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テンポラリー通信

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2009年 05月 15日

デイズニーランド化ー夢の中径(11)

かって日経I・C・Fで村田真のインタビューに川俣正が語っていた。
炭坑の廃坑を使ったプロジェクトについてである。

<・・それで夕張とか三池の炭坑を、いまリサーチしている段階なんですが、
 現実問題としてそういう炭鉱がつぶれて、いまそこがレジャーランド化しつつ
 ある。これもまた非常におかしい。廃墟になった炭鉱をリゾート開発している
 んです。これはある意味でとても日本的な考え方だと思うんです。ゴースト
 タウンになった土地を思いっきりポジテイブに変えてしまうというのは、ネガテ
 イブな歴史を抹消する為にパロデイにしちゃう。それってまさにデイズニー
 ランド的ですよね。>
 <デイズニーランドってまさにアメリカ資本主義の最たる大消費レジャーラン
  ドでしょう。>

ここで語られた<デイズニーランド化>は、今も形を変えて同じ文脈で町興し
とか地域の活性化とかいう名で行われている事だ。
この記事はヨーロッパにデイズニーランドができる1年前に載ったもので、
アメリカのアーテイストとヨーロッパのアーテイストの相違についても、語って
いる。

<・・デイズニーランドみたいな文化的背景を無視したようなものがいきなり
 できちゃうと、乗っ取られるんじゃないかみたいな焦りはけっこうあると思う。
 ・・アメリカのアーテイストは、やはり経済的な力がアートの力になりうると
 考えているんじゃないかな。それがヨーロッパだと、おカネをつくることと
 アートをつくるということがそれほど密接につながっていなくて、モラルの
 レベルでアートを語るところがある。>

最近米国型アートビジネスの芽生えとか称して、このアメリカ式のアートビジネス
をやたら持ち上げる向きもあるようだが、さらに駅前ゾーン活性化とかいって、
駅前高層ビルを中心にアートで客寄せの企画も為されているが、これも大消費地
造りに、アートが手を貸す経済効果を狙ったアメリカ式アートの典型的なものであ
る。炭鉱地だけでなく、不況でゴーストタウン化した繁華街にこの<デイズニーラ
ンド化>というアメリカ型アートビジネスは、活性化とか、文化の拠点とか、地域交
流とかいうお題目で<モラルのレベル>を抜きに為されている。
このテーマパーク的なものは、バブルの頃あちこちに無国籍な遊園地として見ら
れ消え去ったものと同じ構造のものである。
何れもが地域の活性化という経済効果を狙ったレジャーランドだったからである。
そして問題は、その事と芸術・文化がアメリカ型アートとして何時までも野放図
に<デイズニーランド化>としてして関っていて良いのかという事である。
おカネのレベルとモラルのレベルを曖昧にして、ほいほいとアートがデイズニー
ランド化に便乗していいのかという問題である。
産業経済構造が、アメリカ型の夢を追いかけてきた戦後の現実は事実としても、
文化・芸術の軸心もそうであっていいのかという問題である。
石炭から石油へのエネルギー変換による産炭地のゴーストタウン化は、形を変え
今各地域で見られる症状でもある。
駅前シャッター通り、旧繁華街の衰退、そして世界的な不況による消費の落ち込
みと生活の厳しさは今幾つも見聞する事はできる。
その時芸術・文化が、何を為し、何が出来得るかは、アメリカ型志向を脱して再考
すべき時に、今あると考える。

*川俣正アーカイブ「テトラハウス326」記録展ー5月12日(火)-24日(日)
 am11時ーpm7時・月曜定休・休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-05-15 15:15 | Comments(0)


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