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2015年 11月 29日

荒れる道(6)

62年ぶりの大雪とかで、その後遺症が続く。
溶けてザックザックジャパン・・・少し古いか。
また夜氷結してツルツル刃。
降り積もる訳でもなく、豪雪の溶けと凍結の繰り返し。
歩く方は堪ったものでない。
先日も透析を終え凍結した路面を喘ぎ上る。
この日は今までに無いほど疲れた。
右手の指先が冷えて感覚が鈍い。
手袋はしているが指先が冷える。
左手は透析治療で使っていた所為か温度が高いので、
大丈夫だが右手が冷える。
帰宅してしばらくストーブにかざす。
冷蔵庫のご飯を電子レンジで温め食す。
食欲だけは健在だ。
お腹も満たされ一気に疲れが出た。
身体が緩み、頭は白紙。

夏の間スイスイと歩いていた道が、恐ろしいほど
体力を奪う。
冬国と夏国の攻めぎ間が道を荒々しくしている。
これも一種の戦争だな。
その狭間で難民のように自分のランドを目指す。
腹を空かせ不意の路上の氷のテロに怯え警戒しながら
歩を進める。
古い道なので道幅が狭く、背後から車も迫る。
その緊張の中で歩きを続ける。
冬国が完全に支配すれば、それなりに路面は落ち着く
だろうが、深い雪の下にも、見えない危険は潜んで
いるから、つるりと叩き倒される事も用心だ。

次回ヨシマスランドまで、日常の難民生活は続く。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。
 :鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)
 :フライヤー制作 中嶋幸治・酒井博史 
 :会場構成 河田雅文
*高臣大介ガラス展ー1月下旬1期2期ー2週間

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
 
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by kakiten | 2015-11-29 13:37 | Comments(0)
2015年 11月 27日

一夜明けてー土(5)

水曜日午後10時過ぎ透析を終え電車に乗る。
7っ目の電停で降りツルツル路面を歩く。
途中スーパーに寄り食料を購入。
帰宅後の夜飯のおかずも買う。
背中のリュックが肩に喰い込む。
缶詰の重さだ。
道は緩い坂道で足元がツルツルだ。
用心深く歩を進める。
途中治療後の疲れと足元の不安定さに
息が切れ休む。
家近くで車が近寄る。
Mさんだ。
僅かな距離だが乗せて貰う。

一夜明け一日休養する。
金曜日気温上がり凍てついた道は溶けてザックザック。
これが夜冷え込めば、また氷の白波。
ツルツル刃となる。
62年ぶりとかいうドカ雪だが、まだ本格的冬ではない
という。
今日の温度上昇はその証だ。
北の低気圧と南の台風崩れの低気圧がせめぎ合い、大雪を
齎し、この温暖さを生んでいるらしい。
これも地球温暖化の異常天候だ。
季節の推移の振幅が大き過ぎる。
夏の年の末期ファシズム。
これに冬のファシズムも重なれば、この2,3日の
路面の変化のようになる。
ドカ雪の白一色、漕ぐ様な道。
そして凍てついたツルツル路面。
それが溶けて波打つ水と氷のザックザック路面。
さららに氷結して波の刃のような道。
季節の過激派・ファシズムのような路面となる。
滑って転べば誰という理由なく、無差別の路面転倒テロ。
季節と今の世界が似てきている気もする。

積雪ゼロから一気に40cm以上の白い過激世界。
妄想が膨らむ。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。
 :鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)
 :フライヤー制作 中嶋幸治 酒井博史
 :会場構成 河田雅文

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2015-11-27 14:29 | Comments(0)
2015年 11月 24日

一気に銀世界ー土(4)

今朝カーテンを開けると、外は真っ白・銀世界。
白い街角だ。
これはもう根雪だな・・・。
朝食後窓を開け放ち、久し振りの部屋掃除。
掃除機の排気を篭らせない為だ。
部屋の掃除を終え、冬靴に変え外に出る。
昨年冬道を転倒して右手首骨折の苦い思いがある。

白く凍てつく街。
冬の年が来た。
燃える斜道の街角。
さあ、今年も頑張ろう。

+吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 :鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)
 :フライヤー制作 中嶋幸治・酒井博史
 :会場構成 河田雅文。
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。
*高臣大介ガラス展ー1月下旬2週間。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
 
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by kakiten | 2015-11-24 13:57 | Comments(0)
2015年 11月 23日

燃える・モエレー土(3)

久しぶりに、燃える街角・器の浪漫・という旗印を
思い出していたら、もうひとりの<燃える>が出てきた。
ガラス作家高臣大介の初期代表作「燃える男はロック!」
である。
今回ヴェトナムでの展示に英語でどうこれを訳すか悩んだ
末、「THE ROCK」としたとブログに書いている。
シンプルで良い訳と思った。
燃える男は消えたけど、THEが効いている。
初冬の北の島から南のヴェトナムへ。
その行為自体が、燃える男はロック!と思う。
そしてその後に続くブログで最初の冬のガラス展、
燃える街角の思い出を書いている。
後に彼の原点ともなった吊る作品を集中して創った
展覧会である。
当時ガラスは一般的には夏のものというイメージがあった。
それに流されず冬の氷柱と勝負しようと提案し、それに応え
た展示だったのだ。
この時展示された短期間にも関わらず大量に制作された透明な
吊りのガラス作品こそ、今ライフワークとして千本を目指して
いる「あふれでる」の原形となったものだ。
そしてその後毎年続く冬の個展のスタートともなった展示だ。
思えば、燃える男と燃える街角の出会いの展示でもある訳だ。
ヴェトナムの展示後、モエレ沼のガラスのピラミッドでイサム
ノグチの照明器具と競演し、その後テンポラリーで個展となる
予定だ。
この時私はかって「亜寒帯」という新聞コラム欄に書いたモエレ
沼とイサムノグチ」を思い出した。
2005年5月27日付けの新聞である。

 空が低く天と地が灰色に染まって境がなく街育ちの私には
 見たことのない不思議な光景だった。
 空は厚い雲で低く繋がり地は湿地と水の広がりが漠として
 続き水の成分で世界がつながっている感じがした。
 水と土、海と陸、川と岸という区別のない不思議な風景で
 あったことを覚えている。

最初にモエレ沼を見た記憶から湿地帯だったモエレ沼を語り、
その後ゴミ処理の埋め立て場となり、現在のイサムノグチ公園
までを考察している。
湿地帯を大地の粘膜のような存在と捉え、人間に喩えれば五感
の触れる背後に存在する粘膜のような境の存在だという論である。
そしてその場に惹かれたイサムノグチ自身の出生と重ねて論を
進める。
  
 この場所を選択したイサムノグチの出生を考えるとモエレ沼は
 土と水のどちらにも属さないしかし極めてナイーブな場として
 イサムノグチの出生と重なったのかもしれないと思う。
 国によって特に戦争によって、父の国と母の国に引き裂かれた
 どちらにも属することの出来ない悲しみは、人間の勝手な線引き
 と暴力よってもたらされた。その現実を復元は出来なくとも、
 その原風景を文化の力をもって再生する事が可能であるかもし
 れないという未来への希望をこの公園は保っているかに思える。


燃えるからモエレへ。
moyreー静かデアル・流れの遅いー知里真志保「地名アイヌ語
      小辞典」
燃える男高臣大介の静かなる炎に期待する。
銀世界の静かな白の燃える街角で。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・正月3ヵ日休廊。
 :鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)
 :フライヤー制作 中嶋幸治・酒井博史
 :会場構成 河田雅文
*高臣大介ガラス展ー1月下旬~2週間

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503     
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by kakiten | 2015-11-23 14:58 | Comments(0)
2015年 11月 20日

燃える・落葉ー土(2)

毬藻のように壁一面を覆っていた蔦の葉。
それが何時か緋色の衣となり燃える街角となっていた。
今は蔓だけが黒い静脈のように、壁の表面に浮いている。
移る時間・移る季節。
やがて間もなく白い粉雪が壁を覆うだろう。
自然の変化は記憶に刻まれて、一年を彩る。
それはその前と同じ一年ではない。
今年は壁から落ちた紅葉も水に濡れ美しかった。
壁に残る緋色と地面の緋色が、家屋全体を燃える門の
ように見せていた。
赤い落葉は風に吹かれ、それぞれに何処かで土へと戻る。
それが本来の有機的な自然の回路だが、街は落葉を塵芥と
してビニール袋に収納して回収処理する。
地上から浮かんで建っていた燃える街角は瞬く間に消えた。

ダイエーが消え、アメリカ屋が消え、五番館西武が消え
何とかが消えるように、その内そこに何が在ったかさえ
思い出せない、記憶に残らない街角が増えている。
落葉と同様に、落ちれば消去・処理される街角だ。
移りゆくのではなく、チェンジ・消去のリズムだ。
この場所に移って9年。
蔦が育ち燃えた束の間の風景は、街の時間と植物の内包
する時間の相違を深々と啓示して存ったと思う。

燃える街角 器の浪漫
かって私が25年いた前の街の闘う旗印。
それが声も無く文字も無く、この壁の痩せた蔓が今年
美しい姿で顕してくれた。
そんな気がする。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。
 :鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)
*高臣大介ガラス展ー1月下旬~2週間予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503、、
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by kakiten | 2015-11-20 13:27 | Comments(0)
2015年 11月 19日

信濃と那覇からー土(2)

去る九月六日に信濃で行われた吉増剛造×大野慶人の
コラボレーション「イシカリノカ」の観覧記録と沖縄
那覇の沖縄美術館石田尚志展訪問の感想が、東京・川戸
郷史さんより届く。
文章・写真・DVDと同封されている。
川戸さんの沖縄・信濃の土地そして公演・展示を見た
興奮・熱気がそのまま伝わってくるようだった。
私にとって、「イシカリノカ」というタイトルと大野慶人
という名前だけでもう、1991年秋の大野一雄
石狩河口公演が甦る。
川戸さんの記述によれば慶人さんは頭にバケツを載せて
顕れたという。
一瞬その記述を読み思い出すシーンがあった。
あの石狩河口の最初の一雄・慶人が共演する場面に出てく
る慶人さんの印象に強く残る川の中のシーンだ。
川の中で水を被る、あのバケツだ。
イシカリノカー石狩の香。
慶人さんにとって、あの時石狩川を身体全体で感じたあの水
を思い起こすバケツなのだ。
大野一雄は鮭の出産を岸辺で踊り、慶人さんは川中で夕陽を
浴びながら川を遡上する鮭の姿を舞っていた。
その遡上する鮭の水との闘いを表現して、バケツから何度も水
を掬い自らの身体に浴びせていたのである。
岸辺では大野一雄が木彫りの鮭を使い土を掘り出産の産室を
造る場面を表現し、大野慶人は川中で遡上する鮭を顕していた。
舞踏「石狩の鼻曲がり」序盤最初の忘れられぬ名場面だ。
バケツはその石狩川の香りそのものを思い出させるものだ。

慶人さんに先立ち吉増さんは今年8月亡くなられた井上輝夫氏を
悼み、一筋の川のように敷き詰めた「怪物君」草稿と故若林奮
さんの0・1mmの銅版の巻物の前に正座し語り演じたという。
銅版の巻物と「怪物君」草稿の一筋の流れは、川戸さんの表現を
に拠れば、

 石狩での一雄さんと慶人さんの舞が生と死の境を越える”魂の
 みちゆき”であったなら
 ”イノウエーッ”・・・と呼びかける身体もまたこちらと対岸と
 とを行き交う小舟のようなものかも知れません。

と述べている。
彼岸と此岸・生と死。
詩行を刻印した銅版の巻物と怪物君の草稿の連なりは、正に
川のように在って、大野慶人さんを迎えたのであろう。
そこで慶人さんは、バケツを頭に載せ石狩川のあのシーンを
心に再生したのだ。

DVDは残念ながら再生不能で映像として見る事は出来ていない。
写真も部分的で大半は文章によって想像した。

石田尚志さんの沖縄個展は次なる札幌展に向けて、こちらの方が
気を入れて準備しなければならない。
来月の吉増剛造展も控え石田さんの来廊も同時にあるので、ここ
らが勝負である。

「まもなく12月です。またテンポラリースペースにお邪魔致します。
 いよいよ冬本番ですがどうぞご自愛下さい。・・・・川戸郷史

川戸さんの便りに感謝する。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。
:鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2015-11-19 15:59 | Comments(0)
2015年 11月 17日

エッジの道ー土(1)

昨日通院前にテンポラリーに寄る。
虫の報せだろうか、定休日だから普段は出ない。
シャッターの内側に封書があった。
北電からで、ああまた請求書かと思い、開けずに
中へ入る。
すると電気点けても点灯しない。
あれ?と思い元栓を見たが異常は無い。
あっと思い先程の封書を開けると送電停止の文字が・・。
まだ大丈夫と思っていたが、迂闊だった。
ここは光通話で電話もパソコンも不通になっている。
真っ直ぐ北電本社の支払い窓口へ向かう。
地下鉄大通り駅から500m美術館の並ぶ通路端の
上である。
支払いを済ませると、あと1時間程で回復するという。
この後通院で透析治療がある。
回復状況は見れない。

午後10時過ぎクタクタになって帰宅。
この日はマンションの貯水槽の掃除とかで、9時過ぎから
断水だった。
水が使えないので、なんとなく腎臓の延長のようだ。
少し気が滅入ると予定を超えた後の他の出費を思いさらに
気が滅入った。
この日は病院でも院長に食事の不備を一喝され、散々な
厄日である。
紐爺の意欲は健在だが、生活のエッジは綱渡り中・・・。
翌日通電の回復したパソコンの前で溜息。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。
:鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(長歌)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2015-11-17 12:42 | Comments(0)
2015年 11月 15日

励ましの贈り物ー空(23)

相次いで贈り物が届く。
少し早いサンタの父、母だろうか。
11,12月の年末に向け、水難・金難の日々が続く中
天からの励ましのようだ。
川俣正プロジェクト以来の心の親友東京のM氏から欲し
かった本の贈り物。
高価な本なので本屋さんでちらりと立ち読みして以来の
堀淳一著「地図の中の札幌」。

 御身体を悪くされてもう1年ともなりますが、ブログの
 原稿はますます説得力をもってきました。今との距離を
 見定めようとの視点があるからなのかなと思いながら
 拝読中。その拝読料代わりに手許にあった本を一冊。
 よろしく.M

そして今日いつも定期的に母のような眼差しで食料他を送付
してくれるKさんからの少し早めのサンタの贈り物。
石鹸・下着・折り畳み傘・缶詰・乾燥麺類、その他。
びっしりと細々詰められた小荷物が今朝届く。

 ・・・冬仕托の品ーそのまま開けずにお届けします。半分
 コの食品を入れてー
          サンタのババより

優れた美術批評家のふたり。
こんなヤサグレ通信の水難・金難釜爺に、真珠のような情である。
奮い立って、今少し頑張らねばならぬ。
そう感謝する。

少し冷気が下がって暖気漂う雨の日曜日。
おふたりの真珠の雨が冷気を暖めたかと思う。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時月曜定休:正月3ヵ日休廊。
 :鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)

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by kakiten | 2015-11-15 14:03 | Comments(0)
2015年 11月 14日

閉じる・開くー空(22)

英国のMさんから感謝のメールが届いていた。
自分の仕事に自信を取り戻したようだ。
さすがにネットは速い。
しかしその中身には速さとは別の時間が蓄積されている。
Mさんから来た資料の封書には、日本の切手の4倍程の大きさの
切手が貼付されており、Royal MailとUKの文字がある。
UKとはUnited Kingdomの略という。
この西洋を頂点とする英国という国のなんとも誇り高き国家
気質が、この切手一枚にも誇示凝縮されていると感じた。
そういう国で生きていく日本人、そして仕事。
英国生まれの世界的美術家を追悼する本で、Mさんが感じた口
惜しさは、作家の本籍と作品の本籍のギャップと重なるものがある。
太陽光の熱とガラスのレンズを用いて、海岸の流木を素材に
その場で太陽光で焼付け作品を創るロジャー・アックリング。
彼の作品は、その場所にこそ作品の本籍が在る。
ロジャーが選び感じた場所にこそ作品の故郷があるのだ。
彼の死後その故国が追悼するのは、UKという本籍の誉れ
が主となるのも致し方ない事ではある。
しかし作品自体は作家の本籍と同じではないのだ。
作品は生まれたその場所とともに呼吸し生きるからだ。
スコットランドに嫁ぎ、仕事をしているMさん自身と同じ
ように、その場が作品の母胎となりそこに根ざす物と思う。

作品が保つ宇宙は作家を離れて人の心の大地に根付く。
その作品の影響力が人間社会の政治経済を含めた社会構造
の中に取り込まれると、おらが国の名誉という作家の戸籍
本籍という閉じられた位相に転位する事だ。

石狩望来海岸で滞在し制作した全作品の展示・図録・レク
チャー記録。
それらがすべてこの地に残り根付いてこそ、作品は作家の
戸籍に閉じる事なく独自に作品の本籍を獲得した筈である。
ポプラや銀杏のように・・・だ。
Mさんの経験した口惜しさは、芸術作品が保つ時間軸と
人間社会の有効性を軸とする時間の本質的な差異が生む
軋みなのだ。

13年前作品を札幌に遺したかっただろうロジャーの気持ち
に応えられなかった私の悔しさも、あの時経験した作品の記憶
が伝えてくれるものである。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日ー1月10日
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2015-11-14 13:25 | Comments(0)
2015年 11月 13日

ロジャー・アックリングの日本ー空(21)

昨年亡くなった英国の美術家ロジャー・アックリング。
その追悼の記念本が来月頃英国で出版される。
その中の日本でのロジャーの軌跡を担当したMさん
からメールがある。
Mさんは日本女性で英国人と結婚しスコットランドに
住むキューレーターである。
そして今回の本の日本編を真摯に取材した人である。
ロジャーと最も親交のあったコンセプトスペースの
福田篤夫氏を初め多くの日本での関係者を精力的に
取材し、私もその中のひとりだった経緯がある。
来月本が出版との連絡があり、Mさんの取材した分が
不本意なまま何人か削除されていたというお詫びと口惜
しさの滲んだ文章だった。
私へのインタービューは幸い削除とはならなかったと言う。
しかし他の多くの何人かが部分的、全文と相談もなく削除され
口惜しく、取材相手に申し訳ない気持ちが記されていた。
ロジャーの故国英国で出版される本である。
日本編はその中の一地域に過ぎない。
編集上優先順位に差が出るのは仕方が無いのだ。
Mさんの口惜しさを慰めながら、そう伝えた。
そして革めて今回の本が出版された後日本のロジャーとして
独立して本にしてはどうか、と提案した。
日本人であるMさんの英国との繋がりを今回の取材を通して
大きく感じた何かがきっとある筈だ。
それはかえって自立した日本のロジャーとして独立させた方が
より明確になる。
今英国に住むMさんにとっても、日本と英国をロジャーと関わ
った人と共に考える良い機会ではないか。
今回の悔しさをバネに取材されたみんなも協力して、是非
実現させようと提案した。
スコットランドに住むMさんが、そこで経験したロジャー・
アックリングを通して感じた遠い日本。
それをロジャーからの贈り物として彼女自身の形にする事。
それには今回の出来事は大いなるチャンスである。
そう思う。
私はコンセプトスペースの福田氏とも協力して応援したい
と記し返事を送った。

そういうロジャーの追悼もあっていいと思う。
個々のそれぞれの場で、作家もまた独立し自立して作品を
その場所で創作したのだ。
Mさんの真摯なインタビューは、Mさんのロジャーを媒介
・レンズにしたMさんの日本という作品なのだから。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時;月曜定休・正月3ヵ日休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2015-11-13 14:12 | Comments(0)