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テンポラリー通信

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2008年 07月 26日

彩めく光ー夏の年(sak-pa)(48)

夏の光が溢れている朝、開廊前の時間を利用してコンチネンタルギヤラリーの4
人展「交差する視点とかたち 2」を見に行く。
ビルの前は駐輪禁止だったので、自転車を降りて駐輪場を探す。
すると、声を掛けられる。美術家の堀田真作さんだった。鯉江良二さんの展示明
日までだよと言うと、名古屋芸大時代の先生だという。じゃあと、一緒に会場に向
かう。会場に入ると、中川潤さんがいた。3人揃うのも久し振りだった。
4人の展示は想像どおりだった。シンプルでそれぞれの力、特色が出ている。
敢えて、共通する主題を見るとすれば<死>の様態という事か。ただ、<死>と
いっても一般的で、それぞれが固有の世界のものである。今年亡くなったY氏へ
の追悼もあれば、チェルノブイリの原子力をテーマとする死もある。風化・朽ちる
を主題とする死もある。4人が4人ともそれぞれであって、作家の個の内にそれら
は、留まっている。それぞれの視点ではあっても、交差する交点は不明瞭に思え
る。個々の作家の実力は別にして、展覧会としてのコンセプトには、疑義が残る。
勿体無いのだ。Y氏への追悼なら追悼として、それだけでも主題は深くなる筈だと
私は思う。個々の作家の力を考えれば、それぞれの主題だけでも充分に展覧会が
成り立つからだ。チェルノブイリの主題と、Y氏の死は、同じ土俵の主題ではない。
タイトルが全てを語っているように、<交差する視点>と<かたち>そのままであ
る。4人を集め展示する事だけに、企画の大半の力が費やされ、それぞれの視点を
かたちとして展示しましたで、終っているのではないだろうか。
ピッチャーがキャッチャーを兼任する事など出来ない事だ。
この企画展は今年2回目で、昨年は京都の陶芸家川上力三さんをゲストに招い
ている。今年は愛知県常滑の陶芸家鯉江良二さんである。札幌在住の陶芸家
下澤敏也さんが、主体となってこの企画は為されているからと思うが、現代美術
と陶芸の新たな出会いを意図しているかに思えるこの企画展も、3回目以降もま
た、道外から陶芸の著名作家とのジョイントを目玉にするなら、もう少し主題を明
確にした方がいい。紹介なら紹介と啓蒙、一緒に何かをするなら、その主題自体
に時間を掛け練り上げる事と思う。そうでないと、今回のようでは勿体無いからだ
。ワークショップとか陶芸の技術普及の公開講座を主体にするなら、そこに現代
美術風な4人の展示会は要らないと思う。個展だけでいい。
作家を有名ブランド化しネタにする招請展は、百貨店に任せればいいのだ。

*久野志乃展「物語の終わりに、」-7月22日(火)-8月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-07-26 13:18 | Comments(0)


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