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2013年 04月 28日

風雨強くー風の翳・卯月(19)

小雨に風強く自転車もなかなか前へ進まない。
蛇行しながら普段の倍近く足に力をいれ画廊に到着する。
今日は、Vickyさんの搬出日。
事務所にfaxと留守録音がある。
faxは沖縄の詩人与那覇幹夫さんからで、5月に来道す
るので会いたいという内容だった。
今回旭川に小熊秀雄賞の受賞で来道するという。
もう随分以前にお会いしたきりなのに、忘れず時間を割い
て会いに来てくれる。早速伝言の番号に電話する。
受賞祝賀会を終えすぐ札幌に来るという。
そこでゆっくりと珈琲を飲みたいのですよ、と笑って言う。
なんとも恐縮して、嬉しい限り・・。

留守録音は四国の映像作家大木裕之さんからで、こちらは
5月予定の「メイ」展の事だった。
こちらも電話をすると、今年5月は無理という内容だ。
10年目の連続作業も、今年はズレてメイとはならない事に
なりそうだ。残念な話だ。

Vickyさん、もう一度名残惜しむように会場をゆっくり
撮影した後、作品の撤収を終える。
展示の9時間に比べ、片付けの早い事はいつもの事ながら呆気
なく、寂しいものである。
自国のスペイン戦争の歴史を追った写真と文の彼女の本を記念
に戴く。
スペイン語は分からないが、写真・装丁と実に真摯な優れた本
である。
また札幌に来ると英語で語り、握手をして別れた。
今回札幌の緑の運河エルメゾーンを歩いたのが、とても良い記憶
となったようだ。

搬出作業途中に網走の宮田氏が訪ねて来る。
初対面だったが、このブログを通して知り合った美術関係の
方である。
純粋に道東・網走で美術を考えている好感もてる人だった。
聞けば美術家川俣正と予備校時代一緒だったと言う。
不思議な縁である。
その後ムラギシの追悼遺作集も購入してくれ、話が弾んだ。
山田航さん、佐々木恒雄さんともフェースブックで知人という
事で、いつかみんなで網走で何かをしようと話す。

東京の沼田康弘さんより連絡あり。
念願の夕張とその周辺を舞台とする映画制作の為、脚本の原作者
と本日契約を交わした事の報告がある。
いよいよ本格的な撮影のスタートである。
月寒丘陵、馬追丘陵、札幌へと撮影現場のロケハンが開始される
だろう。

Vicky展搬出日、いろんな遠い場の人と心の交流をした日。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-04-28 16:58 | Comments(0)
2013年 04月 27日

寒の戻り日ー風の翳・卯月(18)

最終日、寒い日。
明日帰国のVickyさん、滞在の疲れがたまって
いるようだ。
急な展示とオープニング、言葉の違いもあり気疲れ
もあるのだろう。

昨夕”財布を失くしたNさんですか・・”と電話がある。
吉増剛造さんからだった。
昨日のブログ読んで3本目のカセットテープの不調を知り
元の録音をあらためてCDで送るという話だった。
そして聞き終えたら送り返して欲しいという。
なにか見えない力が働くのか、不思議と音が消えている。
3度郵送された謎のカセットテープである。
今度は原音でCDという。
うっすらと3度の録音で吉増さんが朗読された吉本隆明の
詩の保つ何かは、感じてはいる。
しかしそれが何なのかは全部聞いてみなければ判らない。
ここまで集中的に吉増さんからご指示されれば、こちらも
そうとう心して応えなければならない。
そして5月10日深夜ETVでかって放送された未来潮流
という吉増さん出演番組のアンコール放送が決まったと、
伝言があった。

相変わらず暇を見ては、メールアドレスと名前を照合する
作業が続いている。
やっとhまで進んだが、まだ半分位である。
みんなほんとうに分かり難いアドレスを付けているなあ。


*Vicky Mendiz写真展「すきまーSUKIMA」
 4月27日(土)まで。am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-04-27 15:05 | Comments(0)
2013年 04月 26日

あれやこれや・・・風の翳・卯月(17)

友人のK氏が参議院選挙に立つ某候補を連れて挨拶に来る。
TVで何度か見た事のある硬骨漢だったが、醸し出す精気は
やはり政治家がもつ独特の雰囲気がある。
全共闘世代のK氏は、3・11以降何か心に期するものがある
ようで、再び政治的発言の位置を持とうとしているようだ。
一緒に来た後援会の人がめざとく吉本隆明追悼の本を棚に見つけ、
懐かしいなあと呟いて手に取った。
それからは候補者をそっちのけにして、福島泰樹や吉増剛造の
話が弾んだ。

その吉増さんから第三弾目の講演録音のカセットテープが送ら
れて来た。
半分は明瞭な録音だったが、吉本隆明の詩を朗読している途中で
音声が消えている。
3回も同じ講演記録をカセットテープで送って頂いたが、今回も
完全ではない。
なにか自分の所為でこうなっているようで、悲しい。

詩人の渋谷美代子さんの新しい本「へんなうち」が送られてくる。
古川善盛さん、堀越義三さん、忠海光朔さんと今は故人の人たち
が遠い事物や風景とともに書かれている。
淡々と日常でありながら、深い底流のように人生を見つめる視線
が柔らかい言葉で包まれている。
読んでいて時にふっと心が放心するような、日常の隙間が行間に
散りばめられている。
ほとんどが今はいない人たちや物が主役だが、そこには懐古で閉じ
る詠嘆はなくあくまでも過去という現在なのだ。
その柔軟で強靭な時間の織物のような文章は、機織の名人のように
日常でありながら非日常である。

   「しんせい」か「新生」か
   確かめておこうと
   自動販売機を見かけるたびに
   探しているが いずれも無し

   「光」はどうだ
   二つ並んだ自販機の 上から下 
   右から左 と眼をこらすが
   日本語のヤツは見事に無し、お!

   あるある、たった一つ
   「わかば」
   これも漢字だったような気がするが

    ・・・・
                   「煙草の名前」

美術評論家のKさんから岡部昌生論が送られてくる。
併せてそれに関連してインタビューを一時間半ほどしたいと
書いてある。
きちっとヴェネチアビエンナーレ日本代表のひとりともなった
岡部昌生を今論じられるのは、Kさんくらいしかいないだろう。
出来るだけの協力をする積もり。

新しいパソコンのメール住所がすべてアドレスだけになっていたので
名前と照合し名前を打ち込む作業やっと三分の一程度進む。

*Vicky Mendiz写真展「SUKIMAーすきま」-4月27日
 まで。am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503 
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by kakiten | 2013-04-26 13:32 | Comments(0)
2013年 04月 25日

初日の人模様ー風の翳・卯月(16)

初日vicky展オープニング。
いろんな人が来た。
懐かしい何年ぶりかの友人の姿もあった。
また、こうした外人の展示の時しか会わない人もいた。
ふたつばかり印象に残った事がある。
ひとつは先日東京でライブパフォーマンスを失意の内に
終え憤っていたFくんの顔である。
眉毛を全部剃っていたのだ。
眉毛の無い顔は不気味であった。
eye an manである。
目だけが光っている。
この時初めて眉毛に表情があることに気づく。
山田航歌集「さよならバグ・チルドレンをめぐる変奏」展で
眼だけのドローイングを描いたFくんの絵画がそのまま本人
の顔となって、眼だけが光っていた。
眉毛を剃ったその危うい行為自体に彼の心の傷の深さを感じ
たのだ。
vickyさんに彼の図録を見せ紹介したが、どこか敬遠さ
れ距離は遠かった。
やはり作品よりも顔に敬遠されたようである。
もうひとつは、札幌の国際展に関わる仕事をしているAさん
である。
久しぶりに来たKくんと会い、かって一緒に札幌を歩き回っ
ていた頃の奥三角山下の故八木保次さん宅に寄った時の写真
をたまたま出して懐旧談に話が弾んだ。
Kくんは、自分の写真を見てまだピチピチしているなあと笑う。
それを傍で見ていたAさんが一緒に写っている八木保次さんを
指差して、この人は誰?と尋ねたのだ。
昨年奥さんの八木伸子さんに続き89歳で亡くなって、もう一
年が経つ札幌に生きた画家である。
顔は知らないとしても、このおしどり夫婦の画業を知らないの
には、一瞬カチンと来た。
Aさんは個人的には良い人で何の好悪もないのだが、外国人の
展示にばかり熱心で、札幌で北海道を60年一筋に生きたふたり
の画家夫婦の存在すら知らないとは、どういう事だ、と思ったの
である。
国際とは、interーnationalでnational
とは、自分の生きている足元のlandの事であるだろう。
今の時代それはinter localと言い換えても良い。
まして札幌国際展に関わるのであれば尚のこと、国家ではなく
札幌に拘ってInter localでなければ意味が無い。
そういう立場の仕事に関わる人が、札幌の色彩を生涯描き続けた
ふたりの画家夫婦の画業も知らず、外国人の個展だけは顔を出す。
これで本当にInter nationalという国際展が
出来るのか疑問に思うのである。

眉毛を器用に上下させ愛想を振りまく事。
眉毛を落とし不気味でみんなに敬遠される顔。
普通は前者が世間に受け入れられ、後者は遠ざけられる。
しかし私には、今回のふたつの出来事が正反対の位相にあって
真逆に感じられたのである。

今回スペインの写真家Vickyさんの資料に、スペイン内戦
時代を生きた人々の歴史を辿った写真集がある。
200頁を超える人・物・風景の記録である。
スペイン革命の時代に生きた人を発掘した、正にInter 
localな優れた仕事なのだ。
自らの生きているLandを深く耕さずして真の国際化など
果たせる筈もない。

八木保次さん、伸子さん。
今年もささやかな追悼展を催したく思っています。
あなた方の遺してくれた札幌の光と色の為に・・・。

合掌。

+Vicky Mendiz写真展「すきまーSUKIMA」
 -4月27日(土)まで。am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-04-25 13:06 | Comments(2)
2013年 04月 24日

vicky展始まるー風の翳・卯月(15)

15点ほどの作品を9時間以上かけて展示が終わる。
どこか日本的で、どこか異国的な作品である。
日本的に感じるのは、大き目の作品が掛け軸を思わせる長さで
裁断されているからである。
異国的に感じるのは、被写体への視線の回路と思われる。
写真とは真を写すと書くけれども、真の捉え方には個人差と
民族の差異も在る事を感じるのだ。
被写体の人物は、来日して撮った日本の若い女性である。
その何の変哲も無い普通の女の子が不思議と異国的に感じる
仕草の内にいる。
入ってすぐの右のコーナーに展示された作品の女性はこちらに
向かってお辞儀をしているのだが、その何でもない日常が異国
的な感性で佇んで感じられる。
花ひとつ、人間ひとりの仕草が、その切り取る回路で我々の日常
とは微妙に違っている。
先日札幌のエルムゾーンを案内し札幌に好意を持ってくれたその
好意の角度は、私などが保っている札幌への回路と同じものと
思うのは錯覚かも知れないと不図思うのだった。
都市の内に沈む本来の自然世界を郷土への愛として見る角度と
異国の人があるがまま都市と自然を同時に均しく見る角度とは、
過剰に郷土を思う分だけ差異が生じているのを感じるのである。
この彼我の差異は、同じようにお辞儀をする人物を見てもその
捉え方の差異として写真には明瞭に映し出される。
スペインの人に対して私自身持っていた先入感は、フラメンコと
闘牛の情熱的な赤のイメージだったが、vickyさんは小柄で
物静かでそんな感じはしない。
むしろ東洋と背西洋の境を生きている両面の感性を保っている人に
思える。
今回の「sukimaーすきま」というタイトルにもそれを感じる。
世界はやはり広いとあらためて思う。
先入感や固定観念、個人的思い込みはどこか過剰で世界は一面的に
しかその姿を顕さない。

*vicky写真展「すきまーsukima」-4月27日(土)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-04-24 15:19 | Comments(0)
2013年 04月 23日

光伸びてー風の翳・卯月(14)

光が伸び始めた。
陽光が長くなり、影が淡い。
寒気を秘めた春である。
休廊日、Mギヤラリーに森本めぐみ展を見に行く。
金銀の紙吹雪が床に盛大に散らばり、サロン風の
会場が揺れる空間になっている。
enーiwa(尖ったー山):恵庭をテーマとする
作品展で、故郷の恵庭火山が主題だ。
今夏結婚して福井県に移る前のある意味で総括のような
北海道最後の個展である。
小さなものから大きなものまで有機的な広がりを保つこの
作家は、今回も散乱する紙片ひとつから6畳間ほどの大作
まで、のたうつように森本めぐみである。
凝縮と拡散が同時並行的に在って、本当の完成度はもう少し
先にあるような気がした。
さらに離れて見えるものがあるのかも知れない。
人間にも光の届く波長の季節がある。

会場を出てふらふらと山裾へと歩く。
体調がいまいちで、この日はまっすぐ家に帰る。

一夜明けて今日はvickyさんの展示日。


*vicky mendiz展「すきまーsukima」ー4月24日
 (水)-27日(土)am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-04-23 11:33 | Comments(0)
2013年 04月 21日

泉と川に沿うようにー風の翳・卯月(13)

来日中の来週水曜日から展示するvickyさんを案内して
緑の運河エルムゾーンを歩く。
同行者はvickyさんの友人の美術家久野志乃さん、写真家
の藤倉翼さん、歌人の山田航さんの総勢5人である。
例によって大通り公園のイサム・ノグチのブラックマントラ前
からスタートする。
ヤマダ電機ーSTV局を抜けて植物園に出る。
まだ植物園は開かれていないので、外側から伊藤邸側に沿って
歩く。
巨大な大木にvickyさんが驚いている。
そこから偕楽園緑地跡の公園に入り、静華亭を見る。
庭のエルムの大木に挨拶して、北大構内へ抜ける。
その後はサクシコトニ川沿いに縄文遺跡公園までゆったりと
歩を進めた。
途中久しぶりに学生食堂で昼食をとる。
2006年夏に故村岸宏昭さんと入って以来の事だ。
その2週間後彼は四国で遭難死して、これが最後となった。
全行程を終えテンポラリーに到着し、ほっとして珈琲を飲む。
そんな時間に久野さんがvickyさんの感想を伝えてくれる。
サッポロがすきになった、と。
そして何故こんな道を知っているのか?と尋ねられる。
この時すぐに返事は出なかった。
それは貧しい英語で応えようとしていたからで、本当は日本語
でもよかったのである。

 何故なら私の人生は私の故地の探索、喪われた札幌への愛にある
 からです。

because my life is love for 
home land in Sapporo

ってな英語を考えていたのだ。
こうして文章化してみると、なにか気障ぽくって照れる。
きっと以前聞いた事のあるジョナス・メカスの応え方が、頭に残って
いた所為だろう。
それは揺れるメカスの映像に観客からの質問があって、その応答
にメカスが応えた遣り取りである。

 Why your image shaky?

 Because my life is shaky

比べるとだいぶ見劣りがする。
それは致し方のない事である。
それでも札幌が大好きと言ってくれたのでこの日の歩行自体は
十分にその目的を達したと感じて、嬉しかった。

*vicky mendiz写真展「すきま」-4月24日(水)-27日
(土)am11時ーpm7時。
 オープニグ 24日(水)午後6時~。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2013-04-21 12:55 | Comments(0)
2013年 04月 19日

たくさんの入り口ー風の翳・卯月(12)

寒気が戻ってきて、うっすらと雪が積もっている。
今日は雨か雪の予報なので、自転車は止めて地下鉄に乗る。
また矢印の世界。
これは色んな指示に満ちた移動の連続である。
移動の回路が慇懃に丁寧言葉で誘導する。
絶え間なくメッセージが目にも耳にも送り込まれ、出口へと
誘導している。
金銭の入り口が同時に出口となって、その回路を人が動いて
移動する。
自然に近い路を歩いている時、世界はさまざまな入り口に満ち
ていて、出口と直結していない。
五感は様々な入り口を回路にして世界に触れ、繋がる。
入り口と出口が均しく直線的に繋がっているのが、都市という
世界である。
そこで人は、入り口⇒出口へと直線的な歩行となって現われる。
出口にモタモタするのは、落ち零れ行為のように敗者のものの
ようである。
見方を変えれば、決められた出口に向かって一散に突っ走って
いるだけの貧困と思える。
本来世界は様々な入り口に満ちているのに、ひとつの入り口⇒
出口に向かって速度を競っているだけの貧困に気づかない。
多分その大きな要素は経済の論理に拠る処が大きい。
地下鉄含めて公共経済的なものの多くは、丁寧な慇懃さで入り
口から出口へと集約する金銭回路で構成されている。
インフラとして止むを得ない装置ではあるが、これは量的装置で
あって個的な動機は喪われて存在する。
入り口が多種多様であれば、量的な統一性が喪われて多大な混乱が
生じるからである。
その象徴が貨幣の統一性なのだ。

この物流の量的統一領域と個々の精神的自由領域のせめぎ合いの
境界線に金銭というモノの回路がある。
それは入り口をたくさん求めて自由である精神と出口を統括する
物流社会との永遠の対峙という人間の基本的問題であると思える。

*vicky mendiz写真展ー4月23日(火)-27日(土)
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-04-19 13:25 | Comments(0)
2013年 04月 18日

冬の末ー風の翳・卯月(11)

アイヌ語的にいえば、mataーkes:冬の末というところか。
滑り止めの粉や泥に汚れた腐れ雪が路辺に残る濡れた路。
乾いた埃も巻き上がって、寒気と曇天の朝である。
それでも遠くの山並みには春の気配が漂って、土の色が山の血色
を感じさせている。
昨年まで自称お馬番を名のってくれたY氏が来ないので、自転車
の整備も自分でみなければならないが、今のところ快調に疾走し
ている。
ゴルゴ13のようにいつも背後の足音に敏感になつていた街の
歩行に比べ、身体全てを車輪ととも疾走する孤独な時間は気持ち
が楽である。
人間の間隔の密度が濃い地下鉄や街路の歩行に比べ、世界は広く
有機的な様々な風景との対話がある。
汚れた土の間から懐かしい緑色、黄色の花が見えている。
小さなjoy、黄金色の福寿草だ。
そして仄かな苦味を舌に想い出させる緑のフキノトウ。
森の梢に燃えるキタコブシの白い花。
燃える黄色と緑そして白が、北の春の色彩である。
その後は色彩の万華鏡のように、いっせいに全ての色が花開く。
冬の末は夏の始まり、春である。
sak-pa(夏という年)、mataーpa(冬という年)と
それらが交互にやってくると考えた古代アイヌ人の考えは、今も
この地に即した感じ方として私には実感できるものだ。
東京の学生時代この土地のを春を初めて経験した時、その長さと
植生の相違に感心した事があった。
彼の地では四季は四等分に来る。
この地では冬・夏の二等分のように春・秋が短い。
しかしその分春の勢い、秋の勢いは濃いのである。

スペインから来札したビッキーさんが来る。
急な事だったがちょうど画廊も空いていたので、彼女の作品を
展示する事になった。
さらに「緑の運河エルムゾーン」にも興味を示してくれたので
後日案内する事となる。
その際そこから新たな作品に挑戦する機会も生まれる感じがする。
遠くスペイン内戦時代の祖父の血をもつ彼女には、札幌の見えな
い傷口を身体で感じて欲しいと思うのだ。
インフラの整ったグローバルな都市環境は、世界中みな同じ顔を
している。
ここでしか見えないものを感じて欲しい。

*vicky mendiz写真展ー4月23日(火)-28日(日)
 am11時ーpm7時。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2013-04-18 13:04 | Comments(0)
2013年 04月 17日

長年連れ添った・・・-風の翳・卯月(10)

どこかまだよそよそしいような、慣れぬウインドウズのパソコン。
98年型の古いパソコンは限界だったとしても、長年連れ添った
親密さは捨て難いものがある。
機械と人間にもまた会話というものがある。
どこかまだぎこちないのである。
それにしても性能的には段違いの速度で、待機の時間が少ない。
サクサクと速度が速いという事は一面快感ではあるけれど、遅い
速度に慣れていたリズムは街の歩行のようで時に戸惑うのだ。
速いという攻撃性は反面遅いという敗北性にも通じていて、そこが
都市的であると思える。
速くて便利というキーワードが都市の論理でもあるからだ。

吉増剛造さんから送られたテープを再度聴きなおそうとして巻き戻し
たら何故か音声が消えてしまった。
これもアナログな時間のあり方である。
カセットテープも久しぶりに扱うので、間違えて押してしまったの
かもしれない。
機械にも慣れという親密性がある。
ツーといえばカーという距離が人間関係と同じように機械にもある。
K氏が今日も来てくれて、メールアドレスの転写に苦労する。
アドレスだけと漢字氏名の混在が原因で機械は認識しないらしい。
新たに打ち込む必要があるようだ。
やはり98年型という古さが新しい機械との間にズレを生じさせて
いる。
機械同士も慣れていないのである。

*vicky mendiz写真展ー4月23日(日)-28日(日)
 am11時ーpm7時。:スペインの写真家による個展。


 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011^737-5503 
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by kakiten | 2013-04-17 13:04 | Comments(0)