熊谷直樹さんの誘いで、ジャズライブに行く。
アルトサックスの仲西浩之さんを中心に4人編成のエレガントピープルというグル
ープで、以前のテンポラリーでは月1回演奏をしていことがある。
このグループにギターヴォーカルの古館賢治さんが初めて加わり今夜演奏する
というのだ。地下鉄大通りで待ち合わせ、須貝ビル4階の会場に向かう。
着くともう会場は満員。古館さんとも久し振りに会う。彼とピアノの有本紀さんは
前のスペースの閉店時にラストコンサートをしてくれたのだ。
熊谷さんが川の地図をデザインしたテンポラリースペースのTシャッを取り出し、
仲西さんに渡した。このTシャッは熊谷さんのテンポラリースペースへの思い入
れから最近制作したものだ。さっぽろの旧河川が地図となり、そこにテンポラリー
とnakamoriのロゴが入っている。これを着て何処へ行っても頑張れ、という彼
の友情の産物である。
エレガントピープルの演奏が始まり、変わらぬ仲西浩之さんの熱いサックスが
響いた。ふっと見るともうすでに仲西さんはそのTシャッを着ているのだ。
古館さんの出番になり、彼もまたそのTシャッを着ておもむろにそのTシャッの由
来を説明しだした。そして、その場所で知り合った熊谷さん、私、そこで生まれた
曲と話を続ける。喪われた場の記憶がここで甦っている。その後、仲西さんも熱く
中森花器店・テンポラリーについて語りだし、ロゴ入りのTシャッとともに、この場
はもういつのまにかタイムスリップして、ナカモリカキテンであるかのようだった。
決して私は音楽を主体に前のスペースを作ったわけではない。
しかしあの場が保った何かの力は、失われた場であるにも関らず、こうして心に
連なって続いている。それは、場(ランド)の保水力とでもいうものを実感した時で
もあった。近くにいた聴衆の何人かが、ああ、あの場所ねと、囁きあっていた。
まさかこういう展開になるとは思わず、ひとしきり照れる自分がいた。
演奏は白熱し、古館さんと仲西さんたちの初コラボの硬さはなく、物凄いノリに
アンコールの拍手と声が鳴り渡った。
熱いエール、インスパイヤーされる勇気のようなものを頂いて、深夜帰路に着く。
季節を感じさせない暖かな濡れた路面が、この日の心模様の汗と涙のようにあ
った。
*斎藤紗貴子写真展「キャノンはない。携帯がある。」ー12月21日(日)まで。
am11時ーpm7時
*佐々木恒雄×チQふたり展「ランド!ホップする時」-12月23日(火)-1月
18日(日):正月1、2日は休廊
*及川恒平コンサート「冬の鏡」-1月12日(月)午後3時~入場料3000円
予約2500円:月曜定休日にします。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503