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テンポラリー通信

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2021年 02月 07日

高臣大介展最終日ーメタフイジカル放浪(3)

転倒事故で前頭部・額・鼻柱打撲で、顔中青い痣が
拡がったりして、脳外科、月・水・金の透析、さらに
歯医者も行ったりと私事の用が続きあっという間の
高臣大介展だった。
幸い私の方は大事なく、顔の青タンも消えつつある。
今回の透明なガラスの氷柱「野傍の泉池」は一つの
大きな転換を示す節目となる展示だったと思う。
清華亭脇に湧き出た2012年琴似川の源泉から始
まった高臣大介の風土への挑戦・耕土行為。
琴似と日本語化されたアイヌ語のこッネ・
その意味は窪みであり、そこに扇状地である泉が
知事公館、植物園、清華亭にかって湧き出ていて
琴似川の源流となったという。
それぞれの水源から三本の川が流れ出て、ひとつ
に合流していたというが、現在は都市化の影響で
その流れはもうない。
北海道大学構内を流れるサクシュコトニ川は、水源を
別の場所から供給している。
さらにこの地に先住していたアイヌ人は琴似又市と
和名を付けられたが、旧帝国大学、知事公館、明治
天皇所縁の清華亭との地から現在の琴似に移住させ
られ、琴似又市の移住とともに地名も移住したのだ。
この窪みの地形を今回の展示では、魔法陣に拠って
構成していた。八百余本の湧き出る水の造形は、今回
高臣大介の切磋琢磨によって、空中から生まれる
水・氷柱の姿をして甦ったかに思える。
大きく捉えれば、高臣大介の作品に拠る水の風土の
新たな創生と私は感じる。
風という流れるもの、土という動かざるもの。
そのふたつの正反対の自然を一つの故郷を顕す言葉
とした先人の知恵を、彼は水の故郷を窪み・氷柱で
で表現空間として再生させたと思える。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011ー737-5503



# by kakiten | 2021-02-07 15:54 | Comments(0)
2021年 01月 30日

「まじりあう」展ーメタフィジカル放浪(2)

20年程になるだろうか・・・。
ガラス作家高臣大介と私の出会い。
当時円山北町に2階にあった器のギャラリーの
大きく開かれた窓。
冬そこに日々見える氷柱に触発された千葉生まれの
彼は今回のインスタレーションの原点ともなるガラスと
氷柱の対峙しまじりあうという途方もない制作テーマと
出会ったのだ。
ぞして2012年の琴似川の源流のひとつ清華亭窪地に
湧いていた泉をテーマに「野傍の泉池」と題し、現在の
テンポラリースペースと暗渠の川を結ぶように鉄素材の
作家阿部守との二人展を試みたのだ。
それから8年今年の展示は、その氷柱との対峙・対話
インスタレーション展示だけに絞り込んで勝負する。
今週1週間は会場で制作、そして来週2月2日から
1週間が展示期間となる。
今日現在制作は熱く進行中だ。
透明なガラスの氷柱を室内に打ち込む釘打ちの槌音と
野傍の泉池の触れあって鳴り響く澄んだ音が交じり
体調を崩していた私は勇気づけられている。

移動ではなく、移住という人類発生以来の人間の原行為
を北関東から北海道へ、真に風土と向き合い高臣大介と
いうガラス作家が生まれようとしている。

*高臣大介個展「まじりあう:ー2021年2月2日(火)
 ー2月7日〈日)12時ー19時

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-ー737-5503


# by kakiten | 2021-01-30 16:23 | Comments(0)
2020年 12月 27日

ぶらり・・ーメタフィジカル放浪(1)

斎藤周さんの個展を最終日近く、見に行く。
円山裾野の住宅街にある会場だ。
オーナーのÝ氏は作家でもあり、旧テンポラリ―スペース
で個展を開いている。
作家でありながら、某老舗デパート所属のイヴェントする会社
も経営し、館内に画廊も企画・運営していた多才な人である。
某老舗デパートが東京・関西から進出してきた有名百貨店の
影響で経営陣が交代し、Ý氏の会社も影響を受けたのか彼は
心を決して、テンポラリースペースで個展を試みたのだ。
ギャラリーの壁に熱く色彩を塗り、日々変化する亀裂を見せる
野心的な作品だった。
本人は体調不良で留守だったが応対に出たギャラリーの男性が
私の事を覚えていて、あの時のひび割れ進行技法は今も続けて
います・・と語ってくれた。

斎藤周さんの作品は、会場とも呼応し新たな展開を実感させる
力強いものだった。
私は特に会場右壁の激しい赤主体のタッチの躍動する作品に
魅せられた。
産まれたばかりの赤子が、最初の産声をあげたばかりのような
生命感に満ちている。
斎藤ご夫妻が初めて子を抱いて訪問された時語っていた言葉を
思い出していたのかも知れない。
苦しくて、苦しくて、最後は野生に戻って産んだわ、という言葉
だった。
周さんはその記憶を燃える赤の抽象画で顕している。
他の作品も今までにないタッチの作品群である。
50余歳にして新しいスタートを切ったなあ、と思った。
北の自然ではなく、人間の可能性・生命を賛歌する八木保次の
ようだとふっと思っていた。

建築物の高さを制限している為この地域のギャラリーの西に
面した大きな窓は山並みの緑と光が美しい空気に染めている。
3階だろうか、高さも心地良いのだ。
今回の展示に相応しい場と思えた。
初の我が子生誕と同時に、新しい抽象に生きる新しい斎藤周
が生まれた。

*花人・花や展ー12月26日ー29日pm1時ーpМ7時

 テンポラリ―スペース 札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-ー011-737-5503





# by kakiten | 2020-12-27 22:12 | Comments(0)
2020年 11月 22日

<身>という容(かたち)ー藍の世界(4)

昨日友人の河田雅文さんの店Мを訪問。
ガラス作家高臣大介さんの展示もあり、彼が購入してくれた
若林和美さんの展示作品を届ける用もあったからだ。
そして河田雅文ー通称雅さんにも久しぶりに会いたかった。
革めて彼の世界中から直接選び展示し販売している衣類の
革新性に気付き感動した。
どこか私たちの体に残存している洋服―和服という分別、
そして男女という性別すら消えて、単純に着てみたいと感じ、
手に取っていた自分がいた。
私たちは、着るもの・着物(きもの)を身に纏うという
本来の着こなす伝統を明治の近代化の流れの中で置き
忘れて来たのではないのか・・・。
<身に纏う>ではなく、<ボデイに装着する)ように
和服→洋服の形(かたち)の近代化を辿って来た気がする。
そんな受け身の衣装の近代化を歩んで来た気がしたのだ。
幼稚園の園児服に始まり、学生服ー社会人の背広ネクタイ
、スーツ、冠婚葬祭の和洋礼服・・・。
雅さんの選び抜かれた服類は、そのどれもが自由に身に纏う
着るものとして存在し、私などのような無粋な人間にさえ、
ふっとこれ着てみようかな・・と思わせるのだ。
この服の世界は、和・洋でもなく男・女でもない<着る
ものー着物>を纏う<身>の世界なのだと思う。
形(かたち)として区別する近代が、<身>を通底して人類
共有の容(かたち)<着るもの>として光りを放っている・・。
真のグローバリズム、現代と思える。
ボデイに装着する用の形=衣装ではない。
袖を通し身に着ける<着るもの=着物>として、現代に
甦っている気がした。
雅さんの試みている服の世界は、近代化の形(かたち)
から容(かたち)への深化、内側の身から発する真の
現代化が息づいている。
彼が重ねてきた多くの経験ー十代の英国美術大学留学、
帰国しプラハを中心とした美術活動、インテリア設計、
旧琴似川を追跡した映像表現等々・・。
それらの経験すべてが、<着るもの>に通底する<身>
の復活として隅々に溢れている気がする。
そして着るもの=着物という何気ない普段の日常性に
最新・最速といった表層の現代を超えた真の近代化・現代
が発芽しつつ在る事に感動したのだ。

私は、自らの<身の程知らず>を痛快に感じていた。

*花人・花屋敷展ー12月中旬予定。
 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


# by kakiten | 2020-11-22 13:58 | Comments(0)
2020年 11月 15日

終わりの始まりー藍の世界(3)

紺屋纏祝堂個展「上空の水面」終わる。
藍染めの仕事を始めて若林和美さんの初の個展。
吹き抜けの空間を活かしたライフワークの発進
を感じさせた水中(1階)ー水面(2階)の構成
が見事だった。
これまでの水面下とも思える公私に渡る人生の出
来事が藍染めの仕事回路を通して、井戸のように
外界へと開いた気がする。
”この時期毎年ここで個展を続けたいです・・”
私もそう提案しようと思っていた。
壁の蔦が赤く染まり散り始める頃、ギャラリー内
は藍で染まり、彼女の生きる世界が広がってゆく。
テンポラリースースそのものが、風・土となり耕土
となって命が息づくのだ。
ギャラリーは函として命を溜め、流れ出てゆく。
少し以前は今欧州を本拠地に活動する谷口顕一郎・
彩子さん、7年連続して展示を続け新たな世界を開いた
吉増剛造さん、ほぼ同時期から毎年「野傍の泉池」を
千本目指して真冬の氷柱をライフワークに発表している
高臣大介さん、故郷江別の風土を追求し続けてきた秋元
さなえさん、花の道をひとり歩む花人村上仁美さん
等々、有名無名を問わずテンポラリースースのコンテン
ポラリーな表現の耕土にまたひとり若林和美さんも加わ
ったかに思える。

先週通院中のクリニックで新型コロナ疑いらしき人が
出たらしく全館消毒作業に入り、通院者も全員感染検査を
受けた。
そして今朝連絡あり、私は陰性という事だった。
週3回の透析治療を続けながら、コロナ感染では敵わない
と思っていたので、とりあえずほっとした。
私自身が閉じた白い箱とならず、開く流れる函として生
き続けなければならぬ。

*花人・花小屋展ー12月初旬予定

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




# by kakiten | 2020-11-15 16:14 | Comments(0)