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2011年 06月 01日

6月へー燃える春楡(25)

燃える5月を過ぎ、魂の6月へ入った。
花粉が飛び、胞子が飛び、綿毛が飛ぶ季節だ。
花もまた色とりどりの色を開き、散ってゆく。
陽の光は早く、陽の光の終わりも遅い。
太陽が一番長く居る一日は、やがて一気に夏へ。

昼お隣から、蕨の煮付と笹竹の子の炊き込みご飯を頂く。
昨日山菜採りに行ったという。
美味い。
なんでしょう、この単純な幸せ!
これで今日は昼に何を食べようかと、迷う事は無い。

昨日ブログを書いた後写真家のM佐藤氏に電話した。
すると話をするや否や、読んだよという。
とても嬉しそうだった。
初めて訪れた仙台の先祖の墓地。
その先祖のお墓の写真が真正面から撮られていて、堂々としている。
写真とは、ひとつに撮影者の視座にある。
この真正面の撮影視座は、本人の心の位置をも示している。
心ひと筋に己のルーツを見詰め、大災害の被災地へ特別な気持で
向かったのだなあ、と思う。
その緊張感が、お墓を真正面から撮る写真に顕われている。
その後出会った、津波に流され汚れた写真を洗浄するイチゴ農家の人。
写真家の彼は、その写真一枚一枚を丹念に洗い、乾かす作業を見て、
写真家として、人間として、先祖の地を初め訪れた微かな緊張感も含めて
感動している。
被災地の光景は、TVで見た通りだった。ただ実際に見てTVと違うのは
匂いがあり、風景が体を取り囲んでいた。
こればかりは行かなくては分からない。
そして何よりもそこで写真一枚一枚の大切さ、心を込めた一枚の写真たち
と出会った事が大きいと私には感じられた。
写真家として身が引き締まるものをあらためて感じていたに違いないと思う。
近々話しに行きますよ、と笑顔の浮かぶ声で電話は終った。
きっと彼は近い将来いい仕事を見せてくれる筈だ。
そんな予感がしている。

そんな電話の後日高の陶芸家Mさんが来る。
少しハイになっていたので、一気に最近思っている事を話した。
かなりテンポをあげてアート風潮批判を繰り広げたら、急に両手で
Mさんが顔を覆った。泣いていた。
え?何で泣くの?
思わず謝って、何が気になったか聞いた。
Mさんを批判したつもりは無い。
何かが涙腺に触れたようだった。
顔をあげるともう涙は無くて、澄んだ表情だった。
最近した個展で何かを感じていた隠された感情がきっと開いたのだろう。
繊細な人である。

このふたりは、必ず次にいい個展をするに違いない。
心が露わになり、その開いた心が沈殿し、新たな種を生む。
心の山菜である。
M佐藤氏とMさんの心の蕨と竹の子。
いつの日か美味なる炊き込みと、きっとなるだろう。

*鉄・インスタレーシヨン 阿部守展ー6月5日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*斎藤周展「これから下りていこう」-6月11日(土)-26日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2011-06-01 13:22 | Comments(0)