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2013年 12月 31日

尾道からー神窓・師走(18)

尾道で船大工をしながら、彫刻を志している野上裕之さん
が帰省した。
お土産に土地の銘酒や名産の牡蠣のみぞれなどを頂いた。
ちょうど彼の後輩になるY君やK君も来ていて教育大の
先輩後輩が揃い、同じく彼らの先輩にあたるドイツ在住の
美術家谷口顕一郎さんが置いていったビールで乾杯した。
ケンちゃんの置き土産が、後輩達の再会に役立ってドイツ
のケンも嬉しいだろう。
近々福井県の鯖江に嫁いだ森本めぐみさんも帰郷するらしい
ので、年末年始は人の往来が多くなる。

今日で今年も終わりの大晦日。
新雪が眩しく快晴である。
東京のOさんより連絡あり、今展示中の吉増剛造展の記事を
現代詩手帖に執筆依頼あったという。
前回の吉増展は詩人の文月悠光さんが見事な見聞記にしていた。
今回のOさんは「怪物君」の命名に関わり、初日オープニングにも
来て頂いた方なので、楽しみである。
Oさんを含めて今回の展示には、道外からの反響も大きい。

次回展示予定の網走の佐々木恒雄さんが来る。
個展タイトルは「AND YET」
楽しみである。
正に来年は<and yet>でいこう。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日まで。am11時ーpm7時。
 月曜・元旦休廊。
*佐々木恒雄展「AND YET」-1月21日(火)-26日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-12-31 13:51 | Comments(0)
2013年 12月 29日

転位ー神窓・師走(17)

今朝鈴木余位さんから、一昨日新宿ピットインのライブの
様子がまるでその場の呼吸音まで聞こえてくるような
詳細なレポートのメールが届く。
彼は昨年も同じ場所に映像で参加し記録している。
札幌での展示と平行して、その熱い昂揚をそのまま
一気に新宿で爆発させる行程がこれで2年連続している。
そんな充実感が余位さんの文面から溢れている気がした。

昨日は荒れた吹雪の日で、外界は斜めに白い線のように
雪が流れていた。
その白い闇のような世界に、室内の「怪物君」の大画面
に映った原稿用紙の桝目が重なって空間は不思議な時空を
現出していた。
画面の世界が外界と繋がり流れ出て、空気を染めていた。
一緒に見ていた写真家のメタ佐藤さんが、思わず声をあげて
感動している。
外界の白い闇と大画面の画像が一体化して光の4次元の世界
に包まれている。
会場を映写用に暗室にしないで正解だったとこの瞬間に思った。
時間とともに光と空間が転位するのである。
この転位はきっと新宿ー札幌間にも起こっていたのだ。

吉増剛造展は、時に時空を超えて存在する怪物である。
吉増剛造×石田尚志×鈴木余位という3名の怪物は、この後
如何なる越境を明年に向けてみせてくれるのだろうか。


*吉増剛造展「怪物君」-1月5日まで。am11時ーpm7時。
 月曜・元旦休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-12-29 14:53 | Comments(0)
2013年 12月 28日

新宿ホットラインー神窓・師走(16)

昨夜の東京新宿・ピットインでのライブの様子が相次いで届く。
先ずは石田尚志さんからのホットメール。
映像付で吉増さんの笑顔だ。
そしてライブの熱い空気が文面に溢れていた。
すると電話が鳴り、吉増さんからの昨夜のご報告の声が響く。
鈴木余位さんから先日のD新聞の展覧会掲載記事をもらい、
きちっと書かれていた事に喜んでいるようだった。
さらに昨夜のライブの様子、明年以降の予定と種々の話が続いた。
熱い電話が終わり、石田氏に返信を打ち込んで終えると次に吉原
洋一氏からメールが届いている。
これも昨夜の新宿ピットインの熱い報告で、「怪物君」の映像も
ライブに流されたのを垣間見て感動したという内容だった。
まるで新宿ー札幌のホットラインのように、次々と熱いメッセージ
が荒れた今朝の白い闇の中を飛び交う。
師走の人気の無い荒れた天候の土曜日。
カりカリと原稿用紙を捲る再生音が、シンとした廊内に響いている。
そして時おり8ミリ映写機の回転音がカタカタと鳴る。
静寂の底に燃える熱い空気。

今年もあと3日。
「怪物君」の映像とともに年を越す。

*吉増銅造展「怪物君」-1月5日まで。am11時ーpm7時。
 月曜・元旦休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-12-28 12:31 | Comments(0)
2013年 12月 27日

怪物君ー神窓・師走(15)

黄昏とともに「怪物君」の大画面が際立ってくる。
映写用に暗室にはしていないので、外光が入る昼は
映像がぼんやりとしているからだ。
4台のモニター画面は昼光の影響は少ないが、大画面
の方は午後日の翳りとともにくっきりとしてくる。
その両方の画面を東京から来た人が全巻すべてを2時間
以上かけて見ていた。
それだけの迫力と魅力を保つ映像作品である。
この石田・鈴木両氏による吉増剛造作品は、今日の夜新宿
ピット・インでライブ上映される予定である。
ここ発で初のお披露目が、新宿というのも昨年に続き二度目
の事だ。
昨年も鈴木余位氏のここ吉増展で流されていた石狩河口の
映像が、新宿ピット・インで吉増さんの朗読ライブで放映
されていたのだ。
今年はさらにより一層迫力ある吉増ライブの舞台となる事
だろう。
今回の「怪物君」の映像には充分にそう予想させる力がある。

この吉増草稿の保つ万華鏡のような魅力と石田・鈴木両氏の
優れた映像画面は、真に国際的にも通用する傑作作品となって
いる。
今はまだ多くの人の目に触れてはいないが、いずれこの作品
は多くの人に認められ高く評価されるだろう。
明年以降この「怪物君」は、世界を疾駆するに相違ない。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。
*佐々木恒雄展ー1月21日(火)-26日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-12-27 15:01 | Comments(0)
2013年 12月 26日

悲喜交々ー神窓・師走(14)

なんという年末だろう。
嬉しい事も辛い事も重なり合って一散に師走。
楽しかったのは、先日のクリスマスイブの夕辺。
吉田氏がデコレーシヨンケーキを持参し、山田航さん
もケーキ持って来た事。
寂しい野郎が3人クリスマスケーキを囲んでいたのだった。
そこへドイツに帰国前夜の谷口顕一郎・彩子夫妻が来る。
そしてW大生で詩人の帰省中の文月悠光さんも見えて
一気に場は華やいだ。
文月さんの新詩集と谷口さんの作品図録の交換があったり
初めて会った人が多いにもかかわらず、話が自然と繋がって
楽しいクリスマスイブとなった。
野郎ふたりが持って来たケーキもあっという間に消えた。
男3人だけではとてもこのケーキ無くなる物ではない。

D新聞の記者氏が大きく夕刊に展覧会評を記載してくれる。
真摯な躍動感に満ちた展覧会評で気持ちの良い文章だった。
今年で3年続いた吉増剛造展のひとつの成果を記念するもの
である。
先の佐佐木方斎の7年ぶりの新作発表とともに、この場が
産土の産地として作家の新たな出発を刻んだ事は、忘れられ
ない記憶としてこの一年が記録されるだろう。
同時に今年前半の山田航歌集「さよなら バグチルドレン」展で、
各作家が一首選び自分の作品で展示した展覧会も、それぞれの作
家の転機ともなった忘れ難い展示だった。
その中のひとり佐々木恒雄さんが年明けて早々個展で勝負する。
網走で漁師をしながら絵を描いている俊才である。
来年もこの場が産土の場として、ここ発の独自な作品たちの旅立
つ場であって欲しいと願う。

生活上では変わらずに厳しい日々が続いている。
友人達の暖かな友情に瀬を押されてなんとか遣り繰り算段しつつ
年が暮れてゆく。
まだまだ負けて入られない。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日まで。am11時ーpm7時。
 月曜・元旦休廊。
*佐々木恒雄展ー1月21日ー26日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2013-12-26 13:06 | Comments(0)
2013年 12月 24日

パンケーキのようなー神窓・師走(13)

休廊日、一日ぼんやりTVを見ていた。
顔も洗わず、髭も剃らず椅子に座ったまま。
TVの流れる時間のままに、時々居眠りをして
日が暮れた。
師走のクリスマス前夜の番組は、グルメと観光と
連休の交通事情のニュースが多い。
その中ですっとクリスマス前夜で賑わう巷のパン
ケーキブームの映像の間に、日本政府弾薬提供の
報道が入っていたりする。
華やかな若い女性グループや人形のような衣装の
歌手がもてはやされて、まるでそれ自体がパンケーキ
のデコレーシヨンとそっくりだと思える。
そんな中にすっと戦後初めて他国に弾薬提供がなされ
秘密保護法が成立したりしている。
ふわふわの泡クリームのような世相とその正反対の
黒い先の尖った矢印のような長靴の足音が響いている。
仮設と遮断のパンケーキのような一時の幻想が、表裏を
変えて交差している。
仮設と遮断が被災地の現実ならば、パンケーキの夢の仮設
と遮断もまた都会のふわふわした泡クリームのような現実
なのだ。
一方はアンラッキーカムカムで、一方はハッピーカムカム。
この表裏一体が同時に現実に存在している事に、2013年
の師走がある。
休みが明けて真っ白な雪の世界。
こちらの白い世界は、あの生クリームの泡の白さとは違って
寒気鋭く身を固く守らねばならぬ白さなのだ。
今日から一気に年末師走。
留守録に、剛爺からと吉増剛造さんからの声がある。
こちらは貧爺(ひもじ~い)と、それに応える。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日まで。
 am11時ーpm7時:月曜・元旦休廊。
*佐々木恒雄展ー1月21日(火)-26日(日)
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-12-24 11:55 | Comments(2)
2013年 12月 22日

疲れてる・・・ー神窓・師走(12)

自転車に乗れぬ季節となり、身体のリズムが崩れている。
地下鉄に乗ることが増え、黒い矢印のような長靴の速度
にS急便・アート引越しセンターのような街の物流速度
のリズムが調子を狂わしている。
疲れが溜まっているのか、吉増展の画廊に流れる空気と
街の矢印の時間とに心の落差を感じて調子が悪い。
昨日はその所為か疲労が残り遅れて画廊に着くと人がいた。
取材の方でしばらく待たしてしまったようだ。
さらに先客がいて、その人たちはまた後から来るといって
携帯カイロをくれたと言う。
品の良い夫婦だという。
申し訳ない事をしたと思い、すぐ中に入ってもらい熱い
ココアを淹れて詫びる。
初日のオープニングにも顔を出してくれたD新聞の記者で
記事を書く為再度の取材に来てくれたのだ。
記者氏と話していると電話が鳴り、もう開いているかと
懇意にしているK出版のTさんからの声だった。
うん?先刻の夫婦というのはK出版の女性ふたりではない
のか。
念の後記者氏が帰ってから来たTさんたちに、携帯カイロを
渡した?と聞くと、外で待って寒そうだったから渡したわよ
と答える。
ありゃあ~、どちらかが旦那さんに見えて夫婦者と勘違いさ
れていたのだ。
そう話すと、Tさんがよく昔から間違えられるのだと笑いな
がら言う。
優れた出版人であるふたりの相性が、傍から見ると同性ではなく
夫婦にも見えるほど良いコンビなんだね、となんだか慰めにも
ならない相槌を打って応えた。

それから美術館のF氏や市役所のK氏や古書店のT氏が相次いで
来て、話が種々に盛り上がった。
K氏は帰国中の谷口顕一郎さんに連絡を取り、古い煉瓦倉庫の壁
を谷口さんの作品素材に見てもらいたいと話をする。
谷口さんがドイツへ帰る前に彼の故郷の路上に続く建物の記憶を
是非作品に仕上げてもらいたいと自分も思った。
この玉葱倉庫であった古い煉瓦の建物は今は空き家となって、取
り壊される可能性もあるという。
何棟も連なるこの建物ゾーンは貴重な札幌の歴史的民間遺稿物で
ある。

街の黒い矢印のようなブーツの時間と画廊の中に流れる時間の落差
が調子を狂わしている。
もう少し精神をタフに立て直しこの年末を乗り切らねばならない。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日まで。am11時ーpm7時。
 月曜・元旦休廊。
*佐々木恒雄展ー1月21日(火)ー26日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503 
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by kakiten | 2013-12-22 13:20 | Comments(0)
2013年 12月 20日

捲る音ー神窓・師走(11)

展示・初日の喧騒が去って、廊内に草稿を捲る音が響いている。
撮影時一葉づつ草稿を捲っていた音を録音したものが、2階に
設置されたスピーカーから流れているのだ。
そしてそこに時折8ミリ画像の回転音が重なる。
正面壁には4台の黒い縁枠のモニターが縦に並び、時間を変えた
草稿画像が絶え間なく流れている。
その左の北壁では同じ画像の大画面が草稿画像を接写し原稿用紙
の紙の質まで透かすように映し出している。
頭上から響く紙を捲る音とこの巨大画面が重なって、見る人は
大きな巨人の手の内側に居るかのようである。
めくるめく千変万化する画面は、草稿それ自体が保つ奔放で深遠な
文字画像によって見飽きる事がない。
意味を伝達する文字である事を超えて、原稿用紙の罫線の桝目から
生き物のように飛んでいる画像として画面に象嵌されているからだ。
石田尚志・鈴木余位氏の手によるこの映像は、吉増草稿のすべての
素材を味わいつくすかのように、時に俯瞰し時に接写し原稿用紙の
紙の繊維質まで捉えているのである。
草稿の文字の自由奔放さ、そして時に抽象絵画のように大胆な色彩
の線描。
文字の大きさもインクの色も時に変化し、規則的な罫線の桝目を食
み出して、読まれ解読される事を拒絶さえしているかのようなこの
怪物化した大草稿440葉を、自在に映像化したふたりの映像作家の
豪腕は本当に見事という他に言葉は無い。
そして同時にこの解読印刷不可能と思える増殖し続ける怪物草稿が
その潜在的に埋蔵していた優れた芸術性を見事に開花させ顕在化し
たワークとも言い得るのである。

昨日、一昨日と2日間かけて、全映像を二度見に来た人がいた。
その人の気持ちは、毎日都度都度見ている自分にも良く分かるのだ。
毎回見る度に新鮮な発見があるからである。
この映像には物凄い量の情報が蓄積されている。
この作品は3人の天才たちの稀有な出会いが生んだ傑作である。
そして同時にその出会いを生んだこの場が保つ時の産地にも乾杯なのだ。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日まで。am11時ーpm7時:月曜
 ・元旦休廊。:映像ー石田尚志・鈴木余位。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2013-12-20 13:06 | Comments(0)
2013年 12月 19日

嵐のようにー神窓・師走(10)

外は低気圧で猛吹雪。
内は「怪物君」の熱い初日。
そんなとてつもない一夜が明けてなお熱波は続いた。
鈴木余位氏、石田氏が帰京した後もう一日吉増さんは札幌
に滞在していて、明年の大草稿展の構想を熱く語っていっ
たのだ。
現在440葉の草稿は明年500葉を超えるものとなり、
次回は自らのGOZOCINE、映像で勝負を賭けると、
石田・鈴木両氏に対抗心を露にして熱く語るのであった。

「緑の運河エルムゾーンを守る会」代表の宇田川氏入院の
余波もあり、その後の運営をめぐって定例会がある。
最初の提唱者である私に代行の話もある。
固辞してみんなで盛り上げていこうと話す。
政治経済の生臭い現実の中で、共通の理念だけはみんなで
守っていかねばならない。
気の抜けない日々が続く。

ベルリンから帰国中の谷口顕一郎さんが来て、先日採取した
路上の凹みのトレースをパソコン画面で見せてくれる。
4m程のこの亀裂は彼の気に入った作品素材となったようで
新たな制作を札幌で出来得た事が非常に嬉しそうだった。
母上の13回忌で3年ぶりの帰郷に良い仕事ができた事が
何よりの今回の供養ともなって満足そうだった。

フランスより吉増さんの「石狩シーツ」仏訳本が送られてくる。
朗読CD付の瀟洒な製本である。
この本の出版と同時に、今展示中の映像が加われば今後の海外
での吉増評価はさらに高まる事だろう。
明年からのイギリス、フランス、アメリカでのこの大草稿展示に
弾みがつく事は間違いない。
早速東京から2日にわたり展示映像を見に来てくれた女性が
この本を購入してくれる。

山田航、文月悠美さんの選んだ吉増草稿のカラーコピーが届く。
当初これらの小さな塊りを星雲のように会場に展示する予定だ
ったのだ。
440葉から各3葉づつ選ばれた草稿コピーを壁に貼る。
山田、文月の系、窓、罫線である。
石田、鈴木両氏の映像とともに会場がまたひと際厚みを増した気
がする。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日まで。am11時ーpm7時。
 月曜・元旦休廊。
*佐々木恒雄展ー1月21日ー26日

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by kakiten | 2013-12-19 15:13 | Comments(0)
2013年 12月 18日

吉増剛造展「怪物君」初日ー神窓・師走(9)

石田尚志・鈴木余位両氏の素晴らしい集中力によって、会場構成が
見事に仕上がってゆく初日前夜。
そこへ刷り上って間もない「怪物君」のフライヤーが届く。
一枚一枚色を乗せてまだ生乾きの刷り物である。
それを見た石田氏が撮影すると言って一枚づつカメラのシャッター
を切り出す。
撮った映像は動画にして構成するという。
酒井さんの活字印刷技術と河田さんのデザイン力が見事なフライヤー
を完成させ、石田氏が感動した所為である。

翌日吉増展初日。
来廊した吉増さんは大画面の正面に座ったきり全画面を自らの草稿
制作時を反芻するかのように2時間余りその前で語り続けたのだ。
そして夕刻宴会が始まり、吉増さん差し入れのシャンパン3本が
次々に開けられ宴が始まった。
石田氏鈴木氏の優れた映像により、あの大草稿440葉は一葉づつ
捲り、跳び、透かされて画像として躍動している。
その事を最も良く深く感受していたのは、他ならぬ作家本人であり
この夜のテンシヨンの高さ、酔いの深さは今までに見られぬもので
あった。
その余波は私にも及び、何度も人前に呼び出されて演説を強いられ
たのである。
石田、鈴木氏とともに肩を並べ、吉増さんが私の横でなにやら語り
ふっと気づくと”石狩シーツ”と呟いているのが聞こえた。
この時自然に唱和するように「石狩シーツ」の冒頭の詩行が私の声
に出た。
”神窓に頬杖、・・・”
それに呼応するように吉増さんの声が響く。
”白いインクの一角獣、「濡れた山のヴィジヨン」を、不図ー”
この一瞬の時間の「石狩シーツ」唱和の幸福なヂュエットの時を今
思い出している。
天才石田尚志の熱い友情と吉増さんへの深い敬意、俊英鈴木余位の
石田・吉増両先輩への深い尊敬と親愛の情がさらにそこに加わって
この途方もない映像作品と熱い初日の時間が怒涛のように流れていた。
道外も含めた多くの人が集い、熱い時の渦は途切れる事無く続いたのだ。

*吉増剛造展「怪物君」-1月5日(日)まで。am11時ーpm7時。
 月曜・元旦休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2013-12-18 12:46 | Comments(0)