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テンポラリー通信

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2008年 06月 22日

斎藤周展最終日ー夏の年(sak-pa)(19)

10代の人たちが多い。ゆっくり居る。たむろして、2階吹き抜けの床に座っている
。鳥小屋のようになる。ピーチク、パーチクではないが、彩(さや)めく声が降って
くる。好奇心からか、2階のな・ン・のルームにも入り込む。お相手をする。
素直ないい子たちで、何やら、かんやら話を聞いてくれる。そんな事で、3,4時
間も滞在する。その間も人が来て、エロいとか言って作家を冷やかしている。
午後の光がうす曇のせいか、穏やかで柔らかい。万偏なく、会場を包む。
夏の強い光で満たされるのも劇的だが、こうした柔らかな光で包まれるのもいい。
壁全体、室内全体が色彩と光と人で、溢れる。それ自体が作品であり、空間であ
る。Fさんが3歳の女の子を連れてくる。幼女が早速に階段を登り出す。親はハラ
ハラして後を追う。吹き抜けの回廊を抜け、奥の階段から下に降りてくる。もう一度
行くと言う。子供は遊びの天才である。場・空間に沢山の入り口を見つける。自在
に、自由に遊ぶ。大人になるほど、意識と秩序に拘束されがちである。いわゆる社
会性を持つ。身体より、意識が優先する。子供は意識より身体性が優先して体で
感じ、考える。頭は跡ずけなのだ。見て、感じて、考える。10代の子達には、まだ
その感覚が残っている。だから、彼、彼女等が長く滞在する空間は、単純に気持
ち良く、心地よいからなのだ。そして、その事は充分にひとつの批評たり得ている
。誰でもがかって、路地裏や、屋根裏といった楽しい空間を持っていたのだ。画面
の中の映像、眼だけの増幅ではなく、身体全体で感じる空間があったのだ。
大人社会の管理の隙間にある、開かれた秘密の入り口の世界。
物流の出入り口とは異なる、新鮮な入り口に満ちた世界。
額縁やキャンバスの中に、あるいは建築構造物に封印される,<inisde>の世
界から<exside>の世界をどれだけ作品空間が保ち得るかは、現代の大きな
課題とも言えるのだ。レジデンスだ、インスタレーシヨンだと、そんなしち面倒くさ
い言葉も、ひとりの幼児が軽々と身体ごとクリアーしてくれる。
玄関なんて、しゃちほこばらないで、たくさん入り口があるよと云わんばかりに。
斎藤周展最終日、気持ちの良い風・光のなかそんな時間が過ぎている。

*斎藤周展「おおらかなリズム」-22日(日)午後7時まで。
*細井護展「水が風景をつくる」-7月8日(火)-13日(日)
*酒井博史てん刻ライブー7月20日(日)am11時ーpm7時
*久野志乃展ー7月22日(火)-8月3日(日)
*アキタヒデキ展「点と点と展」-8月5日(火)-17日(日)
*森万喜子展ー8月19日(火)-31日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-06-22 12:48 | Comments(0)


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