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テンポラリー通信

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2009年 03月 17日

揺れるー弥生・三月(14)

モノクロームの写真7点の展示である。一点は布に焼き付け、他は紙に焼き付け
ている。布に焼き付けたのは失敗したというが、これが意外といい。
水溜りに映った梢、姿、空、そして金網の向こうのテニスコート等がアモルフな
揺れる心象を表象している。
大きさは90cm×55cmの横×縦が6点、布の作品は50cm×55cmである。
小林由佳展小雨の初日。
作品は人それぞれのその時の心象を顕す。良い悪いは、決定的なことではない。
人それぞれがその時を精一杯生きている事に、良し悪しは言えない。
人それぞれの契機、動機には個的な訳がある。その事を見るとき批評は深く人生
と関る。技術的な批評、情況論的な批評、どちらもがある有効性をもつ。
しかし核心ではない。どんな作品にも、作家の日常から外部へと投げかける眼、
声がある。日常に埋没する何かを、留(とど)めようとする呼気吸気の間のような
ものがある。その事に至る批評は、技術論でも情況論でも掬い取れないなにか
である。
小林由佳さんは昨年の個展で、幼少期の想い出の残る江別駅前の寂れた町並
みを映した作品を発表した。今回は現在の自宅の周りの風景という。
現在と過去それぞれに揺れる今がある。こうしてその揺れる今を印画紙に定着し、
視線の非日常性を固定して見つめる時に、一体何が見えるのか。
その見詰める視線を他者も共有できるか。その問いは会期中に応えがある。
それは解決ではなく、あくまで作家自身が作品を媒介にして受け止める応えなの
だ。今回の作品は外へと投げかける視線はあるが、開かれたものではない。
自問するように私を見詰めている問いの視線のように思える。
水が溜まり水面が揺れるように、視線も溜まり揺れるまま。
それもまた、掛け替えのない生きる時間。そう思う。

*小林由佳写真展「ソノサキニシルコト。」-3月17日(火)-27日(金)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*及川恒平フォークライブ「はざまの街にて」-3月29日(日)午後3時~
 入場料3000円・予約2500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-03-17 12:34 | Comments(0)


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