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2017年 11月 30日

身の丈(たけ)ー最前列にして最後尾(36)

このブログランキング欄に古い文章が揚がっていた。
ふっと読み返してみる。
2006年10月石田喜彦さんの死の時のものだった。
その年8月の村岸宏明さんの死とともに綴られている。
この場所を繋いだふたりの友人の死。
思い出すままに前後の日付のブログも読んでみる。
村岸さんのお母様が初めて尋ねて来た日の様子。
そして帰る時の笑顔。
そのお母様もまた故人である。
時が経ち閉じて終った魂たちが開いている。
私自身の心も開いてくる。
忘れかけていた記憶が語り掛ける。
石田さんのお嬢さんが初めて訪ねて来てくれた日。
たまたま置いてあった古舘賢治さんのCDを目にして、
同じ学校の同級生と知る。
故人を通して、人が再び繋がっていた。
村岸君と石田さんのここでの接点は音楽
石田さん最後の深夜の電話は、村岸君の演奏の話だった
と後に友人から聞いた。
翻訳家だった石田さんの青春の記憶は音楽だ。
その青春が20代の村岸君へ想いから火が点いたのだ。
閉じた蕾が開くように、蕾もまた固く閉じる時もある。
死もまたそうした自然の理なのだ。

古い11年前の日記を読み返し、寒気廊で凍える心も
ふっと暖かく感じられる。

*岡田綾子展ー1月2日ー7日
*高臣大介ガラス展ー1月30日ー2月中旬。

テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503

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by kakiten | 2017-11-30 16:18 | Comments(0)
2017年 11月 26日

稲穂・ケン・鼠ー最前列にして最後尾(35)

稲穂の〆飾り制作中ドイツから谷口顕一郎さんが来る。
明年の札幌での大きな仕事の打ち合わせという。
この時制作中の前日きちっと揃えた筈の稲穂が乱れていた。
よく見ると稲穂の実が綺麗に無くなっている。
ふっと閃いたのが。鼠じゃないか!という疑念だ。
早速鼠捕りを二種類購入し設置した。
この辺からもうケンちゃんの出番である。
進入経路を想定し、粘着シートと古典的な鼠捕り籠を設置
し中にフライドチキンの残りを仕掛けた。
侵入経路を予測し最適な場所を想定するケンちゃんの眼。
これはもう天性のものだ。
そんな時罠造りに夢中の彼は、椅子に置いた粘着シートの
上に腰を下ろし悲鳴をあげた。
罠に掛かったネズミ男・・!
ズボンを脱ぎ股引一枚だ。

そして翌日朝、見事に一匹の丸々した可愛い鼠が籠の中に。
さらに処分・埋葬と必殺仕事人の手際の良さは完璧だった。
お米に鼠・・・とは大黒様の袋のようで縁起が良いね・・
と話す。
試作段階の鼠騒動を終え、今年収穫の稲穂は見事な飾りに
生まれ変わり、

 はかり売り と はかるもの
 いろいろある ものさし   トロッコ

の会場に収められる。

今回稲穂の〆飾り制作を見ていて、稲穂というものが
如何に日本人にとって豊かな存在だったかを痛感した。
実は米粒として、米粒そのものはさらに麹、酒、糠に。
稲穂は蓑、茣蓙、畳に。
そして稲穂の茎は、縄に、〆飾りに。
衣食住すべてに関わって、俵、坪、畳という物や空間
の土台ともなっている。
あらためて今喪失しつつある日本人の原点を再認識した
気がする。
尺度も広さも、基底にはこの稲穂がある。
3・3平方m=一坪
その単位の元になる尺貫法は、米を測る単位だ。
お酒も1・8リットルではなく、一合・一升から。
稲の穂・茎の過程を忘れて設定された既存の量だけを結
果として流通するインフラに私たちは今慣れ過ぎて生き
ている。
プロセスの豊かさを、物資の豊かさと入れ替えて、物流
:消費の世界を生きている。
<はかり売り と はかるもの いろいろな ものさし>
稲穂もきっと嬉しそうに花咲くことだろう。

 テンポラリスペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2017-11-26 13:00 | Comments(0)
2017年 11月 12日

収穫・乾燥・〆飾りー最前列にして最後尾(34)

予定していた鈴木余位・村上仁美展が延びて空いた会場。
そこに村上仁美さんが、今年収穫した稲の乾燥させた稲穂
を多量に運び込み〆飾りの制作をしている。
友人の自耕地で毎年稲作を手伝い、収穫した稲穂。
その乾燥させたまだ実の残っている稲穂の形を選び、
穂の姿を活かして〆飾りに仕上げている。
数点出来て壁に飾ると、それぞれが個性的で美しい。
米粒を採った後、様々に利用された稲穂の歴史。
そういえば、祖父の時代割れ物はみな一俵という単位
の梱包だったのを想い出した。
稲藁で丁寧に巻いて包まれ要所要所は固く結ばれていた。
そして大きく梱包されたものが一俵。
解いた後の藁も大事に取って置いて、送荷の時にまた使う。
一俵梱包を終えポンポンと持ち上げ得意そうに締まり具合
を自慢した祖父の自信に満ちた笑顔を想い出す。

それらが甦る藁・・・。
しかし今なら緩衝材も含めてビニール、プラステック。
それらに比べなんと豊かで美しいのだろう。
壁に飾られた〆飾りは植生の豊かさに満ち、有機的な
形象の美に包まれている。
花そのものは無いが、見えざる花が咲いているようだ。
穂の美しさ、茎のたおやかさ。
陽の光を浴びて浮かぶ陰影の立体の美しさ。
稲と人間の長い付き合いは、全てに無駄なく衣食住に
繋がっている。
便利・便利・簡単・手軽、後はポイ捨ての現代人が喪っ
てきた何かが、今も藁には活きている。


*11月14日K~時間不定期ー展示ではありません。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2017-11-12 14:25 | Comments(0)
2017年 11月 09日

こんにゃろ!-最前列にして最後尾(33)

上の妹が小さい頃、なにか気に食わない事があると、
眉を逆立てて”こんにゃろ!”と怒っていたのを、ふっ
と想い出した。
先日、下の妹とふたり速足の帰郷。
ゆっくり話す事もできなかったお詫びだろうか、下着類
を沢山送ってくれた。
お礼の電話をしたら、優しく気遣ってくれて、反射的に
”こんにゃろ!”の記憶が蘇ったのである。
十年以上寝たきりの夫を24時間看病し、看取った妹。
その苦労が、心の成長にも大きく寄与したのだろうか。
人を気遣う優しさを感じたのだ。
下に次女の妹・次男の弟がいて、長女としての我儘が通
らなくなった苛立ちが、きっとあの”こんにゃろ!”。
亡くなった夫の穿かなくなった物も入っているのだろうか、
取分け沢山の靴下。

急に気温の下がった今朝。
暖かい靴下を履き、ふっと遠い昔の妹を想い出していた。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2017-11-09 13:47 | Comments(0)
2017年 11月 05日

旅(風)発つー最前列にして最後尾(32)

ホピ&カチーナドール展最終日。
朝の開廊と同時に来たふたり。
西の裏山に暮らす前から気になっていた人たち。
最近は量り売りの店を都心近くに開き、塩とか
油とかを持参の器に量って売る店を開いている。
ゆっくり話をしたのは初めてだが、ふたりが
カチーナドールを見る目に惹かれた。
2時間近くゆっくり主催者の天川さんとも話し
最後にふたりらしいカチーナを選び幸せそうに
仕事に向かった。
またひとつ志ある札幌の地にこの精霊が旅発ち。
人形という感じがしない。
風が発つようだ。

アリゾナ、砂漠の地。
そこで生まれた森羅万象の精霊カチーナドール。
穴熊、雪、蟻・キリギリスの精霊が、病・豊穣
・水の恵みを祈るカチーナ形象となって厳寒の
北の地に着地した。

 ソノ”皴”を”生”のなかで出逢う”死”のように
 わたしたちは編んで行く
 皴、皴、皴、皴、ーーカチーナドール、
    (吉増剛造「石狩シーツ」から)

風の波・・皴、皴 
生と死・・皴、皴
編んで行く、カチーナドール・・皴、皴、皴
人もまた森羅万象の一形象。
年に一度の再会・出会い、新たな旅発つ。
別れ・出会い、生・死の皴・皴・・・。

ヨシマスさん、足利美術館へ北の地からカチーナの報告です。

*ホピ&カチーナドール展ー11月1日ー5日まで。
 
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

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by kakiten | 2017-11-05 13:33 | Comments(0)
2017年 11月 04日

雪と蟻の精霊ー最前列にして最後尾(31)

四半世紀近く独りぽっちだったカチーナ。
それが自分より大きなふたりの親族を得た。

Badjer-バジャー心と体の傷を癒す穴熊の精霊。
両親のような二人の精霊は
Nava manaーナヴァ:雪 マナ:女性
幸せと恵みを祈り見守る精霊
Kokopelliーココペリ:キリギリス・蟻
豊穣を祈る精霊

この二体が札幌に住む事になった。
足利市立美術館で吉増剛造展「涯テノ詩聲(ハテノウタゴエ)」
が始まった昨日今日札幌のMさんKさんの故(もと)に。
1994年ブラジル帰国後深い苦悩の内にいた吉増さんが、心の
支えに傍に置いたカチーナドール。
その内の一体が私の故(もと)に置かれて二十年余。
円山から北区の今の場所へ、共に流浪してきた。
その間頭の羽も髪も飛んでしまって、ぼそっと棚の片隅に寂しげ
だった。
2011年吉増剛造「石狩河口/坐ル ふたたび」。
新たな試練に立ち、ふたたびの吉増剛造創作への道。
「怪物君」と名付けられた戦後近代との本質的な対峙の時。
その7年間に渡る闘い、その集大成とも思える「涯(ハテ)ノ詩
(ウタ)聲(ゴエ)」の初日2日に、24年の歳月を経て同じ作
者の作品と出会い住み着いたのだ。
吉増さんの1994年「石狩河口/坐ル」そして2011年の
「・・・ふたたび」を象徴するような感じがする。
病と闘う穴熊の精霊は、雪と蟻・キリギリスの土の精霊と出会い
、どうこの地に生きてゆくだろうか。
「石狩シーツ」そして「怪物君」の道程は新たな局面にある。

*ホピ&カチーナドール展ー11月1日ー5日
 am11時ーpm7時

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


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by kakiten | 2017-11-04 18:06 | Comments(0)
2017年 11月 03日

カチーナの夜ー最前列にして最後尾(30)

夕方自然と人が集まって、宴となる。
建築家のK氏、写真家のT氏、花人Mさん。
K氏は若い頃世界中を放浪した東大出の俊才。
T氏はまるでカチーナのような愛娘と共に生き
ている写真家。
吉増さんに花人と揮毫され、独自に花の道を
歩み始めたMさん。
K氏が急に近くのスーパーで食べ物・飲み物を
多量に買って、今日は宴会だと言い出す。
若い頃アメリカでナバホ族ホピ族を尋ねた記憶
が蘇ったのだろうか、活き活きとしている。
それから閉廊後数時間、話はあちこちに跳び、尽
きない。
ふっと用を思い出し席を外した私。
しばらくして戻りみんなの顔を見ると、K氏
T氏、Mさん、展示主催の天川彩さん、片腕の
田中明子さんが、まるで生きたカチーナのよ
うに感じる。
みんな跳んでいる。
そういえば前年も一昨年も、写真家のF・T氏
ガラス作家のT・D氏、ダスキンのH・K氏と
入って来た時から服装・風貌が壁のカチーナド
ールにそっくりだと話題になった。
自然と人間を結ぶ精霊の形象・カチーナドール。
似ているのは当然かも知れない。
人間もまた生きた精霊の末裔なのだ。
そんな個々の内なる精霊が目覚めて、ここ小さな
森の宴は開かれていた。

*ホピ&カチーナドール展ー11月1日(水)ー5日(日)
 am11時ーpm7時。
3日(金)、4日(土)午後2時~お話会
「平和の民ホピ族と精霊カチーナ」参加費1500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2017-11-03 13:58 | Comments(0)
2017年 11月 02日

舞う・風・カチーナー最前列にして最後尾(29)

maw(まゥ)-呼気・風・ハマナスの 果実。
舞うー呼気・風・カチーナドール・・・だな。
森羅万象・精霊たちが跳んでいる。
朝目覚めて、ふっとその風景を思い浮かべ、幸せな気持ち
になった。
四半世紀ぶりの親族との再会。

 皴、皴、皴、皴、ーーカチーナドール、 
 皴、皴、皴、皴、ーーソノ”皴”を”生”のなかで出逢う”死”
 のようにわたしたちは編んで行く。皴、皴、皴、皴ーー
 カチーナドール、皴、皴、皴、・・・
 ”不図”とみると、・・・・
 「郵便ボックス」の下に蹲って居る、白いインクの一角獣

 傍点のにじみ、のような、・・・・葉書の淋しさ

四半世紀前カチーナドールと共に「石狩シーツ」を書き込んで
いた吉増剛造さんのカチーナドールが、同じ作り手の二体と再会
したのだ。
雪と豊穣の二体の精霊に囲まれている。

森羅万象の自然によって有機的に生きている人間生命。
そして民族・国家・都市という社会的存在。
人間だけの社会的存在力が今は時として、自然の中の
人間存在を希薄化している。
森羅万象自然の精霊が人・形をして宙に顕れると、世界
はmaw(まゥ)、呼気・風に溢れてくる。
世界というのは、本当はカチーナのように発する固有
のものに満ち溢れているのだ、と思える。
人はその呼気を自分の姿に擬する事で、森羅万象精霊たち
の回路を目に見えるように顕わしたのだ。
命在るすべてのものへの、敬意と愛情の結晶が生んだ英知
だろうなあ。

皴・皴・皴・皴ーーソノ”皴”を”生”のなかで出逢う”死”の
ようにわたしたちは編んで行く。皴、皴、皴、皴ーー
カチーナドール、皴、皴、皴、・・・・

*ホピ&カチーナドール展ー11月1日ー5日
 am11時ーpm7時

テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503



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by kakiten | 2017-11-02 14:15 | Comments(0)
2017年 11月 01日

ホピ&カチーナドール展始まるー最前列にして最後尾(28)

アメリカ先住民族ホピ族の展示が始まる。
今年で三回目。
今回は出だし早々また、不思議な事があった。
24年前石狩河口に滞在し名作「石狩シーツ」制作に
集中していた吉増剛造さんの心の糧カチーナドール。
その内の一体をその折頂いた。
それから頭の羽も跳んでしまったが、円山の店から
今のテンポラリースペースでも、棚に飾っていた。
それを見たホピ展の主催者天川さんが、ホピの里で
探し今回似た作品を持って来たのだ。
並べてみると作者名が正に同じで、私のところのカチ
ーナドールは小さく、天川さんの持って来た2体は
少し大きく、間に置くとまるで両親に連れられて歩い
ている子供のようだった。
24年間一人ぽっちだった彼(彼女)は、とても
幸せそうに見えた。
この3体揃った写真は今日のF・Bに載っている。

カチーナドールは、ホピの顕す自然の精霊の姿で
私の持っていたカチーナは、病から守ってくれる
精霊だという。
両親のようなふたりのカチーナはどういう精霊なの
だろう。

紅葉した蔦の葉とともに、カチーナが舞う。

*ホピ&カチーナドール展ー11月1日(水)ー5日(日)
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め西向き
 tel/fax011-737-5503


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by kakiten | 2017-11-01 14:36 | Comments(0)