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2008年 05月 31日

岡和田直人展終了ー5月の共和国(29)

とにもかくにも、一編の映像が出来る。最後まで悪戦苦闘の仕立て工房。一着
のスーツに仕上がったかどうかはどうであれ、仕立てていたのは間違いない。
大きな才能、大木裕之の長期作品「メイ」の最終章を彩る一場面に呑みこまれ
ていたのかも知れぬ。それはそれで、善しである。
3年懸かりの及川恒平さんのさっぽろ録音。5年懸かりの大木裕之さんの映像。
20年伏流水の佐佐木方斎さんの登場。大きな濃い流れが合流して、岡和田さん
も大変だったと思うから。アップアップでもひたすら自分の映像に固だわって頑張
ったから。・・・ね。
最終日大木さん旭川・岩見沢から戻り、スクリーン前に捧げ物。生ほっけ、ソイの
刺身、べっこ餅ほか。1年ぶりに顔出した阿部ななさん、後から来た樫見菜々さ
ん、両ななさん抱き合って再会を喜んでいた。プロジェクターの前だったので、ふ
たりのお尻が青く染まっている。お尻が青いというと、変な人という目で見られた。
意味はなく、そのまんまだったのだが。
大木さん、藤田さんは頃合いを見て佐佐木方斎宅へ出かける。
最後に、SARのSさんと清治拓真さんが来る。この人たちも何年ぶりかである。
少しきつく最近のレジデンスやら、某ギヤラリーの批判をする。
Sさんが私に喧嘩吹っかけてるの?と短腹そうな顔で噛み付く。人の意見を聞か
ず個人批判と捉えられたら、もう話す事はない。企画ならず、規格「サッポロ・アー
ト」展示会じゃないのか。サッポロスタイルとかいう催し、商品振興と同列だろうに。
文化のパブリックワークに易々と乗って、個人批判に歪小化する人間の精神年齢
の幼稚さを感じる。戸籍年齢だけが人間の年齢ではない。外国に何年も行って一
体何を感受してきたのか。さっぽろだろうと外国だろうときちっと生きろ!と言いたい
。大手のCレコード会社を自分の信ずる所まで引寄せ、対峙する場としてのさっぽ
ろを提示できる人間が一方にいて、その半分位の年齢の人間の方が余程保守的
で狭いのだ。
岡和田さんの個展は、そうした二種類の人間の落差を渦巻きにして、時空を皺寄
せ熱く波打ったのだった。佐佐木方斎の夢の痕。遠く、近い’80年代の残照。
フォークの草分け六文銭の及川恒平の声の城。宇宙人大木裕之の映像への執念
。それらが、現在性の只中に渦巻き、皺寄り、太陽風を吹き起こしていたのだ。
その強風の中で、凧のように漂流しつつも、羅針盤は真っ直ぐに目的を指していた
。その事だけはしっかりと、岡和田直人展の捕手として、ピッチャーである岡和田さ
んには伝えておきたいと思うのだ。お疲れ様でした。岡和田さん。

*斎藤周展「おおらかなリズム」-6月7日(土)-22日(日)月曜定休・休廊
*アキタヒデキ展ー6月24日(火)-7月6日(日)
*細井護展「水が風景をつくる」-7月8日(火)-13日(日)
*酒井博史てん刻ライブー7月20日(日)am11時ーpm7時
*久乃志乃展ー7月22日(火)-8月3日(日)
*森万喜子展ー8月19日(火)-31日(日)
*新明史子展ー9月16日(火)ー21日(日)
*梅田正則展ー10月1日(水)7日(火)
*阿部守展ー10月中旬予定
*河田雅文展ー11月予定

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2008-05-31 13:31 | Comments(0)
2008年 05月 30日

渦巻き皺寄る日ー5月の共和国(28)

大木裕之さんが来てから、時間が濃く、騒然としてくる。
事実の方が先を行き、溜める時間が追いつかない。昨日は屋外で北大のカラス
が騒ぎ、浅草出身のT君が来たり、大阪・堺のA君が来たり、陶芸の河合さんが
鯉江良二来札の話をしに来たり、佐佐木方斎さんがひょっこり来たりと時間が濃
く渦巻く。方斎さんは、一昨夜大木さんの方から、このブログを読んで会いたいと
話していたのでどんぴたりの登場である。大木さんに電話するも出ず、岡和田
さんの話では、旭川か岩見沢に行くと言っていたというので残念と思った。
岡和田さんの完成作品を見たいという天然のMさんも再び来る。
そこへ、マネージャーの藤田さんと一緒に大木さん登場。さすが、いいタイミング
だ。そのうちに、G美術館のIさんも見えて、今日はスッピンよなどと言っている。
へ~えと思う。今まで見たうちで一番可愛らしく見えた。
方斎さんと大木さんの出会いが、明日は方斎宅へ行くことに発展する。
数学科出身の画家と物理学出身の映画監督は、どこか理数系の共通項をもつ
表現者である。<カフエカルチヤー>などと今更に言い出している事を、20年近
くまえにひとり実践していた方斎さんの根城を是非見て欲しく思うのだ。
ギヤラリーTとカフエアインである。今は作品収蔵庫のようになり、カフエもただの
空きスペースである。しかしそこには、’90年代のつわものの志の香りが今もある
。「サッポロ・アート」などというふやけたコンセプトが持ちようのない、夢の痕がある
。そういえば、朝来た浅草出身のT君に、「アサクサ・アート」ってネーミングあった
らどう?と聞いたら、即座に気持ち悪いと答えた。これで企画という安直さは、グン
マアート、イバラキ・アートとどんどん気持ち悪くなる。カタカナ信仰の安直さは、国
際都市サッポロと変わらない。ここでも個としての地方、さっぽろが消去されている
。土の見えない土産品ー「白い恋人」的なイメージだけの外向き商品としてアート
がある。サッポロ・スウィートそして、サッポロ・アート。古典的にサッポロビールが
いいね。

*岡和田直人展「好日」-30日(金)午後7時まで。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
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by kakiten | 2008-05-30 13:30 | Comments(0)
2008年 05月 29日

界川の道ー5月の共和国(27)

朝からカラスが騒いでいる。繁殖期に入ったのだろう、攻撃的な季節がやって
来る。巣の縄張りを守り、他を侵入者として排除する。そんな作家を思い出した
。ここはスペースジャックされた。私のお客さんは私のフアン。あなたは、出て来
ないで下さい。その後、憧れとかいう街中のU画廊に展示し、ここは踏み台にし
たまま、その後この繁殖期のカラス帝国主義者から、一切の連絡はない。
朝から、カラスの所為で嫌な事を思い出した。巣の卵にされたF君もその後拉致
されたまま、こちらも音信がない。場を巣のように矮小化する精神に未来はない。
昨日、及川恒平さんと幌平橋駅で待ち合わせる。そこから、鴨々川水門、護国神
社、弥彦神社、水天宮を川沿いに歩き、9条通りからタクシーでM邸に向かう。
M邸では、音の響きを確かめるように、及川さんが何度も声を出していた。
気に入ったようだった。留守のオーナに手土産と、置手紙を置いて出た後、山裾
の道を歩き、お餅カフエに寄る。及川さんは豆餅、私はあべかわ餅を頼む。
今回のCD制作には、大手のCレコードとの話があるが、あくまで東京の録音スタ
ジオではなく、さっぽろでの録音に拘った訳を話してくれた。糸田ともよさんの歌と
、場の関わりを、自身のさっぽろと重ねて熱く静かに語ってくれる。ここ5年近い歳
月の土壌の時間を感じる。いいさっぽろがある。ひとつの作品が生み出される時間
である。声高に札幌の文化発信などと叫んで、「サッポロ・アート」などというふやけ
たものは、ここにはないのだ。
及川さんと別れて、ギヤラリーに戻ると依然として、岡和田さん試行錯誤の最中で
ある。夕刻、大木裕之さんとマネージャーの藤田敏正さんが来る。
大木さんカメラ片手にハイテンシヨンである。もう「メイ」撮影モードに入っている。
岡和田さんはすっかり呑みこまれていた。明日で最終日。好漢岡和田直人勝負
である。

*岡和田直人展「好日」-30日(金)まで。am11時ーpm7時

 テンポラリスペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2008-05-29 14:25 | Comments(0)
2008年 05月 28日

「メイ」大木裕之到着ー5月の共和国(26)

大木裕之さんがミクシイで、1、2時間毎に更新してここへの足取りを記している
。北大構内で食事、歩いてこっちへ向かう。テンポラリー到着直前のミクシイは、
傑作コメントだ。「少年よ、精子を飛ばせ」。クラーク博士も、頭クラクラだろう。
今だ、制作スタジオ状態の岡和田さんに、師匠の大木さんの無言の檄が入る。
Mさん、Kさん、Aさんも来て、未完の映像を見る。あと3日。岡ちゃんの最後の
仕上げが始まる。
オランダの谷口顕一郎さんよりメール。個展用の文喜んでくれる。二校目で、も
う少し手を入れる積り。
及川さんと今日M邸に午後行く。帰路は川道を辿る。
昨日に比べ、今朝は晴天。歩き日和。
続きは帰ってから記す。

*岡和田直人展「好日」-30日(金)まで。am11時ーpm7時

 テンポラリーシペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
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by kakiten | 2008-05-28 11:45 | Comments(0)
2008年 05月 27日

企画という修飾ー5月の共和国(25)

ーかねてより、人口190万人の札幌市、その中心街で現代美術の企画ギヤラリ
ーがほとんど無い状況は、「創造都市」宣言をした北日本最大の都市として少々
寂しすぎると感じておりました。ーとして、「札幌からの新しい創造の発信」を謳っ
てCAI02ギヤラリーが、昭和ビル地下2階に、華々しくオープンした。
以前より、「fix mix max」というアートイヴェント批判も何度も書いてきたが、い
よいよ本体のお出ましという気がする。
あまりに私とは対照的な生き方、方向性なので、あらためて今回のオープニング
記念企画展についても記す意欲もあまりない。お馴染みのオールスターキャスト
に新人、外部の大物スターと一時代前の東映映画でも見せられている気がする。
まあ、名前も昭和という名の建物ですから仕方がない。
ただ目玉のようにして語られている<企画ギヤラリー>という金科玉条の分類
には、意義がある。貸し=有料、企画=無料、その分類、区別、差別が、ギヤラリ
ーの優劣の分断になっている事である。何をどう企画しているのか、その企画が
真に優れてあるものか、その姿が見えていない。隣のスペースは、レンタルという
から、そちらは有料、企画は無料という区別しか見えないのだ。
オープニングのオールスター番組も、数を揃えただけで、そこに<企画>があると
は、私には思えない。作家を繋ぐ(×1)の主題性は見えないからだ。
開店のめでたい花輪のように、数を並べる事が企画なのか。
人口190万人とか、中心街とか、企画とか、特権的な区別・差別・分断に何の意
味があるのか。
思うにこれは、”ハコ”の優劣を誇示する中央志向の何ものでもない。
ハコの優劣と使用者の無料という事で想い起される場所は、公的な美術館である。
ここでは企画が主体の展示が為される。最近は貸し館も予算不足で多いようだが
基本は企画展示である。しかしこの公的機関の展示は税金という見えない有料に
拠って成り立っているものだ。見るのも有料で、出し物も税金という有料で賄われ
ている。公的資金を使って、文化の啓蒙という明治以来の伝統的な美術館の文化
行政の流れにある、企画という一見無料の建前を、何故一民間のギヤラリーが真
似なければいけないのか。所詮は、どこかのスポンサー待ちか、公的助成金の運
用しか方法は無いのだ。企画=無料=優位という文脈に、本当の企画も、場も不
在である。そこに見られるものは、ハコモノの価値という形容詞の修飾であり、真の
場としての土壌はないに等しい。190万人の北日本最大の都市札幌という量数的
な誇示は、市場の論理以外の何物でもないのだ。北海道の総人口の約半分にな
らんとするメタボリックで、ブラックホール的なさっぽろ喪失に不感症な感性が、い
かなる文化を発信するのか。私には疑問である。念願の都心部に第2号店オープ
ンという事と、企画だ貸しだと分類・区別し差別化した売り込みは、同事である。
作家もまた、アトリエ→画廊→美術館という時代遅れの出世コースを、有料→無料
のハコモノの使用料の次元に重ねているのだとすれば、いい加減にしろと言いたい
。ゴッホの例を持ち出すまでもなく、同時代の現実はいつも、身銭を切る辛い困難、
志にある筈だ。<企画>を有料・無料に矮小化し、古い啓蒙主義を温存した軸芯
から真の文化の土壌は耕されようもない。

*岡和田直人展「好日」-30日(金)まで。am11時ーpm7時
*斎藤周展「おおらかなリズム」-6月7日(土)ー22日(日)月曜定休・休廊
*アキタヒデキ展ー6月24日(火)-7月6日(日)
*細井護展「水が風景をつくる」-7月8日(火)-13日(日)
*酒井博史てん刻ライブー7月20日(日)am11時ーpm7時
*久乃志乃展ー7月22日ー8月3日(日)

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by kakiten | 2008-05-27 12:19 | Comments(4)
2008年 05月 26日

小雨降るー5月の共和国(24)

休廊日だが、歯医者に行った後ギヤラリーに寄る。
岡和田さん今日、石狩から帰ってくる予定なので、待ってみるつもり。
及川恒平さんよりメール。月末、録音場所のM宅下見同行のこと。
オーナーのOさん急用で旅行中につき、私が案内する事になった。
会場を見た後、久し振りに及川さんと、湧き水・川の道を歩こうと思う。
昨年10月貧血で倒れた時、救急病院を回って、付き添って頂いたM先生と
途中訪れて以来である。あの時はMさんの肩に手をかけながら、円山川源流
不動明王、界川源流域白龍大社と、病人なのによく歩いたものだ。
温厚で、篤実なM先生に随分甘えてしまったが、そのお礼の気持ちもあって案内
し、見て欲しかったのだ。
及川さんとは、3年程前、不動の滝までは歩いている。
今回録音する場所と、以前、今いる場所との繋がりを地形上の繋がりとして、さっ
ぽろを感じてもらいたいと思う。
さっぽろ在住の歌人糸田ともよさんの作品を、ソングとして今回わざわざさっぽろ
で録音したいという及川恒平さんの気持ちの土壌に、少しでも役に立てれればと
思う。前のスペースで出会い、今のスペースへと繋がるさっぽろの身体性である。
ドットで点のように繋ぐのではなく、有機的な空間としてさっぽろが在るのだ。
その身体空間のなかに、さっぽろ・いしかり・北の空気がある。
作品の土壌は、その空気感であると思う。
今回の録音は、ただスタジオがあればいいという問題からは離れている。
唄うアイデンテイーを、詩に、場に求めての歌い手及川恒平の求道の旅なのだ。
声という表現を通した自分を求めての旅なのだ。
大木裕之さんは、今森町を通過中という。5年がかりの長期映像作品「メイ」の最
終章に向かって、最後のさっぽろがある。スタートしたさっぽろ、エンデイングの
さっぽろ、石狩海岸から帰ってくる岡和田直人。今週は三者三様のさっぽろが交
錯して、豊かに耕す時間となる。

*岡和田直人展「好日」-5月30日(金)まで。am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
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by kakiten | 2008-05-26 17:19 | Comments(0)
2008年 05月 25日

天然の人ー5月の共和国(23)

今日、明日と岡和田さんは、石狩へ一泊取材に出かけた。明日の定休日を利用
して、映像の仕上げに入る。大木裕之さんは、東京を発って、こちらに向かって
いる。来週から、ふたりの映像作家の交錯が始まる。
昨夜は、岡和田さんと帯広で幼馴染のMさんが来た。彼女は、中嶋幸治さんや
小林由佳さんたちと同期のCスクール生で、ここにはその関係で来ていたのだ。
ふたりの自宅はお向かい同士で、小さい頃はよく遊んでいて、それ以来と言う。
20余年ぶりに再会したふたりと、近くの焼き鳥やで飲む。
久し振りに会ったふたりは寡黙で、何か私ひとりで多弁になった。最近の話題は
Mさんと私の方が多いので自然とそうなった。段々酔った岡ちゃんも喋りだして、
幼馴染のふたりに戻っていった。天然系のMさんが、私をお茶目と言う。
何ですか、お茶目とは?オチャッピーって言葉は、子供に対して使った記憶が
ある。おませな女の子の事と思う。いつの間にか、幼馴染の空気に取り込まれて
いた。天然系のMさんのペースである。
今朝は、曇って雨模様なので、自転車に乗るのを迷ったが案の定途中で雨とな
る。猛スピードで到着。少し濡れたが、気分は爽快。
雨の石狩浜、岡和田さんは大丈夫だろうか。いい映像の撮れることを祈る。
ドイツ・Sさんから、メール。谷口顕一郎展の為の文章、喜んでくれる。まだもう少
し加筆・訂正をする積り。6月半ばまで猶予期間を頂く。翻訳が大変と思う。

*岡和田直人展「好日」-5月21日(水)-30日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊。
*斎藤周展「おおらかなリズム」-6月7日(土)-22日(日)
*アキタヒデキ展ー6月24日(火)-7月6日(日)
*細井護展ー7月8日(火)-13日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
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by kakiten | 2008-05-25 13:29 | Comments(0)
2008年 05月 24日

綿毛の飛ぶ日ー5月の共和国(22)

たんぽぽの綿毛が、風に乗って飛ぶ。エルムトンネルの上の道。
自転車のスピードと風の速度で、顔にぶつかってくる。
耳に入ると、ツンボになるといった昔の話を想い出す。
でも今日は、耳より鼻に入りそう。
競馬場脇の柳の大木手前の桜の色も、柳と同じ濃い緑の葉になった。
もうあの、桜の花と柳の若葉の美しい色の交響はない。
夏は確実に深まっている。
もうすぐ、女房の一周忌が来る。
あの時、東京から来た親戚が、千歳空港からのバスの車中から見た、
風に飛ぶタンポポの綿毛の多さに驚いていた。
花の時を終え、飛ぶ命は、人も植物も同じなのかも知れない。
季節も深まり、時も深まる。その時空を白い綿毛が飛んでいく。
その青い空間を、今は生きている私が疾走している。
生と死の間(あいだ)を、自転車暴走族が行く。
まだ、石狩浜辺のイオンが蓄積されている。
海と陸の界(さかい)には、両方の発するエネルギーが蓄積されて、
地震のように揺れているのかもしれない。
境・界(さかい)には力がある。
季節にもきっと、それがある。人との出会い、別れにも、それがある。
タンポポの綿毛にも、界(さかい)の力がある。

*岡和田直人展「好日」-5月21日(水)-30日(金)am11時ーpm7時
 月曜休廊・定休日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
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by kakiten | 2008-05-24 12:25 | Comments(0)
2008年 05月 23日

来る日にハイタッチー5月の共和国(21)

岡和田さんの試行錯誤の日々が続いている。
しかし、空気が醸成されている。半透明の白いカーテンが廊内の光を変える。
設置してあるスクリーンを下ろすと、初夏の強い陽射しは、柔らかな空気に包ま
れて、さあ、いつでも映像をどうぞという感じだ。
その事を話すと、嬉しそうに岡和田さんに笑顔がひろがった。
自分の会場を今、耕している。空気を掘っている。表現する根を植えている。
花は、実は、やがて咲き、実るのはもうすぐ。
九州・福岡の阿部守さんから、個展のポスター、フライヤーが送られてくる。
福岡県直方市直方谷尾美術館で6月1日から29日まで「阿部守展ー鉄の詩」。
鉄の町直方市で行われるこの個展は、石炭・鉄鋼産業の近代を踏まえて、産業
経済構造としての鉄と、表現の素材としての鉄が、直方市という場を通して交錯
する、優れて意欲的な展覧会と思える。ただの陳列的な美術館の使い方ではな
いものがある。場としての街の個性が、鉄という人類にとって一番古い付き合い
の素材を通して、時代を場とともに透視する試みだからだ。シンポジュームに予
定されているパネラーも、直方鉄工協同組合の方とか行政の方とか芸術に偏ら
ず鉄に関連する町の人である。キューレーターの花田伸一さんの力が大きいと
思う。
時代に乗り遅れた古ビルの穴埋め、間に合わせの陳列会場を、さも文化の発信
などと能書きばかりをのたまっている札幌の現状よりも、はるかに地に足の着い
た企画である。何よりも鉄という素材の主題がきちっとあり、そして地域としての街
があり、人がいる。鉄の造形作家と鉄の産業経済という交錯がある。そして個展と
いう直なる縦軸がある。17人ものアーテイストをぞろぞろ並べただけの陳列展示
を企画するふやけた場の構成とは、この縦軸の在り様だけで質的に大きな差があ
るのだ。テナント経済、公共事業の札幌に相応しいといえばそれまでだが、さっぽ
ろという街の場としての固有性をもっと突き詰めて、負の遺産もプラスに転換する
眼をもって追求する真摯さを、今はもっと持つべきと思う。
産業経済政治をも巻き込み、共有する力を保ってこそ、本当の文化の発信力があ
る。数だけ幾ら多くとも、この阿部守個展というひとつの軸心に勝る深度も遡及力
もない。
ー10月よろしくお願い致します。筑豊での展開です。ー
添えられたこの言葉に、遠く南の未知の場所から、心にハイタッチするさっぽろの
ある事を、私は忘れない。

*岡和田直人展「好日」-5月21日(水)-30日(金)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊
*斎藤周展「おおらかなリズム」-6月7日(土)-22日(日)
*アキタヒデキ展ー6月24日(火)-7月6日(日)
*細井護展ー7月8日(火)-13日(日)
*酒井博史てん刻ライブー7月20日(日)am11時ーpm7時
*久乃志乃展ー7月22日(火)-8月3日(日)
*森万喜子展ー8月19日(火)-31日(日)

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by kakiten | 2008-05-23 13:42 | Comments(0)
2008年 05月 22日

コートを脱いでー5月の共和国(20)

抜けるような青空はない。五月晴れとはいかない。ぬるい気温、曇天。
さすがもうコートは、いらない。地下街のK書店で買った980円のリュック。
やはり両手が自由で走り易い。お惣菜とか、買い物しても楽だ。前は、左手の
腕時計のバンドに、レジ袋を引っ掛けてペットボトルなぞ入れると重心がふらつ
いたものだ。買い物は帰宅途中の夜が多いから、神経使った。
登山用のリュックとも思っていたが、何となく別に思い、使わなかった。
この980円、腰バンドも付いているから、体に密着して安定感がある。
おかげで、自転車もスイスイである。レジ袋片手にでよたよたとは大違い。
また、アグレッシブな走りが戻ってきた。ワン公と対向車には気をつけるべし。
昨夜、ちQ君来る。小林麻美さんも壁の穴修理に来てくれる。
東京・大木裕之さんより個展初日お祝いの電話。ナイーブハズバンドのシャレ。
即ち敏夫ですと。5年目の「メイ」最終章に、気合充分とみた。
「界川游行」の第三巻、旧プラハで制作している保科豊巳さんのヴィデオを見る。
小林重予さんが手伝っている。’89年10月の映像である。他に戸谷成雄さんの
鬼窪邸、岡部昌生のコラボレーシヨンの映像を見た。近所の子供たちが群れて
いる。もうこの子達も20歳を過ぎて、いい青年か成熟したレデイになっている訳
で、機会あれば会ってみたい気もする。暗渠に埋没した旧界川流域約1キロを、
展示空間とした21日間のこのアートイヴェントは、今も映像記録として見て、少
しも古びていない。むしろ段々深みを帯びてくる。なにより円山の空がまだ広い。
こうしたお宝映像が、まだまだヴィデオで残っている。時に公開して今を見詰め
たいと思う。川俣正テトラプロジェクト、大野一雄石狩河口公演、國安孝昌美登位
プロジェクト、鯉江良二石狩野焼きモニュメント等々。共通のひとつのコンセプト
から展開された「界川游行」の各作家の作品とコメントインタビューは、ケーブルT
Vの自主制作2時間番組だけに、濃い良質な出来上がりである。ライブの吉増剛
造、福島泰樹、友川かずき、菊池雅志。そして、今は亡き忠海光朔、青木崇の顔
も懐かしいのだ。田上義也の傑作洋館も今は無い。建物、人、風景が、もう過ぎて
しまった現在と過去の界(さかい)を流れている。これも時の”界川”である。

*岡和田直人展「好日」-5月21日(水)-30日(金)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊
*斎藤周展「おおらかなリズム」-6月7日(土)-22日(日)
*アキタヒデキ展ー6月24日(火)-7月6日(日)
*細井護展ー7月8日(火)-13日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
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by kakiten | 2008-05-22 11:25 | Comments(0)