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テンポラリー通信

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2009年 04月 10日

青の磁界ー歩行の縦軸(9)

<青色とは、いったいなにものか。>と、南極海を航行していた早川禎治は自問
する。昨年3月14日「南半球舟行」の日誌の一行である。
<空間はきらめく氷河と岩が海を補完してみごとな造型となっているものの、この
海だけをみるとどうしようもない暗さでおおわれている。>
光みなぎる青空、若者たちが半裸になって甲板にたむろしている。しかしこの海の
青の<こわさ>をどう表現していいかわからないと記す。
<・・岩場をつつみこむ氷河の純白そのものが発光体であり、それがまた岩場を黒
 ぐろときわだたせる。・・・ここでは白は赤をへずして、いきなり青色となる。それは
 すでにこの地が人間が介在すべきでない空間であることを意味しないか。>
「青」の字の上部は生の略形で草木の芽が地上に出ること。、下部は丹の字。丹は
赤で、太陽の色。青は丹を生じる意。と漢和辞書にある。
太陽を生じる東方の空の澄んだ色。それが青だという。
早川さんが直感した南極海の青は、丹(あか)を経ずして氷河の白からいきなり青
になる青である。草木を介さない死の世界でもあるからだ。-人間が介在すべき
でない空間ーという言葉はその事から出ている。
この個所を読みながら、2月訪れた沖縄の青を思っていた。
珊瑚礁の内海が織り成す青、コラール・リーフと呼ばれる碧玉色の青と、青黒い外
海の青。この結界に沖縄の人は他界を見、明るい冥府を見た。従って青の世界に
死を見たのである。陽光きらめく透明な世界に、対極のように死がある。
南極の氷の海で早川さんが直感した青は、正に亜熱帯の極として顕われた青であ
ったと思う。2月沖縄から帰って、私が佐々木恒雄さんの描いたオホーツクブルー
に感じたものは、この青のふたつの極でもあったと思う。
青という色彩が保つふたつの極、生と死の色。その地軸の両端。そこに開かれる
磁界、磁場。物質主義のランドーランドフイルという夢の両端と比し、この両端の
磁界にははるかに豊かな振幅がある。
私たちが再生しなければいけない磁場とは、物質主義の両端の極ではなく、より
根源的な磁場の創生であると思うのだ。
Repubulic of May-5月の革生、草木の甦る季節を前にひとしきり思う事はそ
の事である。
佐佐木方斎展初日。訪れたふたりの極。
1939年生の少年、1991年生の熟女(?)。優れた振幅を内在したふたりの内面
の極を思い出しながら、人間もまた地球と同じ精神の両極の磁場を保つと、ひそか
に勇気づけられた自分がいるのだ。

*佐佐木方斎展「メタレリーフ」-4月7日(火)-17日(金)
 am11時ーpm7時・月曜定休・休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-04-10 12:52 | Comments(0)


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