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2012年 10月 31日

濃くなる季節ー蒼月・10月(24)

暑かった夏が濃く紅い。
夏の年(sak-pa)の終わり・凝縮。
心も内向きに濃くなって、自閉気味。

慶応大学の出版局から電話が来る。
年末の吉増剛造展に近々出版される吉増さんの詩学講義の
本を会場に置かせて欲しいという依頼だった。
ライフワークともなる大冊のようだ。
「石狩河口/坐ルふたたび」展から始った5千行を超える大作
詩の進行中のファイルとともにこの本が会場に置かれる事は、
今回の個展に賭ける吉増さんの気合を感じるものである。
新作のGOZO CINEも二本上映予定という連絡もある。
映像・詩・銅巻に吉原洋一氏の吉増剛造を一年間追った写真
の展示、鈴木余位さんの映像と本人の滞在も含めてきっと濃い
時間となる事だろう。
まだ1ヵ月半ほど先の話だが、慶応出版局からの電話で個展が
急に現実味を帯びて背中を押す。

なにか夏の疲れが寒さとともに忍び寄っている。
紅は(sakーkes:夏の終・秋)のように濃く凝縮して、時に疲労
の澱みのようだ。

岡部昌生氏の子息岡部亮さんが来る。
見た事のない旧作をじっと見ていく。
父とはまた違う彫刻家の彼は、野上裕之さんのリンゴの彫刻の
ように、3年前の個展の時は3房の実の彫刻を彫ったのだ。
やはり第一子が出来た後の事である。
その後の沈黙が寂しい。
小さくとも制作は絶やすべきではない。
生活と制作の挾間をどんなに細くとも絶やさず続けて欲しい。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-11月11日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-31 13:06 | Comments(2)
2012年 10月 30日

赤く染まってー蒼月・10月(23)

紅葉が進んでいる。
自宅近くから見える山も画廊の壁の蔦も紅葉の
深みを増して来た。
鳥に啄ばまれたのか
ナナカマドの深紅の実が路上に散らばっている。

休廊日明けの今朝、M君からメールが届いていた。
山田さんの出版記念会、本当に良い会だった。
しかし自分が最後その雰囲気を壊したのではないか、
というような内容だった。
違うよ、M君。
気遣う心の梢に、想いの優しさが紅くなる。
時に突風が吹いて葉の散る事もあるさ・・。
秋の深くなる一瞬。
人間にも同じ時がある

紅が深まるように、人の心の紅も深くなる時間がある。
心の繊維が濃くなって、真っ赤に燃える。
燃えて千切れそうにボロボロになるけれど、時に俯瞰し
てみればそれも紅葉の優しさである。

旧友の初期作品を展示しながら、同じような感慨を持つ。
激しく交差し熱く火花を散らした時が、今は紅葉のように
見る事が出来る。
路上に落下したナナカマドの朱色の房のように、
時の記憶が滲んでいる。
それは過去でありながら現在である。
否、紅葉という今そのものなのだ。

作品という葉は、時とともに今という光を放っている。
それを支えるのは梢という心の枝先である。
さらにその枝を支えるのは、ここを生きるという俺の幹だ。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-11月4日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-30 12:42 | Comments(0)
2012年 10月 28日

風荒れてー蒼月・10月(22)

風荒れて曇り寒い日。
自転車には乗らず地下鉄ー徒歩出勤。
いつもより遅れて着くが、すぐにMさんが来る。
それから間もなくMさんの後輩の瀬戸くんが来る。
それから写真家の竹本氏父娘が来て話が弾む。
竹本氏が帰ってM夫人が来て、みんな帰ってから
夕刻山田航さんが顔を出した。
みんな山田さんに会いたがっていたので、残念。
山田さんの出版記念会の火照りがまだ残り火のように
みんなの心に熱い。
自然と話は出版記念の会の話となる。
一部暴走の事実は当人たち以外は誰も記憶にないようだ。
それほどそれぞれが集中して、渦巻いていたよう。
もう一週間近く経てもその熱い渦は続いて、今日も話の起点は
山田航出版記念会の話。

山田さんの一文の掲載された菱川善夫追悼特集の雑誌を頂く。
中に先日来廊した福島泰樹氏の文もあり、私の名前が誤字の
まま掲載されていた。福島さんは達筆だから・・。
そんな四方山話をして今日は暮れる。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-11月4日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-28 17:48 | Comments(0)
2012年 10月 27日

20世紀少年ー蒼月・10月(21)

昨夜TVで久し振りに映画「20世紀少年」を見る。
そして、ふっと先日の宴会を思い出していた。
良い宴会は後半ばらけて、幾つもの人の渦が出来る。
しかし時にその渦から外れる孤独なひとりが居る。
その孤独なひとりは反動として傲慢な独裁我の崖を駆け上がる。
<ともだち>を求める孤独の反動である。
かって独裁者ヒットラーは芸術家志望の孤独な青年だったという。
彼の周囲には本当の友人たちはいなかったと思う。
渦から離れた強烈な独我は、<ともだち>を求めて独裁への道
を歩んだのだろうか。
<ケンジクン・・>と妙に映画の中の独裁者の声が脳裏に残って、
今朝本当のケンジくんから電話が来た。
東京のH製作所に勤める若い友人である。
何年か前初の沖縄訪問で知り合った。
今年も沖縄の美術家豊平ヨシオさんの所へ訪問したと言う。
今回は自転車をもって行ったそうだ。
来年は北海道も自転車で訪問したいと言う。
私の初の沖縄訪問は、豊平さんの鮮烈な青の作品が南部の島
の風景とともに強烈なインパクトを与えられていた時間だった。
そんな時にたまたま立ち寄った山羊料理の店で同席したのが、
オカベケンジくんである。
K大学卒業旅行で来ていた彼に、私はこの時豊平さんの作品を
熱く語ったのだ。
それが切っ掛けで、彼は豊平さんの自宅そして翌日はアトリエを
訪れ、作品に深く感動しそれから私との付き合いも続いている。
2年前には北海道にも初めて訪れ、私のボロ部屋にも2日逗留
している。
彼の近況は時々フェイスブックで読んではいたが、今年の沖縄
訪問の話は初めて聞いた。
豊平さんのライフワーク青の作品はさらに増え続けているという。
あの青に亀裂の入った入魂の作品を、いつの日か白い雪の光
の中で見てみたい、とあらためて強く思った。
中央に流し目を送らず、黙々と南の地で作品を創り続けている
真に作家と呼ぶに相応しいこうした人の画業をこの北の地で
目近に確かめたいと思うのだ。
ケンジ君の久し振りの電話の声に、そんな話が弾んだ。

ケンジクン、友達だ・・。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-10月22日(火)-11月
 4日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-27 14:42 | Comments(0)
2012年 10月 26日

蒼空続くー蒼月・10月(20)

今日も風冷たく青空広がる。
競馬場の長い壁の蔦も彩りを増してきた。
今年はこの辺であまり蜻蛉を見ない。
対の一列に繋がった2匹の蜻蛉が、水溜りにせっせと交尾の
点滴をしていたのだが・・。

昨日日章堂印房の酒井博史さんが来る。
先日の山田航さんの出版記念会に腰痛で出席できなかった
と報告。
これで当日所用で欠席した人は6名。
全部出ていれば26名だった。
山田さんに渡して欲しいと、刷り上った活字の名刺1箱と彼が
選んだ「さようならバグ・チルドレン」からの3首書き込んだ紙を
手渡された。

 造船工まだ若くして汚れたる爪もつ指に日昏れを灯す

 老狼はしろがねの毛を逆巻きて北走るゆえに北に死すべし

 いつの日か誰かわかってくれるだろう夕焼けもまた自閉してゆく

酒井さんの選んだ歌を読んで、ああやはり酒井さんらしいなあ、と
感じて読んでいた。
<若くして汚れたる爪もつ指>とは、活字印刷の手仕事職人の
彼の指の実感ではないのか。
<夕焼けもまた自閉してゆく>とは、時々自閉するまさに彼の
心の呟きが反映されて聞こえる。
そしてしろがねの狼の<北走るゆえに北に死すべし>とは、彼の
一番共感する生き様のように思われた。
3首の内一首といえば、この狼の歌だと酒井さんが言う。
そうだろうなあ、と思った。
他の2首はどちらかといえば生活の実感に彩られている。
狼の歌はむしろ生きる志の方に属している。
老狼とは私の事ではないか、といつか言った人がいたが、
私は老ではなく蒼狼だ、と反論したものだ。
その話をすると酒井さんが満面の笑顔で、ソーロウでしょう、
と駄洒落を飛ばした。うん早老?早漏?で候?
まあどちらでもいいが、彼が<北走るゆえに北に死すべし>という
磁北に惹かれている事には共感するものがある。
私の選んだ一首は

 フランスパン輪切りにしながらわかっている君が誰よりもがんば
 ってることを

だよと伝えると、これまた笑いで応えた。
そういえば出版記念会の席でも、この歌を披露した時何人かの笑い
声を聞いた気がする。
読み込みとしては私よりはるかに、若い酒井さんの方が優れて選ん
でいるようで少し気恥ずかしい気がした。

*収蔵品展「岡部昌生の初期作品を中心に」-10月23日(火)-
 11月4日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-26 13:41 | Comments(0)
2012年 10月 25日

秋空広がるー蒼月・10月(19)

久し振りに澄んだ青空が広がる。
昨日からバーバリーを羽織って自転車。
寒気が増している。
短い秋が進む。
ここの壁の紅葉はやがて深紅に燃えるだろう。

岡部昌生氏からフロッタージュの葉書が届く。
東京のM氏から心動かす便りが届いていたようだ。
近々こちらに顔を出すという。
もし来るなら、ここに移転して初めての事である。
古い遠くの友人がふたりをじっと見ていてくれる。
夫唱婦随ならぬ、夫唱夫唱のふたりと笑いながら
語ってくれたM氏の両方を良く知る友人の目である。
港千尋氏とともに3年前のヴェネツイアビエンナーレの
日本代表に選ばれ、今や押しも押されぬ美術家の岡部
氏だが、こちらは北の場末の片隅で細々と画廊を営み
何時路傍の人となってもおかしくないような立場である。
それはどちらもが志してそうなった事で、違いに意味は無い。
私は札幌の地の底深く自立を考え、彼は札幌以外の世界に
広く目を向ける。
その方向性が時としてすれ違い、ともに行動しなくなったのだ。
今回砂澤ビッキの作品を音威子府の記念館に展示する事で、
ともに一緒に仕事をしたその当時の記憶がきっと今岡部氏の
脳裏に甦って、何かを確認しつつ訪れる気持になったのだろう。
そこを繋いだのが、東京の古い友人であるM氏の目だ。
M氏は私が今回岡部昌生初期作品を展示した心の動きを
鋭く見抜き、それを多分岡部氏に伝えたのだと思う。
両方の心の動きを素早く見抜き、示唆する。
この洞察力は優れた美術の学芸員でもあるM氏の眼である。

ひょっとしたらこのまま死ぬまで会う事も無い友人と再び会う
事を計らってくれたM氏には感謝しなければならない。
人は不思議だなあ。
遠くに居る人が一番身近に心の動きを読んでいる。
そして今回のビッキに触れてのフロッタージュ作品に繋がるよう
に、その当時図録に一文を寄せてくれた吉増剛造さんから年末
の個展予定の便りが再び届いた。
今朝で原稿224葉でやがて250葉を超える作品を11月中に
送るとある。さらにGOZO CINEを2巻上映との事だ。
時間がこうして再びの邂逅を準備している。
秋空が深まるように、心の底にも深く見えない空がある。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-10月23日(火)-
 11月4日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-25 13:13 | Comments(0)
2012年 10月 24日

雪虫の朝ー蒼月・10月(18)

一昨日の朝今年初めて雪虫の舞うのを見た。
最初はひらひらと薄い細かな紙片のように感じていたが、
それが雪虫だった。
どんよりした生暖かい日で、ふわふわと空中を漂うように
淡い生き物である。
晩秋だなあ、と紅葉の進む木々の梢を見上げる。
そんな穏やかな曇秋の一日が暮れて、夜は熱い宴の時が
あった。
日があらたまり休廊日明けの昨日、早速宴の反応がネット
上に踊る。
悪意はなくとも濃い時間には時として暴走もある。
普段抑制していた感情が緩んで、時として思わぬ不快を
他者に与える事もある。
夕刻来た有山さんと、学生時代を思い出すなあと話した。
その後一昨日のお礼も兼ねて、宇田川さんの居酒屋に
顔を出す。
店には何も迷惑は無かったよ、と店主が応えた。
折角の目出度い出版祝いの席である。
ひとり胸に抑えて、後から呼びかけ人である私にその胸の
押さえを吐き出したのだろうか。
メールをくれた若いふたりにお詫びと原因となった年長の友
人を窘めるメールを3人に送信しその往還で昨日は半日費
やした。
心の篭った良い集まりだっただけに、一点の心の汚点が深く
なる。
誰も悪意を持ってそうした訳ではない。
心の解放がほんのちょっと暴走すると、それぞれが解放され
ている分だけ無防備になった心に深く突き刺さるのだ。
大勢が集り宴会となると無礼講になって、時としてこういう事態
が起き得るのだ。
私も他人事ではなく、お酒は気をつけなければならない。

雪虫のように微かな風に舞い、ゆらゆらと自在に生きる事は、
なかなか出来ないものだ。
ゴツン、と鋭角的に人は摩擦を起しながら生きるのが常である。
東京のM氏からそれに関連するようなメールが届いていた。
今展示している岡部昌生と私の関係について、M氏は
「夫唱婦随」ならぬ「夫唱夫唱」だったね、それはそれで良いよ。
というような内容だった。
どちらも婦随にならず夫唱だったから、時にぶつかり対立も
する。
今回時を経て、こうして初期からの岡部氏の作品を展示して
思うことは、ああ展示できて良かったなあ、という長年の突っ掛
ったものがすっととれたような感じである。
良くも悪くもそれが過ごしてきた時間の量なのである。
特に分厚い資料ファイルに包含されている葉書、手紙類にその
事実を感受する。
この資料ファイルを見ている時自分は、多分ふわりふわりと
過ぎ去った時空を心の雪虫のように漂っているような気がする。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-10月23日(月)-
 11月4日(日)まで。am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-24 12:37 | Comments(0)
2012年 10月 23日

出版記念会の夜ー蒼月・10月(17)

日曜日の夕刻山田航さんの第一歌集「さようならバグ・チルドレン」
の出版を祝う会が居酒屋ゆかりで開かれた。
総勢20人程集り盛会だった。
日曜日の夜7時からという出かけ難い時間にもかかわらず、
多くの世代、職業、性別の違う人たちが来てくれたのは、作家の
人柄と作品の力に拠るところが大きい。
入院中の居酒屋の名アシスタント千鶴さんも一時退院して甲斐
甲斐しく料理を提供してくれ、店主の宇田川洋さんとともに休店日
にも関わらず店を開けてくれた。
これも山田さんの人徳と作品集の力と思える。
成り行き上司会役は私がして、ひとりづつの紹介と個々の作品印象
を語ってもらった。
出席者がそれぞれの日常において感じた歌の感想を語り、作品が
重なる事無く語られたのはこの作品集の保つ大きな深度に拠るもの
であると、あらためて感じたのだ。
かりん舎の坪井けいこさんの朗読も圧巻で、さすがに朗読歴何十年
の年季の入った迫力であった感心した。
文字を声に出して詠むという事は、文字に響きという脹らみが生まれ
る。
それぞれが心に響いた一首を感想とともに朗読した時間は、作家に
とっても巧拙は抜きにして、誠に得難い時間であったと感じる。
個々の生きている今が、作品を媒介にして共感を伴なって深く透けて
見えてきたからである。
この共有する時間を、美味なるお酒と心の篭った手料理とともに賞味
出来得た事は、何よりも替え難い貴重な時間であったと私は思う。
ただ単に出版を祝うのではなく、個々の生きている日常の些細な心の
片鱗がキラキラと輝くように、選び取られた一首乃至は二首の歌の
感想とともに語られ、これは稀に見る出版祝いの集りであったと今振
り返っている。
年齢も20代初めから70代まで、さらに職業は美術家、写真家、出版
者、学生、フリーター、主婦、役人、学芸員と種々様々でそれぞれの
生活体験が活き活きと語られ熱く渦巻いていた感じがする。
職業と世代を超えた学生時代のような濃い渦は、終盤暴走して中に
は勢いで突っ走った向きもあったと後から聞いたが、これもこの日の
熱気のもたらした結果と思える。
肝心の山田航さん本人の感想はまだ聞いていないが、多分大きく充分
に満足した時間だったと思っている。

帰り際ふっと目をやると、出口の近く故村岸宏昭さんの遺作集の前
にお酒が添えられていた。
店主と千鶴さんの心遣いであった。
そういえば、いつの間にかBGMにこの遺作集のCD曲が流れていた
のだ。
生きている様々な世代・職業の人だけではなく、死者もまたこの日の
集りに参加しているような想いがした。
山田さん、宇田川さん、千鶴さん、そして出席してくれた友人たちみん
なに心から感謝申し上げます。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-10月23日(火)-11月
 4日(日)まで。am11時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-10-23 13:05 | Comments(0)
2012年 10月 20日

急な雨ー蒼月・10月(16)

変わり目の早い秋の空。
出かける時黒い雲が気になったが、途中から雨。
濡れながら自転車を走らせる。
タイヤが地面に吸い付いて、走りは快調だ。
ただ体はびしょ濡れ。
帽子で頭は濡れずにすんだが、ズボンは濡れて今も冷える。
画廊に着いてしばらくすると、明るい陽射しが燦々と零れ落ち
地面が光っている。

岡部昌生氏の初期の作品を展示する。
思ったより作品数がない。
資料は大きなファイルに相当数あるが、作品は10点程である。
フロッタージュ以前の作品が数点と砂澤ビッキの「神の舌」彫痕
の’90年代初めまでの作品である。
もうそんなに展示する機会も無いと思えるので、今回はちょうど
良い機会と思える。
倉庫の奥深く収納された作品たちが、時にこうして日の目を浴び
るのも良い事だ。
作品もさる事ながら、分厚い資料のファイルを取り出し眺めると
懐かしいその時代の記憶が甦る。
旅先から届いた岡部氏からの折々のフロッタージュされた葉書が、
時に作品に負けない存在感に満ちている。
その一部を壁に展示した。
予定した写真家のF氏の展示が延期となり、空いてしまった会期
をこうして収蔵品展で埋めるのも寂しい話であるが、倉庫の作品
たちはこの機会を喜んでいるのかも知れない。

明日は山田航さんの出版記念会である。
今の所20人程度が出席の予定だ。
Aくんの提案で山田さんを泣かせようと始った出版祝いの会、
ここで知り合った多くの友人たちが、彼の作品につて熱く語る
夕べとなる。
それが来年3月の山田作品を主題とする展覧会へと昇化し結実
する助走ともなる事だろう。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心として」-10月23日(火)
 -11月5日(日)まで。am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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by kakiten | 2012-10-20 12:24 | Comments(2)
2012年 10月 19日

寒い日の花籠ー蒼月・10月(15)

気温が下がり、スト‐ブが恋しくなる。
そんな寒々とした日、花籠を持ってM君が来る。
ここに花を置いても良いか、と聞く。
え、何で・・?と問い返す。
H嬢の個展を勘違いして某画廊に持って行った。
会期が変更になって、芸術の森美術館の企画展で出品
していると聞き、それからそこへ出掛けたと言う。
しかしそこも作家は不在で、やむなくここまで持って来たと言う。
花籠の事情を聞いて、じゃあH嬢に連絡して今度渡すよ、と
話した。
綺麗な花籠を両手に持って、旭ケ丘から芸術の森の山奥まで
徘徊したM君の純情が微笑ましかった。
一度ここでお会いしたH嬢にすっかり魅せられたのかも知れな
い。後でH嬢に電話で連絡したら、本人はM君の事をあまり憶
えていない様子だった。
KY壁男と私が勝手に仇名を付けたM君の面目躍如たる話だ。
空気だけでなく、個展の会期変更も読めなかったのね。
殺風景な無人の白い会場に、今も彼の残した花籠が不釣合い
に佇んでいる。
M君とはその後芸森美術館の閉ざされた空気感を話した。
山奥の澄んだ光の中に、街中と変わらぬ室内空間を造ってい
る矛盾を話したのだ。
遠く地下鉄とバスを乗り継ぎ700円の入場料を払ってまで花を
持って訪ねても、そこに肝心の作家は居らず監視員に聞いても
親身になって貰えず、行き先を失ってここまで花を持って来た
M君のなんとも切ない気持が、展覧会批判とも重なって火を
噴いた。
私自身もその2日前に展覧会を見てある違和感を感じていたの
で、話は共鳴しさらに炎は燃えた。
M君のお陰で、少し落ち込んでいた気持が回復する。
壁男クンの垂直突進性がこの場合良い方向に働いて、くすんだ
空気を取り払ってくれた気がする。
過激だが純粋で良い男である。
山田航さんの出版記念会にも出席する、と言って本を購入して
くれ感謝である。

*収蔵品展ー岡部昌生の旧作を中心にー10月22日(火)-
 11月4日(日)am11時―Pm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向
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by kakiten | 2012-10-19 12:50 | Comments(0)