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2012年 12月 29日

星の交感ー星雲・12月(27)

一昨夜新宿・ピットインの熱い余波が今朝も届いている。
石狩河口と望来の映像を提供した鈴木余位さんからの便り
である。

 新しい器官が芽生えるような夜でした。
 札幌と新宿が形のレベルを超越して「所」から逃避に成功した
 未曾有の「場」が現れました。
 あれほどの吉増さんを目撃したのは、僕は初めてでした。
 身体全てを床に打ち付け、吉増さんご自身が「トンカチ」に成り代わっ
 たかのように、大地を打刻している。なんども、なんども。全身を床に
 打ち付けている。
 カメラを持ちながら、誰よりも打刻間近にいました。
 僕はその打刻によって、ゆれる「場の息」を全身で浴びていました。
 そして「石狩シーツ」を詠みはじめた時に、吉増さんの顔、手、くいしば
 った唇のリアルタイムプロジェクシヨン。そこでスタッフに合図を送り、
 多重写しをするように石狩河口と望来の海のモノクローム映像を放射
 しました。
 短い時間ではありましたが吉増さんと、札幌で流されているあの石狩
 望来のモノクローム映像が重なり合う。
 あの至高の時間といったら・・・。
 目も耳も手もひとつになった刻でした。
 ・・・・・ 
 <場>というものは地図では現わす事は決してできないのですね。
 まさにテンポラリーです。
 その一時を、絶対に逃がしてはならない、その抱擁がコンテンポラリー
 のようにさえ感じます。

新宿・ピットインの熱い夜に飛んだ流星のように、余位さんの感動の息吹き
がこちらまで洩れて聞こえるようである。
<場>がワープして新宿ー札幌を往還したかのような、今日・昨日と続く魂
の交信である。

遠くから届く<場>と重なり響くように、こちらでは尾道から帰省した彫刻家
野上裕之さん夫妻が今年4月産まれた朝登くんを抱いて訪ねてきた。
初めて見る朝登くんは、野上さんの創ったリンゴの彫刻とそっくりな赤いほっ
ぺの健康そうな赤ちゃんである。
本人もリンゴの彫刻が気に入ったらしくニコニコと触って遊んでいる。
それを見ている父親野上さんの満足そうな嬉しそうな顔・・・。
そこへ十勝のマルちゃんが池田町名産の長芋を持って来た。
再就職が某有名店に決まったという。
そこに次回展示予定の洞爺のガラス作家高臣大介さんが来る。
野上さんとは久し振りの再会で笑顔である。
そして歌人の山田航さんも来て、来年3月予定の山田短歌を主題とする展示
についてそれぞれの出品作品が話題となった。

見えない念波のような交感もあれば、目に見える友人たちとの交感もある。
女房子供が寝静まってから、コツコツと刻んだ赤色矮星という赤いリンゴの
彫刻。
その作品と実際の赤ちゃんを目の当たりにして、そのなんともいえない近似性
に心がほんわりと暖かくなって、野上さんの新たな星の誕生を思うのである。
これも星の誕生だなあ、余位さん・・・。
マルちゃんの新たな就職を祝しながら、これも彼女の新たな運命の星と思う。
星雲・12月。
銀河流れる大地に、石狩川・・。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(8mm映像)
 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時;月曜定休。
 正月1,2,3日休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
 
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by kakiten | 2012-12-29 13:51 | Comments(0)
2012年 12月 28日

白熱・新宿ー星雲・12月(26)

昨日の寒さがこたえたのか、寝床を出るのが遅い。
少し遅れてギヤラリーに到着する。
玄関前の雪を撥ね、会場の映像ををセットする
今朝も水周りの凍結にお湯を沸かし、水道管を温める。
水がやっと通り、ほっと一息つく。
2階に上がり電話機を見るとFAXの束が見える。
吉増さんからの昨夜の報告だ。
新宿・ピットイン、白熱のライブ。
余位さんの静かな熱情が、あのジャズライブ会場をあたかも
ここテンポラリースペースのような会場に構成されたという。
その中で迫真の吉増剛造。
その熱気が文中から伝わってくる。
パソコンを開けメールを見ると、石田尚志さんからのメールが
目に飛び込む。
押さえながらも、その文中からは熱い感動の波が伝わってくる。
そして吉増さんから電話が来る。
閃くように今回の大草稿・隕石の新たな展開を考えついたようだ。
石田尚志・鈴木余位・吉増剛造の3者が合体して、新たな燃える
隕石・流星となって空を駈ける。
そんな新星の誕生のような話である。
銀河の底のような寒気の中で、朝から燃え上がるような熱い通信
が続いたのだ。
即、石田尚志氏に連絡する。
天才絵師石田尚志とその片腕鈴木余位氏の熱い映像銀河が、この
大草稿の束をコアにして新たな生命を保ち燃え上がってゆく。
そんな予感に満ちた朝である。

寒気に負けてはいられないぜ。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(8mm映像)
 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-12-28 12:54 | Comments(0)
2012年 12月 27日

歩行・光ー星雲・12月(25)

今朝、今冬一番の冷え。
水道の水は前日落として帰ったのだが、凍結して水が出ない。
部屋を暖めトイレは電気ストーブを点け、小1時間後ようやく
水が出る。
これからしばらく朝はこんな水の世話の連続だろう。
それに外の雪掻きが加わる。
ほぼ午前中はそんな事に忙殺されて、時が過ぎる。
岩手の文学館から電話が来る。
吉増展の資料を送れという。
来年2月そちらでも吉増展の予定という。
たしか今夜は新宿で鈴木余位さんの映像も交えて、吉増さんと
大友良英、鈴木昭男氏のイヴェントがある。
新宿にも今夜ここから流星が飛ぶ。

あまり今まで触れてこなかったが、今回の展示は吉増さんの大
草稿集を基点にして鈴木余位さんの石狩河口8mm映像と吉原
洋一さんの写真群がある。
吉原さんの写真は2011年年2月22日から2012年2月12日
まで毎月の吉増剛造を撮影した写真である。
彼はその記録を「水の光、歩行 二二乃会」として今回発表して
いる。
因みに2月22日は吉増さんの誕生日であり、ここから毎月22日
の吉増剛造を撮影したのである。
東京自宅の佃に始まり、釜石、アメリカ、渋谷、伊香保、札幌と
吉増剛造の歩行とともに彼もまた歩んでいる。
6ッ切りの白黒手焼きの写真は月毎に一冊に綴られて、始まりの
2011年2月と終わりの2012年2月の2巻は吹き抜けから下に
X状に交差して展示され、2011年12月の札幌エルムゾーン歩行
の写真は正面壁に展示され他の月は各巻2階廻廊にファイルされ
展示されている。
写真に記録された吉増剛造は時に被災地に佇み、時に笑顔の自然
な姿で様々な場所の歩みを記録している。
吉原さん自身が吉増さんとともに歩いて、この一年間を吉増さんの
眼差しに添って歩いていった事が良く判るのだ。
吉増剛造が今年2月石狩河口から始めた大作詩への歩行。
吉原洋一さんが昨年2月から今年2月まで見詰めた吉増剛造の歩行。
鈴木余位さんが、昨年12月から見詰めたこの会場と石狩河口の映像。
この3者の目の歩行が、奇跡的な交差をして今展示となってここに在る。
三者の歩行がふっと歩み寄るようにして、集っている。
吉増さんを見詰めていた目。
この場所と石狩河口と北の地を見詰めていた目。
ふたたび、17年ぶりに石狩河口に坐ル事から詩を書き始めた目。
それぞれの歩行が旅の途中の峠の茶屋のように、今道中を共にして
休んでいる。
同じ方向を必ずしも見ている訳ではないのだが、ふっと寄り添うように
今ここに佇んでいる。
8mm映像が流れ、写真が並び、草稿の大束が鎮座している。
ただそれだけの展示なのだが、ここに流れている時間は遠い源・地球
の始まりのような始原への眼差しでもあるのだろう。
吉原さんは吉増剛造の肖像を通して、鈴木さんは石狩河口とニ風谷の
チセの窓を通して、吉増さんは石狩河口の岸辺に立つ事で、始まりの
原点を見据えようとている。
それぞれの歩行が、何故か2011年から始まり、2012年の12月に
結実してここに集まってきたのだ。
それぞれの流れが合流してひとつの流れともなった不思議な、そして
奇跡的な展覧会である。
ひとつにはこの場所が保つ磁場というヒッグス場(素粒子)のような
力があった事も否めない事実である。
その磁場から、新宿へ岩手へと今回の展示の飛礫はさらに飛翔して
飛んでゆく事になる。
その流星のような飛礫が、今回の優れた印刷技術とデザインによる
大判葉書に描かれた吉増さんの手書き文字画とも、い得ると思うのだ。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(8mm映像)
 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503 
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by kakiten | 2012-12-27 13:27 | Comments(0)
2012年 12月 26日

猛雪・靴が鳴るー星雲・12月(24)

朝から猛烈な寒波と大雪。
雪の道を歩いていると、革の擦れるような音がする。
キュッ、キュッと雪に靴が擦れて音がする。
久し振りに聞く寒気の音、雪の音。
さあ、それからギヤラリーに到着してからが忙しい。
水の点検、灯油の補給、玄関周りの雪撥ねと続き、パソコンに
向かったのは1時間後。
吉増さんからもfax来信。
余位さんとの新宿共演の話は無事落着。
来月13日最終日に270葉あたりの草稿さらに15葉を吉原洋一氏
来廊時運んで貰うとの伝言。

 吉原洋一氏に以後の15葉を大隕石にお運びを乞いほんの1~2日
 にても、大流星にも尾を引かせたくと愚考いたしました。

現在展示中の草稿256葉に進行中の15葉が最終日に加わる予定となる。
凄いなあ。
石田尚志氏が撮った私の顔が、隕石のようになるのも道理というものだ。
大雪の真っ白い闇の底に流星のように隕石が落ちてくる。
師走大流星群がここに集結している。
連日のfaxもまたその流星の一部であるかのようだ。
歩けば足下で靴が鳴る。
雪の銀河の上に音立てて靴が鳴る。
キュッ、キュッと音が鳴る。
凍結した水が不意に迸(ほとばし)る。
水の流星、雪の銀河、草稿の隕石。

昼近くなり少し陽光が射して来る。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(映像)
 12月11日(日)-1月13日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。
 正月1,2,3日休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-12-26 11:49 | Comments(0)
2012年 12月 25日

氷結・凍(しばれ)るー星雲・12月(23)

定休日明け出勤すると今冬初めて水道管凍結。
トイレも石油ストーブの上のやかんの水も凍っている。
マイナス10度の氷点下の所為である。
外で待っていたKさんを中に入れるも、暖かい珈琲を淹れる
わけにもいかない。
ストーブを点けて暖をとり、やっとしばらくして水が出る。

2階に上がると吉増さんからのfaxが届いている。
<ノート君の友>鈴木余位氏を新宿ピットインライブにお誘い
の連絡である。
ほぼこのところ毎日のFAX連絡だ。
この前に来信したfaxには、鹿角もえぎさんという方の文章のコピー
が添えられていた。青山ブックセンターで吉増さんの草稿大束を見た
時の一文である。

 記憶と意識の層がおりかさなって沈殿してゆき、層の一部分がある瞬間
 ふっと光に曝されて、その光のあたる場所から言葉の破片が泉のように
 溢れ湧き出る。・・・・層がおりかさなって沈殿してゆくーなんてことに思い
 を巡らせてしまったのは、それ自体で光を発しているかのような精緻な
 言葉の層を不意に目撃してしまったからなのかも知れない。・・・

見事に草稿の大束を表現した文章と思う。
この草稿の大束を隕石のように感じていた私には、正しく<それ自体で光を
発しているかのような精緻な言葉の層>の<目撃>という表現に深く共感
して感じていたのだ。

こう書いていると、一個の宅配便が届く。
石田尚志さんからの4層の写真で、大きな厚手の紙にドローイングとともに
先日の吉増さんを囲む会の写真が貼り付けられている。
私、余位さん、河田さんのそれで、渦巻くようなドローイングがその周りに
描かれている。
隕石が顔を持ったみたいに、顔が飛んでいる・
余位さんは明るい明星のようで、私は暗い隕石だなあ。
河田さんは流星王子のようで、本を翳した吉増さんは冥王星という感じ。
石田さんのドローイングはさながら銀河である。
二つ折り厳禁の大きな50cm程の横長な作品は、4層になっていて
今回のフライヤーの文字がコラージュされて入っている。
石田さんのここへ来た時の昂揚感が伝わってくるような素晴らしい
作品なのだ。

今回の展示は今も波及しつつ続いている。
新宿で吉増さんと余位さんの共演が叶えられるならば、そちらにも
此処の波動は伝播してゆく事だろう。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(8mm映像)
12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
 
 
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by kakiten | 2012-12-25 14:17 | Comments(0)
2012年 12月 22日

年末・週末ー星雲・12月(22)

灰色の白い朝。
街全体が白く暗く沈んでいる。
輝く白銀の世界は消えて、灰色の陰画の世界が広がる。
細かな弱い雪が降って、街は少し湿り気を帯びている。
定休日返上で日、月曜日に展示作業をし、翌週は吉増さん来廊
飛礫のDM「ノート君~」打ち合わせ、翌日囲む会と走り続けて
疲れが溜まっている。
草稿256葉は磁力を帯びた隕石のように、絶え間なく流れる石狩河口
の風の音とともに深々と存在し続けている。
外吹く風か、スピーカーに再生された石狩の風か、内も外も虚も実も
一体となって空間があり、そこに草稿の大束が重石のように光の川の
中に沈んでいる。
風の音、折々の光の流れ、その音と光の川原に水底に沈む大石のよう
にそれは在って・・・、それは途方もない質量の隕石の塊。
その周りを人が、光が渓流のように流れ、時に澱みのように寡黙な細波
が流れている。
今日は澱みの時。

疲れている、かなあ・・。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(映像)。
 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。
 正月1,2,3日休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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by kakiten | 2012-12-22 12:48 | Comments(0)
2012年 12月 21日

白・白・白ー星雲・12月(21)

今朝も晴れて青い空と白い街。
雪が音を吸って静かである。
余位さんの画像から流れる石狩の風と波の音だけが響く。
朝、玄関の雪割りをしていると、電話のベルが鳴る。
一度は消えて二度目に間に合うと、faxが届いている。
吉増さんからで、今回の「ノート君」DM発送の宛先の連絡だった。
残部はもう2枚となったと書いてある。
酒井ブンタさん、今一所懸命印刷中です、しばしお待ちを・・と、
心の中で呟く。
一冊、一冊、作品のように吉増さんの手描きのノート君として
薄紙を纏い、送られたり収蔵されてこのDMは飛礫のように
会期中創られていくだろう。
ブンタ君とマサさんの共同作業でデザインされ制作された、これも
飛礫という隕石かも知れない。
流れ星となって飛ぶ推力エンジンを、吉増さんが注入している。
石狩川が空に映って銀河となったというアイヌの神話のように、この
DM自体が星のように飛んで「ノート君~」という流れとなっていく。
これも今回発生したもうひとつの展覧会といえる。
発進基地、宇宙船は、ここ「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
の会場である。

faxの末尾にそっと書かれた言葉・・。

 マリリアさん、絶賛されました・・・よ。

フランスから帰国した吉増さんの奥さんの言葉である。
白い宇宙船、北の冷え込んだ大地から発進して、小さな短冊のような
DM小舟が飛ぶ。
飛礫となって青い空に見えない銀河の星となって飛ぶ。

酒井さん、マサさん見事な設計だったぜ。
ご報告です。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(映像)
 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。
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by kakiten | 2012-12-21 14:05 | Comments(0)
2012年 12月 20日

白く冷え込むー星雲・12月(20)

吉増剛造氏のイヴェントの日は、昼から白い闇。
飛行機の欠航相次ぐ中、鈴木余位さんはじめ道外から
この日の為に来た人たちはなんとか無事に到着した。
そんな外から見た印象を、駅からタクシーで駆けつけた映像
作家の石田尚志さんが二次会で私に語ってくれた。
街外れの斜め通りの暗い道に、ここだけが赤々と光溢れている。
表のガラス戸は中の熱気で曇り、白く輝く光となっている。
内部で映像の点滅と人の影が蠢き、建物全体が光で揺れている。
”なんですか?ここは?”と、タクシーの運転手さんが呟いたと言う。
そう石田さんが話してくれた。
途方もない・・・時間が、とんでもない時間へと転位していたの
かも知れない。

昨年6月から10月まで東京都現代美術館で特集された石田尚志
展があった。
そこにグスト出演したのが吉増剛造である。
このふたりのパフォーマンスは物凄いオーラに満ちたイヴェント
であったと聞く。
そのふたりがこの日札幌の小さなギヤラリーに顔を揃えていた。
そして今月出版されたばかりの慶応大学講義「無限のエコー」を
編集した編集者もそこにいる。
その他の道外勢も併せると、ある中心の渦がこの札幌の場末の
小さな片隅に集結し、この日燃えていたのである。
その熱気が白い吹雪の闇にぽっかりと浮かび燃えていたのだ。
これはもう建物空間が星のようになって燃えていたのかも知れ
ないという気が今している。

一日過ぎて少し振り返るように18日の夜の事を思い出していた。
今朝は晴れて、冷え込んだ青空に真っ白な世界が広がっている。
朝いつものように、モニター3台の画像をセットする。
真中に「燃え上がる銅板小屋」と題された昨年暮の吉増剛造展の
鈴木余位さんの画像が流れ、左右には冬の石狩河口と望来海岸
の海の映像が流れる。
音声は、画面の石狩の風と波の音が響いている。
朝、外から反射する雪の白い光で満たされた静謐な空間。
あの暗闇に浮かんだ熱気の燃える渦の時間が、今は夢のように
感じられるのだ。
会場中央に置かれた草稿256葉の大冊は、黙々としてまるで
冷えて固まったあの日の流れ星の隕石のように、深々と存在し
ている。
この途方もない詩人の念力が凝縮したかのような原稿の束は、
まだ未完の半分の道程という。
「’古石狩河口から書きはじめて」と副題された詩草稿は、もう文字
の範中を超えてその筆跡は音符のようでもあり、絵画のようでもある。
呟きの小文字は時に小川のようでもあり、時に溢れて渓流ともなり
時に大胆に大河のように大文字ともなる。
また時にコラージュされた紙面もあって、一枚として同じものはない。
今年2月から書き始められた草稿256葉は、ほぼ毎日書き続けら
れたものとなるわけでそれは今日も書き進められているのだろう。
その詩人の呼気吸気が熱く時に白く、会場に満ち溢れて流れている
かのような気がするのだ。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(映像)
 12月11日(火)ー1月13日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。
 正月1,2,3日休廊。

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by kakiten | 2012-12-20 13:47 | Comments(0)
2012年 12月 19日

流星群到来ー星雲・12月(19)

途方もないという予感の通り、流星のように人が来た。
栃木県から東京から夕張から石狩から・・。
足利美術館の篠原誠司氏、慶応大学出版の村上文さん、多摩美
の映像作家石田尚志氏、川崎の音楽家川戸郷史氏、Infant誌の
東京菊井崇史氏そして元夕張美術館長の上木氏と常連の若者S、
H、Y君に道立文学館のKさん、美術家の岡部昌生氏外が来る。
あとは道外勢と一緒に初めて来た舞踏家や脚本家の人たち。
その中でも鈴木余位さんの上司でもある多摩美大の石田尚志
氏の不意の来廊には吃驚した。
そしてそれは誰よりも鈴木余位さんにとって喜びだったと思う。
余位さんの初の映像公開展示に際し兄と思い師とも思う石田さ
んが来てくれたからである。
そして勿論旧友の吉増さん、私にとっても驚きであり大きな喜び
であった。
ただ私はいつもの事だが、自身のギヤラリーでこういう集まりが
ある時はどこか醒めて、遠巻きに冷静に見守る自分がいるので
ある。
会場全体への目配りや新たな訪問者への配慮とか、渦に入らな
い気持が働くのである。
この日もそうで、端の方で全体を見渡し気持を押さえて吉増さん
の話を聞いていた。
すると話の合間に幾度も吉増さんは私へと話を振ってくる。
これが何度も続いたがこっちから言葉が滑らかに出ることはない。
最後の方では、遅れて来た酒井さんや久し振りに来た岡部氏を
みんなに紹介しろと私に催促する。
これにも正直困ったけれど、この時ひょうきんな沖縄の踊りと
語りで場を繕ってくれたのが石田さんだった。
私自身はヒッグス粒子のように場を生む媒介として存在しその
役割を果たすと同時に消える存在である。
自らが素粒子として主役たる存在ではないと思っている。
吉増さんの引き立ててくれる気持は痛いほどよく分かっているが、
それは気持だけで充分で、多くの人の前でなにかを語るような
気持はさらさらにないのである。
場を維持し磁力を保つ事が無言の内の全力存在であって、
それ以上の余力はこの日も私にはなかったのだ。
しかしこの日は途方もない力が集結していて、誰よりも主役の吉
増さん自身のハイテンシヨンにさらなる力が加わっていたと思う。
今朝届いた帰京前ホテルから届いていたfax・・。

 ほんとうに”トホーもない’ギヤラリーたりましたですね。
 ・・・・
 あれほどのトホーもない深い夜でしたので、お疲れのことでしょうが
 お守りとギヤラリーの保護を乞い願います。
 早めにtokioへ急ぐ、GOZO拝。スゲーや。

まあそれにしても、ご機嫌よく帰京のようで良かった。
無愛想な画廊主で申し訳ない・・・。
それが心残りではあるけれども、それを超えて余りある多種多才な
人たちがこの悪天候に空路だけでも10数人集まったじゃありませんか。
吉増さん・・・。

これはもうヨシマス流星群だったぜ・・・。


*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿)吉原洋一(写真)・鈴木余位(映像)
 12月11日(火)-1月13日(火)am11時ーpm7時:月曜定休。
 正月1,2,3日休廊。

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by kakiten | 2012-12-19 15:45 | Comments(0)
2012年 12月 18日

途方もない・・・ー星雲・12月(18)

小さな意思が幾重にも重層して、途方もない地平へと到達する。
朝深い雪に沈む風景を見ながら、ふっとそんな想いが浮かんだ。
今回の吉増剛造の草稿256葉の塊は、その象徴のように存在し
ていた。
遠い時空を超えてここまで飛んで来た流星。
その凝縮した隕石のように今ここに在る。
今夕の吉増さんを囲む会は静かに朝から発熱する予感・・。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿・映像)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(映像)
 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
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by kakiten | 2012-12-18 12:04 | Comments(0)