午後6時~24弦琴ライブ:入場料1500円
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503