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2018年 11月 10日

北米大陸先住民ーホピ族ーみちゆき(15)

約9千人程と聞く北米大陸の先住民族ホピ。
その民族が生み出す固有の図柄や人形に注目
したのは、美術家アンデイー・ウオフォール
やピカソという。
そして平和の民として、その基本にある世界観
も注目されている。
そんなホピ族の世界を、東京・根津でホピ専門
の店舗を構え、最近は「HOPI・ホピ」とい
う本まで著したホピの伝道者の天川彩さんが、
ホピ伝統のカチーナ人形を抱えて今年も札幌に
やって来た。
今回は土、日曜日に、本出版記念トークも予定
されている。
年に何度も、関西にでも行くような気軽さで、
アリゾナのホピ族の村を訪れるという天川彩さん。
知的で逞しく明るい女性である。
片腕の田中明子さんと共に、ホピ伝道の旅を日本
中に続けている。
地球という自然への畏怖と祈りを保つホピ族。
日本も他の民族も本来保っていたこの思想は、現代
という機械化学文明全盛の時代に、大きな警鐘を届
けるものだ。
土砂崩れの山野、溢れ出る川筋。
埋め立てた谷は割れて住宅地に顕在化し、埋め立てた川は
道路に亀裂を奔らせる。
そんな自然災害の多くを経験した我々の大地は、祈りの
護岸ー神社・仏寺へ上る石段の文化を捨て、強力な建設
機械で山裾を切り崩し、埋め立て、宅地としてきた。
そして、界(さかい)という自然と社会の緩衝地帯・故里
喪失の今が在る。
有機的な生命の身体エネルギーから遠ざかり、石炭・石油
・原子力を増幅エネルギーに換え、孫悟空の如意棒のよう
に操って、地球自然への畏怖感を喪失している。
怖~い、自然への畏怖を忘れて、一時の快適さを求める可
愛い~!文明に溺れて、政治・経済インフラ万能の今がある。
地球の地中に埋蔵されていた石炭・石油・原子力を増幅する
エネルギー源として掘り返し、その力を孫悟空の筋斗雲の
ように宙を飛び、如意棒のように力を増幅して、人の間ー
人間という単位よりも、国の間ー国家のという単位で力の
紛争を重ねている。
その結果地球の自然は荒れ、地球は自然の野生を露わにし
人の日常生活に及んでくる。
日本には、里山に象徴される、人と野生自然との長い時間
をかけた界(さかい)という緩衝地帯・故里構造を磨滅
させ、<兎追いし、かの山ー小鮒釣りし、かの川>は、
山崩れと泥流の里へと変貌させつつある。
原子力に至っては、破棄できぬ高濃度の廃棄物を溜め続け、
汚染された村は、町は、目に見えぬ汚染で一見変わらぬ風景
、しかし居住不能な明るい廃墟の途を辿っている。
人の絶えた明るい廃墟の故郷・故里。

天川彩さんの闘い、伝道する日常は、そうした人間の生命の
基本を問う旅なのだ。

*HOPIカチーナ展in札幌ー11月11日(日)午後5時まで。
 :11日午前11時~「ホピ」出版記念トーク。講師・天川彩。
 参加費1500円。
*藤倉翼作品展「NEON SIGN7」ー11月20日ー12月2日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




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# by kakiten | 2018-11-10 15:06 | Comments(0)
2018年 11月 09日

物語のかけらーみちゆき(14)

昨日終了したCONTEXT-Sのふたり展
塩谷直美・中嶋幸治「物語のかけら」。
初めて見た塩谷さんの、光を溜め、放つ光の泉
のようなガラス作品と中嶋さんの山を毎日駆け足
登山しながら湧くように出て来たという色彩のフ
ァイルの二人展。
CONTEXT-Sの旧木造アパートを部屋の壁
を抜きオープンに改装した空間に、見事に息づい
て見応えがあった。
特に中嶋さんの両掌に収まる本のような容器に
収められた色彩が見事だった。
テンポラリースペースで何度か作品を見ているが、
このように色彩自体を主に発表したのは初めてと思う。
内から湧き出た色彩を包む装本のような造りも含めて
掌(てのひら)と、たなごころ(掌)の合掌のようだ。
津軽より札幌に移住して10年余。
中嶋幸治の繊細な魂が、ふっと、ほっと、安住の位置
を作品として顕れた気がする。
寡黙な無色の半透明な小さいガラスの保つ光の内包力
と併せて、この二人展は、木造アパートの木の保つ
呼吸空間に、それぞれが深い呼気・吸気を重ねていた。
場と作品の稀有なる共同(con)空間。
喪われた共同生活空間(アパート空間)が、conー
temporaryなゾーンを創って、場として共存していた。
かって色んな人たちが、それぞれの生活を壁一枚隔てて
住んでいた古い木造アパート。
未知の人が一時溜まり、共有された<物語のかけら>。
それがこの二人展の作品で空間も甦っている。
同時代(contemporary)とは、大げさな
仕掛けのものではない。
こうした小さな「物語のかけら」があっての集積なのだ。
人と人の間と書いて人間という。
集団・国家の間ではない。
ひとり、ひとりの小さな物語のかけらが、同時代そのもの
の基底にある。
人と人、その作品が顕す物語、そしてかって12人が住ん
でいたという木造アパート。
個と共同の近代の原点のような場に、ふたつの個性が
まるでそれぞれが保つ物語が創った小さなかけらのよう
に共存していた。
コンクリートで隔絶された高層マンションでは、決して
生まれない人間の場が、昨品の呼応というコンテンポラ
リーな場の時空を顕在化していた。

忘れぬ内に書き留めておこう。

*HOPIカチーナ展in札幌ー11月9日ー11日まで。
 am11時ーpm6時:11日最終日午後5時まで。
 ;HOPI出版記念お話会ー11月10日午後2時半~
  11日午前11時=著者・天川彩。参加費1500円。
*藤倉翼写真展ー11月20日ー12月2日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503






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# by kakiten | 2018-11-09 13:20 | Comments(0)
2018年 11月 08日

カチーナたち来廊ーみちゆき(13)

夕刻天川彩さんたちが、着いた。
早速カチーナ人形を壁に飾り始める。
一点づつ白い壁に跳ばす。
その行為自体が、カチーナドールと一体になって、
精霊たちが飛んでいるようだ。
アメリカ大陸先住民族のひとつ、ホピ族の生き方
とその表現作品カチーナドールを、使命感を保っ
て紹介し続けている天川彩さんは最近「ホピ」(徳間
書店刊)という本も出版した。
昨年の展示時には、1994年吉増剛造さんにかっ
て戴いた小さなカチーナドールと同じ作者のものを
見つけて来てくれる。
24年間ひとりぽっちだったカチーナは嬉しそうだった。
少し大きめの札幌に残った二体のカチーナは、テンポ
ラリーの小さめなカチーナの両脇に立つと、まるで
両親を得たようだった。
一体は買い手に引き取られ、もう一体は今も隣に立って
並んでいる。
並ぶカチーナドールは雪の女で、砂漠の多い熱い地域
に遠く霞む高山の嶺に見える雪・女、幸せを祈る乙女
という。
ヨシマスさん、戴いた穴熊の病を癒す精霊は、雪の乙女
の伴侶を得ましたよ。
そうご報告して、吉増さんも喜んでくれた。

明日からまた晩秋の紅葉の残る澄んだ空気の中で、カチーナ
たちの跳ぶ空間が時を刻む。

*HOPIカチーナ展in札幌ー11月9、10,11日
 am11時ーpm6時:最終日午後5時まで。
 :HOPI出版記念トークー天川彩・10日午後二時半=
  11日午前11時~
*藤倉翼写真展ー11月20日ー12月2日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

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# by kakiten | 2018-11-08 18:04 | Comments(0)
2018年 11月 06日

水道の一滴ーみちゆき(12)

トイレの貯水タンクに注ぐ水が止まらない。
内に在る止水装置が充分に働いていない。
細い水流が突き出た管から小さな音を響かす。
何度か排水・給水作業を繰り返し止まった。
貯水槽内部の浮き球が緩んでいるのか・・・。
一度水道元栓を締めて外出したが、そうすると
すべての水が止まり、炊事・洗濯日常全般に支障
が出る。
ちょろちょろと水が流れる音にも神経が鋭くなり、
気が滅入る。
人間は環境の動物と呼ばれるが、このインフラ(生活
環境基盤)となる電力・水・交通・通信等の社会環境
の元は同時に、自然環境からその元資を得ている。
インフラの整わなかった時代には、もっと自然資源
との直接的触れ合いが多かっただろう。
その分人は自然に対して怖れと敬意を保っていたと
思う。
僅かな水の漏れる音にも神経が磨り減る軟弱な現代人
とは大きな差異がある。
人工的なインフラ環境に慣れ、任す日常と自然そのもの
と向き合い生きる生活とは、きっといつの間にか大きな
差異が生じている。
人は四本足から二本足となって、その動く範囲の不足を、
風力・水力・火力をエネルギー源とし、さらには地中に
深く内蔵された石炭・石油・原子力をエネルギー源として
力を増幅し、新たな環境・社会基盤としてきた。
両手となったふたつの足は、第六の内臓・脳の文字通り
手足となぅて、立つ事で獲得した俯瞰する視座の知能が
その増幅する力の基となったのだ。
しかし地に着くふたつの足は、もうひとつの力を保っ
ている。
自由に地上を、時に宙を、動き廻る力だけではなく、
天地を貫く踵(かかと)軸の力。
垂直に生きる植物、特に樹木の生きる力だ。
両掌を垂直に逢わせれば自然に浮かぶ、祈りの形。
地深く水を求めて伸びる根。
空深く光を求めて伸びる枝。
一か所に立ち、世界に開かれている生だ。
人はそうした立ち姿も、祈るという精神で得ている。
四本足の動く物は、両掌の心の動く物となって、動物と
植物の狭間を、両掌・両足で深く生きねばならぬ。

水道管から漏れる小さな水音に、大きく囲繞する自然と
大きく増幅し囲繞するインフラ都市を想った。

*HOPIカチーナ展in札幌ー11月9日ーー10日
 am11時ーpm6時・最終日pm5時まで。
 :11月10日(土)午後2時半~、11日午前11時~
 HOPI出版記念お話会・講師ー著者天川彩
*藤倉翼写真展ー11月20日ー12月2日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503 




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# by kakiten | 2018-11-06 16:39 | Comments(0)
2018年 11月 03日

秋の深味ーみちゆき(11)

「月光」56号賀村順治追悼集を読みながら、ふっと
両肩の辺りに晩秋の所為だけでない、忍び寄るような
寒気を感じていた。
2006年1月円山北町から数回の法廷闘争を経て、
砦となる場と建物を喪い、ひとり古地図を抱え札幌を
放浪した数カ月。
110年続いた家業と私自身の中で残すべき数多の資
料の数々。
その多大な荷物を、新琴似の自宅倉庫に黙って受けめて
くれたのが、賀村順治だった。
強制執行の当日朝、前夜から泊まって立ち会ってくれた
中川潤、高臣大介両君の熱い友情も忘れ得ぬが、現在ま
で残る多くの掛け替えのない資料には賀村順治の黙した
熱い協力が無ければ、私は只の放浪者・難民だったので
はないのだろうか。
そして約半年後、預けた荷物を引き取り、お礼に伺った
春の一日。
新琴似駅まで迎えに来てくれた賀村に、初めて新琴似の
風景の中を自宅まで案内してもらった。

 豊かに稔れる石狩の野に
 雁(かりがね)遥々沈みてゆけば
 羊群声なく牧舎に帰り
 手稲の嶺(いただき)黄昏こめぬ
 雄々しく聳ゆる楡(エルム)の梢
 打ち振る野分に破壊(はえ)の葉音の
 さやめく甍(いらか)に久遠の光
 おごそかに 北極星を仰ぐかな
 
        北海道大学寮歌「都ぞ弥生」第二番

歌の季節秋とは違う4月だったが、手稲の嶺(いただき)、
雄々しく聳ゆる楡(エルム)の梢、の風景は変わらない。
賀村は歩きながら、とある神社を指さし境内の一本の巨樹
がエルム(ハルニレ)だと教えてくれた。
この巨樹は市の保存樹に指定されていて、この地域の農民
たちが新琴似神社を建立し大事にした結果という。
近寄ると巨木の周りにも幾本ものエルムが立っていた。
水に近い地層に生え、後にエルムの都と呼ばれた札幌を象徴
する樹。
その樹に適した地層が広がっていた石狩大湿原。
そして遠く、近く遮るものない天地に聳える手稲山連峰。
今思えば、あの時賀村順治は自分の生まれたこの天地をこよ
なく愛し、父祖の地九州佐賀を希み、語り掛けていた気がする。
彼もまた、近代の遠い移民・難民。
私たちは自らの手で、故郷・故里の故(ゆえ)を、天地に郷と
して、里として掴(つか)んでいかねばらぬ今を生きている。

開道百年開拓記念塔が、50年を経て老朽化が進み撤去され
るという。
都市の近代化が進み、人間社会のインフラ機能が拡大化して、
自然に近い風土・故郷・故里は磨り減りつつある。
<移る>横軸ばかりが増幅され、根の踵(かかと)軸が
等閑に晒されている。
都市はタワー化・プラザ化の囲い込み構造が進み、地上の通り
は車両に占拠され、縦軸はタワービルと地下街・地下鉄の吸い
上げ・拡散移動構造に溢れている。
天地を繋ぐ風土という故里は磨滅しつつある。
賀村順治の未知の父祖の天地・佐賀への想い。
都市化が著しい札幌の天地。
彼は何処かで心の難民・移住者の悲哀を感じて闘っていたのだ。
それは私たち多くが共有する現代でもある。

折しも札幌中央に奇跡的に遺された緑の運河・エルムゾーン
にひとつの新しい五寸釘のようなレンタルマンション・タワ
ービルが建立されている。
原生のエルムの巨樹が茂る植物園ーエルムを含めまだ多くの
原生樹木が残る広大な北大構内。
ビル街に遺る緑の運河ゾーン。
野幌森林公園に50年前建立された百年開拓記念塔に代わり、
新たな百年タワー(塔)が立つ。
それは今、<打振る野分に破壊(はえ)の葉音>のようにある。
<雄々しく聳ゆる楡(エルム)の梢>も、<黄昏こめぬ><手
稲の嶺>も消去するように。

賀村順治よ、
君と石狩大湿原の天地を、もう一度語り、逢いたかった・・よ。
もう一度引用させてくれ、俺たちの背中の歌を・・。

 戦場へ
  行く早鐘のランナーの
 背中に涙あふれていたり

*HOPIカチーナ展ー11月9日(金)-11日(日)
 am11時ーpm6時:10日午後2時半~11日(日)午前11時~
 HOPI出版記念トーク。天川彩氏。参加費1500円
*藤倉翼写真展ー11月20日ー12月2日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
  

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# by kakiten | 2018-11-03 15:26 | Comments(0)
2018年 11月 02日

「月光」賀村順治追悼号届くーみちゆき(10)

歌人福島泰樹が主宰する歌誌「月光」が届いた。
今年2月15日逝去した賀村順治の追悼号である。
このブログにも記載した一文に手を加え、私も追悼の
文を寄せている。
生涯彼が求めていた祖国(くに)とは何か、を主題に
書いた積りである。
死後気になっていた一首

 俺は帰れ胸の奥処の泥の温みその肉声の端緒の祖国へ

この歌の<泥の温み>という言葉がキーワードだった。
屯田兵の末裔として佐賀県から移住し、新琴似で生まれた
賀村順治がアイヌと大自然の北海道の大地に深く拘って、
自らが生まれ育った新琴似の地を発見し、祖国(くに)と
呼んだ心の在り処、それが<泥の温み>という言葉だった
と私は思ったのだ。
バブル後見捨てられた新篠津湿原に、高層湿原特有の草花
が僅かに遺されていた。
地層が泥炭地であり、その特有の地質が高層湿原の草花を
育てていたと知る。
新琴似とは正しく近代まで泥炭地であり、寒さを防ぐ為
泥炭を掘り返し、あちこちに雨水の溜まった穴が池となっ
てあったと、私は賀村氏自身から聞いていた。
これは石狩湿原とかって呼ばれた広大な湿原地帯が広がっ
ていた150年前までの自然の風景だったのだ。
彼の死後知った新篠津ツルコケモモを守る会の冒頭文。

「その昔、新篠津村を含む石狩平野には、総面積約6万
ヘクタール以上、北海道最大の湿原が広がっていました。
釧路湿原と比べて石狩湿原は高層湿原が多い特徴があり、
かっては現在の雨竜沼や尾瀬ヶ原に近い景観を呈していた
と思われます。」

尾瀬や雨竜沼のように高山にない高層湿原とは、偏に泥炭
地という地質が招いた環境だったのだ。
その新琴似特有の地に何時からか、賀村順治は父祖の出身地
にない固有性を愛着を保って、<胸の奥処の泥の温み>と
呼び、自らの<その肉声の端緒の祖国(くに)>と呼んだ。
その意味では、彼はこの時初めて自らの手で札幌の土を踏み
しめ、掴んだのである。
札幌都心では大手代理店の社長として働き、屯田兵の末裔の
生まれとして見知らぬ父祖の遠い地を臨み、自分が産まれ
た新琴似の天地を見つめ続けた。
<泥の温み>とは、彼自身が<帰れ>と発見した固有の地・
故里の<温み>だったのではないか。

 戦場へ
  行く早鐘のランナーの
 背中に涙あふれていたり

この一首と併せて書いた私の追悼文は、札幌大手支店街で働き
札幌都市構造の渦中に生きた男の背中の涙に、少しは労わり、
報いる事ができただろうか。

幻の石狩大湿原の話を、賀村順治と話したかった。

*HOPIカチーナ展in札幌ー11月9日ー11日
 am11時ーpm6時:11日午後5時まで
*‘藤倉翼展ー11月20日ー12月2日まで。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


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# by kakiten | 2018-11-02 14:56 | Comments(0)
2018年 11月 01日

心の傾斜ーみちゆき(9)

秋というより、もう初冬の気配。
雪は見えないけれど、寒気鋭い。
来週はアメリカ先住民族ホピのカチーナドール展。
八百万の神々のような、ホピ族の自然に宿る神たちだ。
1994年私が吉増剛造さんに戴いたカチーナドール。
ブラジルから、言葉が枯れるような危機感を抱いて帰国し
名作詩「石狩シーツ」制作にひたすら石狩望来に滞在し
再生を試みていた時の事だった。
3年前ホピ族の文化に深く触れ、その紹介を日本で展開し
てきた天川彩さんと出会い、このカチーナドールと同じ作
者の人形が、昨年札幌に届いた。
1994年以来、頭の羽毛も飛んだ小さなこの人形の名は、
Badjer:バジャー・穴熊 薬草の知識を持ち、心と
身体の傷を癒してくれる精霊という。
1994年から2017年まで、私の23年は正にこの
バジャーに見守られてきた歳月だったのかも知れない。
昨年一緒に札幌に残った同じ作者の二体の人形。
Nuva mana:ヌヴァ・雪 マナ・女。幸せと恵み
あふれる人生となるよう祈りを捧げ見守ってくれる精霊。
Kokopelli:ココペリ・キリギリスまたは蟻人間。
豊穣を祈る精霊。
少し大きなヌヴァとココペリに挟まれて、パジャーは遠い
両親に再会したかのように、嬉しそうだった。
今談話室には、Nuva mana:雪・女とともに私と
辛苦を共にしたバジャー・穴熊の精霊が並んでいる
不思議だなあ、アメリカの熱い大地の遠く高い山にしか見え
ない雪の精霊が、極東の端北海道の雪の地にまるで母のよう
に住み着くなんて・・・。
外に冷雨が降り、内に寒気の漂う部屋で、ヌヴァ・マナ:雪
・女とともに生きている。
人形底部に記された詞。

Hopi Snow Maiden by Pooley
Badjer by Pooley

カチーナドールの名と作者の名前だ。
母ではない。
maiden:乙女・・初雪の精霊かな・・。

*HOPI:カチーナ展in札幌ー11月9日(金)-11日(日)
 am11時ーpm6時:最終日午後5時まで。
 :天川彩「HOPI」出版記念お話会ー11/9(金)午後2時半~
 11日(土)午前11時~参加費1500円(要予約)
*藤倉翼写真展ー11月20日ー12月2日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
 


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# by kakiten | 2018-11-01 14:33 | Comments(0)
2018年 10月 30日

田村佳津子展終わるーみちゆき(8)

ゆったりと深い流れが流れて、6日間の会期が過ぎた。
蔦の紅葉も進み、紅葉に寄り添うように時が過ぎた。
田村佳津子展「ふわふわとひらひらと」。
13年目、荒れた古民家は空き家だった当初の佇まい
から、出入りする人の熱、冬の暖房の暖かさで眠って
いた壁の蔦が息を濃くし、外壁を毬藻のように包んで
いる。
そして毎年晩秋、燃えるような紅葉の衣装を纏うのだ。
田村さんの内なるハイヒール、深い踵(かかと)が
顕れているようだった。

久しぶりに南円山の自宅から、石山通、倫敦館、植物園
伊藤邸、偕楽園跡、清華亭、北大構内を歩いてテンポラリ
ーまで来る。
植物園北向かいの伊藤邸跡は、細く高いマンションの建設
がすでに完成を迎えつつある。
私たち有志が「さっぽろ緑の運河・エルムゾーンを守る会」
を立ち上げ、マンション建設に反対運動を展開した場である。
1万4千平方メートルの敷地十分の一が住宅で、残りは広大
な札幌の自然が残っている庭である。
道を挟んで北大植物園の樹木と同じ自然の森が遺されている。
そこから偕楽園緑地・静華亭ー北大構内と、JR札幌駅から
僅か数百メートルの処に、緑の運河のようにかっての森の記憶
が拡がっている。
そこに今五寸釘のような賃貸タワーマンションが建てられて
いる。
これは新たな百年記念塔のように感じた。
札幌郊外野幌森林公園に50年前建立された開拓百年記念塔。
これが今撤去との報が伝えられている。
私が東京から戻り、友人が訪ねて来た時があった。
九州産まれの大学同窓生Nが、この塔を見て後から伝えてく
れた感想があった。
大学から帰郷したばかりの私には、その言葉は少なからず
ショックだったのを思い出す。
”あの鉄塔は錆びた大きな五寸釘のようだ。大地に刺した和人
侵略の象徴だなあ・・”と。
開拓百年記念塔は、建立後50年で安全上の理由だろうか、
撤去されるという。
そして私が今日見た林立する高層ビル群の中、緑の運河の
ように延びる豊かなエルムの森の記憶。
そこに高く、深く打ち込まれたタワーマンションの新たな
五寸釘。
水位の近い大地に繁るハルニレ、エルムの巨木。
それは伏流水豊かな札幌扇状地の森を代表する樹木だ。
それ故かって札幌はエルムの都と呼ばれ、広大な敷地の北大
は、時を知らせるエルムの鐘と共にエルムの学園と呼ばれた。
その大地に深く、高く突き刺さる新しいタワーマンションは、
正に今日の新たな五寸釘のように見えるのだ。
札幌郊外野幌森林公園に建立された開拓百年記念塔。
それは今、姿・かたちを変え、千年の森・緑の運河エルムゾ
ーンに突き刺さっている。
開拓百年記念塔は、タワーマンションと<塔・タワー>と名
を変え突き刺さっている。
そう感じた。

足長く、背を高く見せるハイヒール。
その尖った踵(かかと)のタワーは、不埒漢を撃退する若き
日の田村佳津子さんのハイヒールのように、逆襲する武器・
契機となり得るか。
個展の終わって、ふっとそんな連想が浮かんで消えた。

*「HOPI(ホピ)カチーナ展in札幌」-11月9日(金)ー11日(日)
 am11時ーpm6時;最終日午後5時まで。
 :11月10日(土)午後2時半~・11日午前11時~
  HOPI(ホピ)出版著者記念トーク:参加費1500円。
*藤倉翼写真展ー11月20日(火)ー12月2日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


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# by kakiten | 2018-10-30 13:24 | Comments(0)
2018年 10月 27日

ハイヒールっ精神(7)

地下街や舗道を歩いていると、カッ、カツ、カツと背後から
迫る様に靴音が響いてくる事がある。
体調悪く気分が優れない時などは、ひどく脅迫的に暴力的に
この音を感じる事がある。
都会の保つ暴力的音声と思う事がある。
土の上では絶対に発しない音だから。

今回初めて親しくお話し、作品をじっくり見させて頂いて
いる田村佳津子さんから、そんなハイヒールの話を聞いた。
若い時東京新宿で、ふらちな男にからまれ、穿いていたハイ
ヒールを脱ぎガツンと一撃お見舞いし、交番へ駆け込んだ
という。
これはまた別の意味でハイヒールの暴力性・戦闘性を顕して
いるようで面白かった。
音だけではない、もうひとつの尖がった用途・・。
音だけだと、ファシズムの戦闘兵の行進の靴音のようだが、
武器には使わないだろう。
女性の美への執着の保つ、ある面で恐ろしいまでの側面を
象徴しているのかも知れない。

現在70余歳の田村さんにはもうそんなハイヒールは足に
なく、心のハイヒール精神が横溢している。
豪雨で携帯電話の公的警戒警報が、何度も鳴り響く中、未
完成の絵画仕上げに余年がない。
きっとこの人は、若きハイヒール時代もファッションでは
なく、この先の尖った反撃精神を足先に纏っていただけな
のかも知れない。
澄んだ尖ったハイヒール。
都会の地上・地下を横行する美脚顕示闊歩のハイヒールは
なく、今は内面にある尖鋭な深いヒール(かかと)の響き。
黙々とキャンバスに筆を走らせている彼女を見て、ふっと
そんな感想を抱いていた。

*田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月28日(日)まで。
 am11時ーpm7時
*HOPI カチーナ展ー11月9(金),10(土),11日(日)。
 am11時ーpm6時:最終日午後5時まで。
 10日・14時30分~・11日~天川彩「HOPI」出版記念トーク
 要予約 1500円
*藤倉翼写真展ー11月20日(火)-12月2日(日)
 
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



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# by kakiten | 2018-10-27 13:34 | Comments(0)
2018年 10月 25日

風澄んでーみちゆき(6)

朝晩ストーブの火が恋しくなってきた。
しかし日中は晴れて、澄んだ秋空。
透明な空気に田村佳津子さんの画調が揺れている。
「ふわふわとひらひらと」。
新たに薄いレースに刺繍した大小の白い布が、1,
2階に吊られている。
外から入射する秋の光。
蔦の赤と緑の翳が陰影となって、作品すべてが
会場の空気の流れ、光を抱いて風のように揺れる。
ふわふわと ひらひらと・・。
朝・昼・晩、一日一日。
陽の沈んだ夜は照明の光が、また別の世界を顕す。
会場は、田村佳津子さんの心の湖となっている。
二階の奥の少し引き込んだ小さな押入れ跡の空間棚に、
色あせ古びた書物が並んでいる。
中原中也、埴谷雄高、田村隆一、金子光晴・・。
そして若い詩人文月悠光の処女詩集、山田航の処女歌集。
そして、手巻きのオルゴールが2,3個。
淡々としかし激しく過ぎた長い歳月。
変わらぬ社会と自然への視座。
白く透き通る風のような、硬質で透明な作品の密度。
ふっと立ち止まって、湖(みずうみ)の時を結んでいる。

夏の激しさも冬の激しさも、いっとき収斂する界(さかい)
のような北国の秋晴れの一日。
嫋(たお)やかに、濃く、ひとりの女性の生きざまが
そのまますっと立っているようだ。

*田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月23日(火)-28日(日)
 am11時ーpm7時
*HOPI展ー11月9日(金)-11日(日)
*藤倉翼展ー11月20日ー12月2日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




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# by kakiten | 2018-10-25 14:49 | Comments(0)