2017年 04月 13日

吹雪いてるー暗渠(6)

昨日からの寒気、今日は吹雪・・・。
バーバーリーの襟を立て、マフラーを首に巻き、
身を竦めつつ歩く。
寒の戻り・・・、もっと強烈。
場所によっては積雪もあるだろう・・・。
世の中甘くはない、自然も甘くはない。
春はすんなり来ない。

例年5月に催していた八木保次・伸子展、今年は
4月に開いて雪と遭遇。
冬の年と夏の年の境をテーマに「彩」としたが、
正にその境を行き来するような日だ。
通勤時毎年目安に見ている民家の庭の福寿草。
先日地中から葉と芽が盛り上がっていた。
今日の雪でまた地に身を竦ませている。

6月末に3人展を予定しているIさんとKさん
が来る。
日程とその他の準備の話をする。
話の流れで大野一雄の石狩河口公演の映像を
見せる。
札幌緑の運河エルムゾーンを守る会の運動に
興味を抱きその説明の中で石狩の話題と成った
のだ。
そこへ入口から声が掛かる。
東京のYさんである。
先日訪廊以来でこの時も寒の戻りで初雪のような
前日とは打って変わる白一色の日だった。
今日も白い世界、大野先生の映像を見ている時だ。
先客のふたりが帰り、Yさんたちと札幌国際芸術祭
招待の吉増展の話をする。
札幌国際芸術祭での吉増展を担うYさんは、テンポ
ラリーでの資料は何かないかという。
それならと、1994年の石狩滞在中吉増さんが構成
した「石狩シーツ」の草稿7点を見せる。
「石狩シーツ」完稿前の生々しい草稿である。
しかも展示を意識して構成された現在の「怪物君」
の原形ともいえるものである。
芸術祭の展示場所は北大構内の某場所と聞く。
札幌緑の運河エルムゾーンを守る会のエリアとこの
場所は重なるので、いわば「石狩シーツ」の源流に
あたるこの草稿は深い意味を保つ、と思えた。
「石狩河口/坐ル ふたたび」で始まった現在の
「怪物君」への流れ。
そのさらなる原点が「石狩河口/坐ル」展で生まれ
た長編詩「石狩シーツ」なのだ。
川の水脈・泉を守る意味も籠めて結成された「札幌
緑の運河エルムゾーンを守る会」。
その趣旨が吉増剛造展のコアにしたら良いなあと思った。
どちらかと言えば芸術祭に批判的立場にいる私も、札幌
国際芸術祭の吉増剛造展に協力出来得るか、と思ったのだ。
北大エリアにも国際芸術祭にも収斂されない吉増剛造の
この地から発するコンテンポラリーな仕事の原点だから
である。
ホスト・オモテナシ的国際芸術祭の枠にも勿論当てはま
らない。
2011年「石狩河口/坐ル ふたたび」展から始まっ
た「怪物君」への道。
そのさらなる原点である「石狩河口/坐ル」展の長編詩
「石狩シーツ」。
その苦難の草稿を、石狩河口に流れる源流のひとつである
サクシコトニ川の流域で展示のコアにする事は意味ある事
と位置づけたのだ。
5月ここで7年目の吉増展展示とのけじめのような物が少し
見えてきた気がする。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)-23日(日)
 am11時ーpm7時・月曜定休:都合により水・金曜午後3時閉廊
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月初旬~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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# by kakiten | 2017-04-13 17:33 | Comments(0)
2017年 04月 12日

光溜まるー暗渠(5)

北風に雪が混じり寒い日。
ギャラリーに着きしばらくすると、明るい陽光
が射していた。
光が溜まっている。
ふたりの絵画に光彩が宿って、春とふたりが微笑
んでいるようだ。
早緑にTV塔の浮かぶ大通公園の伸子さんの絵。
淡彩の大作が透明に美しく輝く。
淡い油彩が初夏の輝く空気感を伝えている。
桜吹雪のような保次さんの大作と相俟って、この
二点は来たるべき暖かい季節を呼び寄せている。
外は冷たい風と湿った雪。
時に光が射して、彩を生じ、色を産んでいる。
緩やかな季節の変わり目、その移ろいを行きつ戻り
つ、呼吸するように絵画が在る。

八木保次・伸子展二日目。
残念ながら今日水曜日と明後日金曜日は午後3時過ぎに
閉じなければならない。
通院闘病があるからだ。
束の間の美しい時間。
作品と対話するのも一期一会。
人生も一期一会。
初日のM氏との再会、そしてその後来たタイ国帰りの
偶然大野一雄フアンだった女性客。
寒の戻りのような雪降る日、
一瞬日が射して廊内は光も人も一期一会。

あるがまま精一杯・一期一会、私も生きてゆく。
会期中不規則な展示時間をお詫びしつつ・・・。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 am11時ーpm7時・月曜定休(都合により水・金曜日午後3時閉廊)
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503 
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# by kakiten | 2017-04-12 13:50 | Comments(0)
2017年 04月 11日

寒春・暖春ー暗渠(4)

「彩」八木保次・伸子展初日、懐かしい道新記者
M氏が来る。
今月から文化部担当になったと言う。
大野一雄の1991年秋「石狩の鼻曲がり」以来
だろうか。
八木保次・伸子展初日最初の訪問者が彼とは、
何か不思議な縁を感じる。
大野先生からの見えない応援だろうか。
外は風強く冷たい日だが、心は旧交を温め話が弾む。
25年の歳月が一瞬にして熱い流れのようになり、
ここでの「札幌緑の運河エルムゾーンを守る会」
の話や昨年の東京竹橋・吉増剛造展の話などと
結びついて、話は一気に河口のように凝縮したのだ。
八木保次・伸子さんふたりの遺した絵画の前で
時もまた時を変える。
河口に近い時、源流に近い時。
そこでも川は風景を変える。
M氏と会わなかった時の流れは、河口でその長い距離
を、今に転換し流れていた。
出会いの源流の時間にM氏がいて、河口のような今に
M氏がいる。
八木保次・伸子さんの遺された絵画と同じように、時
の時空が広がっている。
過去もまた同じものではない。
今というフイルターを透して過去も今に存在している。
過去は時空という土壌となって、今を豊かにしている。
心の耕土{カルチャー)。
「彩」八木保次・伸子展初日に相応しい最初の訪問人だ。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 am11時ーpm7時:なお水・金は都合によりpm3時半まで。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-04-11 15:47 | Comments(0)
2017年 04月 09日

界(さかい)を留めるー暗渠(3)

八木保次・八木伸子の作品を並べ終える。
冬の年(mataーpa)夏の年(sakーpa)の境、
界(さかい)の春が流れるように留まっている。
会場左北面には八木保次さんの4点のグアッシュ大小作品。
その真ん中にフキノトウの緑のような厚い油彩の絵画を、
そして伸子さんの福寿草のように輝く黄色・花の油彩を東
正面に配しその右側に保次さんの桜吹雪のような大作抽象
画を置いた。
正面奥の南壁には初夏を思わせる伸子さんの大通公園早緑
風景が佇んでいる。
大小全10点の絵画群。
冬と夏の短いが鮮烈な界(さかい)の世界を留めている。
日々長くなる日没までの西方からの光。
光と共に風も流れ、時も流れている。
光・風とともに絵画達も、彩を移ろって呼吸する。
一日に同じ光はない。
一日に同じ一日もない。
その中で絵画もまた呼吸し生きている。
一瞬、一瞬が緩やかな境(さかい)の世界を刻んでいる。
見えない空気・光が水の流れのように彩(いろ)として
額に縁取りされた小宇宙に佇んでいるようだ。
晩年ふたりが故郷の彩(いろ)を追求した絵画。
それが過ぎゆく短い春の真ん中で、今深く息付いている。
耕土ならぬ耕彩だね、保次さん、伸子さん・・。

作品を提供してくれたご遺族の高橋均さん、小杉山竜一君、
ありがとう。

*<彩>八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日{日)
 火・木・土・日am11時ーpm7時:水・金午後3時半まで。
 月曜定休。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定

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# by kakiten | 2017-04-09 15:12 | Comments(0)
2017年 04月 08日

冬寒春温ー暗渠(2)

暖かい日が続いたと思えば、風強く寒い日が来る。
終いかけたマフラーをまた首に巻き外に出る。
ご遺族の高橋均さん、友人の小杉山竜一君の
所蔵する八木作品が集まる。
過ぎる季節、訪れる季節の一移ろう彩りが一瞬
廊内を満たす。
停滞していた室内の光・空気が脈拍を打ち出す。
風が立ち、細波が生まれ、光が揺れる。
森や川と同じように、場もまた空間が有機的になる。
作品とはそうした時空の誘導を産む風のような存在だ。
展示はその立つ風の、流れを図る事。
資料の図録や新聞記事等を展示し整え、作品の位置
をほぼ決める。
晩冬から桜空まで、時空の彩が流れている。


*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 火・木・土・日曜日am11時ーpm7時:水・金曜日は
 午後4時迄。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー」ー5月予定

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
 月曜定休。
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# by kakiten | 2017-04-08 16:49 | Comments(0)
2017年 04月 06日

春の彩(いろ)ー暗渠(1)

八木さんの遺族高橋均さんから連絡があった。
八木伸子さんの姪にあたるお母様が亡くなられたと言う。
遅れていた八木作品選んで明日こちらへ。
母上の死後ご多忙中申し訳ない気がする。
ほぼ毎年この時期に催しているふたりの展示。
追悼の意味もあるが、私の家に遺されていたふたりの絵画
おふたりの死後この2点に触発されたのが一番大きな理由
である。
生前保次さんは抽象、伸子さんは具象と分けられていたが、
そんな事はない。
ふたりが追求したのは札幌の色彩・彩(いろ)だったと
感じたのだ。
だからおふたりの命日に近いこの時期に所蔵するふたりの
色彩・黄と緑の燃えるような彩を基点に、私の知る範囲で
ふたりの作品を所有している人たちに呼びかけ展示を試み
ている。
これまでご遺族の高橋さん、そして友人の小杉山竜一、
平川勝洋の両君が参加してくれた。
かって本屋さんにギャラリーを開いていた小杉山さんは
多くの八木夫妻の絵画を所有していて、その内の何点か
をこれまで展示している。
さらに高橋さんは夫妻の遺された作品を管理し保管して
おられるので、今だ未見の作品が展示される。
今回はお母様への追悼の想いも交えて選ばれると想う。
萌えるような黄と緑の八木保次・八木伸子の彩(いろ)。
これを基調低音にふたりを愛するそれぞれの絵画所有者
がこの短い春の夏の始まりを唱和したい。
そんな気持ちで続けているのだ。

*彩・八木保次・伸子展ー4月11日ー23日
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-04-06 13:19 | Comments(0)
2017年 04月 02日

春という浮き世ー湿地帯(30)

まだ見ていないが、SNSで福寿草の写真が見ら
れるようになってきた。
古いアイヌの人たちが考えた一年は、冬の年・夏
の年という数え方をしたらしいという。
*知里真志保「地名アイヌ語小辞典」
春と秋は夏の年に含まれ、春は夏の年の初め
秋は夏の年の終りである、とも記している。
春秋はふたつの年の境に広がる朧なる界(さかい)
・浮き世と思える記載だ。
私は実感としてこの考えが好きだ。
それは学生時代最初に東京で感じた春の印象に拠る。
春が長い。
梅・桃・桜と春がゆったりと流れている。
それまでの春は、待ち遠しく待つ時の方が長く、それ
は雪融けの汚れた雪道とともにある。
そして桜の開花と共に百花繚乱の夏の年が来る。
この淡く短い冬と夏の界(さかい)のような春を、色
彩で意識させるのは、腐れ雪の汚れた土を割って咲く
福寿草の花の燃える黄彩だ。
札幌の春を象徴する喜の黄彩(きいろ)だ。
モノトーンのグレーの冬世界を割く黄金の黄。
正に冬の終わり、夏の始まりを告げるふたつの界
(さかい)の浮き世の花である。

春とは、微かな気温の変化に期待を込め暖かさを待ち
望む待機の時間が大半だ。
そしてそこに福寿草の喜・黄の花が頂点のように在る。
梅を愛で、桃を愛で、桜を愛でる長い春は此処には無い。
先人古アイヌ民族が考えた冬の年・夏の年という考え方
は、この地の自然と生活に根差した確かな感覚と思う。
見えない界(さかい)の間(あわい)は、空気や光、水
のように、札幌の春という衣装を纏っている。
この自然に根差した源感覚を電気人工エネルギーや東京
カブレの風俗に浸食されてはならない。
そう思う。

*彩・八木保次・伸子展ー4月初旬予定(ご遺族の方逝去により遅延)
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月予定

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# by kakiten | 2017-04-02 15:32 | Comments(0)
2017年 03月 31日

作品の移住ー湿地帯(29)

写真家のT氏が台湾のアートフェアーから帰国し来る。
展示した作品図録を含めすべて売れたという。
その話を聞いて昨年13年ぶりにここで個展をした京都
在住のK君が今年ドイツで作品すべて売れたという話を
思い出した。
作品には作品が根付く国がある。
ふたりはそんな国を見つけたのだという気がした。

T氏の作品は8ミリフィルムのワンシーンを定着した
淡く朦朧とした画調の写真作品である。
しかしその切り抜く構成は剛直で明晰な力を秘めている。
この作品の二重の秘めた魅力が台湾人の心を捉えたと思う。
中国大陸から南海の小さな島に移住した中国民族の小国。
その国の人々の心の底にある遠い故国への深い望郷。
その心の底の二重性にT氏の作品の朦朧とした現実風景と
秘められた確固たる心的構造性が共鳴したのではないか、と
感じたのだ。
一方K君の絵画作品は、超リアルな写真とも見間違うような
日常風景描写を特徴としている。
そこに札幌から京都へ移住した影響か曽我簫白の浮世絵の人
物が出現する洒脱な画となっている。
欧米的な日常のワインやキャンドル、トースト等の食卓風景
に着物姿の浮世絵風の人物が跋扈するのだ。
ドイツの人にはワイン、キャンドル等は伝統的日常の風景
であるから、そこに非日常な異国風体の人物が跋扈する
非日常に何を魅力として感じたのだろうか。
そこにはEUの危機を始めとする過去の大戦記憶等が潜んで
いる日常・非日常の二重性現状が透けて見える気がする。
ふたりの作品がふたつの国で受け入れられた背景には、ふたり
の作品が保つ秘めた二重の日常性の本質が居場所を得たから
と思われるのだ。
TとKの作品には全く相似性はない。
Tの写真作品は一件朦朧とした幻想的な画調である。
一方Kの絵画は写真と見紛うような超写実的な絵画である。
ただそこに共通するものがあるとすれば、共に表面にある
特徴とは正反対の非常に意志的な構成力・日常を見据える
冷静さ、諧謔性が秘められている事だ。
台湾の人にはT氏の作品の秘められた剛の精神が、ドイツ
の人たちにはK君の洒脱な諧謔の精神が、ふたりの二重性
を秘めた表現がどこかで共鳴し根付いたに違いない。
ここで昨年末3点しか動かなかったK君の作品がドイツで
完売し、ここで売れた事のないT氏の作品画が台湾で完売
した事に、逆に日本という国の暢気さをある種強かに感じ
ているのだ。
僅々百年余の二度の近代化という日本の欧米日常。
それが当たり前の日常風景となって、そこに開国・敗戦と
いう二度の非日常は見えなくなっている。
そして伝統的な歴史風景も日常から遠い淡い物と成っている。
欧米近代化日常の、本当は脆く淡い実体すら見えてもいない
現実がある。
そうした土壌に二人の作品は根付かず、遠い異国にその
根付く土壌がある。
これこそが本当の作品による国際化ではないだろうか。
オモテナシのホスト国家の脳天気の楽天性などに真の国際化
などは望むべき筈もない。

*彩ー八木保次・伸子展ー4月初旬予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-03-31 15:16 | Comments(0)
2017年 03月 28日

札幌の彩(いろ)ー湿地帯(28)

春の気配がしてきた。
もう何処かで福寿草は咲いただろうか。
固い氷雪を割って腐れ雪の間から、燃える喜・
黄の花。
そしてフキノトウの緑が揺れる山裾・雪原。
山の斜面も雪が沈み、黒い森の樹肌が林立する。
樹間にキタコブシの梢、白い花が光る。
白い世界に陰影が刻まれ、冬の終わりがくる。
やがて百花繚乱・色彩の夏の始まる、
この冬の年・夏の年の境界こそが札幌の短い春。

八木保次・伸子さんの追悼の季節がやって来た。
2012年2月相次いで亡くなられた八木保次
・伸子夫妻。
この札幌生まれの稀有な夫婦画家が、東京池袋から
札幌に帰ったのは1970年代後半。
ここから札幌の彩(いろ)がふたりの画業の大きな
中心としてあるのだ。
八木伸子さんの描く白は、1年の半分を覆う冬の色だ。
保次さんの描く色彩は、冬の年を超え夏の年の保つ激し
い自然の色彩乱舞を思わせる。

白黒と百花繚乱の境目のようなこの時、毎年ふたりの
追悼展を催している。
私の家が所蔵していた2点のふたりの絵。
それは伸子さんの福寿草のような黄色、そして保次さん
のフキノトウのような緑色の絵画だ。
そこに私の友人達が所蔵している小さなコレクションと
遺族の方の収蔵品を持ち寄り毎年開く。
ふたりに捧げる基点には、いつも北の春の光彩、夏の年と
冬の年の境界(さかい)の色彩ー黄と緑のふたりの作品が
輝く灯明のようにある。

*追悼・八木保次・伸子展「サッポロの彩(いろ)」ー4月4日ー16日

テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-03-28 16:10 | Comments(0)
2017年 03月 25日

滲め雪ー湿地帯(27)

霰が降ったり、湿め雪が舞ったり、道は湿地帯。
漏れる陽射しに近づく春も感じるが、身体に感じ
る春はまだまだ遠い。

透析の通院もあり雪道もあって、自転車に乗らず
地下鉄や地下街を利用する事が多い。
その中で電気エネルギーに依存した日常を時々考える。
一度自宅の電気が切られた事があった。
夜遅く帰って暗い室内に電気のスイッチを入れても
灯りが点かない。
真っ暗で温風ストーブも点かない。
玄関のドアーに給電停止の請求書があった。
遅いのでその日はそのまま就寝し、翌朝早く近くの
コンビニで支払い、指示された電力会社に電話する。
コンビニの支払場所をレシートに表示された番号を
伝えると、直ちに灯りが戻り、全てが動き出した。
マンションの一室がピンポイントで管理されている。
熱も光も音も食料庫も・・・。
個人生活、社会生活も電気エネルギーが管理している事
は間違いない。
電車、地下鉄、エスカレーター、エレヴェーター、
交通媒体も電気を抜きに全ては成り立たない。
さらに様々な情報媒体、食料管理も家庭の冷蔵庫やTV、
電話等もすべて電気エネルギーに依存してある。
その電気エネルギーを産む燃料は石炭・石油・原子力
の消費で購われている。
それら自然資源から得た巨大な力を人は利用し操作して、
豊かにもなったが同時に恐ろしい喪失と背中合わせに生
きている。
ビルの中、地下街、地下歩道、電気が消えた街は真っ暗
闇の世界だ。

電気の無い夜の部屋で、物置の奥から出した旧式の温風
の出ないストーブに火を付けた。
その赤い炎を見ながら、思った事である。
個室も都市も、人為的3・11とは背中合わせの日常だ。

*追悼・八木保次・伸子展「さっぽろの彩(いろ)」ー4月4日ー16日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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# by kakiten | 2017-03-25 15:31 | Comments(0)