「ほっ」と。キャンペーン
2016年 12月 23日

白い闇ー茨(イバラ)・戸(ト)(25)

昨日来の大雪。
帰省中の次回展示者森本めぐみさんも飛行機千歳に到着
できず4時間後羽田空港着とSNSに記載している。
乳飲子を抱えながら大変だ。
空も大気も道も白い闇。
昨日慌ててT氏に車をお願いし、灯油を買いに行く。
年末年始の森本展も控え母子の為にも暖房切らす訳には
いかない。
支払金額を聞いて、あっと驚く。
前回より20円近くも高い。
何時の間にか値上がりだ。
外界も真っ白なら、懐も頭も真っ白。
内も外も白い闇・・・。

今冬はドカ雪が早い。
もう二度目である。
夏暑く、冬寒い。
この寒暖差が年々激しくなって、自然の野生が荒々しい。
両極の境(さかい)の層が薄くなっている。
自然も社会も中間層が磨滅しだしている気がする。
現象ー実体(媒介)ー本質の、実体(媒介)という世界が
省化されると、世界は両端に引き裂かれ閉塞してくる。
車速ー新幹線化する社会構造の最速方向化。
高度化ータワー化する高度方向化。
人間の眼も耳も情報の最速を向き、手足の行動様式も速度の
高速化を求め出す。
中間の緩い過程が喪われて、爪先立った浮き足構造だ。
自然から春・秋の中間・媒介の時が磨滅して、夏・冬の両端
が鋭くなっている。
国家主義が台頭して、国際主義が交代する。
トランプ・プーチン的指導者が、増えてくる。
産地偽装、杭打ち偽装、基礎研究軽視、豊洲移転の空洞発覚、
鉄道の基本点検偽装、・・・
近代化最速化の空洞・実体(媒介)の百年の空洞化が、あら
る分野で露出してきている。

糸魚川で大火災のニュースが流れる。
古い町。
路地が多い。
そこを強風が飛び火し、ビルを飛び越え同時多発火災。
空襲に遺された古い中通り・小路・路地裏が、今度は
自然の野生・強風で燃えあがり消える。
高層ビル化で消えた人間社会の裏通り構造が、自然界にも
飛び火して強風災害で路地が消える。
中間・界(さかい)の磨滅した両端が幅をきかせ始め、
世界は揺籃しはじめている。

白い闇の向こうに見える世界・・・・。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展ー12月30日ー1月3日:2日休廊
 am11時ーpm5時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

# by kakiten | 2016-12-23 14:57 | Comments(0)
2016年 12月 20日

寒気湧くー茨(イバラ)・戸(ト)(24)

定休日で一日閉じた画廊は、水道こそ凍結していない
が、家屋全体が寒気廊・・・。
今年は特に、まだ12月だが寒さが堪(こた)える。
積雪も早いし、気温も低い。
足元から寒気が湧いてくる。
夏と冬が二極化し、春・秋が省短化し温暖化・寒冷化
が進んでいる気がする。
この何年か根雪になるのは、クリスマスの頃だった。

心も体も内向きになり、身を固くしてパソコンに向かう。
東京のI氏からメールがある。
先日Tさんが見えた時東京へ行きI氏と会って私の話
となり、陣中見舞いをふたりで贈ろうと特殊栄養食品を
届けてくれたのだ。
そのI氏へ御礼のメールの返事だった。
そういえばちょうどTさんが見えていた時、旭川井上靖
文学館の仕事を終えた帰京直前の吉増さんから電話が来た。
その後封書便が届き、群像1月号掲載「火ノ刺繍」コピー
とブルータス今号掲載のコピーが同封されていた。
明年4月の展示に向けて、怪物君草稿・GOZOCINE
GOZOFAX・GOZOTEL・GOZOLETTER
と集中している。
私は寒気廊で身を縮め、応えが遅い・・出ない。
I氏とTさんからの暖かい贈り物、吉増さんの熱い投げかけ。
通院と寒気に身を縮めている場合ではないと、
心を奮い起こす。

デモ寒イナア~、今日モ・・。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日:2日休廊
 am11時ーpm5時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

# by kakiten | 2016-12-20 14:29 | Comments(0)
2016年 12月 17日

寒気の縦軸ー茨(イバラ)・戸(ト)(23)

一面白の世界、寒気が鋭い。
道が小さな山・谷を刻んでいる。
両脚の間は山になり、踏みつける足裏の部分は
谷となる。
山の傾斜に滑り、谷へと足が奪われる。
時に道が雪除けの山で塞がれ、車道へと追い出される。
すると自動車のゴムタイヤで磨かれたツルツル路面が
足を奪う。
そして車が背後から近づく。
移動の横軸が自然の寒気の縦軸に足止めを受けている。
踵の重心を垂直に心懸け地に降ろさなければ、道は転倒
の危険に満ちている。
本来、風景の天地の垂直軸の中を五体五感の重心と共に、
爪先・踵交互に踏み締めながら歩くのが人間の姿なのだ。
都市ではそうした人間本来の歩行リズムが消えて、移動の
<移ル>エネルギーが主となり支配している。
身体外の資源消費エネルギーで眼も耳も体全体がエレキ漬け。
身体機能は操作と確認だけの受動体だ。
従って人の行動パターンは、機械や電波の速度に深く類似し
ている。
その行動は、速い・遅い、新・旧二元論的価値を纏い、利便性
・効率性を伴って、終わりなき比較価値観レースの滑り台。
<最速・最新>を金科玉条とする世界は、描き割りの舞台風景・
空洞の張り子のようだ。
すでに街の風景はそうなっている。
記憶の垂直軸に残らない種々ショップ・建物の消去は、日常の
ありふれた風景だ。
都市からは、故郷の<故>も<郷>も消えている。
<故(ゆえ)>という踵(かかと)のアキレス腱が、現象だけ
の新旧転換に滑って切れているからだ。
空洞化の進む、故(ゆえ)というアキレス腱の切れた世界。

凍てついた滑る路面は、自然という神からの囁きのような警告
とも思える。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日
 am11時ーpm5時:2日(月)休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

[PR]

# by kakiten | 2016-12-17 16:01 | Comments(0)
2016年 12月 16日

寒中の訪問者ー茨(イバラ)・戸(ト)(22)

日中も氷点下を下回る凍える日。
ふらりとひとりの男性が入ってくる。
30歳前後だろうか、川俣展をじっくり見ている。
声をかけ話すと大阪から来たという。
そして愛知トリエンナーレで多くの作家に会い、
みんなからここの話を聞いて訪ねて来たと言う。
奥の談話室に誘い、お茶などを出してさらに話した。
博識な人で、すぐに談話室に置いてある作品にも
目を付け、これは戸谷成雄さんの作品ですね、と
木彫の作品の一部を指さした。
さらに鯉江良二さんの話、大野一雄の話と続く。
私はすっかり嬉しくなり、戸谷さんの資料や鯉江さん
の作品、大野一雄の石狩河口公演ドキュメントの本等
を見せた。
壁に貼ってある界川遊行のポスターにも興味を示した
ので、一部贈呈する事にした。
訪問の記念である。
すると大野さんのドキュメント本は購入してくれると
言うので、その時のポスターも添える事にした。
とても喜んでくれ、かって車椅子で公演した大野さん
を大阪で見た事も話してくれた。
愛知トリエンナーレで出逢った作家の話以外は多くを
語らぬ人だったが、帰った後芳名録を見ると住所は記載
なく名前だけが記されていた。
これは画廊を廻る作家によくある記載で、訪問者もなん
らかの美術系の作家のような気がした。
わざわざ大阪から此処を目指して訪ねてくる好奇心は、
そういう類の人である。
石田尚志、大木裕之、湊千尋、岡部昌生、鯉江良二等
愛知トリエンアーレ組の話や東京竹橋の吉増剛造展も
見た話もした。
寒気厳しい中、他に訪れる人もなくこの方だけがこの日
深く印象に残った訪問者だった。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日まで。
 am11時ーpm5時:1月2日(月)休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


[PR]

# by kakiten | 2016-12-16 13:25 | Comments(0)
2016年 12月 15日

年末・年始へー茨(イバラ)・戸(ト)(21)

なんとガラス作家高臣大介と美術家森本めぐみが同じ誕生日
と今日初めて知った。
そういえば熱く奔放な表現力は似ているかも知れない。
今年年末から翌年年始にかけて展示される森本めぐみ展。
出産5ヵ月後の福井県鯖江市からの里帰り初展示である。
タイトルは「百年の予定」
「野傍の泉池」ガラス千本を目指す高臣大介の壮大な
ライフワークとどこか共通する眼差しである。
出産・育児の日常から、百年先の未来を見詰める。
見えない泉の一滴の滴から、怒濤の大河を創造する。
そんなふたりの熱い想いが伝わってくる気がする。

吉増さんの臓器の海のような修羅場の作品といい、
森本、高臣さんの個々の生活に根差した美しい修羅場
が、この場でまた掛け替えのない時空を生む。
ギャラリーとは、そうした戦場の美学の屹立する場なの
かも知れない。

作家達の返り血を浴びて獅子奮迅。
私もまた、自分の戦場で戦い続ける。
そんな年末・年始だなあ、・・・。

そして私の勘違いによる訂正。
「石狩河口/坐ル ふたたび」展は、2011年12月
開催だった。
3・11の前と思い込んだのは、吉増さん訪問の2010
年12月<里帰り展示>という発言を記憶していたからだ。
予兆としては間違いなく3・11の4ヵ月前に個展予告は
あったのだけれど、実際には翌年末に第一回展が開かれ余位
さんの訪問も実現したのである。
森本めぐみさんの里帰り展にも刺激され、吉増発言を確認する
中で確認した次第である。
竹橋の美術館誌「現代の眼」にも誤って記載してしまった。
思い込みとは恐ろしい。
この時のDMも何故か年数記載が省かれて、会期が日数だけの
記載となっていた事も思い込みに拍車をかけたようだ。
しかし間違いもなく、詩人は予感するように3・11前に
「石狩河口/坐ル ふたたび」を予告していたのだ。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日:2日定休。
 am11時ーpm5時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

# by kakiten | 2016-12-15 12:46 | Comments(2)
2016年 12月 13日

臓腑活性・吉増剛造ー茨(イバラ)・戸(ト)(20)

吉増剛造さんより新たな「怪物君」草稿と経過を撮影したDVD
が送られて来る。
ひとつの草稿(草画・・)に一枚のDVD。
これまで今回のも入れて、3本になる。
明年4月の展示まで、これは続く予定だ。
晶文社吉本隆明全集3の月報の校了コピーと群像1月
号掲載の全文コピーが添えられていた。

「ネオ怪物君」は今年6月の竹橋・東京国立美術館展示を経て、
さらに奔放・自由・凝縮している。
吉本隆明の日時計詩篇、言語にとって美とはなにか、親鸞論等
の筆写が吉増剛造の全身思考・五臓六腑の咀嚼によって、消化
・分解・吸収の内臓の海のように生々しく拡がる。
吉本隆明・戦後近代の固い種を全身感性で舐め咀嚼し揺籃して
いるのだ。
言葉の解釈や批評の域ではもうない。
思考が臓器と化し、より直で、より五感化した”ウッソー!、
ホント!”のように内臓感性視界・究極の全身感性の仕業だ。
五臓六腑、いや六蔵六腑、すべてが草稿にのたうち、揺籃し
ている。
そして<顕チ現ハレ>て来る吉本隆明の二行・・。

 にんげんは再び穴居して
 かぎりなく視なければならぬ

 (「沈黙の言語」吉本全集月報)

 筆・写・稿は、表・裏に親友からの葉書、自らの草稿の残欠を
 襲ね重ねて、・・・次第に紙は重くなり、・・・彫刻化・・・と
 いうよりも、重く重くなりはじめて六五八葉(11月15日現在)
 に達している。
 (同上)

と記された吉増剛造のこの作業は、正に、
<穴居して かぎりなく視なければならぬ>行為の一端を伝える。
送られてきたGOZOCINEにはその過程が写刻されている。
戦後近代に聳え立つ吉本隆明への「大病院脇に聳え立つ一本の
巨樹への手紙」は、吉本作品・草稿への<筆・写・稿>を経て、
全内臓・咀嚼・消化のような全身行為として顕されている。
折り畳まれた血の滴るような「怪物君」草稿を手にして、しばらく
感受していたのは、これは吉増さんの想念・思考の内臓そのもの、と
いう実感・感触だった。
明年4月までどう、この内臓達を開いてゆくか・・、

・・・穴居してかぎりなく視なければならぬ・・・

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日:2日休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

# by kakiten | 2016-12-13 15:07 | Comments(0)
2016年 12月 11日

石狩・みちゆきー茨(イバラ)戸(ト)(19)

現代詩手帖今月号の鈴木余位さんの文章を何度も
読み返しながら、やはり大野一雄の「石狩・みち
ゆき・大野一雄」の舞踏公演をトニカのように
思い返している自分がいる。
大野一雄が舞踏を志したアルヘンチーナ。
その亡霊になる最後のステージ。
鮭の生と死、そして誕生の舞踏の後、アルヘンチ
ーナの白い衣装の亡霊は、仮設の板張りの舞台(
この世)から、河口の水(あの世)へと入ってゆく。
雲間より夕陽の煌めく中、水中に身を置いた大野一雄
は入魂の舞踏、水浴び、生への賛歌を全身で表現する。
そして終幕。
そこからだ、ずぶ濡れの衣装のまま舞台へと這い上がり、
観客の為に自ら二曲のアンコールを踊るのだ。
南の島の曲「エストレリータ」と「ラ・パロマ」。
北の晩秋に近い夕暮れ。
冷たい水中のあの世から、仮設舞台のこの世へと戻ってきた
大野一雄は観客の為にもう一度生の賛歌を全身で表現する。
そして感謝の挨拶。
何度も言葉を継ぎ、場と人と風景に感謝した。

 場よりも、あるいは、時。
 発生ではなく、あくまで再生として。
 大野さんの舞踏のよう。
 ふたたび、ふたたび、と
 ステップのよう。

吉増剛造の2011年12月の「石狩河口/坐ル ふたたび」は、
3・11を経て2012年「ノート君ー古石狩河口から書きはじ
めて」で「怪物君」へのステップを歩み出す。
ここでも「石狩河口/坐ル」は・「古石狩河口」へと再度の
<ふたたび>がある。
大野一雄の戦中・戦後を経た日本近代の深い舞踏への<ふたたび>。
そして鈴木余位の一度封印した8ミリ映像への<ふたたび>。
大野一雄ー吉増剛造ー鈴時余位には、<ふたたび>のトニカが、
<場よりも、あるいは、時。発生ではなく、あくまで再生として。>
、今をステップしていると思える。

私はただただ、この3っの優れた美しい星の、それぞれの再生に、
立ち会えた幸せを、限りない感謝と喜びに感じている。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」展ー12月30日ー1月3日:1月2日休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




 
[PR]

# by kakiten | 2016-12-11 13:14 | Comments(0)
2016年 12月 09日

再生と祈りー茨(イバラ)・戸(ト)(18)

磁場が深く澄んでくる。
すると星たちが光を放ち出す。

 大野さんの舞踏のよう。
 ふたたび、ふたたび、と
 ステップのよう。

  その時そんなこととはつゆ知らず、大野ヴィデオ
 を見た興奮をひきずったまま「燃え上がる銅板小屋」
 (2010年吉増展「石狩河口/坐ル ふたたび」)
 で、封印していた8ミリフイルムカメラを踊り廻した。
 わたしも知らずに、ふっ、と息を吐いていたのだ。

     (鈴木余位「怪物君、テンポラリー君」より)

鈴木余位さんが、多摩美卒業制作後封印していた8ミリ
撮影復活の記述である。
2011年3・11の4ヵ月前、吉増剛造は予感のように、
「石狩河口/坐ル ふたたび」展を開いた。
それまでの打刻された銅板全てを持ち込み、河田雅文の
見事な展示協力で、吹き抜け、窓際すべてに打ち抜かれ
た銅板が展示された。
昼は外から入る陽光が、銅板の撃ち抜かれた裂け目を通り
美しい光を煌めかせていた。
夜は照明の光が、打刻された文字の影を漏らしていた。
「燃え上がる銅板小屋」とは8ミリフイルムで鈴木余位さん
がこの時撮影した映像作品のタイトルでもあるのだ。

 場よりも、あるいは、時、発生ではなく、あくまで再生
 として、大野さんの舞踏のよう。
 ふたたび、ふたたび、とステップのよう。

この繰り返される<ふたたび、ふたたび、>こそが、星の
再生と感受する。
事実余位さんは8ミリフイルム撮影をこの時復活させたのだ。

磁場が深まり星達が輝き出す。
そして星座のように小さな宇宙が生まれる。
3・11の前年12月、予兆のように吉増剛造展「石狩河口/
坐ル ふたたび」(2010年12月1日~31日)が始まる。
「ノート君」(2012年12月11日~1月13日)「怪物君」
(2013年12月14日~1月5日)の前夜である。

 ・・時、発生ではなく、あくまで再生として。
 大野さんの舞踏のよう。
 ふたたび、ふたたび、とステップのよう。

余位さんの文章は驚くほど吉増さんの<ふたたび<>と共振しな
がら、自らの再生も語り繋いでいる。
一つ一つの星の運命が大きな災厄・不幸をも予感し再生への祈りを
予感させるのだ。
石狩河口からの引用・・・。

 車体のほとんどを雪に埋めた廃バスに割れた窓から転がり込み、
 なぜかそこにあったのかわからない木槌を握ってじっと耐えた。
 しばらくすると吹雪も止み、木槌で雪を叩いたりして、わたしは
 やっと石狩河口に坐った。そこで8ミリを廻した。撮影する姿勢は
 祈りのそれに似ている。あまりにも無防備でそれ故に堅牢でそれ故
 に限りなく孤独だ。

この<祈り・無防備・堅牢・孤独>こそが、星の姿そのもののように
私には思える。
吉増剛造の「怪物君」の仕事と共に・・・。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日:2日(月)定休

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

# by kakiten | 2016-12-09 15:03 | Comments(0)
2016年 12月 08日

星・座ー茨(イバラ)・戸(ト)(17)

個々の生命の炎が熱く凝縮し燃え上がる時、
星のように燦めき輝くような気がする。
鈴木余位さんの文章に、それを感じる。
私が「現代の眼」の原稿執筆過程で拘ったのは、
そうした個々の星の輝きのような力だった。
その星のひとり鈴木余位さんの輝きが強い光を
今放っている。
私は6年間5回に渡る吉増剛造展に関わった
それぞれの星の力を記録して置きたかった。
今にして思えば、それは叶わぬ無謀な思いだった。
本人しか語り得ぬ個々の根源的な質量がある。
ブンタには、活字職人酒井博史さんの・・・。
マサさんには、スタイリスト河田雅文さんの・・・。
中嶋さんには、津軽人中嶋幸治さんの・・・。
山田さんには、歌人山田航さんの・・・。
村上さんには、花人村上仁美さんの・・・。
そして余位さんには、映像作家鈴木余位さんという
星の質量がある。
その星々の質量・光が集まって吉増展示星雲となり、
同時代大野一雄・吉本隆明銀河となって、6年間の
吉増剛造展「怪物君」を創出し続けたと思う。
そして今、個々の星が光を発し始め出している・・・。

私は、最後に刻まれた一文に胸が熱くなっていた。

 テンポラリースペース”入口”ガラス戸にはtempo
 rary spaceという切文字があり、その上に
 小さくconと、ある。
 その接頭語はラテン語で「共に」、そして時に「強調」
 を意味するという。バラバラな一時(個人)の集合した
 同時代(超時代)を放射する箱でありながら、時には
 何人たりとも寄せつけぬ純粋な一時(孤独)ともなる。
 ここに集う”時”にわたしは偽りを感じない。わたしは
 こんなしあわせなspaceを他に知らない。それは
 「怪物君」そのものものではないかな。だからわたしは
 それがすきなのだろう。そうなのだろう。
 
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日
 am11時ーpm5時:1月2日(月)定休。

 TemporarySpace札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503 
[PR]

# by kakiten | 2016-12-08 16:11 | Comments(0)
2016年 12月 07日

マンゴーアイス寒・暖ー茨(イバラ)・(ト)(16)

煙草を切らして、近くのコンビニまで買いに行く。
店内でふっと以前から気になっていたマンゴーアイス
が目に付き衝動買いした。
零下10度に至ると予報された大寒気で、路面はツルツル
外はひどい寒さだった。
テンポラリーに還り、ストーブの前でマンゴーアイスを
食べる。
暫くして急に吐き気に襲われた。
トイレで4,5回戻した後ふらふらして椅子に寄りかかり、
ストーブにへばりついた。
意地汚く寒い中アイスなど齧り付いたのを悔やむ。
ふらふらしていると、ちょうどMさんが来て今月出たばかり
の「現代詩手帖」12月号に鈴木余位さんが書いてるよ、と
見せてくれる。
「怪物君、テンポラリー君」と題するテンポラリースペース
吉増剛造展についての文章だ。
一読し、それまでの寒気・不調が吹き飛ぶ気がする。
「石狩河口/坐ル ふたたび」20010年12月初めてこの
地を訪れその後ニューヨーク・トルコ留学した2014年を除
き残り吉増展全てに関わった記録である。
そこには私との最初の目黒での出会いから、各年での吉増展
とこの場所テンポラリースペースでの深い友情と愛が刻み込
まれていた。
今年6月の東京国立近代美術館情報誌「現代の眼」で、私が
書き込めなかった部分が、当事者のひとりである鈴木余位さ
ん自身が、見事に文章化してくれていた。
私が「現代の眼」で一番苦労したのは、この6年の記録と吉増
さんの抱える本質的主題近代というふたつのテーマだった。
吉本隆明と大野一雄を軸にしたふたつの近代というテーマには、
少し触れられた物の、身近な鈴木さんを初めとする酒井博史君、
中嶋幸治君、河田雅文さん、村上仁美さん、山田航さん達のこの
6年間の参加・協力をどう文章化し記録するかは、吉増剛造の
未踏の表現展開との関わりで非常に重要な位置をまた別軸で占め
ていたので字数制限の中同時に書き込むのに苦慮したのである。
吉増展のこの地での意義から一見私的な友人達との関わりは、
私には近代という大テーマと同じ位外せなかった。
結果1600字の字数制限枠内で充分に書き込めず、無念の
結果と成った。
その無念の部分を今回の鈴木余位エッセイは、見事に埋めて
自らが参加し、人に場に共感した名文となっている。
私が感じている以上に近い第三者の鈴木さんの方が、余程深く
この場とこの場の友人たち、そして私についても深く見詰め
感動的に綴っている。
以前の「文学界」(2013年10月号所収)の山田航さんの
名文といい、今回の鈴木余位さんの名文といい、身近で親しい
若い友人たちの驚くべき心眼力である。
私は感動し、それまでのマンゴーアイス寒気ショック症候から
急に暖かな南のマンゴーの風に触れている気がした。

余位さん、感動しました。
感謝です。ありがとう・・・。

*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日
 am11時ーpm5時:1月2日月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

# by kakiten | 2016-12-07 13:50 | Comments(0)