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2008年 10月 10日

会い深まるー夏の末(sak-kes)(42)

阿部守さん帰る。室蘭に向かい、北の鉄の町を経て青森へ。
昨夜は個展初日で、札幌で展覧会前日の教え子武内貴子さん、天野萌さんも
駆けつけてくれた。Mさん夫妻がコロッケ、かぼちゃ煮つけ、お赤飯等を差し入れ
てくれる。また、隣のテーラー岩澤さんご夫妻が、高野豆腐、混ぜ御飯、お握り
等を差し入れてくれた。私は京都の友人増田旗男さんがくれた、神戸の銘酒「空
蔵」を出す。阪神淡路島沖大地震で倒壊した蔵元が、再起を記念して名付けた
お酒である。一から頑張る気持ちを篭め、この場の再起も兼ねてお土産に戴いた
お酒である。写真家の小林由佳さん、遅れて登山家の中川潤さんも来て、阿部
守さんの初日は食べ物、飲み物に溢れて始まる。
1986年に阿部守さんを最初に札幌へ招請した現代作家展の企画者佐佐木方
斎さんも来てくれる。昨年阿部さんの個展の時20年ぶりにふたりは再会している
。そして阿部さんの強い希望もあり、酒井博史さんの唄が始まる。
変わらぬ熱唱は10時過ぎまで続く。
3度目の秋。会い深まった人との繋がりが、個展の会場に満ち溢れていた。
作品もそうだが、人もまた会い初(そ)め、会い深まるのだ。
たくさんの手造りのご馳走にその心が沁みこんでいた。
酒井さんの唄声もまたそうである。
作品の深化とともに、人と人の間(あいだ)にもその深まる時が湛えられていた。
鉄の保つ柔らかい原風景、そして都市の使役する鉄の直線、その間(あいだ)に
擦り合せるようにある熱い対峙。この情感は人と人との間(あいだ)にも在るもの
である。その間(あいだ)の熱さ、暖かさが3年目の秋の夜にも溢れる。
寡黙な鉄の側溝のような作品。手で鍛錬された肌の柔らかさ。側溝の直線と混じ
り合い、縺れ、横一直線、床に伸びている。
暗渠の形とはこうした哀しみに満ちているのではないか。そう思える。
一匹紛れ込んだ蝿が、料理とお酒の匂いに惹かれてか、飛び回りじゃれるように
人に近付いていた。宴会も終わり際、誰かがM君が来てたのねと呟いた。
生と死のあいだ、それもまた場の記憶というものだ。
M君の突如の死の時、ここで展示していたのは佐佐木方斎さんの個展、その後
が一回目の阿部守展だった。
命の形が変幻してこの世には在る。
それでいい。
だから蝿も嫌われずに、熱く暖かい間(あいだ)を飛んでいたよ。

*阿部守展「場に立つ」-10月9日(木)-19日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊:福岡在住作家
*中岡りえ展ー10月23日(木)-29日(水):ニューヨーク在住作家の個展
*M企画展「Logs/River/City」-11月1日(土)-16日(日):札幌在住
  作家河田雅文の企画展

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2008-10-10 13:41 | Comments(0)


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