テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2019年 03月 18日

名残り雪ー時代というランド(34)

朝、ギャラリーに向かう。
途中雪が舞ってきた。
名残り雪だな・・。

豊平ヨシオ展最終日。
久米淳之さんの展覧会評の新聞効果もあるのか、
未知の訪問者が目立つ。
某ギャラリーの長老も見えたようで、近々沖縄へ行くので、
作家を紹介しろ、と言ったと後で聞いた。
さすがヴェテランの長老、目が早い。
でも成った実だけ漁るのは卑しいぜ。
カルチャーは、原義・耕土。
足元を耕すー見えない持続の時を省いて、沖縄へ行くから
ついでにでは、少し安易・性急すぎる気がする。
まあ、それだけ豊平作品に感動した所為だろう・・・が。

二度見に来てくれる人も目に付く。
2階吹き抜け回廊にずっと座り込み、作品のひとつを眺
めていた婦人。
旦那さんの方は下の縦に亀裂一本の作品が気に入ったようだ。
二度目の訪問で、ふたりは結論を出そうと来たのだろう。
しかし旦那さんの気に入った作品は、旭川の大学に勤務する
Nさんが予約していた。
Nさんは、東京の大学院生の時最初の訪問で、先の高臣大介
ガラス展に続き、今展示にも熱く感じる処があったようだ。
作品を選び購入する事も、個の内側のドラマを感じる事がある。
豊平ヨシオ展では、特にその傾向を強く感じる。
作品に内蔵されたドラマは、見る人間のドラマをも生む。

結局2回回廊ベンチに長く座っていた夫婦は、黙って帰って行く。
帰り際私の顔を見た奥さんの何かを訴えるような目の表情が
心に残る。
他の訪問者と話が切れなかった為、傍で話せなかった悔いが
後から日暮れの斜光のように心に残った。

 テンポラリースペース 札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



# by kakiten | 2019-03-18 13:37 | Comments(0)
2019年 03月 16日

雪が降るー時代というランド(33)

豊平ヨシオ展終了前日の土曜日雪が降り、うっすら積もる。
沖縄のアトリエで20年近く外に出た事の無かった作品たち。
今回展示のイメージに最初にあったのは、この雪の光の中で
見る事だった。
地上に降り積もった雪明りの反射で、浮き上がるように
南の青たちが中央の亀裂と共に在る事。
その想いが叶っている。
そして一昨日の14日木曜日北海道新聞夕刊に、自ら志願
して申し込んだ久米淳之さんの豊平ヨシオ展評が載った。
北海道立近代美術館学芸員、道立函館美術館学芸員を経て
現在道教委文化財・博物館課に居られる方である。
先週豊平さんがまだ在留時見えて、作品に深く感銘し新聞に
書く、と言って興奮していた。
私が挙げた旧知の道新の方を知っていたのか、即その記事は
実現したのだ。
率直にかつ素直に久米さんの作品の前での興奮が伝わってく
る文章である。
以下に引用してみる。

 青の亀裂に切なさ、哀しみ

沖縄の現代美術家、豊平ヨシオの作品展が開かれている。
青、蒼、碧、様々な青の長方形板が、等間隔に壁面に並ぶ、
静謐な空間。青の美しさにまず惹かれ、歩を進めて一点に
対峙すると、画面に引き裂かれたような亀裂を見つける。
再び全体を見渡す時には、自身がいいようのない切なさに
包まれていることを感じる。
縦100センチ、横50センチの板が、割られて亀裂のある
状態で青く塗られ、会場の壁面を取り囲むように21点が並ぶ。
黒い背版から浮き上がり、亀裂の奥に暗く深い空間が創り出さ
れている。触れると刺さるような、捲れ上がった亀裂の向こう
側に、哀しみや痛みが閉じ込められているような気配すら
感じられる。
豊平の拠点とする沖縄という地名からは、その歴史性や政治性
、現在の社会状況を想い起こさずにいられない。
しかし、青の亀裂は、問題の具体性を超えて、切なさや哀しみ
という、ひろく私たちの心に通じる感情を、力強く湛えている。
青の色と亀裂のみの、単純な仕掛けが、多くの感情や物語を、
直裁に人に想起させるのだと思う。豊平の青に、沖縄の海や空を
感じる事は否めない。あまりにもきれいな、澄んだ青だからだ。
しかしその裂け目の奥から聞こえてくるのは、北や南、個別の
社会ではなく、生きていく人間の行為についての問いかけなのだ、
と思う。

今回初めて出会った久米さんが、書いてくれました。
初めて今日、作品たちは雪の白い光を浴びています。

豊平さん、そしてまだアトリエに残された作品たちに、
ご報告です。

*豊平ヨシオ展ー3月17日まで。・・・来週後半までまだ見れます。
 am12時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




# by kakiten | 2019-03-16 12:59 | Comments(0)
2019年 03月 14日

琉球―沖縄:豊平ヨシオー時代というランド(32)

豊平さんに急ぎ送ったフライヤーが多過ぎたのか、
こちらのフライヤーが無くなっていた。
帰沖した豊平さんから、残ったフライヤーが速達で届く。
このフライヤーに記した私の文を載せてみる。

     最前列にして最後尾ー豊平ヨシオの画業

明治・大正・昭和前期の大和世(ゆ)、昭和後期のアメリカ世(ゆ)。
近代日本沖縄は常に最前列に存在した。欧米列強に対峙した帝国主義
の時代。そして戦後米軍基地の7割を小さな身体に引き受け、安全・平和
・独立の最後尾にして最前線、最前線にして最後尾の位相を今も保つている。
美術家豊平ヨシオの画業は、」その現実に真正面から向き合い、沖縄の青い
海と空、引き裂かれた風土と社会を自らの身・心そのもののように、20年余
深い青と亀裂だけで刻んでいる。今回初めて沖縄の丘の上のアトリエから
真っ白な北の天地に作品たちが姿を現わす。日本列島の北のエッジで、南の
最前列にして最後尾の日本近代は、いかなる立ち姿を顕すのか。
作品の前に立つ全ての人に、それは委ねられ抱かれてある。

製材の杉板を、踏み割り、咲いて、並べ、深い亀裂を見せる。
玉飾りのように小島が連鎖している=琉球。
沖の縄ー沖縄。
この歴史の背後には大和世(ゆ)の近代はアメリカ世(ゆ)
と重なり今も続いている。

振り返れば、最前線にして最後尾 背後には黒々と街の火

 *豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
  am12時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き




# by kakiten | 2019-03-14 18:43 | Comments(0)
2019年 03月 13日

南風去って、雪が舞うー時代というランド(31)

作品だけとなった今週、全道的に冷え込む。
場所によっては、吹雪という。
不思議だなあ、豊平さん、おふたりが帰られた3・11.
そこから北海道は、また冬です。

杉板にあなたが身体を駆使して刻んだ亀裂たちが、沖縄の
海、空の青に埋もれ顕れて、今日も静かに呼吸しています。
内なる心の、どうしようもない叫びのように、20年余孤高
のアトリエで独り刻み彩づけてきた作品たち。
北の冷気の中で、新たな命を刻んでいます。
2009年2月、初めて訪れた沖縄のアトリエ。
その夜興奮冷めやらぬまま、たまたま同席した居酒屋の慶応
大学卒業間近のℍ製作所入社決まったO君に私は熱く声を
掛け、語ったのだ。
沖縄に来てこの人の作品を見ずして浮かれていてはいかん。
その言葉に触発されるようにO君は、豊平さんのアトリエ、
自宅に2,3日逗留したのだった。
後日彼が私に告げてくれた言葉。

3歳の頃父と別れ、その事がずっとトラウマのように心に
住んでいた。その心の見えない亀裂が、自分の一番惹かれた
作品の前に立った時、訳もなく涙が零れ、心の防御の壁トラ
ウマが消えてゆくのを感じたのです。

作品は、沖縄から発し、豊平ヨシオの全身全霊を経て、一青年
の心の亀裂にまで至ったのだ。
南の端、北の端。
日本列島の南北のエッジで、これらの作品たちはO君の心と
同じ響きを発している。
同時代の深処に届いている。
場所や世代、状況や性別を超えて、今を生きる同時代の深処。
その亀裂がこんなにも親和力を保ち、切ないまでに語り掛ける
のは、一作家の孤高の純粋な呼気吸気、身体が生み出している
からだ。
14色の青、それぞれに一色に塗られた杉板。
そしてさまざまな深い亀裂。
南の島、サンゴ礁の海と空。
時と共に変化し存在するその色彩。
切り裂く人間社会の亀裂。
それらが個の心の深処まで、時を超え状況を超え、響く、沁みる。

優れた作品とはそういうものだなあ。
あっ、雪が降ってきた、たくさんの雪片が舞ってきた・・・。
北の冬が戻って来た・・。

*豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き 
 tel/fax011-737-5503


# by kakiten | 2019-03-13 13:59 | Comments(0)
2019年 03月 12日

作品は残り、作家は沖縄へー時代というランド(30)

3月11日豊平ヨシオさんご夫妻沖縄へ帰る。
作品だけは未だしばらく展示で残る。
滞在中様々なドラマがあった。
作品と共に、その思い出が創られていった。

ガラス作家高臣大介の奥さんさっこさんの作品購入。
ノバラちゃん誕生間もない中での決断。
その気持ちが心に響いた。
その夜大介さんと初めて会う豊平さんの奥さん彩さん
の素の心姿。
”あんたは沖縄に合うわ、来てよ、一緒に踊ろう”
きっと大介さんも嬉しかっただろう。
そしてこの日も来てくれた登山家の中川潤さん。
”豊平さんを応援するのには、俺、買うしかないなあ”
と言って3回払いでと申し込んだ。
中川さんとは、2009年2月一緒に沖縄へ行った仲である。
その時の珍道中は今も忘れない。
そして彼らが来る前、東京からこの展示の為に来てくれた
大塚君。
今年10月札幌に帰り、独立する予定という。
その時の為に一点を欲しいと言う。
一緒に来た恋人はある作品の前に立ち、不意に涙が止まらない。
そういえば、ふたりが心を揺らした作品の色彩は、大塚君が
久石ソナの名で世に問うた処女詩集「航海する雪」の表紙写真
夕暮れの海の色。
道新文学賞受賞した処女詩集とも重なるのだ。
昨日の最後の夜、新聞社のI氏が来て、豊平さんへの深い敬愛の
気持ちと共に私も好きだった一点を選んだ。
実はこの作品、作家も心に留めていたらしい。 
さらに他の作品数点を含めて札幌での某場所での公開展開の抱負
を熱く語った。

3・11帰沖前夜、作品と作家夫婦は新たな出会いの確かな心
を抱いて、青い亀裂の新たな旅に立ち会っていた。
20年余孤絶したアトリエの中で、ひたすら刻み続けて来た
作家と作品。
そしてひたすらその生き様を支えた彩さん。
青い亀裂の旅立ち、出会いの札幌だったでしょうか・・・。

*豊平ヨシオ展ー3月17日まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


# by kakiten | 2019-03-12 15:06 | Comments(0)
2019年 03月 09日

亀裂は語るー時代というランド(29)

展示が始まって明日で一週間が過ぎる。
豊平さんご夫妻と共に良い時間が流れる。
そして作品たちがひとつづつ、否一人づつと言うべきか
語りかけてくる。
様々な青の色彩を板に塗り込み、その中央に様々な縦の
亀裂を自らの手足で刻み込んだ作品たちは、沖縄の丘の上
のアトリエで見た時は百余点の圧倒的迫力に満ちていた。
しかしここでは、一点づつがそれぞれ固有の表情を見せれ
言葉を発している。
亀裂は亀裂なりに、ここでは憤怒を落とし、肩の力を抜いて
寛いでいるかのようだ。

風土という人間社会と自然世界の共生空間。
沖縄の、圧倒的な海と空に囲まれた島という郷土。
その豊かな世界に国家という人為的な社会区別・差別
が世界を引き裂く。
大和世(ゆ)そしてアメリカ世(ゆ)。
琉球国から沖縄県へ。
玉飾りのように小島が連鎖している様子を表わした名が、何故
沖の縄のような名に変わったのか。
沖縄の深い亀裂の歴史は、この名前の変換明治の近代化・西洋
化と共に始まっていたように思う。
”沖縄は基地と観光だけです・・・。作品はたくさんあります。
ただ眺めています、見に来て下さい・・。”
2009年2月、この咽ぶような言葉に初めて訪れた沖縄の地。
日米戦争時最前線の痕跡、そこを縫うように琉球時代の歴史的
な遺跡群。
そして日米安保に基づく米軍基地の7割が集中する現在社会。
南の島の豊かな自然。
その風土と歴史を切り裂く人間世界の亀裂。
その傷痕に真正面から向き合い、対峙し、青と亀裂だけで
表現し続けた無言の表現者。
豊平ヨシオのここ20余年が、今北の冷気の中でふっと
寛いでいる。
亀裂もまた微笑んで、日々親しみを送ってくれる。
この一週間は不思議な一週間だった。

来週沖縄に帰るおふたりに代わり、今度はどんな表情を
作品たちは見せてくれるのだろうか。

*豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




# by kakiten | 2019-03-09 12:18 | Comments(0)
2019年 03月 07日

光は春・風は冬ー時代というランド(28)

午後の光が会場正面に来る。
次第に照射場所を移す。
光の移動と作品の青の変化が、美しい。
豊平さんが何度もカメラを構え、撮っている。

外を吹く風はまだ冷たい。
外出していた奥さんの彩さんが、陽射しはあるけど
今日の方が手が冷えるわと言った。
展示作業の日も含めて、札幌滞在6日目。
夫婦ふたり。
きっと本当に久しぶりの水入らずの旅。
甲斐甲斐しく作品展示、会期中の夫の世話と、沖縄
では私が見た事のない彩さんだ。

20余年ぶりに初めて外に遠出したアトリエの我が子。
伸び伸びとして、それぞれが個性的な顔を顕している。
沖縄の空と海。
そして癒し難い社会と風土の狭間の亀裂・傷痕。
しかし夫婦ふたりは寄り添って、そうではない。
この作品と豊平さんふたりに、心からエールを送る。
滞在は日曜まで、見て会って下さい。

*豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503





# by kakiten | 2019-03-07 17:23 | Comments(0)
2019年 03月 06日

深まる光・色彩ー時代というランド(27)

まだ冷気を含んだ風。
しかし光は春を抱いて南の島から訪れたふたりの作品を
優しく包んでいる。
沖縄の丘の上のアトリエから初めて北の大地を訪れた
作品たち。
それを見詰める豊平ヨシオの眼が優しく潤んでいた。
そしてその姿を見詰める伴侶の彩さんの眼もまた。
20余年間公開を意図せず、自らの故郷沖縄を記憶し記録
する為、ひたすら創り続けて来た青・蒼・碧・藍・・。
そして自らの足と身体で中央に刻んだ亀裂。
その総数百余点の中からこの小さな画廊の為に二十余点を選び、
長年の間にこびり付いたヤモリの干からびた卵を剥ぎ取り、褪
せた色彩を補色し、二日目も点検補色している。
びっしりとアトリエの壁に架けられた沖縄の海・空の彩と憤怒。
そこから抜け出た作品たちの一点一点の解放感が、作家ととも
に北の冷気煌めく光と風の中に揺れている。

明治の時代琉球から沖縄へ。
大和世(ゆ)・アメリカ世(ゆ)と今も揺れている南の島。
日本近代の最前線にして最後尾。
豊平ヨシオは現代美術の最前線の孤塁で、20年余丘の上の
最後尾の孤高を守り、闘ってきた。
選ばれてアトリエを旅立ち、北のエッジ雪と冷気の小さな
画廊で光を受けている作品たちの、何という伸びやかさ。

作家と共に、深い亀裂もふっと息を吐いている。
豊平ヨシオ展、二日目の眼差し・・・。

*豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503





# by kakiten | 2019-03-06 13:12 | Comments(0)
2019年 03月 05日

北の光に包まれて豊平ヨシオ展初日ー時代というランド(26)

3月2日沖縄より豊平ヨシオ・彩さん夫妻来廊。
二日間かけて、展示作業に入る。
見事な連係作業である。
先に届いていた十箱の作品を開梱し、作品枠を取り付け
出発直前に補修した油彩部分を点検する。
20余年近くアトリエの壁に置かれたままだったから、
ヤモリの糞やゴミ等で作品裏の汚れも多かったと言う。
今回のテンポラリーでの展示数は20点余。
昨年沖縄で見たアトリエでの百余点一体の圧倒感に比し、
より個々の作品が身近に迫ってくる。
一点一点の青の地色と縦に刻まれた亀裂の存在感、訴求力
が増し個々が深くなる。
沖縄の丘の上のアトリエ。
天窓の光。
札幌、冬の終わり、冷気を秘めた春の光。
その空気の違いもあるのだろうが、作品は一点ずつ嫁入りでも
したかのように新鮮だ。
豊平さんの心の深い傷。
その亀裂の痕が、北の空気の中で少しだけ癒されているのだろうか。
そんな気がしていた。

暖かい春の陽射し注ぐ初日。
刻々陽射しの挿す角度の変わる午後の光に、何度も作品を見詰め直
して静かに楽しんでいるような作家がいる。

*豊平ヨシオ展ー3月5日〈日)-17日(日)
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


# by kakiten | 2019-03-05 16:03 | Comments(0)
2019年 02月 28日

青い亀裂ー時代というランド(25)

光と水の吹きガラス、の2週間が終わった。
そして来週から始まる沖縄・豊平ヨシオ展ー3月5日展示の
作品群が10箱届く。
今度は南の風・光の翳が時代という扉を叩く。
1990年代米軍キャンプ地から放出される本来沖縄にはない
異質素材を使って様々なオブジェ造形を発表していた豊平ヨシオ。
200年代に入り、作品は大きな変化を見せる。
沖縄の青い空と海を思わせる様々な青を主地に、その真ん中に
深い亀裂を刻んだ縦1m横50cmの連作を製作。
私が初めて見た2009年2月には、100点を超える作品群が、彼の
アトリエ壁に溢れていた。
”沖縄は基地と観光だけです、作品はたくさんあります。ただ
眺めています、見に来てください。”
この言葉に触発されるように初めて訪れた沖縄、そして初めて
見た圧倒的な豊平さんの作品群の衝撃を今も忘れ得ない。
それから10年、昨年4月吉増剛造沖縄美術館展での訪沖を機に
再び豊平さんとあの作品たちに会いに行った。
丘の上のアトリエも、作品たちもなにも変わらず在った。
私はこの時、訪問前から決意するものがあった。
今回はもっと信頼する誰かにも見てもらいたいという事。
そしてその思いを吉増剛造さん、映像作家の石田尚志さんに求め、
2009年2月最初の私の沖縄・豊平ヨシオ訪問時のブログコピ
ーと写真をふたりに送ったのだ。
石田さんはこれを見て即決断し、当日那覇空港から直接豊平さん
のアトリエまで車で来てくれた。
また吉増剛造さんは沖縄美術館の展示中で多忙な中、後日ひとりで
アトリエを訪問してくれた。
後にその時の様子を豊平さんが次のように記してくれた。

 吉増剛造氏には、ほぼ一時間程、眺めていただきました。
 無言と沈黙。
 座って。

そしてスペインに居るご子息の豊平太郎さんに送る為購入
した吉増さんの著作・展覧会カタログにサインをお願いした
という。
そこには  

沖縄の白眉のときを、奇跡のように過しつつ・・・

お父上と、この宇宙の波の羽音に耳を澄ましながら。

と書かれていたという。
この優れた表現者ふたりの訪問を機に、初めてあの作品群が
アトリエの外に出る。
百何十点余全ては無理だが、精選された二十点余が並ぶ。
二十年余、ひたすら現代美術の砦でひとり孤独に刻んできた
豊平ヨシオの沖縄・同時代の魂が世に出る。
初陣である。

*豊平ヨシオ展ー3月5日(火)ー17日(日)
 am12時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503





# by kakiten | 2019-02-28 16:33 | Comments(0)