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テンポラリー通信

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2008年 08月 27日

rhapsody in august-夏の末(sak-kes)(4)

8月も、もう終わりに近い。月末、濃い時間の予感がする。
30日吉増剛造展最後のトークと映像。31日及川恒平「地下書店」札幌録音場所
初のライブ。同じく31日大野慶人10何年ぶりの札幌舞踏出演。
ジャンルの違う3人が、何故かさっぽろの8月末に集中する。そして、ジャンルは
違うが共有する熱いさっぽろがあるのだ。
8月のラプソデイー、みんなと会いたい。
夏の年と数えた昔のアイヌの人に倣って、夏の年の始まりを春といわず、私は
<5月の共和国ーrepublic of may>と思ってきた。
今、夏の終りを秋とはいわず、<8月の狂詩曲ーrhapsody in august>と
思う。そんな朝、吉増剛造さんのお母さま悦さんから、お礼状が届く。

<今、剛造につれて来てもらって蓼科にいます。昨日はステキなグラス大小を
 頂きまして 本当にうれしうございました 大好きな形ですっかり魅力にとりつか
 れてしまいました。>

先日洞爺の高臣大介さんのグラスを、送っていただいたお菓子のお礼に差し上
げたのだが、それがお母さまの手に渡っていた。
10年ほど前、福生のご自宅でお会いして以来だが、私の事を覚えていてくれたの
は嬉しい。
吉増さんの名作長編詩「石狩シーツ」が、約4ヵ月の石狩ー夕張滞在のあと完成
した後でのご実家ご招待だった。かって仕事上で、接待という事も経験してはいた
が、本当に心篭もった接待というものをあの時初めて経験した気がする。
私たちが招かれた2日間のすぐ翌日、吉増さんがポリーフの手術で入院したと、
後で聞いた。体の不調を堪えての接待だったのだ。吉増家でのお料理、お酒、夕
刻の奥多摩の夕陽、翌日の奥多摩渓谷の河原、横浜へと到る絹の道、まいまい
ずの井戸、未知の東京奥多摩の風景が、そこにはあった。中川潤、金井孝次、岡
部昌生の3人と青山エスパスオハラの高橋さん、桜井さんも一緒だった。
岡部ー吉増展の予定を控え、「石狩シーツ」誕生の、出来たて濃い時間が流れ
ていた時である。この後、吉増さんの方から、岡部昌生との2人展はキャンセル
され、その根本の原因は今だ、総括されてはいない。ただ、私にはその頃既に
予想されていた事態でもあったから、<夜逃げの天才>と、吉増さんがおどけて
みせた本当の真意はもう見えてもいたのだ。今、ヴェネチアビエンナーレの日本
代表まで上り詰めた岡部昌生が、その拒否の真意をどこまで感受しているかど
うかは、今だ明らかではない。今回の道立文学館の吉増剛造展にも、いつの間
にか<資料提供>と名前を連ねているが、本来はテンポラリースペースの名前
がそこに記されて然るべきものである。まあ、我田引水的に捉えられるのは厭な
のでどうでもいいが、公的な偏らない見方に立てばそういう事と思う。
吉増悦さんからの一通のお礼状が、ふっとそんなことを思い出させた。
と、ここまで打ち込んでいると、電話が鳴った。横浜の大野慶人さんからだった。
”31日琴似で踊ります、受付で名前を言って下さい、招待にしてあります”と。
私はもう今打ち込んだばかりの、8月のラプソデイーの話を立て続けに喋った。
慶人さんもすっかり乗って、気合入れますと笑った。
午後京都・増田旗男さん来る。阪神淡路沖地震で壊れた蔵元の再起第一作
のお酒「空蔵」をおみやげに頂く。テンポラリーへの激励の意味もある。
空は空でも豊かなゼロだと応える。賀村順治さんが、畑から採り立ての大根を
持って来た。オロシにして食べなと言う。冷酒にオロシ大根か・・・。
身も心も沁みる日だな。

*森万喜子展ー8月22日(金)ー31日(日)am11時ーpm7時
*gla_gal(グラ_ギヤル)展ー9月2日(火)-7日(日)
*新明史子展ー9月16日(火)-27日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-08-27 12:51 | Comments(2)
Commented at 2008-08-27 20:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-08-28 10:23
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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