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テンポラリー通信

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2008年 10月 15日

故郷に帰るーOctober run(2)

昼食事にちょっと出て帰ると、ドイツ帰りのM夫人と美術ブログのBさんが来てい
た。阿部守さんの作品を写真に撮るふたりの視線に合わせていると、作品の見え
方が違う。視角に個性が在る。
溝の内部だけを撮影した画面は、川底のように見える。
昨日歩いた川の風景を思い出していた。
その後Sくんが久しぶりに来る。アキタヒデキ展以来と思う。
しばらく網走の実家に帰っていたと言う。恋人も一緒で、すっかり両親に気に入
られたらしい。その事もあって来年もう一度ここで個展をしてから、故郷に帰る
という。漁師の仕事を継ぐのだ。一度故郷を出て、奥さん連れて帰る。いいじゃ
ないかと応える。昔修学旅行で一度通っただけの網走。オホーツク海。流氷を
見て育ったSくんの故郷に是非一度訪ねたい、そう思った。
7年札幌にいて絵を書き頑張ってきた。故郷でも絵は続けると言う。
実力ある人間である。彼女がついている。もう前の故郷ではない。Reの付いた故
郷である。かって石狩国という言い方があった時、網走もまた網走国であった。
明治の近代化の最前線にいた森鴎外は、遺言で石見の国の住人森林太郎とし
て死すと言ったという。今こうして、Sくんのように網走できちっと生きる人が大事
だと思う。網走の国の住人として、これからこそ本当にいい仕事ができる、そう思
った。国を持とうねSくん。心の難民、水母(くらげ)の都会からは何も生まれない
。日本海の石狩国とオホ-ツク海の網走国と、いつの日かRepublic of Mayを
架行しようと話した。夏は海で漁に従事し、冬は陸で絵を主体の時間を保つ。
夏の年、冬の年、労働の年、絵の年。現代のアイヌ、人間の年だ。
等分に四季が来る場所ではない。北には北の生きる流儀がある。
Sくんはしっかりと札幌を卒業したと思える。そして生涯の伴侶と出会い、その人
と力併せ、もう一度故郷を奪還しようとしている。Republic-Revolutionである。
革(あらた)まる故郷、命なのだ。
故郷に帰る前の個展は、総括・披露・出発・出初め式である。網走国と石狩国の
我々の国造りの祭りでもあると思えた。
豊平ヨシオさんの待つ沖縄、阿部さんのいる北九州、うめさんのいる十勝、Sくん
のいる網走、ケンちゃんのいるベルリン。
来年の私の行くべき国々がおぼろに見えてきた気がする。
October runー清冽な10月、その流れだ。

*阿部守展「場に立つ」ー10月9日(木)-19日(日)am11時ーpm7時
*中岡りえ展「DNA Diary 1902-2008」ー10月23日(木)-29日(水)
*M企画展「Logs/River/City」-11月4日(火)-16日(日)
*アルジルンネ「モラ」展ー11月18日(火)-30日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-10-15 12:00 | Comments(0)


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