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2017年 04月 21日

ざっくりと粋で、ふんわりと品良くー暗渠(11)

八木保次・伸子さんを思い出しながら、ふたりの人柄・絵画
を重ねて、訪ねてる人の感想・想い出話を聞いていた。
保次さんのざっくり粋な人柄、伸子さんのふんわり品良い人柄。
それはふたりの絵画にも反映していて、訪ねてくれた人たち
の話にも映し出されていた、
冥土から訪ねてきた薩川先生、まっちゃんにもそれを今感じ
ている。
<ざっくり>は、化学教師の側面に、<粋>は現代詩の言葉
の切り口に。
伸子さんには今回初見の「札幌大通り公園ーリラの咲く頃」
の原風景世界に、淡く品良い人柄を改めて感じていた。
僅か数百mの札幌の生い立ちの違いに、札幌モダニズムの
豊かな土壌を思うのだ。
保次さんのご母堂敏さんの優れた俳人・華道人としての面影
も、<ざっくり、粋>で美しい女性だった。
薩川益明先生は青年時このお母様に俳句を学んでいたという。
一方伸子さんのご母堂は、松本春子という書道の大家で、かな
文字書道で一世を風靡した方である。
そうした札幌のふたつの文化土壌の内からふたりのモダニズム
は生まれている。
保次さんのススキノ・中島公園界隈の土壌に、三岸好太郎・
郡司正勝・薩川益明等の芸術・文化人の系譜があり、伸子
さんの大通り・時計台・豊平館ゾーンに松本春子・伸子母娘
の芸術家の系譜があるような気がする。
百年に満たない明治・大正の札幌という都市空間には、かって
そうした今だ解明されていないモダニズム風土の歴史が睡って
いるに違いない。
江戸が東京と名を変え、江戸城が皇居と変わって西洋化という
近代の中心に東京が変貌した時代、その時札幌はより純粋培養
的に西洋化という都市モダニズムを蝦夷地の中心に構築された
経緯があるように思う。
江戸抜きの純粋モダーン東京化である。
その精神土壌が八木さん夫婦のような明治蝦夷地二世の世代に
花開いてあったように思える。
都市を支える精神風土、粋・ざっくり・上品・淡さの心意気が
三世以降の我々にはもう喪われつつあって、只のリットル東京
化の風俗化でしかないようだ。
八木家、松本家・薩川家の書道・華道・乳業の新旧生業の上に
それぞれの子のモダニズムが裏打ちされている。
現代はその土台が空洞化して人口という都市化の増幅のみが
拡大化して今が在る。
東京も江戸という土台土壌風化の上に、メガロポリス東京圏
がある。

八木保次・伸子展を透して、あらためて札幌という都市の革新
性そのモダニズムの行く末に思いを巡らしている。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月23日(日)まで。
 am11時ーpm7時:金曜日午後3時閉廊。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月9日ー28日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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# by kakiten | 2017-04-21 14:59 | Comments(0)
2017年 04月 20日

札幌モダニズム{Ⅲ)ー暗渠(10)

薩川先生の資料を見ていて、色んな事が想い出される。
几帳面な文字でびっしりと書かれた葉書・手紙の束。
そして地名の考察の原稿類。
特に地名の考察には自らが暮らす場所への深い関心が
土地に根を下ろすようにその眼差しが届いている。
手元にあったのは「丘珠考」「篠路考」「烈々布考
「礼文華考」「オシャマンベ考」の5本だ。
「篠路考」と「烈々布考」「丘珠考」は札幌の東北部
に残る地名で、「礼文華考」と「オシャマンベ考」は
晩年過ごした道南の長万部地域の地名である。
化学の教師職を生業とし、現代詩の書き手でもあった
薩川先生のモダニズムのもうひとつの営みが見える。
それは生きている場という土地への眼差しだ。
晩年過ごした長万部では郷土史家として知られていた
と聞く。
戴いた4本の地名考を読み返しながら、その分析力に
化学者としての側面を、アイヌ語を媒介とする言葉へ
の深い関心に詩人としての側面を両方感じながら、なお
かつ、その近代思考のモダニズムを今生きている土地に
根差そうと意思する深い思いも同時に感じていた。
ススキノ界隈で生まれ牛乳配達をしながら苦学し、化学
を専攻し詩人ともなった人の先鋭なモダニズムの根を
最後は自分の生きる土地、札幌と長万部の地に根付かせ
るように地名への想像力と分析が赴いていたような気が
するのだ。

八木保次・伸子展の二日目に届いた薩川先生の訃報。
やっちゃん、まっちゃんと呼び合っていたふたりのモダ
ーンボーイ。
ひとりは地名考という形で故郷の足元に言葉の根を張ろ
うとし、ひとりは故郷の光彩を絵画に根付かせようとした。
ともに私達が真摯に受け継がなければならない、真のモダ
ニズムの系譜・財産であると思う。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月23日(日)まで。
 am11時ーpm7時:都合により金曜日午後3時閉廊。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月9日ー28日

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# by kakiten | 2017-04-20 16:18 | Comments(0)
2017年 04月 18日

札幌モダニズム(Ⅱ)ー暗渠(9)

今回の「彩」八木保次・伸子展では、初見の八木伸子
「リラの咲く頃ー札幌大通り公園」と題された作品に
惹かれる。
淡い色彩にTV塔と新緑の大通り公園が描かれている。
所有者の高橋均さんの話だと亡くなる1年程前に描か
れた作品という。
大通り公園を取り巻くビル群は淡い色彩に霞んで、新緑
の清んだ緑が風景を包んでいる。
そして左下に女性と思しき人を抱き上げる男性が描かれて
いて、その姿は保次さんのようにも見える。
とすると、抱きあげられて宙に浮いている女性は伸子さん
だろうか、と想像する。
札幌という街への伸子さんの愛を感じさせる一点だ。
この場所から南へ200m程の所の松本医院で生まれた伸子
さんの札幌の原風景なのだろう。
保次さんの生まれたさらに南へ数百mのススキノとはまた
違う札幌の街の原風景なのだ。
都心の中央を東西に貫く大通り公園。
南に広がるススキノ遊興街と寺社、川、池の広がる中島公園。
その界隈の風土性の相違は、伸子さんのこの絵画にも色
濃く出ているような気がする。
私自身も伸子さんと同じ界隈で生まれ育った所為もあって、
幼少期の原風景のひとつが大通り公園界隈である。
その大通り公園を初夏の煙るような緑とふたりの男女、
エッフェル塔のような鉄塔とともに描いた伸子さんの晩年
の札幌への愛とロマンを思うのだ。
保次さんは、晩年暮らした札幌西部・宮の森の自然が保つ
色彩に自らの絵画の彩(いろ)を見続けた。
乱舞し奔放に描き続けたその絵画の原点には、祈りと遊興の
ススキノ界隈の風土があったのかも知れない。
伸子さんの場合には大通り公園に象徴される整備された街の
気品のようなロマンが潜んでいる。
自然風土に根差した色彩のモダニズム、
時代社会に根差したロマンのモダニズム。
一方は抽象で一方は具象と生前分けられていたが、
さらにいえばシテイとタウンのような街の風土の
相違もあったのかも知れない。
しかしふたりが故郷で再発見し見詰め追い求めて
いたものは、その風土が育んだ独特の彩りという
光・色だったと思う。
大通り公園を柔らかく抱くように描かれた新緑の緑。
その色彩こそが故郷で発見した初夏の彩(いろ)と思う。
今回展示された保次さんの乱舞する桜吹雪のような作品も、
一気に多くの花が開花する札幌の5月の花宴を想起させる。
藻岩山を望み大きな池と川が流れ三社の神社が囲む中島公園。
それに繋がる飲食街と多くの寺社を擁するススキノ。
大通り公園とはまた違う札幌モダニズムのもうひとつの街原
風景なのだ。
誕生して百余年の札幌という都市が抱き育んでいた近代と
いうモダニズム。
その原風景をふたりの絵画は、愛おしむようにその根を
深く抱いて、今在る。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月23日まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休・都合により水・金
 午後3時閉廊。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月9日(火)ー28日(日)

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# by kakiten | 2017-04-18 15:22 | Comments(0)
2017年 04月 15日

札幌モダニズムー暗渠(8)

薩川益明先生の訃報を聞いてから、窓辺の側壁に先生と
保次さんの談笑の写真3葉をそっと飾った。
届いた訃報の葉書とともに。
雑然とした保次さんのアトリエ。
そこでふたりが、膝を叩き身を乗り出すようにして談笑
している。
ふたりの風貌が甦る。
ダンデイーだ。
ススキノに近い中島公園界隈で生まれ育ち、ひとりは
抽象画家となり、ひとりは化学を専攻し教師となった。
ススキノ風俗とはまた違う知的モダーンな近代の分野
である。
その所為かどちらもダンデイーで格好良かった。
先生は俳優のチャールトンヘストンのように鋭い風貌で
保次さんはスラリとした容姿でフランスパンを片手にし
、それが嫌味無く似合う人だった。
そういえば、同じススキノ生まれの三岸好太郎もダンデー
で、かつ私の母校の早稲田大学名誉教授だった郡司正勝
先生も粋(イキ)な人だった。
ススキノにはそうしたパリのモンマルトルのような遊興
街でありながら、芸術家の系譜があるような気がする。
薩川先生の書く詩も当時高校生だった私にはキラキラと
眩しかった。
化学の教師である先生の語彙は、文科系の当時の詩の
語彙と異なり鋭角的で乾いていて新鮮であった。
先生の風貌と重なり、遠く畏敬の念を保って高校時代
は接していた気がする。
後年長万部に移られた先生と一緒に札幌を歩き廻るよう
になり、町の牛乳屋さんの息子さんと知ってから、その
畏敬の距離は縮まり、同じ札幌っ子として旧き札幌の道
を探索したのだ。
そして今思う。
私の生まれ育った札幌とは違う札幌の土壌を見ていた気
がするのだ。
距離は近いけれどモダニズムの見る先が、より自由で粋
(イキ)で個性的だったと思える。
そして晩年は自分を育てた札幌の風土を心より愛していた
という事だ。
郡司先生も晩年は円山の神社山近くで暮らされ、八木保次
さんは宮の森の奥三角山麓で暮らしていた。
薩川先生は長万部から出てきて、私と札幌・石狩を歩き廻
った時間はとても楽しそうで、それは札幌への愛と思う。
寺町・神社の祈りと遊興の自由が併存するススキノ・中島
公園という風土。
そこから生まれた3人のモダニズムは、化学と現代詩、抽象
絵画、歌舞伎・演劇へと向かっていたのだ。

晩年札幌を離れ、長万部・金沢で過ごされた薩川先生は、き
っと月一回の札幌探訪歩きを楽しみ、嬉しく思い出していた
に違いない。
2年以上金沢で闘病生活を送られた先生に、保次さんとの談笑
の写真を捧げて、サッポロモダーンボーイに心より愛悼の意を
捧げます。

合掌。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・なお都合により水・金は
 午後3時まで。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月初旬予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-04-15 14:23 | Comments(0)
2017年 04月 14日

薩川益明さんの死ー暗渠(7)

高校時代化学の教師だった薩川益明先生が亡くなっていた。
金沢に住むご長男の方から訃報が届いた。
4月7日没、享年92歳。
私は大学を出てこちらに戻りそれからの方が、先生とは
親しくなった。
長万部に移住していた先生だが、札幌南部中島公園近く
牛乳屋さんに生まれた先生は札幌への想いが深く、今展示
中の八木保次さんとも幼なじみで、やっちゃん、まっちゃん
と呼び合う仲だった。
そんな事もあり当時の私の札幌再発見の旅に付き合ってくれ、
集中的に歩く行動を共にしてくれた。
界川の道、琴似街道、茨戸街道、石狩海辺の古道、琴似川
源流行等々・・、先生の幼少・青年期の記憶の道を新たな発見
とともに歩き廻った事を思い出す。
科学者でもあり、詩人でもあった薩川先生はアイヌ語にも堪能
で、レップというアイヌ語の日本表記烈々布の地名の解釈で私
と違う想定で意見を闘わせたりもした。
先生と私の他に若い美術家O君も参加して、歩いた風景の記憶
をふたりの作品にして展示会を開いた事もある。
不思議な事に八木さんの資料とともに、その時のふたりの
展示した合作小冊子が出てきて、何と言う事なくそっと八木
資料の傍らに置いておいたのだ。
その時は先生の死はまだ知らず、先生とO君が十二軒通りを
経て奥三角山から麓の八木アトリエを訪ねた時を思いだした
からである。
その時の。”やっちゃん、まっちゃん”と談笑しあう写真が遺
されている。
先生は本当に嬉しそうだった。
教師生活も札幌向陵中学、西高と長く、晩年は長万部に移住
しそこで奥様を看取りその間長万部から札幌を訪れ、幼少期、
青年期のよく知る札幌界隈を私とともに歩き廻った。
そのハイライトのように幼馴染みの保次さんと会っている。
もうこの時ふたりは昔の悪餓鬼のように無邪気だった。
そしてふたりに教えて貰った旧円山温泉の建物、其処に在った
今で言うキャラルター正っちゃん人形の話とかは忘れられない。
黒沢明のその頃の札幌を背景にした映画「白痴」のクライマッ
クスシーン、厳冬の凍った中島公園池での氷上仮装パレード
その地元の祭の記憶も保っているふたりだった。
夏は夜野外で大きな映写幕が吊られ映画も上映されたという。
その銀幕の裏で遊んでいたよ、とふたりは話していた。
餓鬼大将のやっちゃん、その家来のような年下のまっちゃん。
ふたりの話は止まらなかった。
そんな機会を提供する切っ掛けとなって、札幌の変わり目を体験
していた私にも幸せな時間だった。

先生、
きっと棚の奥から、「彩」八木保次・伸子展に”やっちゃん!”と
声かけながら、堪らず出て来たんですね。
明日から、あの時のふたりの談笑の写真も添えて置きますね・・・。
先生、八木保次さん・・・、 有り難うございました。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:水・金は都合によりpm3時閉廊
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月初旬~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-04-14 14:10 | Comments(2)
2017年 04月 13日

吹雪いてるー暗渠(6)

昨日からの寒気、今日は吹雪・・・。
バーバーリーの襟を立て、マフラーを首に巻き、
身を竦めつつ歩く。
寒の戻り・・・、もっと強烈。
場所によっては積雪もあるだろう・・・。
世の中甘くはない、自然も甘くはない。
春はすんなり来ない。

例年5月に催していた八木保次・伸子展、今年は
4月に開いて雪と遭遇。
冬の年と夏の年の境をテーマに「彩」としたが、
正にその境を行き来するような日だ。
通勤時毎年目安に見ている民家の庭の福寿草。
先日地中から葉と芽が盛り上がっていた。
今日の雪でまた地に身を竦ませている。

6月末に3人展を予定しているIさんとKさん
が来る。
日程とその他の準備の話をする。
話の流れで大野一雄の石狩河口公演の映像を
見せる。
札幌緑の運河エルムゾーンを守る会の運動に
興味を抱きその説明の中で石狩の話題と成った
のだ。
そこへ入口から声が掛かる。
東京のYさんである。
先日訪廊以来でこの時も寒の戻りで初雪のような
前日とは打って変わる白一色の日だった。
今日も白い世界、大野先生の映像を見ている時だ。
先客のふたりが帰り、Yさんたちと札幌国際芸術祭
招待の吉増展の話をする。
札幌国際芸術祭での吉増展を担うYさんは、テンポ
ラリーでの資料は何かないかという。
それならと、1994年の石狩滞在中吉増さんが構成
した「石狩シーツ」の草稿7点を見せる。
「石狩シーツ」完稿前の生々しい草稿である。
しかも展示を意識して構成された現在の「怪物君」
の原形ともいえるものである。
芸術祭の展示場所は北大構内の某場所と聞く。
札幌緑の運河エルムゾーンを守る会のエリアとこの
場所は重なるので、いわば「石狩シーツ」の源流に
あたるこの草稿は深い意味を保つ、と思えた。
「石狩河口/坐ル ふたたび」で始まった現在の
「怪物君」への流れ。
そのさらなる原点が「石狩河口/坐ル」展で生まれ
た長編詩「石狩シーツ」なのだ。
川の水脈・泉を守る意味も籠めて結成された「札幌
緑の運河エルムゾーンを守る会」。
その趣旨が吉増剛造展のコアにしたら良いなあと思った。
どちらかと言えば芸術祭に批判的立場にいる私も、札幌
国際芸術祭の吉増剛造展に協力出来得るか、と思ったのだ。
北大エリアにも国際芸術祭にも収斂されない吉増剛造の
この地から発するコンテンポラリーな仕事の原点だから
である。
ホスト・オモテナシ的国際芸術祭の枠にも勿論当てはま
らない。
2011年「石狩河口/坐ル ふたたび」展から始まっ
た「怪物君」への道。
そのさらなる原点である「石狩河口/坐ル」展の長編詩
「石狩シーツ」。
その苦難の草稿を、石狩河口に流れる源流のひとつである
サクシコトニ川の流域で展示のコアにする事は意味ある事
と位置づけたのだ。
5月ここで7年目の吉増展展示とのけじめのような物が少し
見えてきた気がする。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)-23日(日)
 am11時ーpm7時・月曜定休:都合により水・金曜午後3時閉廊
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月初旬~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-04-13 17:33 | Comments(0)
2017年 04月 12日

光溜まるー暗渠(5)

北風に雪が混じり寒い日。
ギャラリーに着きしばらくすると、明るい陽光
が射していた。
光が溜まっている。
ふたりの絵画に光彩が宿って、春とふたりが微笑
んでいるようだ。
早緑にTV塔の浮かぶ大通公園の伸子さんの絵。
淡彩の大作が透明に美しく輝く。
淡い油彩が初夏の輝く空気感を伝えている。
桜吹雪のような保次さんの大作と相俟って、この
二点は来たるべき暖かい季節を呼び寄せている。
外は冷たい風と湿った雪。
時に光が射して、彩を生じ、色を産んでいる。
緩やかな季節の変わり目、その移ろいを行きつ戻り
つ、呼吸するように絵画が在る。

八木保次・伸子展二日目。
残念ながら今日水曜日と明後日金曜日は午後3時過ぎに
閉じなければならない。
通院闘病があるからだ。
束の間の美しい時間。
作品と対話するのも一期一会。
人生も一期一会。
初日のM氏との再会、そしてその後来たタイ国帰りの
偶然大野一雄フアンだった女性客。
寒の戻りのような雪降る日、
一瞬日が射して廊内は光も人も一期一会。

あるがまま精一杯・一期一会、私も生きてゆく。
会期中不規則な展示時間をお詫びしつつ・・・。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 am11時ーpm7時・月曜定休(都合により水・金曜日午後3時閉廊)
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定

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# by kakiten | 2017-04-12 13:50 | Comments(0)
2017年 04月 11日

寒春・暖春ー暗渠(4)

「彩」八木保次・伸子展初日、懐かしい道新記者
M氏が来る。
今月から文化部担当になったと言う。
大野一雄の1991年秋「石狩の鼻曲がり」以来
だろうか。
八木保次・伸子展初日最初の訪問者が彼とは、
何か不思議な縁を感じる。
大野先生からの見えない応援だろうか。
外は風強く冷たい日だが、心は旧交を温め話が弾む。
25年の歳月が一瞬にして熱い流れのようになり、
ここでの「札幌緑の運河エルムゾーンを守る会」
の話や昨年の東京竹橋・吉増剛造展の話などと
結びついて、話は一気に河口のように凝縮したのだ。
八木保次・伸子さんふたりの遺した絵画の前で
時もまた時を変える。
河口に近い時、源流に近い時。
そこでも川は風景を変える。
M氏と会わなかった時の流れは、河口でその長い距離
を、今に転換し流れていた。
出会いの源流の時間にM氏がいて、河口のような今に
M氏がいる。
八木保次・伸子さんの遺された絵画と同じように、時
の時空が広がっている。
過去もまた同じものではない。
今というフイルターを透して過去も今に存在している。
過去は時空という土壌となって、今を豊かにしている。
心の耕土{カルチャー)。
「彩」八木保次・伸子展初日に相応しい最初の訪問人だ。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 am11時ーpm7時:なお水・金は都合によりpm3時半まで。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-04-11 15:47 | Comments(0)
2017年 04月 09日

界(さかい)を留めるー暗渠(3)

八木保次・八木伸子の作品を並べ終える。
冬の年(mataーpa)夏の年(sakーpa)の境、
界(さかい)の春が流れるように留まっている。
会場左北面には八木保次さんの4点のグアッシュ大小作品。
その真ん中にフキノトウの緑のような厚い油彩の絵画を、
そして伸子さんの福寿草のように輝く黄色・花の油彩を東
正面に配しその右側に保次さんの桜吹雪のような大作抽象
画を置いた。
正面奥の南壁には初夏を思わせる伸子さんの大通公園早緑
風景が佇んでいる。
大小全10点の絵画群。
冬と夏の短いが鮮烈な界(さかい)の世界を留めている。
日々長くなる日没までの西方からの光。
光と共に風も流れ、時も流れている。
光・風とともに絵画達も、彩を移ろって呼吸する。
一日に同じ光はない。
一日に同じ一日もない。
その中で絵画もまた呼吸し生きている。
一瞬、一瞬が緩やかな境(さかい)の世界を刻んでいる。
見えない空気・光が水の流れのように彩(いろ)として
額に縁取りされた小宇宙に佇んでいるようだ。
晩年ふたりが故郷の彩(いろ)を追求した絵画。
それが過ぎゆく短い春の真ん中で、今深く息付いている。
耕土ならぬ耕彩だね、保次さん、伸子さん・・。

作品を提供してくれたご遺族の高橋均さん、小杉山竜一君、
ありがとう。

*<彩>八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日{日)
 火・木・土・日am11時ーpm7時:水・金午後3時半まで。
 月曜定休。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定

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# by kakiten | 2017-04-09 15:12 | Comments(0)
2017年 04月 08日

冬寒春温ー暗渠(2)

暖かい日が続いたと思えば、風強く寒い日が来る。
終いかけたマフラーをまた首に巻き外に出る。
ご遺族の高橋均さん、友人の小杉山竜一君の
所蔵する八木作品が集まる。
過ぎる季節、訪れる季節の一移ろう彩りが一瞬
廊内を満たす。
停滞していた室内の光・空気が脈拍を打ち出す。
風が立ち、細波が生まれ、光が揺れる。
森や川と同じように、場もまた空間が有機的になる。
作品とはそうした時空の誘導を産む風のような存在だ。
展示はその立つ風の、流れを図る事。
資料の図録や新聞記事等を展示し整え、作品の位置
をほぼ決める。
晩冬から桜空まで、時空の彩が流れている。


*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 火・木・土・日曜日am11時ーpm7時:水・金曜日は
 午後4時迄。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー」ー5月予定

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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 月曜定休。
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# by kakiten | 2017-04-08 16:49 | Comments(0)