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2012年 05月 31日

森ワールド炸裂ー玄黄・5月(22)

2階吹き抜け壁には、森美千代さんの写真が氾濫している。
大木裕之的契機によって、心のつっかえ棒が外れたかのように、
展示が炸裂した。
透明なA4フイルムに印画された花・風景・昆虫等が30枚ほどランダムに
壁に散乱している。
さらに昨日書の作品も壁に加えられ、2階はほぼ森美千代ワールドが
広がる。
1階は大木裕之のランドフイルな世界が堆肥のように耕されて広がり、
この1、2階の対比はある種花と苗床のようにも感じられる。
森美千代的世界を導き出したのは、この土壌のような大木的ランドフイル
の所為である。
この後大木裕之は、いかなる映像をこの森的世界も含めた土壌から独自に
構築して行くのか。
滞在制作2日目にして、「メイ」9年目の土壌は整ってきたのである。
そして今回の滞在によって、さらに新たな出会いが日々生まれ、昨日はアイ
ヌ学の雄宇田川洋さん、造形作家山里稔さん、歌人の山田航さん等今回の
札幌訪問で初めて出会う人たちとの交流が生まれつつある。
森さんや私のように「メイ」撮影初回時からの友人とはまた違う人との出会い
が、大木さんの映像世界をさらに重層させていく契機ともなってゆく筈である。
当初の滞在予定を延長し、最終日まできっちり滞在する事を昨日宣言した
大木裕之は、最終日前日に映像作品「メイ」の一部上映を昨日語った。
9年という長丁場の作品である。
この間円山時代の友人たち、この世を去った友人、今のこの場所との環境の
相違も含めて、この作品はある分岐点を今迎えているとも思える。
それは作品に登場する人、風景だけではなく、大木裕之自身のある意味での
この9年の総括・分岐点でもあると思える。
9年前に「メイ」撮影時に出会い、今回初のコラボレーシヨンともなった森美千代
さんの写真家としての自立参加をさせた事も含めて、大木さんの耕す映像世界
はこの場におけるある時代の幾多の人生の断面を記録し記憶させる。
大木裕之とは、カメラという鋤・鍬を通して土地を耕す農夫のように、人間という
花を耕して行く。
そういう稀有な映像作家であると私は思う。

*大木裕之滞在制作展「メイ」-6月3日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*森本めぐみ展ー6月6日(水)ー18日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax-011-737-5503
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by kakiten | 2012-05-31 12:23 | Comments(0)
2012年 05月 30日

大木的ランドフイルー玄黄・5月(21)

高知から札幌までの電車の乗車券が壁に貼ってある。
タバコのくしゃくしゃになった空き箱がその傍にある。
外にあった板の捨てられたものや、ビールの空き缶、チラシ類が散乱して
床も壁も、なんだろうなあ、無精な学生の下宿部屋のようである。
否、今の学生はもっと小奇麗にしている事だろう。
これは有機的なゴミワールド、大木的なランドフイルである。
その中に八木伸子さんの「ふたつの花束」があり、村岸宏昭の遺作画も
ある。清濁こき混ぜて高知からここまで来た大木裕之の日常がゴミのように
集積している。
飛行機ではない。
陸路の長い旅路とともに集積された大木裕之の日常の断片の集積である。
それらが、会場の日常とドッキングしながら新たな日常を創って行く。
この一見無為な消費されるだけの日常の些細な集積こそ、大木的ランド
フイルの有機的な聖なる土壌なのだ。
その環境設定の中から、彼のラデイカルな撮影行為が生れてくる。
「メイ」9年目の真摯な撮影行為はこうして初日が始った。
高知からここに至るランドフイルのような日常の集積と同じように、時間もまた
ここへ至るまで9年の月日が集積されている。
二度言うが、ここに来るのに飛行機で短時間で飛んで来たのではない。
その事の日常的証左が、床に壁に散乱しているゴミなのだ。
これはただの分別されたゴミではない。
手の指の間から零れ落ちすぐに分別される廃棄物という範疇から掬い取られた
掛け替えのない日常の断片・細胞のようなものである。
大木的ランドフイルとは、実は非常に有機的な、ラデイカルな部分から全体性へ
のランド回復への希求に満ちた、ランドフイルの対極にある志向の世界なのだ。

*大木裕之滞在制作展「メイ」-5月29日(火)-6月3日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。共演・森美千代(写真)。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax-011-737-5503
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by kakiten | 2012-05-30 11:54 | Comments(0)
2012年 05月 29日

大木裕之来廊ー玄黄・5月(20)

陸路を二日かけて、電車で大木裕之さんが到着。
早速大木ワールド全開で、身の回り品を床に散らばす。
壁に村岸宏昭の遺作をはじめ、あえて展示を先週のままにしておいた。
今回の展示を見たい、と聞いていたからである。
何点かを残し、空間が次第に大木裕之の世界に醸成されてゆく。
そんな時郵便物が届いた。
帰国した吉増剛造さんからの葉書と川俣正の北海道インプログレスの
報告集である。
不思議だなあ。
パリ在住の川俣さんがここに来た時パリでテンポラリー通信読んでるよ、
と言ったのを思い出した。
さらに吉増さんの葉書にもマルセーユで読んだ事が書かれていたからだ。
帰国し東京の佃で読み、それが、

 何とも、別の匂いのしていることに驚いておりました。
 「日記」というのは貴いものですね。

と書かれていた。
吉増さんには、あの4月の自転車の朝の検問の日記が心に残った
ようである。
写真家の森美千代さんもすぐに来て、何点かのフイルムのような光の透過
する写真を2階壁にピンで留めた。
撮影も合い間を見て続き、あっという間に大木ワールドが醸し出されてきた。
不思議だなあ。
2階から見下ろすと、手荷物の散らばった下の床はもう完全に大木さんの
世界である。
滞在制作の初日は、到着と同時にもう始っている。

*大木裕之滞在制作展「メイ」-5月29日(火)-6月3日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。共演・森美千代(写真)
*森本めぐみ展ー6月6日(水)ー18日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

 
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by kakiten | 2012-05-29 13:28 | Comments(0)
2012年 05月 27日

追悼するー玄黄・5月(19)

十数年前事故で早世した画家の息子さんを記念する画廊を開いて
いるOさんが来る。
同じように早世した村岸宏昭の遺作画を見に来てくれたのだ。
ムラギシの死の2年後に母上の令子さんもこの世を去っているが、
生前同じ境遇の母親同士として、先に息子を亡くしたOさんと会い
ともに話しているという。
ムラギシの遺作画を見ながら、同じような膝を抱いた作品があると
Oさんが言う。
それから八木伸子さんの「ふたつの花束」を見て、何度見ても見飽
きない絵ですねえ、と少しため息まじりに呟いた。
6月から始る芸術の森美術館での八木保次・伸子追悼展には、残念
ながらこの作品は展示されないが、ふたりの愛の姿を最もよく顕して
いる絵画とあらためて思う。
それも福寿草のような早春の輝く黄色に包まれてそれがある。
この花瓶もふたつの花も包み込むような背景の黄色は、ふたりの故郷
の札幌の色彩だと思う。
それと遺されたどんなふたりの写真を見ても、左に夫君の保次さん、右
に伸子さんの位置なのだが、伸子さんの描かれたこの「ふたつの花束」
では、男女の位置が逆になるのである。
これは日常生活を支え続けた伸子さんの秘められた位置・位相の反映
のように思える。
しかしその位置関係の逆転は、決して刺々しく対立的なものではない。
むしろ夫君を優しく抱擁しているひた向きさ、優しさに満ちている。
これは何よりも、深い愛である。
かって小樽運河の全面保存運動に命を賭けた夫を追悼した藤間さんと
いう方の自叙伝にあった言葉が、この時ふっと私の中で甦った。

 小樽運河の全面保存は、かなわない願いだったかもしれません。
 でも、自分や家族の幸せだけを考えず、多くの人の幸福につながる
 夢を追って生きるのが”男のロマン”だったのでしょう。
 志を抱く男を夫を支えるのが、私にとっての”女のロマン”だと気付き
 ました。
      (「私のなかの歴史」藤間扇玉ー2009・11・16道新夕刊)

画家八木保次・伸子夫妻は、共に絵を描く事を生涯の仕事として共有し
ながら、一方は男として一方は女としてその志を支え続けた。
特にその愛の姿を、伸子さんのこの包容力に満ちた黄色の色彩に見るの
である。
そして絵画への志を女性の側から支えた強い意志を、ふたりの通常の
位置を逆にして描く位相に、伸子さんの夫君を支え続けた”女のロマン”
を感じるのである。
最愛の息子さんを若くして事故で失ったOさんの母としての愛は、同時に
この八木伸子さんの絵画にも深く反応していた。

収蔵品展「5月・明暗の季節」は、こうしてさまざまな追悼を深めて
終る。
Oさんが来てくれて、あらためて人が人を思う気持が深まり、さらに絵画の
保つその深度が深くなったような気がする。
Oさんとは優れた画家でまだ高校生だった息子さんを亡くし、その追悼する
画廊を経営している奥井理画廊の奥井登代さんである。

*収蔵品展「5月・明暗の季節」-5月27日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*大木裕之滞在制作展「メイ」ー5月29日(火)-6月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-05-27 13:35 | Comments(0)
2012年 05月 26日

にわか雨ー玄黄・5月(18)

昼食を買いに近くのスーパーへ行った。
弁当を買いすぐに外へ出たら、急に大粒の雨。
切ったばかりの頭がずぶ濡れ。
濡れて惨めになったら、何故か先日偶然見ていたTVのサクラとイチローの
演歌を思い出していた。

 貧しさに負けた~
 いいえ、世間に負けた~

びしょ濡れになって落ち込んでこの歌詞を思い出していた。
それにしても歌の内容と演歌歌手の衣装のギヤップには著しいものがある。
大体不幸や悲しみを唄う内容と正反対のピカピカの派手な衣装である。
この目に見える虚構性に安心して、人は唄われる不幸を味わうのだろうか。
見た目も貧しければ、あまりにリアルとなるからである。
どこかで現実から逃避したいという願望が、この衣装の派手さに篭められて
いるのかも知れない。
最近送られて来た展覧会の大きな葉書には、120円の切手が貼られていた。
封書で80円、葉書の最大でも80円の切手が普通だから、このサイズは特別
な大きさである。
内容は3・11震災以降の<色>がテーマとある。
そして某画廊の開館5周年記念展がサブタイトルにある。
作家は国際展で日本代表ともなった著名な作家ふたりの名前がある。
開館を記念して大物作家の展示を企画するのは、それはそれでよくある話である。
しかしながら、その作家たちの主題が大震災以降の<色>が主題ともなれば
これは被災地及び原発事故以降の大きな不幸がテーマとなる。
実際この大型DMの写真は、放射能汚染により無人地帯となったフクシマの
飯舘村の農村風景である。
何かこの祝い事の記念展という華やかな衣装と展示主題のギヤップに、先程の
演歌のようなナルシスを感じてしまうのだ。
開館5周年記念にある意味日本を代表するであろう作家という派手な衣装と
主題となる原発事故で無人の村の悲哀。
企画する方も企画された方もまるで演歌歌手の衣装と歌の内容のように少し
ずれて、被災の真のリアルさからナルシステイックにずれているのではないか。
そんな気がこの立派な葉書を見ながら感じるのである。
展示を見る前の感想で申し訳ない事ではあるが、今回の大震災・原発事故
の大変さは、時に言葉を失い心の深部で受け止められるものと思う事が多い。
この悲惨を演歌の衣装と歌のようにナルシスに閉塞してはならない。
そう直感するのである。
被災地・フクシマの保つ都市構造は、ひるがえってすべてのわれわれの日常
にも深く根を張っている。
そこを掘り起こし共有する視座を獲得する為の営為こそが、表現者の責務とも
思える。
もっと地味で無口で、むしろ寡黙ならざるを得ないテーマのはずである。
折角のお祝い展にケチをつける気は毛頭ない。
ただお祝いと主題が、展示者企画者ともに少しズレているのだ。
その事だけははっきりと言わせて貰う。
企画者には展示者の有名性という衣装があり、展示者には不幸・悲惨という
被災の主題が優先して、場の記念展という晴れの衣装を見ていない。
そのいわば演歌的ズレが、この大型葉書に象徴的に顕れていると思われる。

*収蔵品展「5月・明暗の季節」-5月27日(日)まで。
 am11時ーpm7時。月曜定休。
*大木裕之滞在制作展「メイ」-5月29日(火)ー6月3日(日)

 テンポライリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2012-05-26 13:57 | Comments(0)
2012年 05月 25日

夏の陽射しー玄黄・5月(17)

気温も上がり、初夏の陽射し。
朝、髪を切る。
お風呂に入り、茫々とした頭髪を修正。
床屋ではなく、自分で鏡を見ながら切った。
また怪しい男に思われて、朝の職務質問に会わないとも限らないから。

大木裕之さんが自身のブログに告知を載せた。
「メイ」9年目の撮影・インスタレーシヨンのここでの個展通知である。

 滞在制作ー撮影しながら、即興インスタレーシヨン・パフォーマンスを
 してゆくつもりです。楽しみです。

大木裕之
1964年東京生まれ、1991年から高知に移り住む。
1988年東大工学部建築学科卒業で在学中より映画を撮り始める。

経歴的にも不思議な人で、最初会ったのは2003年2月の事だった。
この日の印象は後に撮影映像化された「オカクレ」のライナーノートに
次のように記されている。

 2003年2月 寒い日
 大木裕之光モノ西洋ステテコ風半ズボンで初来廊。
 ”サムイ!サムイ!”と不思議な横直線的歩き。UFOのよう。

この年の11月初個展「オカクレMN」展をして同年9月28日に逝去され
た父上へのレクイエムともなる映像作品「オカクレ」を完成させる。
そしてその翌年より5月に撮影行をする映像作品「メイ」の制作に着手し
毎年続けて、今年で9年目の撮影行となる。
この作品は日常のさり気ない場面を集積し、その断片の有機的な再構築
が、生の経過する時を組み立てていく。
時の指の間から擦り落ちる砂のように、揺れてこぼれる日常を映像は記録
し再構築される。
「メイ」とは撮影月の5月でもあり、中国語のメイ・美でもあり、可能性のmay
でもあるのだろうか。
この作品のスタートとともに私の人生上の大きな転換期もあって、この映像
に記録された日常のいくつかの断片は、私自身の人生全体とも深く関わる
ものがあるように思っている。
特に生の明暗を意識した今年の5月。
9年目の映像叙事詩のような作品「メイ」の撮影行が、今年の5月にある事
は不思議な因縁のようにも思われるのだ。

*収蔵品展「5月・明暗の季節」-5月27日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*大木裕之滞在制作展「メイ」-5月29日(火)-6月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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by kakiten | 2012-05-25 13:36 | Comments(0)
2012年 05月 24日

風に棹さしてー玄黄・5月(16)

やや風強く晴天。
自転車快調に疾走する。
ふっと1ヵ月程前朝の検問にあった事を思い出す。
あの時警官に呼び止められ、自転車の登録番号を調べられた。
まだ寒さの残る4月の事だった。
場所は競馬場の傍で、マフラーをして帽子を被りボロ背広の私は
怪しい男に見られたのかも知れない。
自転車の盗難にあった事はあっても、盗る事はないとなにかムキに
なった事を思い出した。
後にMさんにその時の事を話したら、怪しいに決まっているとケラケラ
笑われた。
またその検問をブログに書いたのをフランスで読んでいた人がいて、
翌日は気分が悪くて一日このハミガキブログを休んだら、それも含めて、
大丈夫かなあ、と心配したと便りが来た。
その翌日再びブログが書かれたので安心したという。
まだ路面の片隅に残雪が残り、やっと自転車走行が可能になったばかり
の僅か30日ほど前の事である。
体の中の冬も大分外の温度と調和してきた。
外界はもう初夏の色彩である。

半年ぶりにマイミクのkyoさんが来る。
そしてほぼ同時に3年ぶりに同じマイミクのかひさんが来る。
それぞれがお気に入りの作品をゆっくりと鑑賞した後、奥で珈琲を飲む。
初対面のふたりを紹介して、それぞれの話を聞いた。
年頃も似たようなふたりは、ともに少し塞ぎ気味の昨今のようだ。
そんなふたりはどこか似た者同士かもしれない、とふっと思った。
来合わせたのは偶然だけど、ふたりがここに来たのは「5月・明暗の季節」
という展示に惹かれたからである。
<明暗>の主題に惹かれたふたりには、今の心の明暗が作用していると
思えた。
明るくひた向きな時のふたりを憶えているので、この日のふたりの表情は
その時のものとは違う事を感じていたからだ。
このブログの作品紹介や見た人のブログの印象文やらタイトルやらと、最近
篭り勝ちなふたりがここまで足を伸ばしたのは、この展示の保つ主題に拠る
所が大きかったようだ。
話している内に篭ったものが少しづつ放たれて、少し吹っ切れた表情で
帰って行った。
作品は何も語らないけれど、その内包する力は人を癒し解いてくれる。
日頃発寒川付近を散策しているかひさんが、この川の源流にある手稲山
紀行「傷ついた自然の側から」(早川禎治著・中西出版)に興味を示し購入
してくれたのは嬉しかった。
「何故途中から発寒川が無くなるのかしら?」と問うたのが切っ掛けだった。
この本にはそれらの疑問がすべて語り尽くされている。
この優れた都市論ともなっている登山家の紀行文は、ひょっとしたら今まで
のかひさんの物の見方を、より本質的に深めてくれるような気がする。
kyoさんは今日ブログを久し振りに書いている。
ふたりとも少し開きだしていて、なにか嬉しい気持ちになる。

*収蔵品展「5月・明暗の季節」-5月27日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*大木裕之展「メイ」-5月29日(火)-6月3日(日)
*森本めぐみ展ー6月6日(水)-17日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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by kakiten | 2012-05-24 13:32 | Comments(0)
2012年 05月 23日

作品の天空ー玄黄・5月(15)

大木裕之展「メイ」の一週延期により、収蔵品展「5月・明暗の季節」を
一週間延長する事にした。
糸田ともよさんをはじめ何人かの方が、今回の展示を好感して下さり
その感想から見たいという人も出て、延長して良かったという声もある。
今まで滅多に展示した事の無い作品たちが5月の明暗を主題に並んで、
展示構成した私自身も新鮮な感じをもって見ている。
それぞれの作品が個展時に見た時とは違って、作品自体が別のベクトル
から光を発しているからである。
例えば八木伸子作品の花と菱川和子作品の花が、ふたつ並ぶ事で
その個性の違いがそれぞれの作品をさらに際立たせて、より本質的な
花を感受させているからだ。
さらに後藤和子の青の作品と大島龍の青、そして上野憲男の青の3点は
同じ青でありながら、三点が並ぶ事でより本質的で多様な青を感受させる。
これらの展示効果は、作品個々が保つ力が、組み合わされる事により発す
る作品力と思う。
個展の時は、作家個人の顔に隠れがちな作品の流れというものがある。
主題を設定しより普遍的なテーマに作品が置かれた時、作品はその潜在
的な魅力を発するからであろう。
そしてそこでは制作年の新旧は関係がない。
八木伸子と菱川和子の作品はともに1970年代の作品であるが、そこに
制作年の古さを感じる事は些かもない。
それは多分作家の制作年の時系列に置けば新旧が顕れるのだろうが、
違う作家2点が並ぶ事によって、よりそこに描かれたものの存在感が際立
ち、その相違点が新鮮に見えるからである。
同様の事がこの「5月・明暗の季節」展において、他の作品との関係性
にも波及している。
一番他の作品と違うはずの友川かずき作品すら、2階から下の展示を招き、
1階の展示は2階の友川作品を呼ぶのである。
冒頭に記した糸田ともよさんの展覧会評は、見事にその事実を伝えていた。

 1階にいると、2階で呼ばれている気がします。
 2階にいると、1階に呼ばれている気がします。
 誰が呼んでいるかというと、もうひとりの自分なんだなー。

大木裕之さんの延期はこうして普段奥の倉庫に収納されている作品たちを
さらにもう少し長く陽の目に晒して続く結果ともなったのだ。

金環日蝕に続きスカイツリーのオープンと、世間は天空ばかりを見上げて
いるが、こうした作品世界の深い宇宙にももっともっと目覚め見上げても
良い筈なのだ。

*収蔵品展「5月・明暗の季節」ー5月27日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*大木裕之展「メイ」-5月29日(火)-6月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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by kakiten | 2012-05-23 12:34 | Comments(0)
2012年 05月 22日

大木裕之展「メイ」の一週延期ー玄黄・5月(14)

収蔵品展「5月・明暗の季節」最終日。
瀬戸くん、山田さん、有山さんが来る。
弁当を買いみんなで遅い昼食。
すっかりこの近くの弁当屋フアンとなった観がある瀬戸くんである。
それから何という事のない話が、閉廊時間近くまで続いた。
高校時代釧路で村岸宏昭の遺作集を読み、ここへ来るようになった瀬戸くん。
同じ年齢ながら生前村岸と会う事なく、遺作集を読んで今に友情を感じている
山田航さん。
同じように生前会う事無く、遺作集所収のCDの村岸曲を愛し演奏している有山
さん。
思えば最終日に集まった人たちはみな、ムラギシに心惹かれる人たち
ばかりだった。
そして次回展示の四国の大木裕之さんもその村岸最後の地の人である。
2006年8月大木さんに会い、その後高知の鏡川で遭難死しているからだ。

その次回展示予定の高知の大木裕之さんから連絡ある。
来廊一週簡延びて、来週からの滞在制作となる。
「メイ」の撮影行も含めた映像作家大木裕之の久し振りの滞在個展である。
2003年の「オカクレ」以来だろうか。
その後2004年から「メイ」の制作が始り、2007年に水戸芸術館「マイクロポッ
プの時代」展で上映され、その際東京の映像作家石田尚志さんとともに招ばれ
3人の鼎談に参加した。
9年目を迎えた「メイ」の撮影が久し振りに初回の札幌に戻って滞在制作される。
5月の最終週に相応しい一週間となる。

今年の5月は、何か不思議な5月だ。
生と死の明暗が濃く、十年近い大木さんの作品「メイ」の最終章にも近付いて
いる。
私自身の誕生月でもありながら、今年ほど親しい人の死を意識した年もない。
なんらかの総括のような年なのかも知れない。
そんな時に大木裕之の「メイ」の9年目の滞在制作が始るのだ。

*収蔵品展「5月・明暗の季節」-5月27日(日)まで延長。
*大木裕之展「メイ」滞在制作ー5月29日(火)-6月3日(日)
*森本めぐみ展ー6月6日(水)-17日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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by kakiten | 2012-05-22 12:13 | Comments(0)
2012年 05月 20日

重なるものー玄黄・5月(13)

友川かずきのフアンというレトロスペースのNさんが見える。
東京でのライブ、展覧会と欠かさず見聞に行くという熱心なフアンである。
今回2階に展示した友川作品を見に来たのだ。
ご主人はかって尺八の演奏で前のスペースで出演した事がある。
それ以来のご縁だが、今のお勤めのレトロスペースの館長S氏とも
親しいのでそちらの縁もあった。
それでもここに見えるのは久し振りで、しばらく最近の友川の話を
聞かされた。
そこへ居酒屋ゆかりの店主宇田川洋氏が来る。
彼は村岸宏昭の遺作画を見に来てくれた。
程なく同じ居酒屋を手伝っている千鶴さんも見えて、奥でお茶を飲む。
ふたりはともに故村岸宏昭の遺作集の愛読者で、店にはいつも彼の本が
そっと置かれ、時にはBGMに彼の曲が流されるのである。
初対面のNさんを宇田川さんたちに紹介し、宇田川さんのもうひとつの本業
アイヌ学の専門家の方も紹介した。するとNさんが今の職に就く前、遺跡の
発掘の仕事をしていて、宇田川さんの名前を聞いた事があると言い出した。
さらに話している内に色々思い出して共通の知人の名前が飛び交う。
意外と近い所にふたりはいた事になる。
そこへ歌人・詩人の糸田ともよさんが見える。
彼女の第一歌集は故菱川善夫氏の解説で世に出たのである。
その菱川先生の奥様である菱川和子氏とも親しいので、その縁で作品を
見に来てくれたのだ。
現在の菱川和子氏の作品とは違う、以前の作品にしばし感嘆した後糸田さん
も奥でみんなと話す。
Nさんのお勤めのレトロスペースは、以前から見て気になっていたと言う。
今度これを機会にお伺いするという。
宇田川さんたちが帰ってすぐに山田航さんが見え、その後有山さんと今村
さんが見える。
ここでも不思議な縁があった。
今村しずかさんはフォークのシンガーソングライターでもあるが、職業は
介護の仕事でもある。その治療リハビリーの患者さんが今リハビリー中の
菱川和子さんだったのだ。
しかも患者と介護補助の関係を超えた信頼関係を保つ間柄だった。
最初現在展示中の菱川さんの絵を見て、名前を知らずに良い絵だなあと
惹かれていたのだ。その後作家の名前を聞いて、吃驚していたのである。
そんな逸話を糸田さんに話すと糸田さんも吃驚して、ふたりは菱川さんを
介在して話が弾んだのだ。
今村さんたちは7月に完成する初のCD発売記念ライブの打ち合わせで
この日は訪れたのだが、そのライブに早速糸田さんの予約が入った。
縁が縁を生んで、人と人の関係の不思議さを感じた時間だった。

*収蔵品展「明暗の季節」-5月20日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*大木裕之展「メイ」-5月22日~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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by kakiten | 2012-05-20 13:39 | Comments(0)