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2013年 05月 31日

上着が要らないー明暗・皐月(24)

朝から暑い。
上着が要らない。
冬が長く愚図ついて、春を飛び越し一気に夏が来る。
南の市場で珍しくアズキナを見かけたが、あれはもう
すぐになくなるのだろう。
あの上品な甘さが好きだ。
普通のスーパーでは見かけないから、日持ちのしない
山菜である。
調理はさっと湯がいておひたしが一番美味しい。
癖も灰汁もなく美味い。
琴似川の上流域に群生しているのを見た事がある。
正式名はゆきざさといい、本州では亜高山地帯に生えて
普通は見られない高根の花という。
月寒丘陵の谷川に棲息したカワシンジュカイ、南西の
山岳地域に群生するシラネアオイ、そしてその渓流域に
群生する美味なユキザサ(アズキナ)・・。
こうした近郷の丘や野山・川の固有の生命たちに短い春
にもっともっと触れたい。

「札幌緑の運河エルムゾーンを守る会」に動きがある。
昨夜某氏と面談。
現在調査進行中の伊藤邸のその後に大きく動きがでそうだ。
某氏を含めていずれ百の議論よりも実際に現地を歩く事が、
大事と話が盛り上がる。

そういえばこのエルム(春楡)に夏生えるキノコがある。
ハルニレの別名アカダモの傍に生えるのでアカダモキノコ
という。
これは現在栽培もされているらしいが、これの野生のもの
は非常に旨かった。
栽培されて小ぶりになってスーパーで売られているのは
タモギタケとして売られているが、その味のコクは断然
違った。
二風谷の今は亡き萱野茂さんが沢山採って焼肉と一緒に
焼いてくれた記憶がある。
春楡・エルムの樹はこうした旨いキノコも育てるのだ。
こうした生物の多様性こそが文化の基盤ではないか。
その宇宙の中に人間もいる。

春の山菜から一気に季節は夏のアカダモキノコへと進み
アズキナもすぐになくなるのだろう。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


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by kakiten | 2013-05-31 15:27 | Comments(0)
2013年 05月 30日

雨上がりー明暗・皐月(23)

昨夜来の雨が上がり、濡れた道を自転車が走る。
車輪が舗道に吸い付くようで、気持ち良い。
ひたひたと走りが安定して、気持ちも落ち着く。
思わず声を出す。
”ゲルトピンチ!ゲルピン!”
なんでこんな声が出たのか、あまりに正直過ぎて
その声に覚醒する自分がいる。
身体が気持ち良いと、心もつい素直になってしまう。
日常押し隠し耐えている部分が、筋肉の緩みと一緒に
ポッと出るのだ。
意識の中のものが、声となって発せられてその声に
自分自身が吃驚している。
道ですれ違った人は、何だべ?と訝しく思っていた
事だろう。

人の死は消耗品ではない。
死して後も今に伝えるものがある。
それは記憶でもあり、その記憶をさらに結晶している
作品でもある。
今小樽美術館・文学館で開かれている瀧口修造展もまた
そうした一例であり、まだ無名の青年瀧口の小樽時代を
発掘し第二の故郷と呼んだその時代を発起点に新たな
展開を目指している。
6月末まで展示された後、全国を巡回する。
これはいわば小樽発の全国的な新たな展開である。
翻ってこのような札幌発といえる全国展開の展示は今まで
あるのだろうか。
札幌だけが道立美術館・道立文学館という名称に統一され
この地の固有名詞は消去されている。
つまりは自ら札幌発というスタンスを消去している事になる。
これは道庁所在地としての道都意識のなせる札幌消失と思う。
北海道道立であってそこは札幌から立つという磁場がない。
集権的な北海道の中心という閉じた意識が前提となって、札幌
という一地方は消失しているのだ。
瀧口修造は小樽時代を懐かしみ、そこから北海道を第二の故郷
と呼んだ訳だが、その起点にあるものはやはり小樽時代の記憶
であるだろう。
仮に瀧口が札幌に住んでいたなら彼は札幌をどう思っていたの
だろうか。

1922年生まれの八木保次さんと1903年生まれの瀧口修造
では時代に20年近い差があるけれど、北海道をある時期基点と
して生きた点において共通性がある。
八木さん夫婦はともに札幌の中心部に生まれ、池袋モンパルナス
時代を経てなお札幌の固有の自然を見つめた画家である。
50代を過ぎてからは札幌に定住しひたすらその光と色を追求し
続けた。
瀧口修造に小樽がひとつの基点としてあるなら、八木保次・伸子
たちにも間違いも無く札幌が基点として存在するのだ。
今の時点での業績上の有名性とは別に、この基点の問題をもう少し
我々は自覚的に把握してもいいのではないだろうか。
北海道立ではなく、単純に札幌立としてである。
全道の総人口の半分近くを占める札幌という一地方都市の人口的
メタボ状況を文化的メタボにしてまで道都的空洞化にはなりたく
もない事である。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-05-30 13:09 | Comments(0)
2013年 05月 29日

夏の年ー明暗・皐月(22)

冬が長くて今年は一気に夏が来た。
古くこの地に住んだ人は、一年を夏と冬に二分する考え方
をしていたという。
そして夏は海辺に住み、冬は山裾に住んだという。
夏家の在る所を、sak-kotan
冬家の在る所をmataーkotanと呼んだ。
積丹という地名は、このsak-kotanから名づけ
られたようだ。
積丹は<せきたん>ではなく<しゃこたん>で、サク・
コタンである。
春や秋が夏の年に属して、四季が四等分ではないこの地
の特色を今年ほど感じる年はない。
待ちかねたように小学校の運動会があちこちで開かれ、
本州とは春秋が逆になっている。
暖かさ、夏の年に敏感に反応して春が全てのスタートの
ように在る。
秋は短く冬の年の入り口にある。
閉じて耐える年が始まるからだ。
街はそうした固有の季節感に関わらず、全国的標準時を
設定し秋は芸術の秋として冬の年を迎える時にアートイ
ヴェントなどを催している。
インフラの整った都市環境では時にそうした全国標準時の
錯覚が可能となる。
でもそれは利便性の糖衣に包まれたある錯覚に過ぎないのだ。

八木保次・伸子さんの作品を見ながらしみじみと思う。
これは札幌の北の光と色の彩の絵画なのだと。
冬と夏の色彩がふたりの作品に満ち溢れている。
伸子さんの白は正に冬、保次さんの青と黒は冬の底。
そして伸子さんの黄色は福寿草の夏の年の先駆けのように
生命のjoyに満ち、保次さんの緑はフキノトプの蕾のよ
うに生命を孕んでいる。
昨年3月相次いで亡くなられた時は、夫婦ふたりの死に
騒然とした世間も今年は誰も声を上げようともしない。
人の死は大きな事件ではあるが、作品は残り作品は生き続け
て今日も新鮮である。
このふたりの生涯を通して追求し続けたこの地の光彩を、
絵画として正当にまっすぐに何故もっと見ようとはしない
のか。
国際展を声高に語る人たちはインターローカルな視座を喪失
して、なにを根拠にグローバル化を目指しているのか。
文化は利便性の物ではない。
その地の固有性から生まれるネイテイブを基底とするもので
あるはずだ。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-05-29 13:52 | Comments(0)
2013年 05月 28日

一気に夏日来るー明暗・皐月(21)

一気に初夏のような陽気で夏日となる。
なにを着れば良いのか躊躇する。
まだ心も服装も冬の残像が支配している・・・。

休廊日前夜自転車漕いで山の中腹にあるA画廊を訪ねる。
瀬川葉子さんの個展を見る。
日常の紙片やプラスチック片を透明な袋に入れて万華鏡の
ようにたくさん展示している。
家事・育児の傍ら、日常の捨て去るものを集めおにぎりの
ように、丸めている。
光に透けて、それらが用を超えて存在している事への愛情で
あろうか、不用という塵芥を作品の素材に転位させ再構成し
不思議な美を創る。
女性ならではの細やかな日常が、ふっと非日常の宙(そら)
へ。
細長い画廊の壁一杯に飾られたそれらの断片群。
さらに何冊もファイルされて予備のように紙切れや糸屑、ビ
ニールの雑片が収納されていた。
もう一度昼の光の中で見てみよう。

翌日A画廊のある山奥に足を伸ばす。
昔八木保次さんを案内したら、興奮して絶賛してくれた事を
想い出し、久しぶりにシラネアオイを見たくなったのだ。
群生している河岸のシラネアオイはすでに独特の透明感の
ある薄紫の色が薄くなっていた。
4,5日遅かったかな。
それでもニリンソウの白い花とともに、高級住宅街の裏の
都市の塵芥に負けず本来のその場所の自然を伝えていた。
できれば、ふっと小さな沢沿いのA画廊にいる瀬川さんにも
見せたいなあ、思っていた。
砂防ダムと土管で矯正され、もう往時の勢いを無くした不動の
滝と祠に祀られた不動明王の傍に迫り立つ小さな崖。
その上は車社会の車道が開発した高級住宅街が連なり、誰も
多分家裏の崖に咲くこれらの花々を意識してはいない。
裏の崖だから塵芥も汚水も零れ落ちてくる。
そこに健気にも本来の植生を今年も花咲かせている。
これは日常の無用の塵を作品の素材にしている作家にも是非
見て欲しいと思ったのだ。
展示している場所に程近い、同じ地形のその場所に咲く花
たちを・・・。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-05-28 13:16 | Comments(0)
2013年 05月 26日

久しぶりの快晴だが・・・明暗・皐月(20)

雲ひとつ無く青空広がる。
風も穏やかで正に行楽日和の日曜日。
円山公園には、車と人の群れ。
途中の小学校のグランドからは、運動会の歓声
が流れている。

森や野に花が咲き、色彩にあふれてきた。
光が色を生み、色が光に踊る。
彩を彩(いろど)りと読むのは、光と色のこの
関係を意味するからだろう。
ランランと、光彩と色彩を風に手を結ぶ。

布団を干して、冬の湿気を払いたい。
できれば蹲るこの卑小な心も干して、この世界
との落差を払いたい。

中嶋幸治さんの小冊子の展示を見て、写真家の
竹本英樹さん父娘が寄る。
先日来た写真家のアキタヒデキさんも会場にいた
という。
歌人の山田航さんも来て、みんな中嶋さんの手作
り冊子を購入したという。
私は先日この本の通し番号30番の1を頂いてい
るが、もう何番まで捌けたのだろう。
本という形の小さな触れる立体作品。
その渾身の秀作が非常に美しい。

八木保次・伸子追悼展延長に入って一日目。
光が廊の内外に溢れている。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-05-26 13:02 | Comments(0)
2013年 05月 25日

夢の中・・・-明暗・皐月(19)

画廊に着いて2階事務所の椅子に腰掛けパソコンを開いて
しばし、その後珈琲を淹れるも椅子に凭れて仮眠。
なにかヨタヨタ、フラフラする。
昨夜みた飛ぶように山を走り街を自転車で快走していた
夢は、この体調不良の反動だろうか。
あの夢の中の身体の感覚は、心が体と一体のキラキラした
時間。
仮眠しながら、その感覚を再び反芻していた。
あれは夢なのだが、間違いも無く身体が覚えている心身
の確かな感覚。
夢の中でその感覚を思い出している。
八木保次さんが健在の頃、ふたりで獣のように山を徘徊した
事を思い出す。
札幌の宮の森の山奥には、郭公と鶯の声の競演が聞こえた。
左の谷からは郭公が、右の谷からは鶯が鳴いていた。
今郭公は山から消えて鶯だけが鳴いている。
道なき道をよじ登り、その途中に腰を下ろしてこのふたつの
春の鳥の競演を聞く事を教えてくれたのも八木さんだった。
あの時五感はすべて開かれ、足の先まで目が点った。
皮膚は身体全体に連動して、波長のようであった。
それを身体が思い出して夢の中で告げている。
夢というのは希望のような、現実の逆の励ましでもあるの
だろうか。

心身から溢れ出たオーラのように、光の中で花吹雪が舞って
いる。
正面に展示された3点のおふたりの作品は、見る人の瞳を
留めて、今日も深い息とともに声なき声をかけられている。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-05-25 13:54 | Comments(0)
2013年 05月 24日

下降線ー明暗・皐月(18)

昨日は暗く寒い日。
今日は風光り、風強い日。
体調が下降線。
自転車に乗っていて、何人かに追い越される。
別にスピードを競う気はないけれど、時にふっと
ノロノロ、モタモタ、疲れか体調の悪さに気づく。
肩を怒らせ前に突っ込むように自転車を走らせる
スピード狂みたいな人もたまにいるけれど、そうし
たのとは違う普通の健脚な人にもすつと抜かれる事
が多いのは、要注意である。
意識せず身体が緩慢になっている。

美術評論家のKさんからFAXで新聞記事のコピー
が送信されてきた。
川俣正の芸術選奨大臣賞受賞の記事と吉増剛造の
旭日小綬章の記事である。
ふたりはもう叙勲の対象なのだ。
お祝いの言葉を送ろうかとふっと思ったけど
そういう視野でのお付き合いではない気がしてやめた。
川俣さんとは、1983年札幌円山北町でのテトラハ
ウスプロジェクト以来、最近では「札幌の緑の運河エル
ムゾーンを守る会」の運動に共鳴してくれた友情がある。
吉増さんとは毎年年末に「石狩河口/座ル ふたたび」展
を開き、新たな作品宇宙の展開に立ち会っている。
そうした現在進行形の関係に、叙勲の祝辞はなにかそぐわ
ない気持ちがした。
ただふたりのこれまでの業績を考えれば、おめでたいこと
には違いない。

中嶋幸治さんが来て、明日から始まる手作り本の展示に
出品する30冊の第一号を謹呈してくれる。
手作りのこの本は見事な出来映えで、これまでの彼の作品
行為のひとつの集大成のように感じられた。
装丁、紙質、構成すべてに神経の行き届いた優れた小冊子
である。
「分母」と命名されたこの小冊子は、電波媒体全盛の今日
あらためて五感に触れる紙媒体の良質さを感受させてくれる。
タイトルの<分母>という命名にも、その文化の基底を意思
するコンセプトを感じて感心した。
文化の分母の多様な形成こそ、今文化を考える上で必要な
行為と思うからだ。

午後かりん舎のふたりが来て山田航さんが来る。
その後写真家のアキタヒデキさんが来て話し込む。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-05-24 19:04 | Comments(0)
2013年 05月 23日

早川禎冶さん来るー明暗・皐月(17)

八木さんたちの遺作が人を招くのか、療養中と聞いている
登山家で名随筆家の早川禎冶さんが来る。
2008年冬に南半球を半年かけて舟で回りその後体調を
崩していたと聞いていた。
その時の紀行文は「南半球舟行」として翌年2月に出版さ
れ、変わらぬ優れた文明批評の視点に感銘をうけていた。

 いまこうして氷河の断面の青をながめている。
 すでに、この白は海を前にして青に変貌していることに
 気づく。・・・
 ただし、ここでは白は赤をへずして、いきなり青色となる。
 それはすでにこの地が人間が介在すべきでない空間である
 ことを意味しないか。・・・
 空間はきらめく氷河と岩が海を補完して見事な造形となって
 いるものの、この海だけを見るとどうしようもない暗さでおお
 われている。このとき、天地晦冥の晦は本源をいえば海(かい)
 ではないかとおもった。それはまちがいなく、愚かな人間のふれ
 るべきでない世界であることを暗示しているように感じたもので
 ある。
     (同上・南極海ー岩と氷河と海とー2008年3月14日から)

古代中国の青と赤そして白という本源的な色彩の考察が、この南極
の紀行文を通して伝わってくる。
白が赤をへずしていきなり青となる非生命への観察は、八木さんたち
ふたりの光彩探求の絵画の根幹にも触れる視座がある。
四季の彩(いろ)を、青・朱・白・玄の4色で顕した古代の色彩の
推移は同時に生命の色彩の推移でもある。
朱つまり赤の経過しない白と青とは正に非生命的世界なのだ。
そしてそうした白と青の世界には、玄(クロ)というどうしようも
ない暗さ<晦冥>が広がっている。
桜吹雪のような赤色の光彩を、剥落した絵の具にも少しも違和感を
感じずにまるで生命の花の乱舞のように感じる八木作品を前にして
早川さんの不意の訪問は、私に早川さんのこの文章を思い出させて
いたのだ。
先年亡くなられた名随筆家山川力さんとともに、早川禎治さんの
歩きつつ書かれる名随筆は優れた文化・文明論でもある。
この訪問は、やはり故八木さんたちの作品の功徳である。
自宅から一キロ以上は出歩かない毎日だったが、今日は特別に遠出し
て来たのだと、とても健康に不安があるとは思えないような大きな声
で早川さんは話す。
ちょうど来た夕張の上木和正さんもその元気さに吃驚している。

早川さん、
これが最後の訪問などと言わないで、これからもどうぞ元気でいて下さい。
お願い致します。

*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。am11時ーpm7時
 :月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503







  
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by kakiten | 2013-05-23 14:19 | Comments(0)
2013年 05月 22日

三線が鳴り響くー明暗・皐月(16)

八木さんの遺族の方が見えて、新たに4点作品が加えられた。
さらに遺作の収蔵作品の展示が増える可能性が出る。
先に展示中の私所蔵の2作品と小杉山氏所蔵の桜吹雪のよう
な正面展示の3作品に遺族の方がえらく感動したからである。
こんな作品があったのか、と呟く。
そしてまだ未整理の作品たちから、本気で他の作品を選び
展示する気持ちになったようである。
遺族の方を案内して連れて来てくれた小杉山氏もとても満足
して、嬉しそうだった。
川崎から来て先に会場に居た旅行中の川戸郷史くんも感動した
のか、帰りの飛行機の時間を気にしながら持参の三線を出して、
春の曲を一曲演奏すると言い出した。
沖縄の独特の歌いまわしと三線の音色が、桜吹雪の作品の前
に響き渡る。
川戸くんは昨年暮吉増剛造展で初めてここを訪れ、この時も
三線を弾いて場を盛り上げてくれた事があった。
それ以来の訪問だったが、今回もこの場のみんなの気持ちを
掬い取るように見事な歌と演奏を披露してくれた。
先日沖縄の与那覇さんが初めて見えて、その後こうして沖縄の
三線の音色が響き渡るとは、不思議である。
八木保次さんがもしこの場にいたなら、きっと曲にあわせて
踊っていただろうなあ、と少し剥落した絵の具が一層花吹雪
のように見せている作品を目の前にして、故人の面影を重ね
思っていたのだ。
春の明るい光の中作品が作者に代わって踊っていたに違いない。

夕刻文化財の仕事をしているK氏が来る。
昆虫と森を愛するK氏は八木さんの絵画に森を感じるという。
それから奥で持参のビールを飲みながら、精進川の絶滅した
カワシンジュ貝の話をした。
サクラマスが遡上する清流に住む貝である。
100年から130年生きると言われている。
札幌の南東部月寒丘陵の谷間精進川に住んでいたという。
その事を報じた切り抜き記事を見せながら、自然の多様性に
ついて話が進んだ。
西南部の山岳地帯に今ころ咲き誇っているシラネアオイ、
そして南東部の丘陵地帯の渓流に生きたカワシンジュ貝。
その他にもこの地に固有の植生や生き物がある。
八木さん達の遺した絵画に光彩を与えたこの地の自然の
多様性こそ文化の基底であると、話した。
文化財の財とはそうしたものの総称でもある。
その財の上での文化なのだ。
そんな話に夜が深く暮れた。

*八木保次・伸子追悼展ー5月26日(日)から第二次展示
 6月2日(日)まで延長。am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2013-05-22 13:51 | Comments(0)
2013年 05月 21日

雪塩ー明暗・皐月(15)

沖縄人らしい独特の人懐っこい笑顔を浮かべて、与那覇
幹夫さんが訪ねて来る。
人懐っこいと同時に熱い人だ。
宮古島の塩を使った伝統菓子ちんすこうを頂戴する。
初めて訪れたテンポラリーだが、すぐに寛いで八木さん
の絵画を見てくれる。
程なく中川潤さんも来て奥で珈琲を飲みながら、ふたりは
久しぶりの再会に話は尽きない。
このまま札幌で一泊と思っていたら、この日に一度旭川
に戻り翌日旭川から沖縄へ帰ると言う。
そんな多忙なスケジュールの中時間を割いてわざわざ札幌
まで会いにきてくれたのだ。
吉増さんもこの日帰京のようで、与那覇さんとの出会いは
なく「はるみずのうみ」の出会いはなく残念だった。
2時間ほど話し込んで、午後5時の電車で熱い人が去る。

その後美術館のF氏が来て、八木さんの作品をじっくりと
見てくれる。
昨年のふたりの追悼展も見てくれているので、今回初めて
展示した桜吹雪のような保次作品に大いなる興味を示してく
れたのが嬉しかった。
それから奥で話を続けながら、与那覇さんに頂いたお菓子を
御茶受けに開けた。
青いパッケージに雪塩と書いてある。
宮古島で採れる海の塩の事を雪塩というのだ。
ふっとこれをお土産に持参してくれた与那覇さんの気持ちに
北への友情のようなものを感じた。
遠くから来て短い初めての訪問。
小熊秀雄賞受賞のお祝いも出来ず、一方的にこちらの方が
気持ちを頂いているばかりと、別れた後でそんな気持ちが
湧いていたのだ。
思えば美術の豊平ヨシオさん、ムラギシの友人のサトマンくん、
与那覇さんと、みんな沖縄の人は心が熱い人たちばかりだ。

*八木保次・伸子追悼展ー5月26日(日)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2013-05-21 12:53 | Comments(0)