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2016年 08月 31日

強風の夜開けてー撓む指(15)

日を跨ぐ深夜強風が荒れる。
生暖かい荒風と横なぶりの雨。
街路樹が弓なりだった。
そして朝。
台風一過という清々しさはない。
蒸し暑く風も強い。
まだ台風の尾てい骨の中にいる。
かっての記憶では、台風の記憶は少ない
けれど、拭ったような青空と秋風の
爽やかさが印象にある。
強風に少し荒れた街と拭い去ったような青空。
そして漂う秋の気配・寒気。
今はそんな感じが無い。
まだ熱帯気圧の中にいる感じだ。
台風が4っも直撃する北海道なんて、考えられない。
直撃した道東方面の河川、土砂は、調節の蛇口が開い
て濁流に土砂崩れが続いている。
朝洗い物で、炊事台の蛇口を開きながら、その強い
水流に皿もコップもフォークもみんな流され渦巻く
のを、水害を想像しながら水の力を思っていた。
もしこの蛇口が壊れたら、この水槽も溢れ、水浸し。
この蛇口の調節精神こそが、人間の知恵・文化だろうと思う。
畏れを知り、謙虚な祈りを保つ。

爽やかな澄んだ秋の風を感じたい。
もうお盆も過ぎて、9月。
冬の予感もする時だ。

10月の橘内光則さんのフライヤー出来て、こちらに送った
と京都からメールある。
13年ぶりの故郷・踵の個展。
キッツ&ナッツ、ふたりの愛のお披露目だ。
前後してベルリンの谷口顕一郎さんからもメールが届く。
こちらも、ケン&アヤのデュエット。
親友の個展を祝福している。
&が続いているので、私もトシ&トミーとでも名乗ろうか。
仮称でね、・・・。

秋風どころか、これは心地よい熱い風。

*それぞれの山田航「水に沈む羊」展ー9月20日ー10月2日
*橘内光則展ー10月8日ー30日。
*ホピ&カチーナドール展ー11月1日ー6日
*年末年始森本めぐみ個展予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2016-08-31 14:20 | Comments(0)
2016年 08月 30日

台風10号ー撓む指(14)

迷走台風10号の警戒情報がTV画面を席捲している。
ふっと吉増剛造さんが書いていた空襲警報を想起した。
”敵機房総半島沖より襲来せり・・・”
そして、読み上げられる東北地方の地名が、原発事故で
報道される聞き覚えのある地名だ。
国家も自然も剥き出しの野生を人間社会に向け出すと、
人はただただ身をすくめて逃げ惑うだけ。
戦争という人間内部の野生暴力、自然という野生恐怖。
剥き出しの野生への畏怖、警戒を忘れた人間の傲慢さが
、今回の台風10号に垣間見える気がする。
一度南の海にさった筈の10号が、出戻るようにさらに
勢力を高めて来襲し、さらに中国大陸から逆走して日本
列島に襲来する可能性も指摘されている。
すべては、異常な海水温と気圧配置の成せる事という。
地球という水の惑星の水の野生に歯止めが外れてきて
いるようだ。
自分の病に例えれば、地球の腎不全だな。

普段見えない空気・水・光が、剥き出しの野生となると
暴風や津波、熱射となって直撃するのだ。
その為に人は中間・緩衝地帯を文化として築いてきた。
畏れと祈りの気持ちを籠めて。
それらを総称して故郷と呼んだり、故国と呼んだ。
そうした心の風土が磨り減りつつある。
自然エネルギーを化工エネルギーに変え、身体エネルギー
を遥かに超える力を得て、境の緩衝地帯を無視し境界を越え
自然を傷めた。
その結果を、今も今後も受苦し続けていくのだろう。
自然保護ではなく、人間社会保護の為の風土・故郷に根差した
文化という人間的な力が試されている。

*それぞれの山田航「水に沈む羊」展ー9月20日ー10月2日
*橘内光則展ー10月8日ー30日
*ホピとカチーナドール展ー11月1日ー6日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2016-08-30 13:01 | Comments(0)
2016年 08月 27日

足と踵ー撓む指(13)

二組の旅立ちを想い出しながら、一組のひとりの10月
個展に向けて百文字指定の跋文を書いた。
それを考えていて、浮かんだ事がある。
爪先と踵。
想えば二組の旅立ちには、それぞれ相方との方向の
差異があった。
南・北という発つ方向である。
ベルリンと京都、沖縄と網走。
しかしそれは南・北という差異だけではなく、身体の重心
爪先・踵の相違とも感じられる。
京都は東京とはまた違う日本の内なる中心のひとつだ。
網走は目指した人の故郷そのものである。
一方ベルリンは、未知の街であり、沖縄もまた未知の南島
であるだろう。
言える事は、爪先寄りの前方・未知選択と踵寄りの後方・中心
選択という事だ。
そして時を経た今、それぞれの旅は爪先から踵へ、踵は爪先
へと比重を移動している気がする。
爪先(未知)に重心の在った谷口顕一郎、チQ君は、故郷や
肉親が新たな未知として顕れているように思える。
踵に重心を置いた網走・佐々木恒雄君は、父と同じ漁師となり
新たな生活環境の中で働く漁師の姿・風景を新鮮な目で見詰め
絵画にしている。
京都へ旅立った橘内光則君は、身近な学生時代の友人たちの
群像画から、江戸時代の絵師の絵をリアルに作品中に挿入する
絵画を生み出している。
京都と故郷という離れて内なるコアへ旅立ったふたりは、そこで
爪先の方向性へと既知の踵土壌から未知の爪先土壌へと視座を
変位し、転位させているのだ。
さらにベルリンと沖縄を目指したふたりは、既知の踵土壌を爪先
の土壌として、チQ君は父・祖母の死を見詰め、谷口顕一郎君は
札幌の風土を見詰めている。

このふたつの重なる行為を通して、はじめて旅は足の旅、根の旅
となってきたと思う。
爪先が綿毛や花粉のように飛び、土壌に着地する。
そして踵の根となり、踵の旅、根の旅が始まるのだ。
爪先はやがて芽となり、幹となって森や草原の一翼を担うのだろう。
踵はやがて大きな根となり、森や草原の土壌に深く根付くだろう。
故郷(踵)と異境(爪先)。
その内なる外なる旅は、人生そのものとして今も続いている。

*それぞれの山田航「水に沈む羊」展ー9月20日ー10月2日
*橘内光則展ー10月8日ー30日
*ホピとカチーナドール展ー11月1日ー6日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2016-08-27 15:40 | Comments(0)
2016年 08月 26日

もうひとつの旅立ちー撓む指(12)

14,5年前ふたりの青年が、札幌を旅立って行った。
ひとりはサハリン経由でベルリンへ。
もうひとりは京都へ。
ふたりは親友だったが、方向は南北に分かれた。
その数年後同じ友人のふたりの青年が札幌を離れた。
ひとりは網走へ、もうひとりは沖縄へ。

旅立ちベルリンに拠点を築いた谷口顕一郎は昨年、札幌で
初の授賞となる本郷新賞受賞の個展を開いた。
その授賞の対象となったのは、故郷札幌の地で見つけた
暗渠の川の軌跡を素材とした作品であった。
出発の背後にあった故郷が新たな世界を見せ、故郷は彼に
背後ではなく、彼の前方に今新たな世界を垣間見せていた。

故郷の網走に帰り、父の仕事を継ぎ漁師となった佐々木恒雄
は、生活の日常の中から新たな絵画の起点を発見し札幌で
披露している。
沖縄へ向かったチQ君は、祖母の死、父の死を機に札幌へ
帰り、祈りの絵画を今描き続けている。
そして、谷口顕一郎とほぼ同じ時期京都へ旅立った橘内光則
は、旅立ち後初の個展を故郷で開く。
彼が札幌を出ると聞いた時、東京に行くという事だった。
この時彼は故郷以外の地として、漠然と東京という言葉を使っ
ていた。
そう気付いた私は、職人的な性格で描く絵画も超リアルな人間
描写をする橘内には、関西の方が良いと思い友人の陶芸家で
京都芸大で教鞭をとっていた川口淳のいる京都を勧めた。
そして16年、旅立ち直前の個展以来初めての個展が今年
10月開かれる。
札幌で親友であった二組が、何故か南北に別れ旅立つて行った。
そしてかって背後にあった地を、今それぞれが新たな旅立ちの
ように見詰めている。
内への旅立ち。
背後の森が深々と立ち上がっている。
今彼らには、出発の後の、根の時間が訪れているのだ。

故郷の外に在った新しい世界の経験が、再び内なる故郷を
新たな視角で照射してくる。
旅立ち、跳んだ後に来る着地の時間が、出生の土壌を見詰める
ように訪れてくる。
根の時間。根の世界。
人はそうして、自分を、故郷を再発見する。
自縛し拘束する故郷ではなく、旅立つ・出発ーの<立つ>・
<発>ーの土壌の地を今見据えているのだ。

こうして旅立った4人は今、一回り大きな、そして痛さと豊か
さを秘めた転機の時間にいる。

*山田航「水に沈む羊」展ー9月20日ー10月2日。
*橘内光則展ー10月8日ー30日
*森本めぐみ展ー年末~年始予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2016-08-26 14:48 | Comments(0)
2016年 08月 25日

自然・社会ー撓む指(11)

「撓む指は羽根 ムラギシ10年」展の私の起点と
なった八木保次・伸子さんの絵画と村岸宏昭の高校3年
の時描かれた絵画。
この世代も生きた時代も大きく異なり、生前会う事も
なかった3人の絵画を通した不思議な共感。
それを偶然並べた時私は感じたのだった。
八木さん夫妻の透徹な北の自然への色彩探求。
一見抽象画・具象画と表現は違うようだが、その色への
強い執着には自然・風土への色彩を通した深い洞察が秘め
られている。
また村岸宏昭の生前一点だけ遺された油彩画は腰から下の
両脚だけを暗い赤と黒の背景に浮かばせ、骨のような両手
が膝を抱いている絵だ。
18歳、時代・社会への不安が伝わる絵だ。
八木保次さんのフキノトウを想わせる緑の抽象絵画。
八木伸子さんのふたつの花瓶の赤・黄・紫・白の花。
そしてその背後全体に広がる美しい黄色。
それは福寿草の春一番の色彩のようだ。

何故この3点に同時に心惹かれたかと考えた。
それは私たちの今の時代が、自然・風土への視座と時代・社会
への視座が近接して存在している事と無関係ではない。
むしろ自然と人間社会の緩衝地帯のような、風土というものが
どんどんすり減りって、剥き出しに自然と向き合う時代が
来つつある。
ある時代まで、人は自然と人間社会の間に自然と調和した
緩衝世界を創ってきた。
故郷という自然に根差したそれぞれ固有の風土ゾーンである。
それが摩滅しつつあり、そこに剥き出しの自然が顔を出す。
これは恐ろしい事である。
地球全体で今そうした現象が現れつつある。
私が共感した3人の絵画は、自然・社会への回路を同時代の
回路として表現し、存在していると思えたのだ。
従って村岸をまん中に八木保次、伸子と並べて違和感もなく
展示正面に据えたのだ。

時代・社会は益々カードのような社会に向かいつつある。
人ひとりひとりではなく、人はカードに代行され存在する社会だ。
町や村も大都会のカードのように統合されてゆくだろう。
その時代への不安と自然に繋がる風土の色彩の発見。
その両方の視座が、この3点には深く宿って今心打つのである。

台風が3っも同時に来襲し、北海道直撃は初めてという。
さらに迷走台風が再び勢いを増し直撃するという。
そしていつも行くお店に入れば、同じ言葉で始まる。
”カードお持ちですか?”
いつか人も町もカードと化して、剥き出しの利便性回路だけとなり、
自然は剥き出しの野生となって、人間社会を薙ぎ倒すのだろうか。


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by kakiten | 2016-08-25 12:58 | Comments(1)
2016年 08月 23日

とんまな話ー撓む指(10)

不意にネットが繋がらなくなり、このパソコンの
元持ち主佐藤真史さん、(有)フォトンの橋本洋輔
さんにご迷惑をお掛けした。
一番基本的な料金支払いのミスであった。
6月分支払いを7月分で払い、その結果NTTに
回線を止められていたのだ。
電話回線は繋がっていたので、気付かなかった。
この界隈は光回線なので、支払先がNTTコミュニ
ケーションズとNTTファイナンスに分かれて請求
が来る。
その為ネット回線は不通で、電話回線は繋がっていた
という事態になったのだろう。
支払いミスという基本的な事を、さすがプロ橋本氏が
第一に見破り交渉してくれた。
それまでパソコンの配線ミスや、パソコン自体の性能
に頭が行っていたが、本当にとんまなアホである。

遠く静岡・浜松の桑名氏からも心配して電話を頂いた。
1週間以上もブログ書かれていないから、・・と。
私のトンマから「撓む指は羽根 ムラギシ10年」の
最終日のライブレポートがすっかり遅れてしまった。
酒井博史(歌)、山田航(朗読)チQパフォーマンス、
狼豊(足踏み伴奏・歌)、portrait(古館賢治
・多賀白・有山睦)演奏の素晴らしい一夜だった。
最後のportraitの3人の、ムラギシ曲「撓む指
は羽根」の演奏も最後を飾るに相応しい名演奏だったが、
チQ君のパフォーマンスにちょうど来ていた幼子の少女
が、ぴったり寄り添って一緒に遊んでいたのが自然だった。
狼豊さんのパフォーマンスにも同様に寄り添い本人自身が
なによりも楽しんでいる様子があっぱれだった。
チQ君と狼豊氏は、あれで助けられた、俺たちのアイドルだ、
と感動していた。

酒井君の連日で少し声のかれた歌声も魂が籠もっていて
ジンと胸を打った。
山田君の同年代ながら会わずに終わったムラギシの存在を
自らの人生と重ねムラギシ曲をバックに朗読した詩も
胸に迫るものがあった。
伴奏を自らの足踏みだけで歌を歌う狼豊さんのパフォーマ
ンスも初めて聞いたが見事な技である。
ヴァイオリン、ギター、ドラムの3人は、バッハも含め
重厚で深い余韻を残し、最後を飾った。
今回は音響機械を一切使わず生音だけで演奏された。

こうしてムラギシ10年目のお盆は過ぎていった。

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by kakiten | 2016-08-23 14:04 | Comments(0)
2016年 08月 13日

お盆ー撓む指(9)

若くして、というか若いからこそ、と言うべきか、
社会・時代と自然・風土、両方の視座を真摯に表現
の基底に据えていたムラギシのエレメントは、今も
我々の共有するものである。
ムラギシを含め12人の表現体が、今回の展示で柔ら
かな調和・ハーモニーを奏でているのがその証だ。
これに音の世界が明日夕刻加わって、短い展示の
フイナーレを迎える。
短い展示とも思えるが、今月13日の命日を10年
の起点・基点として、だらだらと延ばしたくは無か
ったのだ。
そして我が家のお墓参りも行かねばならぬ。
通院・展示で時間がまだとれていないから。
5時間の透析治療中には、動脈・静脈への注射針射し
の失敗とか、最後止血の不調とかトラブルもある。
前回止血が上手くいかず血が噴出した。
そして昨日は位置を変えて針射し。冒険するわ、と
今までのゾーンとは違う場所に針を刺した。
これが全然太い血管に至らず、細い血管を突き破り
その下の肉を刺す。
腕全体が少し腫れてボッコのようだ。
自分自身が危険・痛みを受けずに、冒険も無いだろう。
冒険とは危険・痛みを自らが負う事を言う。
自らが危険・痛みを負わないのは、冒険ではなく暴走
というものだ。
そう心で思ったが、毎回お世話になっている看護士
さんだから、口には出さなかった。

パンが無くなりいつものフランスパン屋へ。
最近新人の売り子さんが多い。
そして長いフランスパンに、カットしますか、と必ず
聞かれる。
あまり毎回なので、この店のカードを示しそのトレード
マーク、おじさんが長いフランスパンを抱えて歩いている
のを指さした。
カットしてないでしょ・・。
きょとんとしている。
さらに長い紙袋でパンを包み、保存袋を入れ、大きな紙袋
で手渡せられる。
これも過剰包装だ。
パンもむき出し、乃至は保存袋で包むだけで良い。
長くて持ち歩きに邪魔という配慮だろうが、食する時自分で
その時の気分で適当な大きさに切るのも楽しみのひとつなのだ。
中には一本まるまるその日にみんなで食す場合もあるだろう。
その時は切って下さいと申し込めばいい。
始めからカットしますかは、過剰サービスというものである。

人体も物品もその対象に対して、愛情と理解が不足すると、
マニュアルだけが一人歩きする。
最近はどこでもショップカードの提示を求められる。
そして商品・支払いと続く訳だが、言う方は言葉だけ発して
済むがこちらはカードを探し、財布をかき混ぜ小銭も探しと
行為の時間が伴う。
カードもいろんなカードがポケットに収まっている。
小銭も種々ある。
挙げ句はなんて、もさもさ遅い、次の客が待っている・・と
いう感じで、”アンガトございました・・”と送り出される。
すべてマニュアル上では間違いないだろうが、物、人への
理解・愛情が感じられない。
流通が主で、物を通し関係が生まれるという回路は消え
物流関係と化しつつあるのが現代だ。

この痩せた現在を思想・文化・芸術は対峙し、物流と心の回路の
均衡を図らねばならぬ。

*「撓む指は羽根 ムラギシ10年」ー8月14日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
 :8月14日午後5時~ライブ・有山睦(ドラム)×古館賢治(ギター9
  ・多賀白(ヴァイオリン)・酒井博史(歌)・山田航(長歌朗読)外

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by kakiten | 2016-08-13 16:57 | Comments(0)
2016年 08月 12日

銭函→星置ー撓む指(8)

2006年7月18日から28日まで、村岸宏昭個展
「木は水を運んでいる」で自ら作曲・演奏・制作・販売
していたのが、「銭函→星置」と題された曲だった。
この遺されたCDを今会場に流している。
海の波音に始まり、個展時展示した白樺の木のあった
円山川源流の川音で終わるこの曲は、唯一遺された油彩
の「膝を抱えうずくまる」とともに、会場内でムラギシ
を告げる存在だ。
絵画「膝を抱えうずくまる」が、時代・社会の視座にいる
ムラギシなら、音楽「銭函→星置」は自然・風土の中にいる
ムラギシだろう。
彼の22年の生涯において今も我々を囲繞するふたつの環境を
鋭く提示し作品として遺した事は、我々の現在を今も深く
通底して共感する所以なのだ。
遺作集「自分を代表するような仕事はまだありません」に
収録された2枚のCDの中には、時代・社会を感じさせる
曲も多々ある。
「札幌発千歳行き」などは、電車内アナウンスやエンジン音
乗客の会話などが入っている。
しかし絵画「膝を抱えてうずくまる」が一番本質的な、時代・
社会の中のムラギシの位置を顕していると思う。
そして海から川の源流へのフイールドレコーデングと即興演奏
を含めた「銭函→星置」は、自然・風土を強く印象づけるものだ。
絵画・音楽を通し、今を全身で生きようとしたムラギシの表現の
エレメントを伝えるには、このふたつが最適だろうと思う。

*「撓む指は羽根 ムラギシ10年」展ー8月14日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
 :8月14日午後5時~ライブ^有山睦(ドラム)古館賢治(ギター)
  多賀白(ヴァイオリン)・酒井博史(歌)・山田航(長歌朗読)外
  入場料1000円。

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by kakiten | 2016-08-12 14:38 | Comments(0)
2016年 08月 11日

ムラギシ10年ー撓む指(7)

通院で留守中酒井さんが留守番をしてくれた。
同時に木板に篆刻の「水」という文字を完成させたようだ。
これを天井に貼り付け、その真下の床に鏡板を配している。
鏡を覗きこむと水の篆刻文字が見える仕掛けである。
天地を結ぶ見えない線にムラギシ追悼の気持ちを感じる。
白樺の幹を吊り、白樺の足元の水の流れを幹に仕込んだ
川の音で表現した最後の個展。
そして1週間後遠く高知の鏡川で遭難死した22年の人生。
その川の記憶が鏡と水で彷彿とさせる。
会場にはこの時個展会場で自ら演奏・制作したCD「銭函
から星置まで」を流している。
そしてもう一つの名曲が、「撓む指は羽根」である。
これは、最終日のライブで有山さんたちが演奏してくれる。
2009年モエレ沼公園ガラスのピラミッドホール内で初演奏
されたジャズに編曲された演奏は名演だった。
それからこの曲は一人歩きし、多くのムラギシを知らない人たち
に演奏されている。
追悼の本に収納された未発表の曲、生前に遺されたムラギシの
演奏等を聞いて彼のことを記憶する人も多いのだ。
これからもどんどんムラギシは記憶の裾野遠くへと退いて
いくだろう。
しかし、心に残る記憶は遺された作品とともに、裾野から立ち
上げなければならない。
そうして今という足元の現在を構築していかなければならない。
セットされ与えられた与件としての現在ではなく、通り過ぎ
消えてゆく掛け替えのない日々の記憶の断片を、同時代として
現在に再編成する事。
その努力こそが、contemporaryという同時代の現在
なのだ。
生きて、体に刻まれ、心の一部となった記憶。
それを身体外の化工・加工エネルギーに吸い取れてはならない。
現代は与件の最新性を優先する社会である。
そして過ぎゆく物は捨て去る。
痩せた裾野、新幹線の鼻先のように、現在は薄く、細く、足元を
追い立てる。

「撓む指は羽根 ムラギシ10年」展は、そうした時代に対して
ささやかな、しかしそれぞれの手が、心が刻み創りだした裾野豊か
な現在である。

*「撓む指は羽根 ムラギシ10年」展ー8月14日まで。
 am11時ーpm7時。

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by kakiten | 2016-08-11 14:24 | Comments(0)
2016年 08月 10日

一点一点心集まるー撓む指(6)

寄り添うように、心集まっている。
高臣大介さんの「野傍の泉池」、初めての縦列展示。
一本ずつ配列に心使い,作品名は「LIFE GOES
 ON」。
チQさんも今までにない立体的な展示構成だ。
1,2ヵ月前初めて村岸宏昭の追悼本を読み参加した
鼓代弥生さんも蔦の茂る影が美しい南窓の上部に2点。
木板に彫られ描かれた色彩が美しい調和を見せている。
それぞれが生きている今を感じさせる珠のような作品
たちだ。
野上裕之(尾道)彫刻、佐々木恒雄(網走)絵画、
チQ(札幌)絵画インスタレーション、森美千代(札幌)
写真3点、久野志乃(札幌)絵画、高臣大介(洞爺)
ガラスインスタレーション、八木保次・伸子(故人)油彩
2点、酒井博史(札幌)木彫り篆刻「水」
2階回廊・佐佐木方齋(札幌)版画「格子群」6点。

大小に拘わらずそれぞれの作品が輝いている。
他を排除せず、共に呼吸している。
ムラギシを基調低音にして、窓から見える蔦たちも
一緒に参加しているかのようだ。
10年前は痩せた筋だけの蔓が少し在っただけ。
ムラギシよ、見ているか・・。
これが現在のこの場所の生の徴(しるし)・・・。

日曜日夕方に、今度は君の音の蔦の葉が茂る事だろう。

*「撓む指は羽根 ムラギシ10年」展ー8月14日まで。
 am11時ーpm7時:水・金曜日は午後6時閉廊。
 14日午後5時~ライブ:酒井博史(歌)・山田航(長歌絶叫)・
 有山睦(ドラム)・古館賢治(ギター・歌)・多賀白(バイオリン)
 入場料1000円。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2016-08-10 13:15 | Comments(0)