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テンポラリー通信

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2009年 02月 12日

秘すれば花なりー如月(きさらぎ)の夢(11)

世阿弥の「花伝書」で有名な言葉がある。
ー秘すれば花なり、秘さざれば花ならずー
これは見えない花について語っているともとれる。
英語でフラワーというが、これは見えない花ではなく見える花のことである。
先人はすでに、見えない花を美として見る視線を保っていたと思える。
では見えない花とは何か。秘する花とは何か。
それは心の領域で顕われ、感じられる美の事と思う。
日本語でいう<花>とは必ずしも目に見えるフラワーを指すのではなく、
あの人には花があるとかいう言い方で、精神的な美を意味する事が多い。
あの人にフラワーがあると言う言い方はおかしいのであり、この時花とフラワー
の相違が明らかだ。
今回の佐藤義光さんの花個展は、勿論現代の花屋さんとして、フラワー的な
要素も多く持っている。フローリストという言い方で自己紹介する時にもそれは
表れる。しかし当然のことだが、それらは現代を生きる与件のようにあって、世阿
弥の時代にタイムスリップする事は出来ないからだ。
その上で佐藤義光さんが試みているのは、フラワーと花の間を生きる今という自
分の時間である。その試みに彼の<秘する花>があると思える。
昨日今日と2日間かけて、花の壁が徐々に出来つつある。
この花の壁が今回の主眼である。画廊に滞在して訪れる人と話しながらも、手を
休めることなく続けられている。
さらに同業の若い花屋さんからお祝いに贈られた趣向を凝らした花籠の数々が
2階にまとめて展示されている。
花屋が花をもらう事はあまりないなあと嬉しそうに佐藤さんが話す。
贈られた花は、花輪のようにありきたりの花ではない。それぞれがアレンジされ
意匠を凝らしている。佐藤さんに負けずに腕を競っているかのようである。
現代美術用語的にいえば、これはコラボレーシヨンであり、展示自体がインスタ
レーシヨンなのだ。本来生け花自体がそうした性格を保っている。
今回佐藤さんが挑戦している花壁は、彼の心の花の蓄積そのもののインスタレ
ーシヨンでもあり、フラワーを素材とした<秘した>心の織物のように見える。

*佐藤義光花個展「別世界」-2月10日(火)-15日(日)am11時ーpm7時
 :10~13日花壁公開制作
*野上裕之彫刻展「i」-2月17日(火)-22日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-02-12 12:36 | Comments(0)


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