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テンポラリー通信

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2008年 07月 05日

光・木目・波紋ー夏の年(sak-pa)(29)

洞爺サミットの所為か、警察車両が多い。エルムトンネルの西側入り口付近にも
警官がいる。先日来たHさんが、発寒駅周辺をママチャリでうろうろしていたら、
尋問されたと言って怒っていた。大きめの鍔広い帽子を被った中年の男は、見よ
うによっては怪し気で、自転車泥棒ぽい。俺は教師だ、泥棒を捕まえたこともある
、と息巻いて話したと言う。これはサミットに関係なく、単純に怪しかったからだろ
う。
もうすぐ、陶芸界の巨人鯉江良二さんも来る。フォークソングの及川恒平さん、現
代詩の吉増剛造さんと、こちらもテンポラリーサミットである。
暑い気温が続くなか、細井護さんの展示が終る。木目に浮かぶ波紋のような彫り
が、陽光に柔らかな陰影を刻む。光は雲の影で、瞬時に変化する。
翳りは柔らかく、全体を包む。こんなに彫りのデティールが見えるとは思わなかっ
たと、細井さんが驚いている。ネパールの陽光は強烈でデティールが消えると言う
。陽射しが真上から強く落ちてきて、コントラストが明確なのだ。だから、それに負
けないように、強弱を強く保たないと作品がぼんやりしてしまうという。逆にその作
品を日本で見たとき、大雑把に見えて彫り直したとも言った。
光が違う。すると、見え方も違う。かって聞いたお月さまの事を、思い出していた。
ヨーロッパで見た月は、空気が乾燥している所為か、ギラッと刃物のように見えた
という。そこを魔女が飛ぶのは解る気がしたというのだ。日本は湿度があるので、
朧月(おぼろつき)夜になる。潤んで見える。これも、光の違いである。
人間の目に映る風景は、光が創る光景なのだ。風と光、そして風土。その固有の
光を、グローバル化という名の蛍光灯で、喪失しつつありはしないか。
木を素材に、木と語らい、固有の光に触れて、細井さんは自らの原風景を探り、触
れつつあると思う。木を素材としながらも、彼は光の景色の作家でもある。
木に触れる光が、光の波紋のように彩めくのだ。テーブルのように、椅子に座って
見るように展示された作品が、その意図を一番よく表わしている。
見る者は椅子に座り、手で触れ、眼は光が触れてできる陰影を、眼で撫でるように
感受する。流れるように彫り込まれた水紋が、光と戯れているかのようだ。

*細井護展「水が風景をつくる」-7月5日(土)-13日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊:坪井圭子朗読ー12日(土)午後7時~入場料無料
*酒井博史てん刻ライブー7月20日(日)-am11時ーpm7時
*久野志乃展ー7月22日(火)-8月3日(日)
*及川恒平ソロライブ「resongs vol7」ー8月5日(火)午後6時半~
 入場料3000円・予約2500円
*アキタヒデキ展「点と点と展」-8月9日(土)-17日(日)
*森万喜子展ー8月19日(火)-31日(日)
*gla_gal展ー9月2日(火)-13日(土)
*新明史子展ー9月16日(火)-21日(日) 

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-07-05 13:52 | Comments(2)
Commented at 2008-07-05 21:02 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-07-06 10:51
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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