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テンポラリー通信

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2008年 06月 06日

「おおらかなリズム」展示中ー夏の年(sak-pa)(4)

斎藤周さんの展示が昨夜から始まる。
タイトルのようにふんわり、ふわふわした周ワールドが会場を漂い出す。
今晩は徹夜という。授業中も会場展示のことで頭が一杯と笑っている。
公私混同ですよと言ったので、すかさず公の中に私在り、私の中に公在り。
本当の仕事とは、そういうものですよと言ったら、ちょっとキョトンとしていた。

芸術の森美術館の堀田真作さんの作品について、堀田さんに感想のコメントを
送ったら返事が来た。照明については、全くその通りで絶対光量が不足している
、残念で今も悶々としている言う。やっぱり、そうだろうなあと思う。
ギラッとして優雅に、まるで日本刀の刀身のような美しい殺気が堀田さんの持ち味
である。トカプチの十勝、安土桃山の安土。文化のテロリズムが、温暖な照明では
消えてしまうのだ。雪・光・風・心と4っに分かれた白の世界には情緒的な北だけで
はなく殺意の、暴力的な白もまたあるのである。その白い暴力に人々は、どれほど
苦しんだ事だろうか。藤田真里さん、富原加奈子さん、堀田真作さんの作品には、
その白のテロリズムが表現されている。5月の夏の殺意、冬の白い暴力。この際
立った季節感の深い峻別性に、北がある。ここに住む先人たちが、夏の年(sak
ーpa)、冬の年(mataーpa)と呼んだという四季を拒否する北である。
5月の野原を若い娘はスカートをはいて歩いてはいけない、とお婆ちゃんに教え
られた。そこには魔物が住んでいるからと。こう語ってくれたKさんの話のように、
一気の夏・5月の激しさは今もまだ、等分な四季とは峻別される夏があるのだ。
この1年とかって数えられた夏・冬の激しさは、<爽やかで、透明感のある光や
空気、・・純白であるがゆえの深い精神性>などと情緒的かつ、旅人的感傷に
よっては掬い取れない激しいリアル、厳しいリアルを保っているものだ。
公的立場に立つと、どうして公=中央に立脚してしまうのか、イメージの<北>が
貧困になり、リアルさが欠如してくる。先の道立近代美術館の「born in Hokkai
do」展もそうだが、<日本の最北に位置する北海道に・・>といった中央位置の
視座が平気で出現するのである。現場という<場>の認識が足下から掬われて
東京目線で今生きている場を分類している。区別・差別・分断の境からは、本当
の境・界(さかい)の美は生まれようがないのだ。
いくら地球の温暖化が進んでいるからといっても、キューレートする側の頭まで温
暖化が進んでいるわけでもなかろうにと思う。
中央→地方。都心→場末。この区別・差別の意識構造には、現場・第一線のリアル
がない。ネット裏の解説と、グラウンドのキャッチャーは違うのである。
キューレートする立場は、あくまでグランド内のキャッチャーでなければならない。
受け止め投げ返す現場を放棄するような立場は、表現のダイアモンドから去るの
が当然である。堀田さんの表現のピッチャーとしての悩みは、捕手不在のネット裏
に移動した現場にあるのだ。ギラッとする北の激しさを消す温暖な照明は、中央ボ
ケした精神の南化、温暖化にこそある。


*斎藤周展「おおらかなリズム」-6月7日(土)-22日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊
*アキタヒデキ展ー6月24日(火)ー7月6日(日)
*細井護展「水が風景をつくる」-7月8日(火)-13日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-06-06 12:35 | Comments(2)
Commented by まる at 2008-06-06 15:48 x
中森さん こんにちは
ご無沙汰しております。
あまりにも長い長い間ご無沙汰にしていたので、いまさらにご連絡するのも恥ずかしいです。ましてや公共の場に稚拙な言葉をさらすなどもってのほか、と思っていたのですが、今日の文章を読んだらどうにもお便りしたくなったので、恥ずかしながら。

毎日楽しみにブログを読ませていただいています。
ほんとうに楽しみにしてるんです。昼まえから。
中森さんが伝えたい事をすっかり理解するには到底およびませんが、わたしなりにその言葉を咀嚼しては、うむ、と飲んでみたりしています。
こうして日々の文章を通して、いつでも好きなときに中森さんのお言葉にふれられることは、ありがたいことだなあと思います。

梅雨の東京も今日は晴れ間が爽やかで、札幌の空気を思い出します。そのせいでしょうか。
夏の年、冬の年かあ。
東京に住んで5年目になりますが、年中通して穏やかな気候であることに何よりの違いを感じます。
ブログを読ませていただく、という形のみですが、いつも応援しています。
現在のテンポラリースペースに行ってみたいです。息子ができましたので、そのうち一緒に行きますね。
Commented by kakiten at 2008-06-06 17:53 x
ひえ~っ。まるちゃん?
久し振りです。あなたの絵飾ってありますよ。テンポラリーのカフエ
スペースに・・。そうか、風の噂にお子さんできたと聞いていましたが
よかったね。最近もうひとり、同じまるちゃんという人もいて、元祖ま
るちゃんの登場で吃驚しました。天然系のMちゃんがその人です。
ひや~ですよ。嬉しいな。北海道・さっぽろ忘れないでね。いつか
また、個展してくれるといいなあ。大木さんも元気で、この間も来て
作品撮っています。「オカクレ」最近見て、あなたの事想い出して
いました。<プラハ行く?><う~ん、行きません>って喋って
ましたよ。


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